RWPPI、第48回定期ミーティングを開催 − 記録容量400GBの16層光ディスクなどを紹介
RWプロダクツ・プロモーション・イニシアティブ(略称:RWPPI)は19日、第48回目の定例会議をパイオニア(株)の目黒本社にて開催した。
最初に代表の相澤宏紀氏が登壇した。相澤氏は「先月末に事務局のメンバーとともに台湾と香港をめぐり、RWPPIの活動に参加いただいている企業を訪問した。各社ともに熱心にRWPPIの活動を支持しており、DVD-RW/-R製品による記録文化の発展に貢献してくれていることを強く感じた」と語り、海外でもDVDを中心とした記録文化が活気を帯びていることを強調した。RWPPIの活動についても、本年6月からラウンドロビンテスト「Stage 8」がスタートしているが、相澤氏は「今期の活動にもぜひ良い成果を残したい」と抱負を述べた。
続いてRWPPIの今期の活動概要を事務局の森下正巳氏が報告した。RWPPIの定期ミーティングは来年の3月に「第50回」の開催を迎える。同ミーティングでは、ラウンドロビンテストの成果報告となる「JRT東京セミナー」も併せて開催される予定だ。
また今期に発行が予定されている「RWPPI活動史(仮称)」に関する説明も行われた。本活動史は、同団体がこれまでに推し進めてきたDVD-RW/-Rの普及活動の軌跡をまとめたアーカイブ。活動史の編纂委員会には、日立マクセル(株)の石川順氏、TDK(株)の宮内史郎氏、ソニー(株)の木下淳氏、シャープ(株)の今井隆洋氏、ならびにラウンドロビンテストのヘッドチェアマンである石井英宏氏とRWPPI事務局メンバーが参加している。このほど活動史の内容に関する具体案が森下氏より発表され、RWPPIのグローバル・プロモーション活動の歩み、ラウンドロビンテストによる互換性検証活動の報告、定期ミーティングなどの内容が記録されることがアイデアとして挙げられた。またラウンドロビンテストのチェアマンによる“座談会”や、これまで活動に参加してきたメンバー企業からのメッセージなども収録される予定であるという。
続いて6月からスタートしているラウンドロビンテストの「Stage 8」について、ヘッドチェアマンの石井英宏氏が経過報告を行った。RRTについては、現在の参加メーカー数が35社に上っており、今期に入ってから2回のRRTミーティングと1回のチェアミーティングが開催された。石井氏は「今期の検証活動のフォーカスはDVD-Download Discになるだろう。今期は出来る限りユーザーの使用条件に近い検証を行うため、市販のディスクを買い上げてテストの対象としたり、最新のディスクや記録フォーマットを積極的にカバーしたテストに力を入れていく」と抱負を語った。「Stage 8」の活動については来年2月に結果をまとめ、3月のJRT東京セミナーで報告が行われる予定だ。
次に本日の特別講演第一弾として、(株)富士キメラ総研第2研究開発部門の白川恭氏による「デジタルAV機器60品目の市場調査概要」が紹介された。白川氏は、同社が今年の4月から5月に行った、主に国内市場を中心としたデジタルAV機器に関するマーケティング調査の内容を発表。市場概況や製品化のトレンド、流通チャンネルの状況や今後の市場予測などをコメントした。テレビ製品については「2011年に向けてデジタル放送対応製品の需要が拡大する。また液晶テレビを中心に全般的に低価格化が進行するだろう」と述べた。ビデオレコーダー・プレーヤー製品については「BDレコーダーが2010年頃より急速に伸張するだろう。メディアの市場動向はBD/DVDともに拡大傾向にあり、2012年までにはDVDのマーケットが成熟し、ハイビジョンはBDメディアへの移行も高まるとみている」と語った。
続いてパイオニア(株)総合研究所の小笠原昌和氏が登壇し、同社が開発した400GBの16層大容量光ディスクを紹介した。本ディスクの仕様は1記録層あたりの記録容量がブルーレイ・ディスクと同じ25GBで、その記録層を16層に積層した再生専用の光ディスク。これまでの多層光ディスクでは、再生していない記録層からの不要な信号による影響や、各記録層からの再生信号が微弱であるため積層する記録層の数に限界があったが、同社ではDVDで培った光ディスク製造技術を活用し、他の記録層からのノイズを低減する構造を開発。高品位な再生信号を得られる多層光ディスクをこのほど実現した。小笠原氏は「16層のディスクに関しては2013年ごろまでに1TB達成を目標としたい。また今回の開発モデルは再生専用なので、今後は記録型への展開についても探っていきたい」と開発計画を明らかにした。
本日最後の特別講演には(株)ふじわらロスチャイルドリミテッドの松本邦夫氏が弁を振った。「光ディスクの進化とネゲントロピー」と題し、松本氏は現在の光ディスクメディアの特徴や、将来的な成長を実現するための条件などを提言した。
松本氏はHDDやフラッシュメモリーなど、他の記録メディアと比較した際にも、光ディスクはコンテンツ・ディストリビューション、並びに長期アーカイブの点で優れたメディアであることを指摘する。また業界ではブロードバンド環境をベースにした映像・音楽の配信/ダウンロードサービスの成長により、ストレージメディアが衰退していくのでは?という、光ディスクにとっての「悲観論」が話題に上る中で、松本氏はこれに反論する。「現在、ユーザーはコンテンツの楽しみ方やライフスタイルに合わせて、メディアを自由に使っている状況にある。このような環境の中で、DVD-Downloadのビジネスモデルのように、光メディアのメリットを活かしつつ、ネットワークとの連携を上手に探っていくことこそが大事」と松本氏は指摘した。また松本氏は、次世代のメディアやサービスを語る上で、一方向へのパラダイムシフトを議論していく視点よりも、それぞれのメディアが持つメリットを共有していく「調和パラダイム」の考え方が重要であると提言を促し、「光ディスクのビジネスに関わる方々は、どうかメディアの可能性に自信を持って新しいビジネスモデルを提案してほしい」とエールを贈った。
(Phile-web編集部)
最初に代表の相澤宏紀氏が登壇した。相澤氏は「先月末に事務局のメンバーとともに台湾と香港をめぐり、RWPPIの活動に参加いただいている企業を訪問した。各社ともに熱心にRWPPIの活動を支持しており、DVD-RW/-R製品による記録文化の発展に貢献してくれていることを強く感じた」と語り、海外でもDVDを中心とした記録文化が活気を帯びていることを強調した。RWPPIの活動についても、本年6月からラウンドロビンテスト「Stage 8」がスタートしているが、相澤氏は「今期の活動にもぜひ良い成果を残したい」と抱負を述べた。
続いてRWPPIの今期の活動概要を事務局の森下正巳氏が報告した。RWPPIの定期ミーティングは来年の3月に「第50回」の開催を迎える。同ミーティングでは、ラウンドロビンテストの成果報告となる「JRT東京セミナー」も併せて開催される予定だ。
また今期に発行が予定されている「RWPPI活動史(仮称)」に関する説明も行われた。本活動史は、同団体がこれまでに推し進めてきたDVD-RW/-Rの普及活動の軌跡をまとめたアーカイブ。活動史の編纂委員会には、日立マクセル(株)の石川順氏、TDK(株)の宮内史郎氏、ソニー(株)の木下淳氏、シャープ(株)の今井隆洋氏、ならびにラウンドロビンテストのヘッドチェアマンである石井英宏氏とRWPPI事務局メンバーが参加している。このほど活動史の内容に関する具体案が森下氏より発表され、RWPPIのグローバル・プロモーション活動の歩み、ラウンドロビンテストによる互換性検証活動の報告、定期ミーティングなどの内容が記録されることがアイデアとして挙げられた。またラウンドロビンテストのチェアマンによる“座談会”や、これまで活動に参加してきたメンバー企業からのメッセージなども収録される予定であるという。
続いて6月からスタートしているラウンドロビンテストの「Stage 8」について、ヘッドチェアマンの石井英宏氏が経過報告を行った。RRTについては、現在の参加メーカー数が35社に上っており、今期に入ってから2回のRRTミーティングと1回のチェアミーティングが開催された。石井氏は「今期の検証活動のフォーカスはDVD-Download Discになるだろう。今期は出来る限りユーザーの使用条件に近い検証を行うため、市販のディスクを買い上げてテストの対象としたり、最新のディスクや記録フォーマットを積極的にカバーしたテストに力を入れていく」と抱負を語った。「Stage 8」の活動については来年2月に結果をまとめ、3月のJRT東京セミナーで報告が行われる予定だ。
次に本日の特別講演第一弾として、(株)富士キメラ総研第2研究開発部門の白川恭氏による「デジタルAV機器60品目の市場調査概要」が紹介された。白川氏は、同社が今年の4月から5月に行った、主に国内市場を中心としたデジタルAV機器に関するマーケティング調査の内容を発表。市場概況や製品化のトレンド、流通チャンネルの状況や今後の市場予測などをコメントした。テレビ製品については「2011年に向けてデジタル放送対応製品の需要が拡大する。また液晶テレビを中心に全般的に低価格化が進行するだろう」と述べた。ビデオレコーダー・プレーヤー製品については「BDレコーダーが2010年頃より急速に伸張するだろう。メディアの市場動向はBD/DVDともに拡大傾向にあり、2012年までにはDVDのマーケットが成熟し、ハイビジョンはBDメディアへの移行も高まるとみている」と語った。
続いてパイオニア(株)総合研究所の小笠原昌和氏が登壇し、同社が開発した400GBの16層大容量光ディスクを紹介した。本ディスクの仕様は1記録層あたりの記録容量がブルーレイ・ディスクと同じ25GBで、その記録層を16層に積層した再生専用の光ディスク。これまでの多層光ディスクでは、再生していない記録層からの不要な信号による影響や、各記録層からの再生信号が微弱であるため積層する記録層の数に限界があったが、同社ではDVDで培った光ディスク製造技術を活用し、他の記録層からのノイズを低減する構造を開発。高品位な再生信号を得られる多層光ディスクをこのほど実現した。小笠原氏は「16層のディスクに関しては2013年ごろまでに1TB達成を目標としたい。また今回の開発モデルは再生専用なので、今後は記録型への展開についても探っていきたい」と開発計画を明らかにした。
本日最後の特別講演には(株)ふじわらロスチャイルドリミテッドの松本邦夫氏が弁を振った。「光ディスクの進化とネゲントロピー」と題し、松本氏は現在の光ディスクメディアの特徴や、将来的な成長を実現するための条件などを提言した。
松本氏はHDDやフラッシュメモリーなど、他の記録メディアと比較した際にも、光ディスクはコンテンツ・ディストリビューション、並びに長期アーカイブの点で優れたメディアであることを指摘する。また業界ではブロードバンド環境をベースにした映像・音楽の配信/ダウンロードサービスの成長により、ストレージメディアが衰退していくのでは?という、光ディスクにとっての「悲観論」が話題に上る中で、松本氏はこれに反論する。「現在、ユーザーはコンテンツの楽しみ方やライフスタイルに合わせて、メディアを自由に使っている状況にある。このような環境の中で、DVD-Downloadのビジネスモデルのように、光メディアのメリットを活かしつつ、ネットワークとの連携を上手に探っていくことこそが大事」と松本氏は指摘した。また松本氏は、次世代のメディアやサービスを語る上で、一方向へのパラダイムシフトを議論していく視点よりも、それぞれのメディアが持つメリットを共有していく「調和パラダイム」の考え方が重要であると提言を促し、「光ディスクのビジネスに関わる方々は、どうかメディアの可能性に自信を持って新しいビジネスモデルを提案してほしい」とエールを贈った。
(Phile-web編集部)