10スピーカー搭載のシステム
ボーズ・サウンド搭載のマツダ新SUV「CX-8」。“どこに座ってもいい”サウンドを体験した
ボーズとマツダは、ボーズ・サウンド・システムを搭載したマツダのSUV「CX-8」のメディア向け試乗会を開催。実際に試乗して体験したサウンドをレポートしたい。
■最上位SUVに相応しい上質なデザインと走り
CX-8は、マツダの国内向けSUVラインアップにおける最上位SUVとなる、3列シートのモデル。マツダと車両設計の初期段階から共同開発を行ったボーズのサウンドシステムが搭載でき、その丁寧な専用チューニングにより、3列どの席からもバランスのとれた最適音質を聴くことが可能としている。
グレードは「XD」「XD PROACTIVE」「XD L Package」が用意され、車両価格は2WD(FF)で3,196,800 - 3,958,200円、4WDで3,429,000 - 4,190,400円。ボーズのサウンドシステムは「XD PROACTIVE」「XD L Package」グレードにオプションとして75,000円で追加できる。
CX-8は最上位SUVとして多人数乗用とデザイン/走りを両立。開発担当主査の松岡英樹氏は「家族や大人数での移動だけでなく、車内スペースが必要、上質な空間を求めるといった様々なユーザーに応えられる」と語った。
デザインテーマは2012年発売の「CX-5」から採用される“魂動(KODO)”。さらにCX-5では「アートを鑑賞した時に胸がときめくような、美しさの魅力を車のデザインでも具現化していきたい」と『CAR AS ART』をコンセプトに設定。CX-8では、最上位SUVにふさわしいイメージとして『TIMELESS EDGY』をコンセプトに、SUVらしい力強さと、マツダらしいスポーティさを兼ね備えたデザインにしたという。
インテリアには本杢素材のリアルウッドを使ったパネルを採用。これはユーノスコスモ以来で、「使いこむほどに味が出る」と質感へのこだわりが語られた。上級グレードではナッパレザー張りのシートなどさらに素材が吟味され、説明からも「従来とは異なる、新しい価値をデザインで表現できた」と自信を見せた。
クリーンディーゼルエンジンとしては「SKYACTIV-D 2.2」を採用。力強い走りに加え、ドライバーの操作に対する素早く正確なレスポンスを可能とする。さらにWTLCモードでは15.8km/Lという低燃費を実現した。最大トルクは450M・mと高い駆動力で余裕ある走行性能を獲得するとともに、72リットルのタンク容量を持ち、その燃費性能は「横浜から九州まで無給油で走ることができる」という。
■ボーズと共同開発したサウンドはコンサートホールをイメージ
CX-8では、全ての乗員が安心かつ快適にカーライフが楽しめるよう、上質な乗り心地と静粛性を追求した。特に静粛性については、ロードノイズや風騒音を低減し遮音性を向上させ「ふだん通りの声量で運転席と3列目の乗員が会話できることを目指した」という設計。実際に体験した印象としても、音楽が再生されている状態で、3列目に座っていながら声を張り上げることなく運転席、助手席の乗員と会話を行うことができた。
また、この静粛性は音楽再生においても大きな効果を発揮する。走行中でもロードノイズやエンジンノイズが小さく、ボリュームを絞ったとしても細かな表現まで聴き取ることができた。これは後述する「AUDIOPILOT」にも関係するが、ラジオなど声を中心とした番組でも走行ノイズに邪魔されることなく耳に入ってくる。音の聴こえが悪いからと音量を上げると、長時間のドライブでは知らず知らずのうちに耳が疲れてストレスになるが、CX-8ならばそうした無理な大音量に頼る必要はない。
その音作りについては、「目の前にステージが広がるような、コンサートホールの特等席をイメージ」とボーズ・オートモーティブの担当者は語る。そもそも、カーオーディオではセンターイメージが作りにくいという課題がある。例えば運転席と助手席では左右のスピーカーの位置の遠近が異なるためだ。しかしCX-8では、図面の段階から車両設計をマツダと一緒に行うことでそれを解決。全座席の何百という細かな位置での聴こえ方を独自のアルゴリズムで解析し、どの席においてもボーカルがセンターに来るようなチューニングとなっているという。
開発において、ボーズの音作りのフィロソフィーは「Spatial=物理的な制限を感じさせない広がりのある空間」、「Tonal Balance=高域から低域まで全帯域に渡っての優れた再現性」「Large Signal=どのようなボリュームでも歪みのない心地よい音」にあった。
一方、マツダからは「Clarity」「Imaging」「Power」という3つの要素が音のアウトプットイメージとして挙げられた。つまりは奥行き感や楽器の位置関係といった定位を感じさせる明瞭かつパワフルなサウンド、といったイメージだが、これらはボーズの掲げたポイントとも密接な関係がある。
例えばCX-8のトゥイーターは、通常よりも高い位置に取り付けられている。高域の聴こえが音の広がり感や定位に大きく影響を与えるが、この配置はそうしたサウンド面でのチューニングのためだけではなく、深く腰掛けた状態で快適に聴くことができるといった乗り心地の面でもメリットがある。これも両社が協力して開発を進めた成果だろう。
ここでスピーカーの説明をしておくと、CX-8のボーズ・サウンドシステムでは、10個のユニットが搭載されている。先述のトゥイーターは25mmのネオジム・トゥイーターで、左右のAピラーに各1基を装備。ダッシュボード中央には80mmの中高音域スピーカー×1、左右フロントドアには165mスピーカー×2、左右リアドアに130mmスピーカー×2、左右トランクサイドトリムに60mm中高音域スピーカー×2、そしてトランク下部に130mmリッチ・ベースウーファー1基という構成だ。
またボーズならではの機能として、ステレオ音源(2ch)をサラウンド化する「Centerpoint 2(センターポイント2)」と、車内のノイズをマイクで感知し自動的に補正する「AUDIOPILOT 2(オーディオパイロット2)」の2つが挙げられる。
センターポイント2はCDやiPotなど圧縮音源、Bluetooth接続などのステレオ2ch音源をサラウンド・サウンドとしてアウトプットする機能。車種専用チューニングEQによるそれぞれのスピーカーのパフォーマンスを最大限に活かした立体感のある音響空間で、スピーカーの存在を感じさせない広い空間性を実現するという。
一方のAUDIOPILOTは、設置されるマイクが車内の音を拾い、もとの再生音源との差異を計算して、ノイズ排除と自動補正を行う独自のDSPシステム。同様の機構は他社でも採用事例があるが、AUDIOPILOTは補正にあたり、低域が聴こえにくい際に高域も一緒に上げるなど全体のバランスを一律に変えるのではなく、再生音源に対して音のバランスが変化しないようなアルゴリズムを特徴としている。
ここからは実際に試聴した印象をお伝えしたい。やはり大きなポイントとなるのは、リスニングポジションがどこであろうとも、センターが自分の前に定位するということだ。そうしたチューニングが行われていると説明を受けたが、実際に体験すると、その成果に少々驚かされる。
運転席や2列目、3列目とそれぞれの座席に移動してみて、特にそれが実感できたのは3列目だった。これはスピーカーの位置が遠く、通常はそこまでの調整が難しいことに起因しているのだろう。これなら間違いなく、乗員の誰もが音源の本来あるべきバランスを楽しめるはずだ。
また、スピーカーから音が鳴っているということを意識させないチューニングも特筆すべき点。耳から数十センチという距離にスピーカーがあるにも関わらず、広さのある部屋の適切なリスニングポジションで音を聴いているような空間表現だ。これはセンターポイント2の機能をオンにすることで、より顕著に感じられる。
AUDIOPILOT機能は、不自然な効かせ方でないことが好印象だった。ノイズキャンセリングのようなものではなく、あくまでもとの音源のバランスを聴かせるように補正するもので、どこかをことさらに誇張させることはしていない。補正すべき部分が少なければ、音の変化が小さく感じられるかもしれないが、そこでもし大きく変わるのであれば、ただのブーストになってしまう。CX-8が高い静粛性を誇るからこそ、ナチュラルな補正が行えるのだろう。常時オンにして使ってよい機能だと思う。
全体的な音の印象は“上質”というイメージ。迫力ある低音を響かせながらも、それによって高域が埋もれたりすることはない。音の分離も良く、ディストーションの効いたギターがかき鳴らされる裏のベースラインもしっかり耳に届く。車内なのに、ピュアオーディオシステムの試聴室のイメージだ。
ちなみに、車内の居住性も快適だ。記者は身長が185cmあるが、3列目はさすがに乗り込む際に多少注意が必要なものの、入ってしまえばリラックスできる。運転席は言わずもがなだ。
■最上位SUVに相応しい上質なデザインと走り
CX-8は、マツダの国内向けSUVラインアップにおける最上位SUVとなる、3列シートのモデル。マツダと車両設計の初期段階から共同開発を行ったボーズのサウンドシステムが搭載でき、その丁寧な専用チューニングにより、3列どの席からもバランスのとれた最適音質を聴くことが可能としている。
グレードは「XD」「XD PROACTIVE」「XD L Package」が用意され、車両価格は2WD(FF)で3,196,800 - 3,958,200円、4WDで3,429,000 - 4,190,400円。ボーズのサウンドシステムは「XD PROACTIVE」「XD L Package」グレードにオプションとして75,000円で追加できる。
CX-8は最上位SUVとして多人数乗用とデザイン/走りを両立。開発担当主査の松岡英樹氏は「家族や大人数での移動だけでなく、車内スペースが必要、上質な空間を求めるといった様々なユーザーに応えられる」と語った。
デザインテーマは2012年発売の「CX-5」から採用される“魂動(KODO)”。さらにCX-5では「アートを鑑賞した時に胸がときめくような、美しさの魅力を車のデザインでも具現化していきたい」と『CAR AS ART』をコンセプトに設定。CX-8では、最上位SUVにふさわしいイメージとして『TIMELESS EDGY』をコンセプトに、SUVらしい力強さと、マツダらしいスポーティさを兼ね備えたデザインにしたという。
インテリアには本杢素材のリアルウッドを使ったパネルを採用。これはユーノスコスモ以来で、「使いこむほどに味が出る」と質感へのこだわりが語られた。上級グレードではナッパレザー張りのシートなどさらに素材が吟味され、説明からも「従来とは異なる、新しい価値をデザインで表現できた」と自信を見せた。
クリーンディーゼルエンジンとしては「SKYACTIV-D 2.2」を採用。力強い走りに加え、ドライバーの操作に対する素早く正確なレスポンスを可能とする。さらにWTLCモードでは15.8km/Lという低燃費を実現した。最大トルクは450M・mと高い駆動力で余裕ある走行性能を獲得するとともに、72リットルのタンク容量を持ち、その燃費性能は「横浜から九州まで無給油で走ることができる」という。
■ボーズと共同開発したサウンドはコンサートホールをイメージ
CX-8では、全ての乗員が安心かつ快適にカーライフが楽しめるよう、上質な乗り心地と静粛性を追求した。特に静粛性については、ロードノイズや風騒音を低減し遮音性を向上させ「ふだん通りの声量で運転席と3列目の乗員が会話できることを目指した」という設計。実際に体験した印象としても、音楽が再生されている状態で、3列目に座っていながら声を張り上げることなく運転席、助手席の乗員と会話を行うことができた。
また、この静粛性は音楽再生においても大きな効果を発揮する。走行中でもロードノイズやエンジンノイズが小さく、ボリュームを絞ったとしても細かな表現まで聴き取ることができた。これは後述する「AUDIOPILOT」にも関係するが、ラジオなど声を中心とした番組でも走行ノイズに邪魔されることなく耳に入ってくる。音の聴こえが悪いからと音量を上げると、長時間のドライブでは知らず知らずのうちに耳が疲れてストレスになるが、CX-8ならばそうした無理な大音量に頼る必要はない。
その音作りについては、「目の前にステージが広がるような、コンサートホールの特等席をイメージ」とボーズ・オートモーティブの担当者は語る。そもそも、カーオーディオではセンターイメージが作りにくいという課題がある。例えば運転席と助手席では左右のスピーカーの位置の遠近が異なるためだ。しかしCX-8では、図面の段階から車両設計をマツダと一緒に行うことでそれを解決。全座席の何百という細かな位置での聴こえ方を独自のアルゴリズムで解析し、どの席においてもボーカルがセンターに来るようなチューニングとなっているという。
開発において、ボーズの音作りのフィロソフィーは「Spatial=物理的な制限を感じさせない広がりのある空間」、「Tonal Balance=高域から低域まで全帯域に渡っての優れた再現性」「Large Signal=どのようなボリュームでも歪みのない心地よい音」にあった。
一方、マツダからは「Clarity」「Imaging」「Power」という3つの要素が音のアウトプットイメージとして挙げられた。つまりは奥行き感や楽器の位置関係といった定位を感じさせる明瞭かつパワフルなサウンド、といったイメージだが、これらはボーズの掲げたポイントとも密接な関係がある。
例えばCX-8のトゥイーターは、通常よりも高い位置に取り付けられている。高域の聴こえが音の広がり感や定位に大きく影響を与えるが、この配置はそうしたサウンド面でのチューニングのためだけではなく、深く腰掛けた状態で快適に聴くことができるといった乗り心地の面でもメリットがある。これも両社が協力して開発を進めた成果だろう。
ここでスピーカーの説明をしておくと、CX-8のボーズ・サウンドシステムでは、10個のユニットが搭載されている。先述のトゥイーターは25mmのネオジム・トゥイーターで、左右のAピラーに各1基を装備。ダッシュボード中央には80mmの中高音域スピーカー×1、左右フロントドアには165mスピーカー×2、左右リアドアに130mmスピーカー×2、左右トランクサイドトリムに60mm中高音域スピーカー×2、そしてトランク下部に130mmリッチ・ベースウーファー1基という構成だ。
またボーズならではの機能として、ステレオ音源(2ch)をサラウンド化する「Centerpoint 2(センターポイント2)」と、車内のノイズをマイクで感知し自動的に補正する「AUDIOPILOT 2(オーディオパイロット2)」の2つが挙げられる。
センターポイント2はCDやiPotなど圧縮音源、Bluetooth接続などのステレオ2ch音源をサラウンド・サウンドとしてアウトプットする機能。車種専用チューニングEQによるそれぞれのスピーカーのパフォーマンスを最大限に活かした立体感のある音響空間で、スピーカーの存在を感じさせない広い空間性を実現するという。
一方のAUDIOPILOTは、設置されるマイクが車内の音を拾い、もとの再生音源との差異を計算して、ノイズ排除と自動補正を行う独自のDSPシステム。同様の機構は他社でも採用事例があるが、AUDIOPILOTは補正にあたり、低域が聴こえにくい際に高域も一緒に上げるなど全体のバランスを一律に変えるのではなく、再生音源に対して音のバランスが変化しないようなアルゴリズムを特徴としている。
ここからは実際に試聴した印象をお伝えしたい。やはり大きなポイントとなるのは、リスニングポジションがどこであろうとも、センターが自分の前に定位するということだ。そうしたチューニングが行われていると説明を受けたが、実際に体験すると、その成果に少々驚かされる。
運転席や2列目、3列目とそれぞれの座席に移動してみて、特にそれが実感できたのは3列目だった。これはスピーカーの位置が遠く、通常はそこまでの調整が難しいことに起因しているのだろう。これなら間違いなく、乗員の誰もが音源の本来あるべきバランスを楽しめるはずだ。
また、スピーカーから音が鳴っているということを意識させないチューニングも特筆すべき点。耳から数十センチという距離にスピーカーがあるにも関わらず、広さのある部屋の適切なリスニングポジションで音を聴いているような空間表現だ。これはセンターポイント2の機能をオンにすることで、より顕著に感じられる。
AUDIOPILOT機能は、不自然な効かせ方でないことが好印象だった。ノイズキャンセリングのようなものではなく、あくまでもとの音源のバランスを聴かせるように補正するもので、どこかをことさらに誇張させることはしていない。補正すべき部分が少なければ、音の変化が小さく感じられるかもしれないが、そこでもし大きく変わるのであれば、ただのブーストになってしまう。CX-8が高い静粛性を誇るからこそ、ナチュラルな補正が行えるのだろう。常時オンにして使ってよい機能だと思う。
全体的な音の印象は“上質”というイメージ。迫力ある低音を響かせながらも、それによって高域が埋もれたりすることはない。音の分離も良く、ディストーションの効いたギターがかき鳴らされる裏のベースラインもしっかり耳に届く。車内なのに、ピュアオーディオシステムの試聴室のイメージだ。
ちなみに、車内の居住性も快適だ。記者は身長が185cmあるが、3列目はさすがに乗り込む際に多少注意が必要なものの、入ってしまえばリラックスできる。運転席は言わずもがなだ。