最新の高性能プロセッサー「FALCONBRID」を搭載
【CES】JVCから登場 − フルHD 3D動画撮影対応のビデオカメラ「GS-TD1」を会田肇が速攻チェック
ビクター・JVCがInternational CESの同社ブースで公開した、フルHD 3D動画や3D静止画の撮影が行えるビデオカメラ「GS-TD1」(関連ニュース)を、会田肇氏がチェックした。
JVC(日本ビクター)のプレスカンファレンスで発表された驚きの製品は、ソニーに続きアダプターなしで使える3Dビデオカメラだった。その名称は「GS-TD1」。形式として「GS」を新たに用意しての登場だ。TVが3D化されたのは昨年のことだが、これまでのところ、決して普及が進んでいると言える状況にはない。その理由の一つが3D映像に対するコンテンツ不足だ。このTD1は、そうした状況を活性化することにつながる“期待の星”としてデビューしたのである。
TD1の最大のポイントは、カメラブロックをレンズとセンサーを2つずつ専用に用意する2眼式とし、裸眼での3D視聴ができるモニターを搭載していること。つまり、1台で撮影から再生まで3D映像のすべてをこなすビデオカメラなのである。
では、TD1に投入された技術に注目してみよう。その投入された技術はすべてが新設計と言っていい。カメラブロックに採用されたレンズは特殊低分散ガラスと複数の非球面レンズを組み合わせる「GTレンズ」。その明るさは、左右とも虹彩絞りに対応するF1.2をおごる。左右のレンズ間隔は少し広めの35mmだが、広角端の画角は十分実用になる42mm相当(手ブレ補正OFF時、ON時は45mm相当)となり、光学5倍ズームも装備した。これに組み合わせる撮像素子は、暗所撮影に強い総画素332万画素1/4.1型B.S.I.CMOSセンサー。明るいレンズとの組み合わせによって、夜景撮影でも大いに力を発揮しそうだ。
記録系で注目すべきは、「MP4 MVC」と呼ばれるモードを用意し、初のフルHDによる3D記録を実現していることだ。これまでは、3D映像を撮影できるとは言ってもサイドバイサイドによるもので、フルHDとはなっていなかった。その実現の秘密は、記録ビットレートを34Mbpsとし、そのハイビットレートでも処理できる高性能な新ハイスピードプロセッサー「FALCONBRID」を映像エンジンに採用したことによる。このLSIは「カメラ信号処理」、「動画圧縮処理」、「静止画圧縮処理」の3つの映像信号を個別にハイスピードで行なえることを特徴としている。この映像エンジンの開発は昨年暮れに発表されてはいたが、CES2011の発表会場で初めて「FALCONBRID」の名称が明らかにされた。
ただ、この「MP4 MVC」で記録した場合、保存先は限定される。ビットレートを34Mbpsとしたことで、保存先はSD系メモリーカードか、HDDに直接書き込む形となる。それと付属ソフト「Everio Media Browser 3D」を保存したPCが対象となる。レコーダーなどに保存しようと思ってもそれはできないのだ。SD系メモリーカードでは保存コストが気になると思うが、HDDなら記録に要するコストはかなり安くなる。JVCは早い段階から撮影した映像をHDDにダイレクト保存できるシステムを採用していたが、それがここでも活かされている。
それでも使い勝手を考えればレコーダーに保存しておく方が便利、という人もいるだろう。TD1ではそうした声にも配慮して、サイドバイサイドによる3D映像記録が行えるAVCHDモードも用意している。こちらで撮影した映像をを見ると確かに解像度は下がっているが、それでも3D映像を画面いっぱいに見ることができ、3D映像ならではの迫力は十分に感じられる。
とは言うものの、デモ映像でフルHD記録した「MP4 MVC」の3D映像を見ると、その明快で質感のある映像には驚かされる。被写体の立体感がきちんと階調を伴って表現されるので、リアル感が明らかに高まっているのだ。発色も瑞々しく、サイドバイサイドで記録したモードとの差は明らかだ。JVCによれば、展示された機材は「試作機」ということだったが、その映像は十分納得がいく画質だったと報告しておこう。ちなみにTD1に搭載されたメモリーは64GB。「MP4 MVC」なら約4時間の3D映像が保存できるという。
また、TD1は静止画モードでも3D映像が撮影できる。その場合は最大2.1メガピクセル(有効)×2の映像として記録される。もともとの撮像素子が4対3であるためワイド映像とはならないが、静止画だけに隅々まで3D映像を堪能でき、これもまた違った感動を味わえる映像だった。2D撮影にも対応しており、その場合のレンズは光学10倍ズームとして機能する。音声系ではレンズ横に装着されたマイクがきわめて印象的だが、ここに採用されたのはダイナミック3Dサウンド「BIPHONICテクノロジー」。これは、ビクターがかなり以前にラジカセに採用したBIPHONICをベースにしたもので、人間の耳の位置にマイクを取付け、音の方向性をリアルに音場再現する。この音の効果にも注目したいところだ。
撮影は主電源をあらかじめ入れておけば、モニターの開閉でスタンバイ−電源ONが動作する。モニターを開くと同時に特に準備も必要なく即座に3D撮影に入れるのだ。3.5型92万画素のモニターにはカメラで捉えた3D映像をそのまま映し出す。ただ、3Dになると解像度は下がり、細部まで細かく見られない可能性が出てくる。しかし、ビクターはその辺りにもきちんと対応を果たしていた。モニター上に映し出される映像だけ2Dで確認することができるのだ。モニタリングには嬉しい配慮と言える。
気になる日本での発表は、現時点では未定となっているが、発売することは間違いないようだ。アメリカでの発売は3月の予定。ソニーの3D対応ビデオカメラが4月の発売としていたから、発売についてはTD1が「世界初」となる見込みだ。いよいよ身近なシーンを自分の手で本格的な3D映像として撮影できる日が現実のものとなってきた。3D対応TVを楽しむ機会も増えることになるその日が待ち遠しい。
JVC(日本ビクター)のプレスカンファレンスで発表された驚きの製品は、ソニーに続きアダプターなしで使える3Dビデオカメラだった。その名称は「GS-TD1」。形式として「GS」を新たに用意しての登場だ。TVが3D化されたのは昨年のことだが、これまでのところ、決して普及が進んでいると言える状況にはない。その理由の一つが3D映像に対するコンテンツ不足だ。このTD1は、そうした状況を活性化することにつながる“期待の星”としてデビューしたのである。
TD1の最大のポイントは、カメラブロックをレンズとセンサーを2つずつ専用に用意する2眼式とし、裸眼での3D視聴ができるモニターを搭載していること。つまり、1台で撮影から再生まで3D映像のすべてをこなすビデオカメラなのである。
では、TD1に投入された技術に注目してみよう。その投入された技術はすべてが新設計と言っていい。カメラブロックに採用されたレンズは特殊低分散ガラスと複数の非球面レンズを組み合わせる「GTレンズ」。その明るさは、左右とも虹彩絞りに対応するF1.2をおごる。左右のレンズ間隔は少し広めの35mmだが、広角端の画角は十分実用になる42mm相当(手ブレ補正OFF時、ON時は45mm相当)となり、光学5倍ズームも装備した。これに組み合わせる撮像素子は、暗所撮影に強い総画素332万画素1/4.1型B.S.I.CMOSセンサー。明るいレンズとの組み合わせによって、夜景撮影でも大いに力を発揮しそうだ。
記録系で注目すべきは、「MP4 MVC」と呼ばれるモードを用意し、初のフルHDによる3D記録を実現していることだ。これまでは、3D映像を撮影できるとは言ってもサイドバイサイドによるもので、フルHDとはなっていなかった。その実現の秘密は、記録ビットレートを34Mbpsとし、そのハイビットレートでも処理できる高性能な新ハイスピードプロセッサー「FALCONBRID」を映像エンジンに採用したことによる。このLSIは「カメラ信号処理」、「動画圧縮処理」、「静止画圧縮処理」の3つの映像信号を個別にハイスピードで行なえることを特徴としている。この映像エンジンの開発は昨年暮れに発表されてはいたが、CES2011の発表会場で初めて「FALCONBRID」の名称が明らかにされた。
ただ、この「MP4 MVC」で記録した場合、保存先は限定される。ビットレートを34Mbpsとしたことで、保存先はSD系メモリーカードか、HDDに直接書き込む形となる。それと付属ソフト「Everio Media Browser 3D」を保存したPCが対象となる。レコーダーなどに保存しようと思ってもそれはできないのだ。SD系メモリーカードでは保存コストが気になると思うが、HDDなら記録に要するコストはかなり安くなる。JVCは早い段階から撮影した映像をHDDにダイレクト保存できるシステムを採用していたが、それがここでも活かされている。
それでも使い勝手を考えればレコーダーに保存しておく方が便利、という人もいるだろう。TD1ではそうした声にも配慮して、サイドバイサイドによる3D映像記録が行えるAVCHDモードも用意している。こちらで撮影した映像をを見ると確かに解像度は下がっているが、それでも3D映像を画面いっぱいに見ることができ、3D映像ならではの迫力は十分に感じられる。
とは言うものの、デモ映像でフルHD記録した「MP4 MVC」の3D映像を見ると、その明快で質感のある映像には驚かされる。被写体の立体感がきちんと階調を伴って表現されるので、リアル感が明らかに高まっているのだ。発色も瑞々しく、サイドバイサイドで記録したモードとの差は明らかだ。JVCによれば、展示された機材は「試作機」ということだったが、その映像は十分納得がいく画質だったと報告しておこう。ちなみにTD1に搭載されたメモリーは64GB。「MP4 MVC」なら約4時間の3D映像が保存できるという。
また、TD1は静止画モードでも3D映像が撮影できる。その場合は最大2.1メガピクセル(有効)×2の映像として記録される。もともとの撮像素子が4対3であるためワイド映像とはならないが、静止画だけに隅々まで3D映像を堪能でき、これもまた違った感動を味わえる映像だった。2D撮影にも対応しており、その場合のレンズは光学10倍ズームとして機能する。音声系ではレンズ横に装着されたマイクがきわめて印象的だが、ここに採用されたのはダイナミック3Dサウンド「BIPHONICテクノロジー」。これは、ビクターがかなり以前にラジカセに採用したBIPHONICをベースにしたもので、人間の耳の位置にマイクを取付け、音の方向性をリアルに音場再現する。この音の効果にも注目したいところだ。
撮影は主電源をあらかじめ入れておけば、モニターの開閉でスタンバイ−電源ONが動作する。モニターを開くと同時に特に準備も必要なく即座に3D撮影に入れるのだ。3.5型92万画素のモニターにはカメラで捉えた3D映像をそのまま映し出す。ただ、3Dになると解像度は下がり、細部まで細かく見られない可能性が出てくる。しかし、ビクターはその辺りにもきちんと対応を果たしていた。モニター上に映し出される映像だけ2Dで確認することができるのだ。モニタリングには嬉しい配慮と言える。
気になる日本での発表は、現時点では未定となっているが、発売することは間違いないようだ。アメリカでの発売は3月の予定。ソニーの3D対応ビデオカメラが4月の発売としていたから、発売についてはTD1が「世界初」となる見込みだ。いよいよ身近なシーンを自分の手で本格的な3D映像として撮影できる日が現実のものとなってきた。3D対応TVを楽しむ機会も増えることになるその日が待ち遠しい。