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2019年度に売上高3兆2,500億円目指す

シャープ、中期経営計画を発表。V字回復へ「8KとAIoT事業で世界を変える」

公開日 2017/05/26 17:36 ファイルウェブ編集部
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シャープは、2017〜2019年度の中期経営計画を策定。全社戦略として「ビジネスモデルの変革」「グローバルでの事業拡大」「経営基盤の強化」の3つのトランスフォーメーションを通じて『人に寄り添うIoT』と『8Kエコシステム』を実現し、事業の拡大を図っていくと表明した


今回の中期経営計画のキーワードは3点。「守りから攻めへ、構造改革から事業拡大へ」「『人に寄り添うIoT』『8Kエコシステム』実現に向けたトランスフォーメーション」「経営人材の育成とチャレンジする企業文化の醸成」を掲げ、これらを達成することで「V字回復を図る」としている。

2017年度からV字回復を目指すとした

「8KとAIoTで世界を変える」と新事業に意気込み

同社では、昨年の2016年度を構造改革によるサバイバルの年だったと説明。今回計画を策定した2017〜2019年度を「トランスフォーメーション」するタームと位置づける。そして2020年度から次の100年に向け、持続的に成長することを大目標として改めて掲げた。

中期経営計画のトランスフォーメーション実現のため「スマートホーム」「スマートビジネスソリューション」「アドバンスディスプレイシステム」「IoTエレクトロデバイス」の4つの事業ドメインを設定。それとともに「AIoT戦略推進室」「8Kエコシステム戦略推進室」の2つの戦略推進室を新設し、「One SHARPで事業拡大を目指す」とした。計画最終年度となる2019年度には全社目標として売上高3兆2,500億円、営業利益1,500億円を目指す。

4つの事業ドメインを設定と2つの新事業推進室を設置する

このうち、テレビなどが含まれる事業ドメインは「アドバンスディスプレイシステム」という名称。8Kなどの高精細技術、IGZOなどのバックプレーン技術などを活かし、テレビでは8K解像度による“リアリティの実現”、AQUOSファミリー機器の拡充によるホームディスプレイの進化を図る。

また、IoTエレクトロデバイスの事業ドメインにおいてCMOSイメージセンサーやコーデック、ビデオプロセッサーを始めとする独自開発の8Kデバイスによる「8Kエコシステム」の確立を目指す。同ドメインでは8Kエコシステム、IoT、車載の3点で、独自デバイスを核に新しいアプリケーションを創出し、One SHARPの要として全社事業に貢献するとしている。

IoT事業にも力を入れていく

なお本中期経営計画の確実な実現に向け、ガバナンス体制を刷新。監査等委員会設置会社へ移行するとともに、執行役員制度を復活させ、「監督の強化」と「業務執行の機動性強化」を実現するという。

本日同社は記者会見を実施。代表取締役社長・戴 正呉氏が登壇し、今後の事業展開と目標について説明した。

戴社長は「幅広い事業」「独自技術」「商品の独創性」「革新的なデバイス」がシャープの強みであるとし、更なる強化を図るとともに、マネジメント力の強化、鴻海グループとのシナジー効果により、同社が逆に弱みとして捉えている商品ラインナップや設備の老朽化、またグローバル人材・リソースを改善。新事業とグローバル展開を推進し「事業の高付加価値化を追求する」とした。

強みの強化、グループとシナジーにより今後の事業機会を実現していくとした

8Kエコシステム事業に関しては、「低価格8Kカメラ・編集システムの実現とコンテンツ拡大」「8K映像を配信するインフラ設備の整備」「8K表示機器および映像伝送のためのインターフェースで業界を先導」することの3点を重要領域とし、シャープの持つ技術力を軸としながら、他社とのアライアンスも行いつつ推進するとのこと。

シャープの持つ技術力を軸としながら他社とのアライアンスにより推進する

現在OLEDディスプレイが台頭する中、なぜ8Kに注力するのか?という質問もあったが、戴氏は「比較しても薄さや高精細さなど、8Kディスプレイも十分負けていない」とし、「8Kのエコシステムは日本で全部作りたい」とコメント。また「ディスプレイだけでなく8Kカメラも作っていきたい」とし、「赤字でも売る」と力強く語った。

グローバル市場の展開については、中国、欧米、ASEANなどの海外に重点を置いた商品事業の拡大を図り、カテゴリー・ラインナップおよび顧客・坂路の拡大によって、2019年度には世界全体で2016年度の1.8倍の事業伸長を目指す。またデバイス事業においては、IoT・8Kデバイスなど新たな分野での技術革新による拡大を図るとし、全体で1.6倍の事業伸長を目指す。

商品・デバイス事業ともにグローバル市場での伸長を目指す

経営基盤の強化に関しては、同社が持つ強みの強化と、鴻海グループとのシナジー創出、他社との連携による商材・サービス拡充など、社内外のリソースを効果的に組み合わせることで、付加価値の創出とビジネスモデルの転換に注力し、事業拡大スピードと高効率化を加速させていくとした。技術面においても、様々なコアテクノロジーへ積極的に投資し、新事業・新産業の創出を図っていくとした。

また、今後の事業拡大を支える人材について様々な人事政策も展開。優秀な若手人材の確保・登用や、経営人材の育成、人事制度の強化を進めることで「永続的に成長・変革し続ける『真のグローバル企業』」になることを目指す。

各事業については、取締役・劉 揚偉氏、取締役兼専務 IoT通信事業本部長・長谷川祥典氏、専務 ビジネスソリューション事業本部長・中山藤一氏、次期取締役候補のアドバイザー・王建二氏がそれぞれ担当領域を説明した。

まずスマートホームの戦略を長谷川氏が説明。「これまで多くのAIoT対応の機器を拡充してきた」とし、今後はそれらの機器に対するサービスを拡充、事業化するとともに、そこで培ったAIoTクラウド技術をプラットフォーム化、これも事業化する。これにより「三位一体のスマートホームビジネスを目指す」とし、使う家電から健康で快適な生活を提案できる『暮らしのパートナー』として、事業を進化させていきたいと語った。


同社は経済産業省のスマートホーム実証実験への参画を発表。様々な企業や自治体とのアライアンスを積極的に推進し、同時にAIoT技術をプラットフォーム化し、多くのサービスと結合するシステムの構築も進める。また医療などのリアルサービスとも連携し、AIoTの可能性を広げて「スマートホーム」から「スマートタウン」へと事業領域の拡大を図るとした。これに関しては先日、野村不動産とのプロジェクトを立ち上げ、2021年竣工を目指して「シャープスマートタウン」の建設を発表。シャープ創業地の田辺ビル敷地を再開発するとのこと。

2021年竣工を目指して「シャープスマートタウン」を建設する

スマートビジネスソリューション事業については中山氏が説明した。同事業はオフィス、サイネージ、リテール、ファクトリーの4つの領域に対して事業展開を図る。事業構造基盤として、グローバルなサービスプラットフォーム、生産開発のプラットフォームに加え、これまで蓄積してきたクラウド上でのサービスの強化と各マーケットとの連携を推進することで事業拡大を図っていきたいとした。

スマートビジネスではオフィス、サイネージ、リテール、ファクトリーの4事業を展開

続いて王氏が、アドバンスディスプレイシステム事業について説明。先進的ディスプレイ技術だけでなく、機器と人とのコミュニケーション強化により、「生活シーンを豊かにすること」が事業のミッションであるとし、「ディスプレイは全てのIoTにおいて重要なインターフェースとなる」と語った。

事業ドメイン

また新しいビジネスカテゴリーとして、液晶ディスプレイを活用した衛星アンテナを開発しており、事業化も近いという。同事業ではこれらを船舶、航空機、自動車に搭載し、新しいマーケットの創出を図るとした。

IoTエレクトロデバイス事業について、劉氏はシャープが半導体および光エレクトロニクス分野で長い歴史を持っていることを挙げ、その中で蓄積してきた技術を統合し、“One SHARP“に基づいてビジネス拡大に努めるとし、8Kエコシステム、IoT技術、車載用システムの3分野での活用のための技術開発を進めていく。

IoTエレクトロデバイス部門でも8KやIoTがカギを握る

具体的には、8KデコーダーやCMOSセンサーの開発、8Kの大容量データを蓄積するストレージシステムの開発、IoTにおける多数のセンサー技術とマイクロプロセッサー、ビデオプロセッサー技術を活用した全体のシステム化などを推進するとした。なお「事業拡大はシャープだけの力で成し得るものではない」とし、各パートナー企業と協力して目標達成を図り、ICシステムのソリューションを提供していくとした。

最後に戴氏は改めて「One SHARP」を強調。2019年度に売上高3兆2,500億円、営業利益1,500億円を目標にすると説明。「計画を有言実行すること、V字回復の実現を目指す」と力強く語った。

2019年度の目標は売上高3兆2,500億円、営業利益1,500億円

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