<CEATEC2008>“コンシューマー重視”に大きく舵を切ったマイクロソフト
CEATEC JAPAN 2008が開幕した9月30日、マイクロソフトは「マジカルウィンドウズ〜マイクロソフトの次世代コンシューマービジョン」と題してキーノートスピーチを行った。
まず、壇上にあらわれたのはマイクロソフト社コーポレートバイスプレスプレジデントWindowsコンシューマープロダクトマーケティングのブラッド・ブルックス氏。ブラッド氏は「現在のデジタル世界にはPCとモバイルとWebの3大プラットフォームがあるが、それがあらゆる場所でシームレスに使える、壁のない世界を実現するのがマイクロソフトの使命」と語った。
ここで言うPCがWindowsOS、モバイルがWindowsMobile、WebがWindowsLiveを指すことは言うまでもない。そして、マイクロソフトはMS-DOSの時代からフライトシミュレータのようなゲームをリリースするなど、もともとコンシューマーを重視した企業であると述べ、コンシューマー重視の姿勢をアピールした。
現在、XPからの移行がやや進んでいない印象のあるVistaについては、世界中のXPユーザーにVistaを使ってもらったところ、好印象を得ているという主旨のビデオを上映。そして、セキュリティ面などVistaの優位性をアピールした後、プラットフォームをシームレスにつなぐというテーマを実現する一例として、Windows Mobile 6.1 Professionalを搭載したスマートフォン「Touch Diamond」で撮影した映像を、WindowsLiveのフォトサービスにアップロードし、その画像をWindows PCで見るというデモを行った。
さらにソニーのデジタルフォートフレーム(「CP1」と思われる)でPC内の映像を表示して見せ、プラットフォームのシームレスな連携がすでに様々な領域で実用化されていることをアピールした。この連携はDLNA機能を使っていたと思われる。
最後に、Windowsの今後の展開として、IE8、Windows Live Wave3、Windows 7などの展開が用意されていることに触れ、また「エンターテイメントとしてテレビの重要性を無視できない」と語った。
この後、マイクはマイクロソフト(株)代表執行役副社長コンシューマー&オンライン事業部担当 堂山晶司氏に渡された。堂山氏は、「マイクロソフトはもともとコンシューマー向け企業として始まった会社であり、今後はコンシューマー重視の原点に立ち戻って、PC、モバイル、Webの3つのセグメントでソフトウェア+サービスを提供していく」とアピールした。
そして、「現在は独立して進化し、混迷しているPC、モバイル、Webを『Windows』という1つの統一プラットフォームで結んでいきたい。いろいろなパートナーのサービスがこれら3つをつなげていく」と話した。
次に話題は日本国内の地上デジタルテレビに移り、今年6月にWindows Media Centerが地デジに対応し、すでに対応したPCがメーカーから発売され、ハードメーカーからテレビ局まで、多くのメーカーがWMCのテレビサービスに参入していることを紹介した。
テレビ放送とインターネットを連携させるのは家電では難しく、PCならではの機能として、WMCでの地デジTV視聴デモを見せ、2つのTV局の提供するガジェットを紹介した。
一つはTBSの提供する「ショッピンポン」というTVショッピング番組と連携したもので、ガジェットから商品販売のページを呼び出し、そのまま購入できるというもの。もう1つはフジTVの「ガジェットちゃんねる」で、こちらは番組の放映予定情報を提供する。
次に話題はスカパーに移り、スカパーのWMC対応の新サービス「スカパー!Netてれび」が紹介され、スカパー代表取締役執行役員社長の仁藤雅夫氏が登場し、当日、開始される新サービスについて自身で紹介した。
このサービスは、WMC対応PCを使って、一部のスカパー番組を有料で視聴できるというもので、プログラムをダウンロードしてインストールすれば視聴できるが、NEC、富士通、東芝などの春モデルへの搭載を協議中であるという。なお、対応OSはVistaに限られる。年内に5チャンネルが提供され、その後も続々と拡大していく予定だという。
話し手は再び堂山氏に戻り、話題はインターフェースに移った。「現在、注目されるのはマルチタッチインターフェース」と述べ、開発中のSurfaceのデモを披露した。このデバイスは30インチのタッチパネルを搭載したテーブル状のもので、タッチ操作で写真を見たり、音楽再生などをコントロールしたり、デジタルマップを見たりすることができる。デバイスとして興味深いが、製品化の予定などは未定だという。
そして、最後にPCdeTV、PCde旅などコンシューマー市場向けにPCに使い方を提案する「WDLC(WindowsDigitalLifeStyleConsortium)」の活動が紹介され、幕は閉じた。
全体をまとめると、一時はエンタープライズ、ビジネスユーザー重視と感じられたマイクロソフトの方向性を、初心に戻ってエンドユーザー、コンシューマー重視に戻すことを強くアピールしたキーノートスピーチだったと言えそうだ。
(一条真人)
執筆者プロフィール
デジタルAV関連、コンピュータ関連などをおもに執筆するライター。PC開発を経て、パソコン雑誌「ハッカー」編集長、「PCプラスワン」編集長を経てフリーランスに。All Aboutの「DVD ・HDDレコーダー」ガイドも務める。趣味はジョギング、水泳、自転車、映画鑑賞など。
まず、壇上にあらわれたのはマイクロソフト社コーポレートバイスプレスプレジデントWindowsコンシューマープロダクトマーケティングのブラッド・ブルックス氏。ブラッド氏は「現在のデジタル世界にはPCとモバイルとWebの3大プラットフォームがあるが、それがあらゆる場所でシームレスに使える、壁のない世界を実現するのがマイクロソフトの使命」と語った。
ここで言うPCがWindowsOS、モバイルがWindowsMobile、WebがWindowsLiveを指すことは言うまでもない。そして、マイクロソフトはMS-DOSの時代からフライトシミュレータのようなゲームをリリースするなど、もともとコンシューマーを重視した企業であると述べ、コンシューマー重視の姿勢をアピールした。
現在、XPからの移行がやや進んでいない印象のあるVistaについては、世界中のXPユーザーにVistaを使ってもらったところ、好印象を得ているという主旨のビデオを上映。そして、セキュリティ面などVistaの優位性をアピールした後、プラットフォームをシームレスにつなぐというテーマを実現する一例として、Windows Mobile 6.1 Professionalを搭載したスマートフォン「Touch Diamond」で撮影した映像を、WindowsLiveのフォトサービスにアップロードし、その画像をWindows PCで見るというデモを行った。
さらにソニーのデジタルフォートフレーム(「CP1」と思われる)でPC内の映像を表示して見せ、プラットフォームのシームレスな連携がすでに様々な領域で実用化されていることをアピールした。この連携はDLNA機能を使っていたと思われる。
最後に、Windowsの今後の展開として、IE8、Windows Live Wave3、Windows 7などの展開が用意されていることに触れ、また「エンターテイメントとしてテレビの重要性を無視できない」と語った。
この後、マイクはマイクロソフト(株)代表執行役副社長コンシューマー&オンライン事業部担当 堂山晶司氏に渡された。堂山氏は、「マイクロソフトはもともとコンシューマー向け企業として始まった会社であり、今後はコンシューマー重視の原点に立ち戻って、PC、モバイル、Webの3つのセグメントでソフトウェア+サービスを提供していく」とアピールした。
そして、「現在は独立して進化し、混迷しているPC、モバイル、Webを『Windows』という1つの統一プラットフォームで結んでいきたい。いろいろなパートナーのサービスがこれら3つをつなげていく」と話した。
次に話題は日本国内の地上デジタルテレビに移り、今年6月にWindows Media Centerが地デジに対応し、すでに対応したPCがメーカーから発売され、ハードメーカーからテレビ局まで、多くのメーカーがWMCのテレビサービスに参入していることを紹介した。
テレビ放送とインターネットを連携させるのは家電では難しく、PCならではの機能として、WMCでの地デジTV視聴デモを見せ、2つのTV局の提供するガジェットを紹介した。
一つはTBSの提供する「ショッピンポン」というTVショッピング番組と連携したもので、ガジェットから商品販売のページを呼び出し、そのまま購入できるというもの。もう1つはフジTVの「ガジェットちゃんねる」で、こちらは番組の放映予定情報を提供する。
次に話題はスカパーに移り、スカパーのWMC対応の新サービス「スカパー!Netてれび」が紹介され、スカパー代表取締役執行役員社長の仁藤雅夫氏が登場し、当日、開始される新サービスについて自身で紹介した。
このサービスは、WMC対応PCを使って、一部のスカパー番組を有料で視聴できるというもので、プログラムをダウンロードしてインストールすれば視聴できるが、NEC、富士通、東芝などの春モデルへの搭載を協議中であるという。なお、対応OSはVistaに限られる。年内に5チャンネルが提供され、その後も続々と拡大していく予定だという。
話し手は再び堂山氏に戻り、話題はインターフェースに移った。「現在、注目されるのはマルチタッチインターフェース」と述べ、開発中のSurfaceのデモを披露した。このデバイスは30インチのタッチパネルを搭載したテーブル状のもので、タッチ操作で写真を見たり、音楽再生などをコントロールしたり、デジタルマップを見たりすることができる。デバイスとして興味深いが、製品化の予定などは未定だという。
そして、最後にPCdeTV、PCde旅などコンシューマー市場向けにPCに使い方を提案する「WDLC(WindowsDigitalLifeStyleConsortium)」の活動が紹介され、幕は閉じた。
全体をまとめると、一時はエンタープライズ、ビジネスユーザー重視と感じられたマイクロソフトの方向性を、初心に戻ってエンドユーザー、コンシューマー重視に戻すことを強くアピールしたキーノートスピーチだったと言えそうだ。
(一条真人)
執筆者プロフィール
デジタルAV関連、コンピュータ関連などをおもに執筆するライター。PC開発を経て、パソコン雑誌「ハッカー」編集長、「PCプラスワン」編集長を経てフリーランスに。All Aboutの「DVD ・HDDレコーダー」ガイドも務める。趣味はジョギング、水泳、自転車、映画鑑賞など。