8Kシアターは五輪をにらみスポーツの8K映像上映
<NHK技研公開>「フルスペック8K」など様々な8K放送技術や対応機器を披露
また、通常の有機EL素子とは逆の構造にするとともに、酸素や水分の影響を受けにくい材料を用いた逆構造有機EL素子を開発。これによって、フィルム基板を用いたシート型ディスプレイの長寿命化を図っている。
さらに、高画質化と長寿命化を両立させるためのパネル駆動技術「アバーチャー制御」も開発。ライン単位でパネルの発光時間率を制御することで、動画ぼやけの改善とともに、瞬時輝度の抑制による長寿命化を図っている。
■撮影機器や放送システムの8K対応も着々と進む
1億3,300万画素の撮像素子を用いることで単板式で初めてフル解像度(7,680×4,320)対応を果たし、従来の1/7以下の小型・軽量化を実現させた単板カメラシステムなど、8K撮影機器の進化も展示。
屋外の中継映像の伝送などに使われる可搬型伝送装置「FPU(Field Pick-up Unit)」についても、広帯域で高速伝送が可能な42GHz(ミリ波帯)を用いたもの、長距離伝送に適した6〜7GHz(マイクロ波帯)を用いたもの、さらにロードレースなど移動しながらの中継でも途切れなく伝送できる1.2GHz/2.3GHz帯でのものなどを開発していることも紹介するなどしている。
また、別項で紹介しているKDDIの光回線を活用したものをはじめとした、8K信号の伝送についても展示。映像や音声に加えて高機能サービスに必要な情報を放送・通信のどちらでも同じように伝送できるMMT(MPEG Media Transport)を用いることで、放送に同期した別アングル映像をインターネット経由で配信するなどといったことも可能であることも紹介している。
加えて、地上波による8K信号伝送を目指した次世代地上波放送システムも説明。新しい信号構造を導入することで周波数利用効率を高め、現在の地デジとくらべて2倍〜5倍の大容量伝送を実現できる技術開発を進めているという。今後は、次世代映像符号化技術と組み合わせて、地上波1チャンネルによる8K放送の実現に向けて研究開発を進めていくとしている。
さらに、8K衛星放送をCATVで再放送する技術も展示。8K衛星放送の信号を複数のチャンネルに分割して伝送して家庭側で正しく合成することで、既存のCATV施設で8K伝送が行えるという。
そして、ホログラム技術を応用したメモリー装置も開発。レーザー光をこれまでの緑色(波長532nm)から青紫色(波長405nm)へと変更し、これに対応した材料の記録媒体を用いることで記録密度を向上。1枚で最大2TB程度のデータを記録できるホログラムディスクに8K圧縮映像信号を収録し、実際に再生するデモを行っていた。
なお、ホログラムディスクに用いるフォトポリマー材は、一度データを書き込むと50年以上の長期保存が期待できる。ただし振動や記録媒体の温度変化などで光学的な歪みが発生するため、これを補償するように参照光の波面を制御することで、正確なデータ再生を実現しているという。