左右のドライバー特性を揃え高音質化
【更新】SHURE、初のオープン型ヘッドホン「SRH1840」「SRH1440」を発売
完実電気は、SHURE初のオープン型ヘッドホン「SRH1840」「SRH1440」を2012年に発売する。価格はオープンだが、SRH1840は7万円前後、SRH1440は4万円前後での販売が予想される。
SHUREは2009年に密閉型ヘッドホン「SRH840/440/240/750DJ」4機種をリリース。2010年には「SRH940/550DJ」をラインナップに追加した。今回発売する2機種はSHUREとして初のオープン型ヘッドホンとなる。密閉型を出したあと、市場から「オープン型ヘッドホンも欲しい」という声が高まったことから開発を始めたという。
特に今回の製品は日本での販売が期待されている。SHURE JAPAN社長の岩崎顕悟氏は、「新製品は全世界で販売するが、アメリカでも中国でもなく、日本で初めて発表された」と、日本市場が重視されていることを強調した。
岩崎氏は「SHUREはイヤホンでは先行したが、ハイエンドヘッドホンを出したいと常々思ってきた。日本とアメリカ本社で喧々諤々の議論の末、ついに発表することができた」とも述べ、製品開発に日本の意見が多く採り入れられていることも示唆した。
本日完実電気とSHURE JAPANは、新製品の発表会を開催。SHURE本社より、イヤホン/ヘッドホン担当 アソシエイト・プロダクト・マネージャーのマイケル・ジョーンズ氏、モニタリング・カテゴリー・ディレクターのマット・エングストローム氏も来日し、すでに発売されているSE535 Special Edtionも含めた新製品の説明を行った。
■フラグシップヘッドホン「SRH1840」
SRH1840は同社のフラグシップヘッドホンという位置づけ。ジョーンズ氏は「本機のターゲットユーザーは2種類」とし、「1つはプロフェッショナル・サウンドエンジニアにアピールしたい。もう1つはオーディオファンで、自宅でハイファイシステムを使用しているユーザーを想定している」とした。
音質はもちろん、外観の高級感も高めた。ジョーンズ氏は「オープンバックヘッドホン市場への参入モデルにふさわしい傑作。他社同クラスの製品と比べても競争力がある」とコメントした。
ドライバーは40mmダイナミック型で、マイラー製のダイヤフラムを搭載。ネオジウムマグネットを採用している。感度は96dB SPL/mW。インピーダンスは65Ω(1kHz)、最大許容入力は1,000mW(1kHz)。再生周波数帯域は10Hz〜30kHz。
インピーダンスや感度は高めとなっており、ヘッドホンアンプの接続を主に想定しているが、ポータブルヘッドホンアンプとの組み合わせも行える範囲に設定している。また最大許容入力の1,000mWという数値については「1Wで出力するヘッドホンアンプは存在しない」(ジョーンズ氏)と、非常に余裕を持たせた仕様であることをアピールした。
左右のドライバー特性を揃えることで、スムーズな高域と正確な低域を実現した点も、SRH1840の音質対策の大きなポイント。「低域から高域まで、中域の量感を犠牲にすることなく鳴らしきる」とジョーンズ氏は胸を張った。さらに同氏は本機のサウンドについて「ニアフィールドモニタースピーカーに近い音場再生が可能になる。余計な色付けや歪みのない、原音に忠実な再生を楽しんでもらいたい」と述べた。
筐体は航空機グレードのアルミ合金ヨーク「T-6061」を採用した軽量設計で、快適性と耐久性を強化。本体質量は268gと非常に軽量だ。
ドライバー部分については、フレーム部はスチール製で通気口のあるセンター・ポールピースを装備。これによりリニアリティを改善し、内部共鳴を抑えているという。
ドライバーフロントプレートは中央部分に白いフィルターを持ち、これが空気の流れを調整する。さらにリア・ダンパースクリーン自体も空気の流れをコントロールすることで、音質の改善に貢献。またグリルはステンレス製で、ドライバーの保護のためだけでなく、美観を高める効果もねらっているという。
ヘッドバンド部はデュアルフレーム構造。ヘッドバンド部にはパッドも備えている。軽量であるとともに、調整も広範囲で行え、長時間使用時の快適性を高めている。
ケーブルは両出しタイプで、金メッキのMMCXコネクターにより着脱可能。ただしMMCXコネクターを採用している、同社製イヤホン用ケーブルとの互換性は無い。ケーブルの導体にはOFCが採用され、ケブラー被覆が用いられている。ケーブル長は2.1m。
交換用のベロア素材イヤーパッドや着脱式ケーブル、6.3mmの標準プラグアダプター、ジッパー式のハードケースなどを同梱している。
本体デザインはシャープなラインとメタリック仕上げにより、ビンテージ感とレトロ感を強調。「見た目はレトロだが、そこにモダンなテクノロジーを詰め込んだ」とSHUREでは説明している。
■ポータブルプレーヤーとの親和性を高めた「SRH1440」
下位機種のSRH1440は、SRH1840とほぼ同時期に発売される予定。SRH1840では左右のドライバー特性を揃えることで、スムーズな高域と正確な低域を提供しているのに対し、SRH1440は低域がよりコントロールされたフルレンジサウンドを提供すると説明している。
またSRH1440は、オープン型の長所も持ちつつ、適度な遮音性を実現した点も特徴。これにより、家の中だけでなく外出先での使用も快適に行えるという。
SRH1440はデザインや使用素材もSRH1840とは異なっており、アルミ合金ヨーク「T-6061」を採用しているのはSRH1840のみ。SRH1440のフレームはスチール製となっている。本体質量も343gと、268gのSRH1840に比べ重い。ただしこの重さは、「ポータブルでの使用も想定し、頑丈さにも配慮した結果でもある」(ジョーンズ氏)という。
さらにSRH1440はポータブルオーディオプレーヤーと直接接続しても使えるよう、感度やインピーダンスを最適化した。感度は101 dB SPL/mWで、SRH1840の96dBに比べ5dBほど高い。インピーダンスも36Ω(1kHz)で、65ΩのSRH1840に比べ低く設定した。再生周波数帯域は15Hz〜27kHz。
■日本市場のために作られた「SE535 Special Edition」
発表会ではまた、すでに発売している「SE535 Special Edition」(関連ニュース)についても、改めて説明が行われた。「SE535 Special Editionも非常に重要な製品だ。日本マーケットのために特別に作った製品で、アジア、日本市場を意識して作ったモデルは今回が初めてだ」とエングストローム氏はその意義を強調。
音質については、1年程前に日本に来た際、日本のリスナーには高域の鮮明さがもっと必要だと指摘されたことを受け、改良を行ったことを紹介。SE535との周波数帯域の比較グラフも見せ、「SE535に比べ3〜4kHz付近の特性が持ち上がっている。この帯域周辺が持ち上がったことでボーカルにより明瞭感が加わった」と、具体的な音質向上のポイントについても言及した。
また使い勝手に関しては、着脱式ケーブルの長さを116cmにしたことで取り回しをよくしたほか、レッドハウジング+シルバーのロゴ刻印というオリジナルカラーを採用したことを改めて紹介。
さらに内部構造を見せながら各デバイスの役割を紹介し、ノズル部分の周波数フィルターによって高域が飽和しないよう工夫していることなど、Special Editionだけの仕様を解説。日本市場からの要求を受け開発された本機の特徴を強くアピールした。
【問い合わせ】
完実電気
TEL/03-5821-1321
※2012年4月以降は03-3261-2071
SHUREは2009年に密閉型ヘッドホン「SRH840/440/240/750DJ」4機種をリリース。2010年には「SRH940/550DJ」をラインナップに追加した。今回発売する2機種はSHUREとして初のオープン型ヘッドホンとなる。密閉型を出したあと、市場から「オープン型ヘッドホンも欲しい」という声が高まったことから開発を始めたという。
特に今回の製品は日本での販売が期待されている。SHURE JAPAN社長の岩崎顕悟氏は、「新製品は全世界で販売するが、アメリカでも中国でもなく、日本で初めて発表された」と、日本市場が重視されていることを強調した。
岩崎氏は「SHUREはイヤホンでは先行したが、ハイエンドヘッドホンを出したいと常々思ってきた。日本とアメリカ本社で喧々諤々の議論の末、ついに発表することができた」とも述べ、製品開発に日本の意見が多く採り入れられていることも示唆した。
本日完実電気とSHURE JAPANは、新製品の発表会を開催。SHURE本社より、イヤホン/ヘッドホン担当 アソシエイト・プロダクト・マネージャーのマイケル・ジョーンズ氏、モニタリング・カテゴリー・ディレクターのマット・エングストローム氏も来日し、すでに発売されているSE535 Special Edtionも含めた新製品の説明を行った。
■フラグシップヘッドホン「SRH1840」
SRH1840は同社のフラグシップヘッドホンという位置づけ。ジョーンズ氏は「本機のターゲットユーザーは2種類」とし、「1つはプロフェッショナル・サウンドエンジニアにアピールしたい。もう1つはオーディオファンで、自宅でハイファイシステムを使用しているユーザーを想定している」とした。
音質はもちろん、外観の高級感も高めた。ジョーンズ氏は「オープンバックヘッドホン市場への参入モデルにふさわしい傑作。他社同クラスの製品と比べても競争力がある」とコメントした。
ドライバーは40mmダイナミック型で、マイラー製のダイヤフラムを搭載。ネオジウムマグネットを採用している。感度は96dB SPL/mW。インピーダンスは65Ω(1kHz)、最大許容入力は1,000mW(1kHz)。再生周波数帯域は10Hz〜30kHz。
インピーダンスや感度は高めとなっており、ヘッドホンアンプの接続を主に想定しているが、ポータブルヘッドホンアンプとの組み合わせも行える範囲に設定している。また最大許容入力の1,000mWという数値については「1Wで出力するヘッドホンアンプは存在しない」(ジョーンズ氏)と、非常に余裕を持たせた仕様であることをアピールした。
左右のドライバー特性を揃えることで、スムーズな高域と正確な低域を実現した点も、SRH1840の音質対策の大きなポイント。「低域から高域まで、中域の量感を犠牲にすることなく鳴らしきる」とジョーンズ氏は胸を張った。さらに同氏は本機のサウンドについて「ニアフィールドモニタースピーカーに近い音場再生が可能になる。余計な色付けや歪みのない、原音に忠実な再生を楽しんでもらいたい」と述べた。
筐体は航空機グレードのアルミ合金ヨーク「T-6061」を採用した軽量設計で、快適性と耐久性を強化。本体質量は268gと非常に軽量だ。
ドライバー部分については、フレーム部はスチール製で通気口のあるセンター・ポールピースを装備。これによりリニアリティを改善し、内部共鳴を抑えているという。
ドライバーフロントプレートは中央部分に白いフィルターを持ち、これが空気の流れを調整する。さらにリア・ダンパースクリーン自体も空気の流れをコントロールすることで、音質の改善に貢献。またグリルはステンレス製で、ドライバーの保護のためだけでなく、美観を高める効果もねらっているという。
ヘッドバンド部はデュアルフレーム構造。ヘッドバンド部にはパッドも備えている。軽量であるとともに、調整も広範囲で行え、長時間使用時の快適性を高めている。
ケーブルは両出しタイプで、金メッキのMMCXコネクターにより着脱可能。ただしMMCXコネクターを採用している、同社製イヤホン用ケーブルとの互換性は無い。ケーブルの導体にはOFCが採用され、ケブラー被覆が用いられている。ケーブル長は2.1m。
交換用のベロア素材イヤーパッドや着脱式ケーブル、6.3mmの標準プラグアダプター、ジッパー式のハードケースなどを同梱している。
本体デザインはシャープなラインとメタリック仕上げにより、ビンテージ感とレトロ感を強調。「見た目はレトロだが、そこにモダンなテクノロジーを詰め込んだ」とSHUREでは説明している。
■ポータブルプレーヤーとの親和性を高めた「SRH1440」
下位機種のSRH1440は、SRH1840とほぼ同時期に発売される予定。SRH1840では左右のドライバー特性を揃えることで、スムーズな高域と正確な低域を提供しているのに対し、SRH1440は低域がよりコントロールされたフルレンジサウンドを提供すると説明している。
またSRH1440は、オープン型の長所も持ちつつ、適度な遮音性を実現した点も特徴。これにより、家の中だけでなく外出先での使用も快適に行えるという。
SRH1440はデザインや使用素材もSRH1840とは異なっており、アルミ合金ヨーク「T-6061」を採用しているのはSRH1840のみ。SRH1440のフレームはスチール製となっている。本体質量も343gと、268gのSRH1840に比べ重い。ただしこの重さは、「ポータブルでの使用も想定し、頑丈さにも配慮した結果でもある」(ジョーンズ氏)という。
さらにSRH1440はポータブルオーディオプレーヤーと直接接続しても使えるよう、感度やインピーダンスを最適化した。感度は101 dB SPL/mWで、SRH1840の96dBに比べ5dBほど高い。インピーダンスも36Ω(1kHz)で、65ΩのSRH1840に比べ低く設定した。再生周波数帯域は15Hz〜27kHz。
■日本市場のために作られた「SE535 Special Edition」
発表会ではまた、すでに発売している「SE535 Special Edition」(関連ニュース)についても、改めて説明が行われた。「SE535 Special Editionも非常に重要な製品だ。日本マーケットのために特別に作った製品で、アジア、日本市場を意識して作ったモデルは今回が初めてだ」とエングストローム氏はその意義を強調。
音質については、1年程前に日本に来た際、日本のリスナーには高域の鮮明さがもっと必要だと指摘されたことを受け、改良を行ったことを紹介。SE535との周波数帯域の比較グラフも見せ、「SE535に比べ3〜4kHz付近の特性が持ち上がっている。この帯域周辺が持ち上がったことでボーカルにより明瞭感が加わった」と、具体的な音質向上のポイントについても言及した。
また使い勝手に関しては、着脱式ケーブルの長さを116cmにしたことで取り回しをよくしたほか、レッドハウジング+シルバーのロゴ刻印というオリジナルカラーを採用したことを改めて紹介。
さらに内部構造を見せながら各デバイスの役割を紹介し、ノズル部分の周波数フィルターによって高域が飽和しないよう工夫していることなど、Special Editionだけの仕様を解説。日本市場からの要求を受け開発された本機の特徴を強くアピールした。
【問い合わせ】
完実電気
TEL/03-5821-1321
※2012年4月以降は03-3261-2071
関連リンク
- ジャンルヘッドホン(単体)
- ブランドSHURE
- 型番SRH1840
- 発売日2012年
- 価格¥OPEN(予想実売価格70,000円前後)
【SPEC】●型式:ダイナミック、開放型 ●ドライバー口径:40mm ●感度(1kHz):96dB SPL/mW ●再生周波数帯域:10Hz〜30kHz ●最大許容入力(1kHz):1000mW ●インピーダンス(1kHz):65Ω ●入力コネクター:金メッキ3.5mmステレオ・ミニプラグ 金メッキ6.3mm標準プラグアダプター ●ケーブル:2.1m(着脱式、OFC) ●質量(ケーブル除く):約268g
- ジャンルヘッドホン(単体)
- ブランドSHURE
- 型番SRH1440
- 発売日2012年
- 価格¥OPEN(予想実売価格40,000円前後)
【SPEC】●型式:ダイナミック、開放型 ●ドライバー口径:40mm ●感度(1kHz):101dB SPL/mW ●再生周波数帯域:15Hz〜27kHz ●最大許容入力(1kHz):1000mW ●インピーダンス(1kHz):37Ω ●入力コネクター:金メッキ3.5mmステレオ・ミニプラグ 金メッキ6.3mm標準プラグアダプター ●ケーブル:2.1m(着脱式、OFC) ●質量(ケーブル除く):約343g