ビクター横浜本社工場の譲渡を決定
JVC・ケンウッドHD、企業基盤の再構築プランを発表 − 「AV専業メーカーとして新しいポジションを確立する」
JVC・ケンウッド・ホールディングス(株)は28日、都内で11年3月期から13年3月期までの中期経営計画に関する記者説明会を開催。企業基盤の再構築に関するアクションプランを公開するとともに、ビクターの横浜本社工場の譲渡決定を発表した。
同社の中期経営計画に関する説明は、代表取締役 会長 兼 社長の河原春郎氏が行った。
はじめに2010年3月期までに同社が行ってきた事業構造改革に関する進捗と成果に関する概要が報告された。前期を振り返ってコメントした河原氏は「カーエレクトロニクスや無線機器の分野を収益基盤としながら、ホーム・モバイルエレクトロニクス事業の損益改善、業務用システム事業の強化を図るなど、事業構造改革アクションプランを着実に実行したことで、3つの事業合計で80億円の損益改善効果を見込めるまでに達した。既に決算発表の際にご報告した通り、通期で営業黒字の業績予想を見込めるまでに至っている」と述べた。
続けて今回の中期経営計画を作成した背景について語った河原氏は、「昨今の経済環境の変化により、当社として生き残りをかけた“構造改革”から“成長”に移行するための、もう一歩踏み込んだ施策がいま不可欠であると考えた。このようなかたちで、当社として本格的な中期計画を発表する機会は今回が初めてとなるため、社内外でコミュニケーションを重ねて今回の計画をじっくりと練り上げた。これらの施策を着実に実行し、企業価値の再構築と拡大を実現するとともに、日本の“総合AVメーカー”からかたちを変え、より専業色を強めて新たなポジションの確立を目指す」とした。
今回公開された、同社の「企業基盤再構築アクションプラン」の内容は以下の通りだ。
まずは不採算事業とされた事業分野の改革について、「ディスプレイ部門」は事業分社化とパートナーシップ戦略の強化を図る。ファブレス化を推進し、新しいビジネスモデルへ転換していくとともに、タイに構えるディスプレイ工場にディスプレイ事業本社機能を分社・移管していく。また同社のブランド力や商品企画・開発力、販売ネットワークを活かしながらパートナーシップ戦略を推進する。なお、現在タイ工場で展開する業務用AV機器商品については、アウトソーシングとマレーシア工場への移管を進めていく。
「カムコーダー部門」については、ビクター横須賀工場で展開する国内向け商品の生産を全面的にマレーシア工場へ移管する。同工場については、現状展開するホームオーディオの生産を11年3月期中に終了し、一部ビジネス用途のカメラ商品の生産を統合することによって「カメラ系の専用工場として位置づけていく」(河原氏)方針が示されている。生産体制を再編していくにあたっては、外部委託の拡大も同時に進められていく。
なお、現在ビクター横須賀工場で展開する「プロジェクター製品」の生産については、映像素子開発のクリーンルーム等を設けているため、引き続き同工場を拠点に展開を継続する。また業務用AV機器の一部商品についても同工場が引き続き受け持つかたちとなる。
ビクターが展開する「ビジネス・ソリューション部門」については、ケンウッドの無線機等を含む「コミュニケーションズ部門」との統合運営を強化することにより、新たなマルチメディアソリューションの展開や営業活動の一体化、販路・拠点の相互活用や材料の共同調達などによる効率化を進める。当該分野では、パブリックセキュリティの市場などを中心に、新しい成長事業として見込みまれる分野への注力を図り、事業創造や新興市場の開拓推進がテーマとして掲げられている。これを実現するための生産体制の再編、ソリューションの内製化比率向上など、売上拡大と原価構造の改善も課題とされた。
「カーエレクトロニクス部門」は、市販系商品についてはブラジルやインド、中国をはじめとする新興市場を積極的に開拓し、統合効果を生かした国内市販ナビの強化を目指す。OEM系商品は純正、DOPの国内外での受注拡大を図るとともに、ケンウッドとビクターのシナジー効果を生かしたCD/DVDメカの受注拡大を狙う。
ソフトなど「エンタテインメント部門」について、河原氏は「キャッシュフローが良く、当社として大変重要な事業として位置づけている」とし、音楽配信等の媒体の多様化へ対応を進めていく考えを明らかにした。
その他、新規事業や新ビジネスへの展開については、先頃発表した“Home AVC”「Ryoma」を中核とした機器やサービスをはじめ、新たなライフスタイルの提案やネットワークサービスを中心としたビジネスを創造していく牽引要素として位置づけ、「できる限り早く商品を市場に投入し、事業化への道筋をつけたい」(河原氏)とした。
人員体制については、国内・海外を合わせてグループ全体で1千数百名程度を、グループ内での再配置、社外転出、あるいは削減を行う方向が検討されている。本日記者発表会の時点では、本件に関する具体的な施策は示されなかったものの、河原氏は「今後生産体制の再編、統合運営の進捗に合わせて内容を決定し、段階的に実施していく」という考えを示した。
同社が保有する固定資産の売却を進めつつ、キャッシュの増出と総資産の圧縮を図っていく方針も明らかにされた。この一環として、欧米販社の社屋や倉庫などの売却が検討されているという。また同社、ならびに同社の子会社である日本ビクターが本社を構える横浜本社工場の譲渡が28日開催の取締役会で決議されたことも明らかになった。
ビクター横浜本社工場の譲渡に関しては、このたび公表されたアクションプランと中期経営計画の一環として、今後必要な手続きを経たのちにSGリアルティ(株)へ譲渡される。譲渡価格は約63億円。移転のスケジュールについては「今年の12月末までに完了する予定」とされているが、本日時点で具体的な移転先はまだ決まっていないという。なお、今回の譲渡に関して、隣接するビクター入江工場と勤労会館は対象に含まれていない。
これらの中期経営計画に基づいて事業を実行することにより、河原氏は「11年3月に経常利益の黒字化を、12年3月に当期純利益の黒字化を実現したい」との中期目標を語った。また13年3月期には売上高で4,500億円、営業利益で145億円、当期純利益で45億円の目標数値が示された。そのほか、中期経営計画期間中の配当開始を目指す方針も発表された。
また中期戦略として、収益基盤の再構築と早期の配当開始を宣言。「強い事業に集中し、統合効果と新興市場での収益ある成長」を目指すとし、カーエレクトロニクス事業と業務用システム事業の合算で、売上げ構成比を経営統合時の40%から60%へ引き上げていく方針が示された。営業利益は130億円を目指す。
コンシューマーエレクトロニクス事業、ソフト事業は「新しいビジネスモデル」への転換を図り、採算化していく方向性を示した。当分野については、前期に終了した「事業構造改革アクションプラン」の効果と、「企業基盤再構築アクションプラン」の効果を取り込むことによって、ホーム&モバイルエレクトロニクス事業とエンタテインメント事業の合算で営業利益15億円への黒字転換を目標としている。
同日にはJVC・ケンウッド・ホールディングスの新経営体制も発表された。現・代表取締役 会長 兼 社長の河原氏は再任が決定した。その他、取締役 グループ経営刷新担当の尾高 宏氏、取締役 ケンウッド 代表取締役社長 相神一裕氏が再任のメンバーとなる。現取締役の塩畑一男氏は代表取締役 経営・財務改革担当に任命されるはこびとなった。取締役 ビクター 代表取締役社長には伊藤裕太氏、取締役 J&Kカーエレクトロニクス 代表取締役社長には江口祥一郎氏がそれぞれ新任された。河原氏は「3つの事業会社の社長はいずれも50代前半。若手の人材を登用し、事業を活性化していきたい」と語った。
最後に、本日の記者発表会で開催された質疑応答の内容を掲載する。
Q:これまでに何度か構造改革が完了したとアナウンスされてきたが、今回も新たな改革の内容が発表された。JVC・ケンウッド HDの構造改革は今回のプランで最後と考えていいのか。
A:構造改革に終わりはないと思っている。環境が変化していく中で、適合する形に整えていくのは会社のつとめだ。ただ、これまでは会社全体の構造を変えて、強い事業体質にしていくための構造改革だったが、こういった大きな会社のかたちを変えるための構造改革は当上期で終了したい。外部環境に合わせた事業内容の調整は引き続き行っていく。(河原氏)
Q:新規事業や新ビジネスの中期事業目標について、経営統合当初は11年3月期で1,000億円弱と掲げていたが、13年3月期で100億円となっている。この数字をどのように解釈すればよいのか。
A:当社の新規事業について、発足当時に大きな期待をもってスタートしたのは事実。ただ、当社が事業統合を行ったとたんに、リーマンショックに見舞われたり、世界的な経済不況に見舞われる不幸もあった。去年は当社でもいくつかの問題が発生し、相当遅れを取ってしまったと実感しているが、今日こうしてようやく中期計画を発表できるようになった。ここから反転に向かうと期待して欲しい。新規事業については、今年は具体的な商品や事業をかたちとしてお見せしたい。ただ、当社としてあまりに過剰な期待をしないで、きちっと足元を見つめた計画を立てるべきと考えた。願いとしては新規事業がブレイクしてほしいと思っている。(河原氏)
Q:人員体制の改革について、具体的なイメージはあるのか。
A:今日の時点で具体的な内訳や内容を説明できる状況でない。ご容赦いただきたい。(河原氏)
Q:業務システム事業について、他社との協業やアライアンスをどのように実行していく考えか。
A:ビジネス・ソリューション部門で充実させたい。セキュリティカメラだけでなく業務用モニターやカメラ、レコーダー、プリンターなどアイテムは多岐にわたるが、それぞれでパートナーシップを組むことで効果が得られるものは積極的に進めていきたい。当社の子会社にも専門性のある会社があるので、将来の展望を感じている。当事業については、現時点でも既にシステムを統合していく中で、他社から色々な製品を買い付けて製品化している。当社の商品だけでシステムをつくっているわけではない。そこではソフトウェアメーカーの協力を得ていることもある。ケースごとにお客様のニーズを最優先し、調達、システムの組み上げ、ソフトウェア開発などにより、ターンキーシステムとしてお客様の手元で即稼働できるようなシステムをつくるために、売上の向上、サービスへの比重増加を進めていく。(河原氏)
Q:ビクターとケンウッドの両社を、この際統合して効率化を図るという考え方はないのか。
A:できるだけ早期に、両社のシナジーを実現をするための実戦部隊を、同じ建屋の中に配置することについては、今プロジェクトとして検討している段階だ。今年の夏ぐらいには統合運営できるよう進めている。会社自体を合体させるという考え方もあるだろうが、そこには色々な要素が絡んでくるので簡単には行かないだろう。しかしながら、その方が効率がよいと判断できたら検討する用意はある。まずは統合運営により実績をつくることを優先している。
Q:本社の売却後は、本社機能をどこに置くことになるのか。生産機能はどう移行する。
A:本社は引っ越すことは決定している。まだプロジェクトチームを立ち上げたばかりなので、これから業務再編成に適した場所を選びたい。現在既に横浜向上ではほとんど生産を行っておおらず、試験設備が多少残っているだけ。移転は年内には完了したい。
Q:ビクターエンターテインメントがソフトバンクと資本提携するという一部報道もあったが、今後ビクターの音楽事業はどのように取り扱っていく考えか。他社との提携も考えているのか。
A:ソフトバンクとの話はうわさ話でおわったということで、ここで特段申し上げることもない。ただ、ソフトバンクとは携帯電話のビジネスで専業代理店としてパートナーシップを組んでいるので、日頃からとても深い付き合いをしている。引き続き大事なお客様としてとらえていきたい。ネットや携帯など、音楽ダウンロードが人気を集めているので、新しいメディアとの関係は様々な角度で連携を模索して行きたいと考えている。エンタテインメント事業は今後も重要視していくつもりだ。
同社の中期経営計画に関する説明は、代表取締役 会長 兼 社長の河原春郎氏が行った。
はじめに2010年3月期までに同社が行ってきた事業構造改革に関する進捗と成果に関する概要が報告された。前期を振り返ってコメントした河原氏は「カーエレクトロニクスや無線機器の分野を収益基盤としながら、ホーム・モバイルエレクトロニクス事業の損益改善、業務用システム事業の強化を図るなど、事業構造改革アクションプランを着実に実行したことで、3つの事業合計で80億円の損益改善効果を見込めるまでに達した。既に決算発表の際にご報告した通り、通期で営業黒字の業績予想を見込めるまでに至っている」と述べた。
続けて今回の中期経営計画を作成した背景について語った河原氏は、「昨今の経済環境の変化により、当社として生き残りをかけた“構造改革”から“成長”に移行するための、もう一歩踏み込んだ施策がいま不可欠であると考えた。このようなかたちで、当社として本格的な中期計画を発表する機会は今回が初めてとなるため、社内外でコミュニケーションを重ねて今回の計画をじっくりと練り上げた。これらの施策を着実に実行し、企業価値の再構築と拡大を実現するとともに、日本の“総合AVメーカー”からかたちを変え、より専業色を強めて新たなポジションの確立を目指す」とした。
今回公開された、同社の「企業基盤再構築アクションプラン」の内容は以下の通りだ。
まずは不採算事業とされた事業分野の改革について、「ディスプレイ部門」は事業分社化とパートナーシップ戦略の強化を図る。ファブレス化を推進し、新しいビジネスモデルへ転換していくとともに、タイに構えるディスプレイ工場にディスプレイ事業本社機能を分社・移管していく。また同社のブランド力や商品企画・開発力、販売ネットワークを活かしながらパートナーシップ戦略を推進する。なお、現在タイ工場で展開する業務用AV機器商品については、アウトソーシングとマレーシア工場への移管を進めていく。
「カムコーダー部門」については、ビクター横須賀工場で展開する国内向け商品の生産を全面的にマレーシア工場へ移管する。同工場については、現状展開するホームオーディオの生産を11年3月期中に終了し、一部ビジネス用途のカメラ商品の生産を統合することによって「カメラ系の専用工場として位置づけていく」(河原氏)方針が示されている。生産体制を再編していくにあたっては、外部委託の拡大も同時に進められていく。
なお、現在ビクター横須賀工場で展開する「プロジェクター製品」の生産については、映像素子開発のクリーンルーム等を設けているため、引き続き同工場を拠点に展開を継続する。また業務用AV機器の一部商品についても同工場が引き続き受け持つかたちとなる。
ビクターが展開する「ビジネス・ソリューション部門」については、ケンウッドの無線機等を含む「コミュニケーションズ部門」との統合運営を強化することにより、新たなマルチメディアソリューションの展開や営業活動の一体化、販路・拠点の相互活用や材料の共同調達などによる効率化を進める。当該分野では、パブリックセキュリティの市場などを中心に、新しい成長事業として見込みまれる分野への注力を図り、事業創造や新興市場の開拓推進がテーマとして掲げられている。これを実現するための生産体制の再編、ソリューションの内製化比率向上など、売上拡大と原価構造の改善も課題とされた。
「カーエレクトロニクス部門」は、市販系商品についてはブラジルやインド、中国をはじめとする新興市場を積極的に開拓し、統合効果を生かした国内市販ナビの強化を目指す。OEM系商品は純正、DOPの国内外での受注拡大を図るとともに、ケンウッドとビクターのシナジー効果を生かしたCD/DVDメカの受注拡大を狙う。
ソフトなど「エンタテインメント部門」について、河原氏は「キャッシュフローが良く、当社として大変重要な事業として位置づけている」とし、音楽配信等の媒体の多様化へ対応を進めていく考えを明らかにした。
その他、新規事業や新ビジネスへの展開については、先頃発表した“Home AVC”「Ryoma」を中核とした機器やサービスをはじめ、新たなライフスタイルの提案やネットワークサービスを中心としたビジネスを創造していく牽引要素として位置づけ、「できる限り早く商品を市場に投入し、事業化への道筋をつけたい」(河原氏)とした。
人員体制については、国内・海外を合わせてグループ全体で1千数百名程度を、グループ内での再配置、社外転出、あるいは削減を行う方向が検討されている。本日記者発表会の時点では、本件に関する具体的な施策は示されなかったものの、河原氏は「今後生産体制の再編、統合運営の進捗に合わせて内容を決定し、段階的に実施していく」という考えを示した。
同社が保有する固定資産の売却を進めつつ、キャッシュの増出と総資産の圧縮を図っていく方針も明らかにされた。この一環として、欧米販社の社屋や倉庫などの売却が検討されているという。また同社、ならびに同社の子会社である日本ビクターが本社を構える横浜本社工場の譲渡が28日開催の取締役会で決議されたことも明らかになった。
ビクター横浜本社工場の譲渡に関しては、このたび公表されたアクションプランと中期経営計画の一環として、今後必要な手続きを経たのちにSGリアルティ(株)へ譲渡される。譲渡価格は約63億円。移転のスケジュールについては「今年の12月末までに完了する予定」とされているが、本日時点で具体的な移転先はまだ決まっていないという。なお、今回の譲渡に関して、隣接するビクター入江工場と勤労会館は対象に含まれていない。
これらの中期経営計画に基づいて事業を実行することにより、河原氏は「11年3月に経常利益の黒字化を、12年3月に当期純利益の黒字化を実現したい」との中期目標を語った。また13年3月期には売上高で4,500億円、営業利益で145億円、当期純利益で45億円の目標数値が示された。そのほか、中期経営計画期間中の配当開始を目指す方針も発表された。
また中期戦略として、収益基盤の再構築と早期の配当開始を宣言。「強い事業に集中し、統合効果と新興市場での収益ある成長」を目指すとし、カーエレクトロニクス事業と業務用システム事業の合算で、売上げ構成比を経営統合時の40%から60%へ引き上げていく方針が示された。営業利益は130億円を目指す。
コンシューマーエレクトロニクス事業、ソフト事業は「新しいビジネスモデル」への転換を図り、採算化していく方向性を示した。当分野については、前期に終了した「事業構造改革アクションプラン」の効果と、「企業基盤再構築アクションプラン」の効果を取り込むことによって、ホーム&モバイルエレクトロニクス事業とエンタテインメント事業の合算で営業利益15億円への黒字転換を目標としている。
同日にはJVC・ケンウッド・ホールディングスの新経営体制も発表された。現・代表取締役 会長 兼 社長の河原氏は再任が決定した。その他、取締役 グループ経営刷新担当の尾高 宏氏、取締役 ケンウッド 代表取締役社長 相神一裕氏が再任のメンバーとなる。現取締役の塩畑一男氏は代表取締役 経営・財務改革担当に任命されるはこびとなった。取締役 ビクター 代表取締役社長には伊藤裕太氏、取締役 J&Kカーエレクトロニクス 代表取締役社長には江口祥一郎氏がそれぞれ新任された。河原氏は「3つの事業会社の社長はいずれも50代前半。若手の人材を登用し、事業を活性化していきたい」と語った。
最後に、本日の記者発表会で開催された質疑応答の内容を掲載する。
Q:これまでに何度か構造改革が完了したとアナウンスされてきたが、今回も新たな改革の内容が発表された。JVC・ケンウッド HDの構造改革は今回のプランで最後と考えていいのか。
A:構造改革に終わりはないと思っている。環境が変化していく中で、適合する形に整えていくのは会社のつとめだ。ただ、これまでは会社全体の構造を変えて、強い事業体質にしていくための構造改革だったが、こういった大きな会社のかたちを変えるための構造改革は当上期で終了したい。外部環境に合わせた事業内容の調整は引き続き行っていく。(河原氏)
Q:新規事業や新ビジネスの中期事業目標について、経営統合当初は11年3月期で1,000億円弱と掲げていたが、13年3月期で100億円となっている。この数字をどのように解釈すればよいのか。
A:当社の新規事業について、発足当時に大きな期待をもってスタートしたのは事実。ただ、当社が事業統合を行ったとたんに、リーマンショックに見舞われたり、世界的な経済不況に見舞われる不幸もあった。去年は当社でもいくつかの問題が発生し、相当遅れを取ってしまったと実感しているが、今日こうしてようやく中期計画を発表できるようになった。ここから反転に向かうと期待して欲しい。新規事業については、今年は具体的な商品や事業をかたちとしてお見せしたい。ただ、当社としてあまりに過剰な期待をしないで、きちっと足元を見つめた計画を立てるべきと考えた。願いとしては新規事業がブレイクしてほしいと思っている。(河原氏)
Q:人員体制の改革について、具体的なイメージはあるのか。
A:今日の時点で具体的な内訳や内容を説明できる状況でない。ご容赦いただきたい。(河原氏)
Q:業務システム事業について、他社との協業やアライアンスをどのように実行していく考えか。
A:ビジネス・ソリューション部門で充実させたい。セキュリティカメラだけでなく業務用モニターやカメラ、レコーダー、プリンターなどアイテムは多岐にわたるが、それぞれでパートナーシップを組むことで効果が得られるものは積極的に進めていきたい。当社の子会社にも専門性のある会社があるので、将来の展望を感じている。当事業については、現時点でも既にシステムを統合していく中で、他社から色々な製品を買い付けて製品化している。当社の商品だけでシステムをつくっているわけではない。そこではソフトウェアメーカーの協力を得ていることもある。ケースごとにお客様のニーズを最優先し、調達、システムの組み上げ、ソフトウェア開発などにより、ターンキーシステムとしてお客様の手元で即稼働できるようなシステムをつくるために、売上の向上、サービスへの比重増加を進めていく。(河原氏)
Q:ビクターとケンウッドの両社を、この際統合して効率化を図るという考え方はないのか。
A:できるだけ早期に、両社のシナジーを実現をするための実戦部隊を、同じ建屋の中に配置することについては、今プロジェクトとして検討している段階だ。今年の夏ぐらいには統合運営できるよう進めている。会社自体を合体させるという考え方もあるだろうが、そこには色々な要素が絡んでくるので簡単には行かないだろう。しかしながら、その方が効率がよいと判断できたら検討する用意はある。まずは統合運営により実績をつくることを優先している。
Q:本社の売却後は、本社機能をどこに置くことになるのか。生産機能はどう移行する。
A:本社は引っ越すことは決定している。まだプロジェクトチームを立ち上げたばかりなので、これから業務再編成に適した場所を選びたい。現在既に横浜向上ではほとんど生産を行っておおらず、試験設備が多少残っているだけ。移転は年内には完了したい。
Q:ビクターエンターテインメントがソフトバンクと資本提携するという一部報道もあったが、今後ビクターの音楽事業はどのように取り扱っていく考えか。他社との提携も考えているのか。
A:ソフトバンクとの話はうわさ話でおわったということで、ここで特段申し上げることもない。ただ、ソフトバンクとは携帯電話のビジネスで専業代理店としてパートナーシップを組んでいるので、日頃からとても深い付き合いをしている。引き続き大事なお客様としてとらえていきたい。ネットや携帯など、音楽ダウンロードが人気を集めているので、新しいメディアとの関係は様々な角度で連携を模索して行きたいと考えている。エンタテインメント事業は今後も重要視していくつもりだ。