オンキヨー&パイオニアが据え置き機でも対応へ
ロスレス音楽ストリーミング「Deezer HiFi」がローンチイベント開催。GLIM SPANKYのライブも
国内初のロスレス音楽ストリーミング「Deezer HiFi」は本日12日、東京・南青山のBlue Note Tokyoにてローンチパーティーを開催。DeezerのCCOであるゴラン・シャケド氏が登場し、本サービスの詳細や今後の方針について説明した。
イベントでは、GLIM SPANKYによるライブパフォーマンスも披露された。同バンドは、Deezerが企画するライブイベント「Deezer Session」の第一弾アーティストとして今回ライブを行った。
Deezer HiFiは、約3,600万曲という楽曲をCDクオリティと同じ44.1kHz/16bit(1,411kbps)でロスレス配信する定額制聴き放題(月額1,960円)の音楽ストリーミングサービス。ここ日本では12月7日にサービスインしたが(関連ニュース)、今回改めてローンチイベントが行われたかたちだ。
会場には、ヤマハとオンキヨー&パイオニアのブースが設けられ、両社の対応製品のデモも実施。ヤマハはMusicCast対応のWi-Fiスピーカーやアンプ、オンキヨーとパイオニアはrubato/privateと対応DAPを展示。実際にDeezer HiFiを再生してその音質や使い勝手をアピールした。
イベント冒頭では、DeezerのCCOであるゴラン・シャケド氏が、Deezerのワールドワイドにおける展開、そして日本に12月から導入されたDeezer HiFiについて説明を行った。
Deezerは2007年にフランス・パリでスタートした音楽ストリーミングサービスで、現在世界185カ国で展開し、4,300万曲を超える楽曲(ロッシー音源の楽曲を含む曲数、現時点での全ライブラリ数は後述)を提供する。海外ではロッシー配信とロスレス配信の両方を行っているが、日本ではロスレス配信であるDeezer HiFiのみが導入されている。世界のアクティブユーザーは現在1,200万人を超える。
シャケド氏はDeezer HiFiの特徴について改めて説明。「これまでの音楽ストリーミングはAACやMP3などによるロッシー(音質ロスのある)配信だったため、利便性は高いが音質は妥協せざるを得なかった。一方でハイレゾは音が良くても、膨大なデータ量やダウンロードの手間、楽曲数の少なさで問題があった。現代のリスナーはこれまで音質か利便性のどちらか一方を選ばざるをえなかったが、Deezer HiFiはその両方を提供できる」と述べた。
同氏は日本のリスナーが特に音質に対して高い意識を持っていることにも言及。日本では後発となったDeezerが音質面の強みを活かすべく、ロスレスのDeezer HiFiのみを日本で導入したことを示唆した。
Deezerのカタログ数についても言及された。前述のようにDeezerはこれまで4,300万曲以上の楽曲を提供するとしてきたが、その数は増え続け、最新の楽曲数は5,300万曲を超えたとのこと。シャケド氏はこのDeezer HiFiの楽曲数は「世界で最も多い」と述べた。
日本国内におけるDeezer HiFiの2018年 基本戦略も紹介。すでにパートナーシップを結んでいるヤマハ、オンキヨー&パイオニアに加え、日本の主要オーディオメーカーとの提携を広げて、試聴可能なデバイスの拡大を進めていくとした。なお、世界ではすでに80社のハードウェアメーカーと提携を結んでいるという。
さらにシャケド氏は日本ローカルの配信カタログを増やすことも目標として掲げ、J-POPやJ-ROCKの配信を強化すると述べた。Deezerが目指すのは「ローカルヒーローになる」ことであるとして、ローカルの音楽シーンを応援すると共に、現地の雑誌や選者が作ったプレイリストの提供、ライブイベントの開催などを積極的に行うとした。
また、日本におけるコンテンツ拡充の一環として、新たにポニーキャニオン、スペースシャワーTV、ヒップランドとパートナーシップを結んだことも発表された。
シャケド氏はオンキヨー&パイオニア、ヤマハとのパートナーシップにも改めて言及。両社から登場したDeezer HiFiに対応する各製品を紹介した。また、いい音をより多くのユーザーに楽しんでもらうためには、ハードウェアメーカーの協力が不可欠であることを強調していた。
後述するトークセッションでは、現時点ではDAPのみがDeezer HiFiに対応しているオンキヨー&パイオニアが、据え置きのホームオーディオ機器でも年内を目処に対応を行うことが明かされた。
なお、日本においては、オンキヨー&パイオニア、ヤマハの対応製品を購入したユーザー向けに3ヶ月無料のキャンペーンも実施される(通常は1ヶ月無料)。シャケド氏は「CDクオリティの音質を体験してもらえたら、必ずそのまま契約を続けてくれるだろろう」とその音質について自信を見せた。
■ハイレゾ・ストリーミングは「もちろん検討している」
シャケド氏には「Deezerが今後ハイレゾ方式でのストリーミングを行う予定はあるのか」と質問したところ、同氏は「もちろん検討している」と答えてくれた。
続けて同氏は「特にハイエンドオーディオのユーザーからはそういった要望が高いことも認識している。ただし、音楽の利用料の問題、さらにはスマートフォンなどでハイレゾストリーミングを楽しめるようにするための技術的な課題もある。技術については様々な検討を行っている段階だが、音質と利便性は同様に大事で、利便性を犠牲にするつもりはない。しかし、必ずハイレゾ配信は実現できると信じている」と語った。
なお、DeezerがMQAを採用するという発表が昨年あったことについて話を向けると「MQAとの関係はあくまでテストパートナーであり、よりよい方式を模索する上で検討している方式のひとつ。ハードウェアが重要なことは認識しており、MQAに限らず様々な技術を検討している。カギはモバイルへの対応をいかにクリアするかだと考えている」と述べた。
■ロスレス・ストリーミングは何を変えるか?トークセッションも実施
イベントでは、Deezer HiFiをテーマとしたトークセッションも行われた。セッションにはオンキヨー&パイオニアイノベーションズの土田秀章氏、ヤマハミュージックジャパンの野田聖之氏、そしてオーディオ評論家の山之内正氏が登場。パレードオールの鈴木貴歩氏を聞き手に、CDクオリティによるロスレスストリーミングの意義、Deezer HiFiには音楽リスニングを変えるどのような可能性があると考えられるのか、それぞれが意見を語った。
鈴木氏が「ロスレス・ストリーミングは音楽を聴くスタイルにどういった変化をもたらすか」と話を向けると、山之内氏は「あらゆる音楽を制約なく聴くことができるのは音楽ストリーミングの魅力だが、そこに音のよさが加わることで、音楽を聴くモチベーションが圧倒的に高まる」と回答。
続けて山之内氏は「ハイレゾなどダウンロードした音源は、再生するまでに音源のコピーやライブラリ管理など様々なクッションが入ってしまう。ストリーミングならば聴きたい曲を選んで瞬時に聴くことができ、これは音楽を楽しむ上で大きな強み」と述べた。
オンキヨー&パイオニアの土田氏は「私たちはダウンロードによるハイレゾ配信サイト e-onkyo musicも手がけているが、音楽ストリーミングの登場によって音楽の聴き方は確実に変わってきている。だからこそ、ポータブルプレーヤーを音楽ストリーミングに対応させたいと考えていたが、それで音質が犠牲になったら元も子もない。そこに登場したDeezer HiFiはまさにうってつけだった」とコメント。
ヤマハの野田氏は、「ヤマハは楽器メーカーでもあり、音楽レーベルも傘下にある。だからこそ、アーティストが伝えたい想い、楽器が鳴っている音をきちんとユーザーに届けることを常に考えている。Deezer HiFiによって、アーティストが作った音楽がより手軽に、しっかりとした音で聴ける環境が身近になるのはうれしいこと」と語っていた。
鈴木氏が「ロスレス・ストリーミングでこそ聴いてほしいジャンルは」と質問すると、山之内氏は「やはりクラシック」と回答。「クラシックは多くの楽器が同時に鳴って、しかもその音ひとつひとつに意味があり、各音の関係もある。これほど奥深い世界はないが、音質がよくなければ本来の意図はわからない。聴かず嫌いの人にもぜひ聴いてほしい」と述べた。
土田氏は「希望も含めて、海外でも評価の高い日本のアニソンを高音質を楽しんで欲しい」とコメント。野田氏は「J-POPのメジャーな作品が増えていくことで、より多くの方がDeezer HiFiに触れる機会が増えるのでは」と語った。
これを受けて鈴木氏も「たまにDJをやるのだが、CD品質の音源と圧縮音源では低音などやはり音がちがうと感じていた。CD品質にはこれまでも可能性を感じてきたが、Deezer HiFiはそういった層にもミートするのでは」と語っていた。
イベントでは、GLIM SPANKYによるライブパフォーマンスも披露された。同バンドは、Deezerが企画するライブイベント「Deezer Session」の第一弾アーティストとして今回ライブを行った。
Deezer HiFiは、約3,600万曲という楽曲をCDクオリティと同じ44.1kHz/16bit(1,411kbps)でロスレス配信する定額制聴き放題(月額1,960円)の音楽ストリーミングサービス。ここ日本では12月7日にサービスインしたが(関連ニュース)、今回改めてローンチイベントが行われたかたちだ。
会場には、ヤマハとオンキヨー&パイオニアのブースが設けられ、両社の対応製品のデモも実施。ヤマハはMusicCast対応のWi-Fiスピーカーやアンプ、オンキヨーとパイオニアはrubato/privateと対応DAPを展示。実際にDeezer HiFiを再生してその音質や使い勝手をアピールした。
イベント冒頭では、DeezerのCCOであるゴラン・シャケド氏が、Deezerのワールドワイドにおける展開、そして日本に12月から導入されたDeezer HiFiについて説明を行った。
Deezerは2007年にフランス・パリでスタートした音楽ストリーミングサービスで、現在世界185カ国で展開し、4,300万曲を超える楽曲(ロッシー音源の楽曲を含む曲数、現時点での全ライブラリ数は後述)を提供する。海外ではロッシー配信とロスレス配信の両方を行っているが、日本ではロスレス配信であるDeezer HiFiのみが導入されている。世界のアクティブユーザーは現在1,200万人を超える。
シャケド氏はDeezer HiFiの特徴について改めて説明。「これまでの音楽ストリーミングはAACやMP3などによるロッシー(音質ロスのある)配信だったため、利便性は高いが音質は妥協せざるを得なかった。一方でハイレゾは音が良くても、膨大なデータ量やダウンロードの手間、楽曲数の少なさで問題があった。現代のリスナーはこれまで音質か利便性のどちらか一方を選ばざるをえなかったが、Deezer HiFiはその両方を提供できる」と述べた。
同氏は日本のリスナーが特に音質に対して高い意識を持っていることにも言及。日本では後発となったDeezerが音質面の強みを活かすべく、ロスレスのDeezer HiFiのみを日本で導入したことを示唆した。
Deezerのカタログ数についても言及された。前述のようにDeezerはこれまで4,300万曲以上の楽曲を提供するとしてきたが、その数は増え続け、最新の楽曲数は5,300万曲を超えたとのこと。シャケド氏はこのDeezer HiFiの楽曲数は「世界で最も多い」と述べた。
日本国内におけるDeezer HiFiの2018年 基本戦略も紹介。すでにパートナーシップを結んでいるヤマハ、オンキヨー&パイオニアに加え、日本の主要オーディオメーカーとの提携を広げて、試聴可能なデバイスの拡大を進めていくとした。なお、世界ではすでに80社のハードウェアメーカーと提携を結んでいるという。
さらにシャケド氏は日本ローカルの配信カタログを増やすことも目標として掲げ、J-POPやJ-ROCKの配信を強化すると述べた。Deezerが目指すのは「ローカルヒーローになる」ことであるとして、ローカルの音楽シーンを応援すると共に、現地の雑誌や選者が作ったプレイリストの提供、ライブイベントの開催などを積極的に行うとした。
また、日本におけるコンテンツ拡充の一環として、新たにポニーキャニオン、スペースシャワーTV、ヒップランドとパートナーシップを結んだことも発表された。
シャケド氏はオンキヨー&パイオニア、ヤマハとのパートナーシップにも改めて言及。両社から登場したDeezer HiFiに対応する各製品を紹介した。また、いい音をより多くのユーザーに楽しんでもらうためには、ハードウェアメーカーの協力が不可欠であることを強調していた。
後述するトークセッションでは、現時点ではDAPのみがDeezer HiFiに対応しているオンキヨー&パイオニアが、据え置きのホームオーディオ機器でも年内を目処に対応を行うことが明かされた。
なお、日本においては、オンキヨー&パイオニア、ヤマハの対応製品を購入したユーザー向けに3ヶ月無料のキャンペーンも実施される(通常は1ヶ月無料)。シャケド氏は「CDクオリティの音質を体験してもらえたら、必ずそのまま契約を続けてくれるだろろう」とその音質について自信を見せた。
■ハイレゾ・ストリーミングは「もちろん検討している」
シャケド氏には「Deezerが今後ハイレゾ方式でのストリーミングを行う予定はあるのか」と質問したところ、同氏は「もちろん検討している」と答えてくれた。
続けて同氏は「特にハイエンドオーディオのユーザーからはそういった要望が高いことも認識している。ただし、音楽の利用料の問題、さらにはスマートフォンなどでハイレゾストリーミングを楽しめるようにするための技術的な課題もある。技術については様々な検討を行っている段階だが、音質と利便性は同様に大事で、利便性を犠牲にするつもりはない。しかし、必ずハイレゾ配信は実現できると信じている」と語った。
なお、DeezerがMQAを採用するという発表が昨年あったことについて話を向けると「MQAとの関係はあくまでテストパートナーであり、よりよい方式を模索する上で検討している方式のひとつ。ハードウェアが重要なことは認識しており、MQAに限らず様々な技術を検討している。カギはモバイルへの対応をいかにクリアするかだと考えている」と述べた。
■ロスレス・ストリーミングは何を変えるか?トークセッションも実施
イベントでは、Deezer HiFiをテーマとしたトークセッションも行われた。セッションにはオンキヨー&パイオニアイノベーションズの土田秀章氏、ヤマハミュージックジャパンの野田聖之氏、そしてオーディオ評論家の山之内正氏が登場。パレードオールの鈴木貴歩氏を聞き手に、CDクオリティによるロスレスストリーミングの意義、Deezer HiFiには音楽リスニングを変えるどのような可能性があると考えられるのか、それぞれが意見を語った。
鈴木氏が「ロスレス・ストリーミングは音楽を聴くスタイルにどういった変化をもたらすか」と話を向けると、山之内氏は「あらゆる音楽を制約なく聴くことができるのは音楽ストリーミングの魅力だが、そこに音のよさが加わることで、音楽を聴くモチベーションが圧倒的に高まる」と回答。
続けて山之内氏は「ハイレゾなどダウンロードした音源は、再生するまでに音源のコピーやライブラリ管理など様々なクッションが入ってしまう。ストリーミングならば聴きたい曲を選んで瞬時に聴くことができ、これは音楽を楽しむ上で大きな強み」と述べた。
オンキヨー&パイオニアの土田氏は「私たちはダウンロードによるハイレゾ配信サイト e-onkyo musicも手がけているが、音楽ストリーミングの登場によって音楽の聴き方は確実に変わってきている。だからこそ、ポータブルプレーヤーを音楽ストリーミングに対応させたいと考えていたが、それで音質が犠牲になったら元も子もない。そこに登場したDeezer HiFiはまさにうってつけだった」とコメント。
ヤマハの野田氏は、「ヤマハは楽器メーカーでもあり、音楽レーベルも傘下にある。だからこそ、アーティストが伝えたい想い、楽器が鳴っている音をきちんとユーザーに届けることを常に考えている。Deezer HiFiによって、アーティストが作った音楽がより手軽に、しっかりとした音で聴ける環境が身近になるのはうれしいこと」と語っていた。
鈴木氏が「ロスレス・ストリーミングでこそ聴いてほしいジャンルは」と質問すると、山之内氏は「やはりクラシック」と回答。「クラシックは多くの楽器が同時に鳴って、しかもその音ひとつひとつに意味があり、各音の関係もある。これほど奥深い世界はないが、音質がよくなければ本来の意図はわからない。聴かず嫌いの人にもぜひ聴いてほしい」と述べた。
土田氏は「希望も含めて、海外でも評価の高い日本のアニソンを高音質を楽しんで欲しい」とコメント。野田氏は「J-POPのメジャーな作品が増えていくことで、より多くの方がDeezer HiFiに触れる機会が増えるのでは」と語った。
これを受けて鈴木氏も「たまにDJをやるのだが、CD品質の音源と圧縮音源では低音などやはり音がちがうと感じていた。CD品質にはこれまでも可能性を感じてきたが、Deezer HiFiはそういった層にもミートするのでは」と語っていた。