年末年始特別企画
AVレビュー誌評論家・山之内正氏が選ぶ「ソフト・オブ・ザ・イヤー 2009」
2009年に発売されたブルーレイディスクとDVDの中から、ストーリー(内容)、画質・音質に優れたタイトルを選び抜くAVレビュー誌の企画「ソフト・オブ・ザ・イヤー2009」。2010年1月17日発売の2月号にて詳細なランキング等を発表いたします。本誌発売に先立ち、「ソフト・オブ・ザ・イヤー」選考メンバー5名それぞれが推す、2009年ベスト3ディスクを紹介いたします。
今回はAVレビュー誌執筆陣3名(貝山知弘氏、山之内正氏、大橋伸太郎氏)に加え、パイオニア及びエプソンの機器企画担当者にも参加頂きました。高音質AVアンプとしてマニアの注目を集める「SC-LX」シリーズの企画担当者であるパイオニアの山田喜行氏、及び透過型液晶プロジェクターの開発を行っているエプソンの倉内新次郎氏の両名です。
ファイル・ウェブでは、全5回に分けて、それぞれのメンバーが推す「優秀ディスク」コメントを紹介いたします。第2回目はAV評論家の山之内正氏です。
全メンバーが合意の上で選んだ「ベスト・オブ・ベスト」ディスクの発表及び選考議事録は本誌2月号でお読み下さい。
■第1位:「ガンジー」
BDのパッケージが出て既に3年が経過していますが、3年目となった2009年は発売されるラインナップに変化が起きました。旧作BDの発売が充実し、バリエーションが非常に広がりました。過去の作品をBDで改めて鑑賞し直す機会が非常に多く、初見時の感動を数多く再体験することができました。
『ガンジー』は「感動再体験」を味わえた作品の中の代表として1位に推挙しました。 この作品をあらためてBDで見ると、CGに頼らずに作られた作品ならではの実在感と力強さに圧倒されます。『ガンジー』に限った話ではありませんが、かつての感動が時を経て自宅のシアタールームで再現できるようになったのはBDだからこそでしょうね。昔、どのような気持ちで観ていたかが思い出せるような高いクオリティを持つディスクがもっと増えて欲しいですね。
■第2位:「チェンジリング」
過去の史実を元にしたいわゆる「歴史物」に私は最近非常に凝っています。この『チェンジリング』は描き方が非常に丁寧で、「確かに本当にあったであろう」ということを感じさせられるリアリティに溢れた作品です。全編を貫く空気感や色彩に説得力があるからこそそのように感じたわけですが、ここまで突き詰めて作り上げられた作品はなかなかないと思いますね。こういったじっくり魅せるタイプの作品には手放しでその世界に入り込んでしまいます。
映画の場合は、日常私たちが見ている風景とは全く異なる世界を見せてくれるかどうかが重要な要素となりますが、『チェンジリング』はその命題に沿ってテーマを描ききったイーストウッドの傑作です。映像にも音楽にも手抜きがなく妥協がない、映画らしい映画の素晴らしさを久々に堪能しました。
■第3位:「コッポラの胡蝶の夢」
この作品が描かれている年代も1位、2位のタイトルと同様に、過去から現在へと連なる時間の連続性と変化が重要なエッセンスとなっています。2008年の優秀作品を選ぶ際にも重要な候補として議論の対象となりましたが、国内盤の発売は2009年でしたので、今回の評価作品としてリストアップいたしました。
この作品の一番のポイントとして置きたいのは映画としての作り手、監督であるフランシス・フォード・コッポラのこだわりと内面世界が完璧に映像化され、作品化されているということです。既に巨匠であったからこそできたことなのかもしれませんが、近年はほとんど稀な「作家性」を貫いて「時の流れ」を描ききったことに驚かされました。コッポラの映像へのこだわりをどこまで忠実に再現できるか、それは私たちに課せられた大きなテーマです。
今回はAVレビュー誌執筆陣3名(貝山知弘氏、山之内正氏、大橋伸太郎氏)に加え、パイオニア及びエプソンの機器企画担当者にも参加頂きました。高音質AVアンプとしてマニアの注目を集める「SC-LX」シリーズの企画担当者であるパイオニアの山田喜行氏、及び透過型液晶プロジェクターの開発を行っているエプソンの倉内新次郎氏の両名です。
ファイル・ウェブでは、全5回に分けて、それぞれのメンバーが推す「優秀ディスク」コメントを紹介いたします。第2回目はAV評論家の山之内正氏です。
全メンバーが合意の上で選んだ「ベスト・オブ・ベスト」ディスクの発表及び選考議事録は本誌2月号でお読み下さい。
■第1位:「ガンジー」
BDのパッケージが出て既に3年が経過していますが、3年目となった2009年は発売されるラインナップに変化が起きました。旧作BDの発売が充実し、バリエーションが非常に広がりました。過去の作品をBDで改めて鑑賞し直す機会が非常に多く、初見時の感動を数多く再体験することができました。
『ガンジー』は「感動再体験」を味わえた作品の中の代表として1位に推挙しました。 この作品をあらためてBDで見ると、CGに頼らずに作られた作品ならではの実在感と力強さに圧倒されます。『ガンジー』に限った話ではありませんが、かつての感動が時を経て自宅のシアタールームで再現できるようになったのはBDだからこそでしょうね。昔、どのような気持ちで観ていたかが思い出せるような高いクオリティを持つディスクがもっと増えて欲しいですね。
■第2位:「チェンジリング」
過去の史実を元にしたいわゆる「歴史物」に私は最近非常に凝っています。この『チェンジリング』は描き方が非常に丁寧で、「確かに本当にあったであろう」ということを感じさせられるリアリティに溢れた作品です。全編を貫く空気感や色彩に説得力があるからこそそのように感じたわけですが、ここまで突き詰めて作り上げられた作品はなかなかないと思いますね。こういったじっくり魅せるタイプの作品には手放しでその世界に入り込んでしまいます。
映画の場合は、日常私たちが見ている風景とは全く異なる世界を見せてくれるかどうかが重要な要素となりますが、『チェンジリング』はその命題に沿ってテーマを描ききったイーストウッドの傑作です。映像にも音楽にも手抜きがなく妥協がない、映画らしい映画の素晴らしさを久々に堪能しました。
■第3位:「コッポラの胡蝶の夢」
この作品が描かれている年代も1位、2位のタイトルと同様に、過去から現在へと連なる時間の連続性と変化が重要なエッセンスとなっています。2008年の優秀作品を選ぶ際にも重要な候補として議論の対象となりましたが、国内盤の発売は2009年でしたので、今回の評価作品としてリストアップいたしました。
この作品の一番のポイントとして置きたいのは映画としての作り手、監督であるフランシス・フォード・コッポラのこだわりと内面世界が完璧に映像化され、作品化されているということです。既に巨匠であったからこそできたことなのかもしれませんが、近年はほとんど稀な「作家性」を貫いて「時の流れ」を描ききったことに驚かされました。コッポラの映像へのこだわりをどこまで忠実に再現できるか、それは私たちに課せられた大きなテーマです。