開局特番の詳細も
4K/8Kで「地上波とは全く違う紅白」放送。NHKが12月1日開始、新BS放送の見どころを紹介
NHKは本日、12月1日(土)午前10時から始まる新4K8K衛星放送への取り組みを説明する合同取材会を実施。番組編成や制作の基本方針、おすすめ番組などについて紹介した。
説明を行ったのは、編成局 専任局長の内山達氏、編成局 編成主幹(4K/8K編集長)の大里智之氏、放送技術局 SHV技術推進 副部長の増田裕泰氏の3氏だ。
全体の説明は大里氏が行った。記者からの質問にも大里氏が中心になって回答したが、テーマに応じて内山氏と増田氏も回答を行った。
NHKの4K放送は「BS 4K」で、6時から24時までの1日18時間放送する。8K放送については「BS 8K」で、こちらは10時から22時10分まで、1日12時間10分の放送を行う。それぞれ独自の編成で放送するのがポイントだ。すでに12月の番組表も公開されている。
まずはじめに大里氏は、「4Kと8K、それぞれ独自の編成を行うため、コストやリソースを抑えるための工夫をしなければならない」と説明した。
実際に行っている工夫は2つ。1つは4Kのオリジナル番組を作る際、4Kと2Kとの一体制作を行っていることを挙げた。地上波や2K BSの番組と一体制作を行うことでコストを抑える。なお、この取り組みはすでに行われている。
もう1つの工夫は、ジャンルごとに番組をまとめる編成だ。地上波放送では、曜日に関係なく様々なジャンルの番組を織り交ぜて編成しているが、4K放送においては「平日はベストセレクト・チャンネル」というコンセプトのもと、各曜日ごとにジャンルを決め、そのジャンルの番組を集中的に放送する。
なお、今年12月からの当初の編成では、月曜日はエンターテイメント(音楽やエンタメ)、火曜日はサイエンス(自然・科学・宇宙)、水曜日はドラマ・映画、木曜日はカルチャー(文化・教養)、金曜日はライフ(紀行・地域・暮らし)の番組が放送される。
そして土曜日は「土曜は4K」という掛け声のもと、4Kオリジナル番組を集中的に放送する。さらに「日曜は特集」と位置づけ、ジャンルに関係なく、大河ドラマや特集番組を中心に編成していく。
この、曜日ごとにジャンルを決める編成スタイルは、今年度だけでなく2019年4月からの来年度も「基本的には採用したい」(内山氏)とのことだった。
ただしスポーツ中継については曜日や時間帯を問わず、柔軟な編成を行っていく。
なおBS 4Kについては、来年度から「4Kアニメ」ジャンルを新設する予定というから、アニメファンも要チェックだ。ただし「まだタイトルは言えない」(内山氏)とのこと。
また平日の夜10時台、11時台は「8Kベストウインドー」と銘打ち、8K番組を4Kにダウンコンバートして放送する。「画質は落ちるが、8Kチャンネルの番組を4Kで見てもらおうという試み」(大里氏)という。
なお、4Kで制作された番組は、2Kにダウンコンバートし、地上波やBS 2Kで放送することもある。ただし4K放送ならではの魅力を担保するため、たとえば4Kで制作されたコンテンツは、まず先にBS 4Kで放送し、後日2Kで放送することが基本になるという。
■8K放送はオリジナル編成。2Kとの共用編成はなし
4K放送が2K放送との共用編成を行うのに対して、8Kはオリジナル編成となり、2Kとの共用編成は行わない。とはいえ、8Kの新番組を毎日放送するにはリソースが足りない。
このためNHKでは「量より質」というスローガンのもと、「日曜は8K」というキーワードで、8Kネイティブ制作の高品位な新コンテンツを、日曜日のゴールデンタイムに集中編成する。そのほか土曜日と日曜日の昼は、パブリックビューイングなど大勢で楽しめるコンテンツを編成。「基本的に新番組は、土曜日や日曜日に配置する」(大里氏)という。
では平日はどうなるのかというと、基本的に再放送が中心となる。だが大里氏は、これを「積極的な意味での再放送」と強調。「まだ8Kの録画環境の選択肢が少なく、基本的にリアルタイムでしか見られない人が多い」とし、平日でも高品位なコンテンツを繰り返し放送することで、8Kの魅力をアピールしていく考えだ。
なお8Kについても、スポーツ中継は曜日や時間にとらわれず、随時編成を行っていく。
■12月1日と2日は開局特番の特別編成
ここからは、NHKのBS 4KとBS 8K、それぞれの注目番組を紹介していく。
まず放送が開始される12月1日と翌12月2日は、開局を記念した特別番組が放送される。開局特番はBS 4K/BS 8Kだけでなく、地上波の総合テレビでも一部同じものがサイマル放送される。
初日を盛り上げるのは、4Kと8Kの生中継だ。すでに報じているように、4Kは南極から、8Kはイタリア・ローマから生中継する。ただし細かなことだが、1日の南極生中継は4K/HDRで撮影するため、8K放送はアップコンして行うことになる。
翌2日はサイマル放送ではなく、BS 4KとBS 8K、それぞれ異なる内容で生中継される。
なぜ4Kは南極で、8Kはイタリアを選んだのかというと、これは撮影機材の機動力によるものだという。「4Kの撮影機材はだいぶ小さくなり、2Kとあまり変わらないレベルになってきた。一方で8Kの機材はまだ大きく、重い。こういったことから中継場所を決めた」(大里氏)。
とはいえ、南極からの生中継は技術的にもかなり難易度が高い。衛星中継を行うのだが、極地なので衛星の仰角は10-15度程度で行わなければならず、障害物などがあった場合は映像が乱れる可能性もある。このため入念にテストするほか、冗長化も行うという。
なおNHKでは、8K中継車をヨーロッパに数ヶ月前から送り、ウィーンフィル、ベルリンフィル、コンセルトヘボウの「3大オーケストラの」8K収録など、様々な撮影を行ってきた。その中継車を使えることも、ローマを選んだ理由の一つという。だが8K生中継も「NHKでも経験はあまりない」とのことで、テストを重ねているとのことだ。
ちなみにNHKによると、BS 4Kはネイティブ4K、BS 8Kはネイティブ8Kで制作するのが基本で、ソースが古いものなどを除き、アップコンは極力使わない方針。90%以上をネイティブ解像度で作るという。
■BS 8Kでは「三大オーケストラ」の22.2ch放送も行われる
そのほかBS 8Kでは、1日13時10分から、先日試写の模様をレポートした「2001年宇宙の旅」の8K版も放送される。さらに17時からは、ウィーン・フィルが演奏する「第九」を、8K映像と22.2chサラウンドで再生する番組も放送される。
また12月2日は「宝塚スペシャルシート」と題し、劇とレビューを完全収録した番組を放送。これは5週連続で行っていく。
さらに2日夜には「8Kスーパーライブ」も行う。乃木坂46の神宮球場でのライブを8K映像で放送するというもので、こちらも22.2chでの放送だ。この8Kスーパーライブは毎週放送され、2週目はコブクロ、3週目はPerfumeなど、すでにその後の予定も決まっている。
なお8K放送については、「可能な限り高品位な映像と音を堪能してもらう」ことがコンセプトのため、8KだけでなくHLGによるHDR放送も積極的に行う。また音声についても、多くの番組で22.2ch放送を行う。
放送技術局の増田氏は、「22.2chというと、2chや5.1chに対してものすごく制作が大変そう、と思われるかもしれないが、実際にポスプロにかかる時間は、2chとほとんど変わらない」という。
大里氏も「現場が工夫し、傘のようなものを広げて22.2ch収録を行う機器もできた。膨大な数のマイクを1本1本立てなくても実現できる」と説明する。
なお22.2chであることは、番組冒頭にテロップで表示されるので区別が付く。HDRかどうかを表示するかは「検討中」という。
ちなみに画質については、三大オーケストラ、宝塚、8Kスーパーライブの3番組は最新のカメラで撮影しており、特に高画質な放送が期待できるとのことだ。
■大河ドラマを4Kで初放送、しかも先出し
BS 4Kにも注目番組が多数ある。そのうちの一つが、来年1月6日スタートの、大河ドラマ「いだてん」の4K放送。大河ドラマが4Kで放送されるのはこれが初めてだ。しかも放送は日曜の9時からで、「2Kよりも早く、朝から大河ドラマが楽しめる」(大里氏)という。
今後の大方針として、「ドラマは4Kを先行して放送していく」という。ただし、制作スケジュールで難しいものは2Kが先になることもあるとのこと。なお、朝ドラの4K放送についてはまだ未定という。
またBS 4Kにおいては、35mmフィルムの映画を4K化して放送する試みを行う。「8Kが70mmフィルム相当の情報量だとしたら、35mmは4K相当と言われている」(大里氏)からだ。これも既に報じているように、黒澤明、小津安二郎、溝口健二という、邦画の巨匠の作品を4Kで放送する。そのあとは洋画作品の放送を検討しているという。
■4K/8Kの紅白は「2Kとは全く別物」
なお大里氏によると、大晦日の「紅白歌合戦」については、総合テレビなどの2K放送と、4K/8K放送とで、全く異なる内容になるという。
NHKが4K/8K放送で目指すのは、「NHKホールで紅白を見ている、そのままの体験を見ていただく」(大里氏)こと。地上波では、舞台転換のあいだはMCや出演者がトークするところがアップになるが、4K/8Kでは舞台転換の様子まで見られる。
「それが可能になるのは、4Kと8Kが高解像度で、いわゆる『引きの映像』でもMCの顔がはっきり映るから。このように、作り方まで変えることで差異化を図っていきたい」(大里氏)。
■NHKオンデマンドでの4K配信も
そのほか、4K放送と8K放送の細かな情報も語られた。まずEPGは、いまのBSなどと同じ体裁で見られる。なお8K放送は、平日はほぼ再放送の番組ばかりになってしまうため、再放送番組などをEPG上でどのように表示するか「検討中」とのこと。
また災害時などの場合は、テロップはBSプレミアムに準じる。また緊急時の放送は、基本的に2Kソースがアップコンされて放送される。
さらにBS 4KやBS 8K向け番組とNHKオンデマンドの関係では、4Kについては一部配信することを考えているという。「12月1日以降、すぐにではないが、いままさに、どうやるかを協議しているところ」(大里氏)とのことだ。さらに、4Kコンテンツについては4Kで配信するというから楽しみだ。なお8Kコンテンツの配信については未定という。
■短期的な普及は追わない
4K/8K放送の普及率の見通しについては、「JEITAの数値を目安にしてほしい」と内山氏が回答。「今年9月時点で、4Kテレビが500万台を少し超えた程度。これらの方々がチューナーをどの程度買うか、と言う問題もある」としたうえで、「NHKとしては、短期的なことだけを考えているわけではない」とコメントした。
こういった考え、さらにNHKが公共放送であるということから、8Kで記録に残すという公共的な取り組みも行っているとのこと。たとえば東北の震災についても、時間の経過と共に報道量が減っている現状もふまえ、どうやって放送するかはともかくとして、まずは「震災以降」を8Kで記録するプロジェクトが動いているのだという。
一般ユーザーの新4K/8K放送への反応については、「最近行っているイベントなどでは、受信する方法や、どういうコンテンツが見られるかなど、より具体的な質問に変わってきている」と内山氏は述べ、「4Kテレビも8Kテレビも、義務で買わなければいけないものではないので、『これを見たい』と思っていただけるコンテンツが必要」と語った。
説明を行ったのは、編成局 専任局長の内山達氏、編成局 編成主幹(4K/8K編集長)の大里智之氏、放送技術局 SHV技術推進 副部長の増田裕泰氏の3氏だ。
全体の説明は大里氏が行った。記者からの質問にも大里氏が中心になって回答したが、テーマに応じて内山氏と増田氏も回答を行った。
NHKの4K放送は「BS 4K」で、6時から24時までの1日18時間放送する。8K放送については「BS 8K」で、こちらは10時から22時10分まで、1日12時間10分の放送を行う。それぞれ独自の編成で放送するのがポイントだ。すでに12月の番組表も公開されている。
まずはじめに大里氏は、「4Kと8K、それぞれ独自の編成を行うため、コストやリソースを抑えるための工夫をしなければならない」と説明した。
実際に行っている工夫は2つ。1つは4Kのオリジナル番組を作る際、4Kと2Kとの一体制作を行っていることを挙げた。地上波や2K BSの番組と一体制作を行うことでコストを抑える。なお、この取り組みはすでに行われている。
もう1つの工夫は、ジャンルごとに番組をまとめる編成だ。地上波放送では、曜日に関係なく様々なジャンルの番組を織り交ぜて編成しているが、4K放送においては「平日はベストセレクト・チャンネル」というコンセプトのもと、各曜日ごとにジャンルを決め、そのジャンルの番組を集中的に放送する。
なお、今年12月からの当初の編成では、月曜日はエンターテイメント(音楽やエンタメ)、火曜日はサイエンス(自然・科学・宇宙)、水曜日はドラマ・映画、木曜日はカルチャー(文化・教養)、金曜日はライフ(紀行・地域・暮らし)の番組が放送される。
そして土曜日は「土曜は4K」という掛け声のもと、4Kオリジナル番組を集中的に放送する。さらに「日曜は特集」と位置づけ、ジャンルに関係なく、大河ドラマや特集番組を中心に編成していく。
この、曜日ごとにジャンルを決める編成スタイルは、今年度だけでなく2019年4月からの来年度も「基本的には採用したい」(内山氏)とのことだった。
ただしスポーツ中継については曜日や時間帯を問わず、柔軟な編成を行っていく。
なおBS 4Kについては、来年度から「4Kアニメ」ジャンルを新設する予定というから、アニメファンも要チェックだ。ただし「まだタイトルは言えない」(内山氏)とのこと。
また平日の夜10時台、11時台は「8Kベストウインドー」と銘打ち、8K番組を4Kにダウンコンバートして放送する。「画質は落ちるが、8Kチャンネルの番組を4Kで見てもらおうという試み」(大里氏)という。
なお、4Kで制作された番組は、2Kにダウンコンバートし、地上波やBS 2Kで放送することもある。ただし4K放送ならではの魅力を担保するため、たとえば4Kで制作されたコンテンツは、まず先にBS 4Kで放送し、後日2Kで放送することが基本になるという。
■8K放送はオリジナル編成。2Kとの共用編成はなし
4K放送が2K放送との共用編成を行うのに対して、8Kはオリジナル編成となり、2Kとの共用編成は行わない。とはいえ、8Kの新番組を毎日放送するにはリソースが足りない。
このためNHKでは「量より質」というスローガンのもと、「日曜は8K」というキーワードで、8Kネイティブ制作の高品位な新コンテンツを、日曜日のゴールデンタイムに集中編成する。そのほか土曜日と日曜日の昼は、パブリックビューイングなど大勢で楽しめるコンテンツを編成。「基本的に新番組は、土曜日や日曜日に配置する」(大里氏)という。
では平日はどうなるのかというと、基本的に再放送が中心となる。だが大里氏は、これを「積極的な意味での再放送」と強調。「まだ8Kの録画環境の選択肢が少なく、基本的にリアルタイムでしか見られない人が多い」とし、平日でも高品位なコンテンツを繰り返し放送することで、8Kの魅力をアピールしていく考えだ。
なお8Kについても、スポーツ中継は曜日や時間にとらわれず、随時編成を行っていく。
■12月1日と2日は開局特番の特別編成
ここからは、NHKのBS 4KとBS 8K、それぞれの注目番組を紹介していく。
まず放送が開始される12月1日と翌12月2日は、開局を記念した特別番組が放送される。開局特番はBS 4K/BS 8Kだけでなく、地上波の総合テレビでも一部同じものがサイマル放送される。
初日を盛り上げるのは、4Kと8Kの生中継だ。すでに報じているように、4Kは南極から、8Kはイタリア・ローマから生中継する。ただし細かなことだが、1日の南極生中継は4K/HDRで撮影するため、8K放送はアップコンして行うことになる。
翌2日はサイマル放送ではなく、BS 4KとBS 8K、それぞれ異なる内容で生中継される。
なぜ4Kは南極で、8Kはイタリアを選んだのかというと、これは撮影機材の機動力によるものだという。「4Kの撮影機材はだいぶ小さくなり、2Kとあまり変わらないレベルになってきた。一方で8Kの機材はまだ大きく、重い。こういったことから中継場所を決めた」(大里氏)。
とはいえ、南極からの生中継は技術的にもかなり難易度が高い。衛星中継を行うのだが、極地なので衛星の仰角は10-15度程度で行わなければならず、障害物などがあった場合は映像が乱れる可能性もある。このため入念にテストするほか、冗長化も行うという。
なおNHKでは、8K中継車をヨーロッパに数ヶ月前から送り、ウィーンフィル、ベルリンフィル、コンセルトヘボウの「3大オーケストラの」8K収録など、様々な撮影を行ってきた。その中継車を使えることも、ローマを選んだ理由の一つという。だが8K生中継も「NHKでも経験はあまりない」とのことで、テストを重ねているとのことだ。
ちなみにNHKによると、BS 4Kはネイティブ4K、BS 8Kはネイティブ8Kで制作するのが基本で、ソースが古いものなどを除き、アップコンは極力使わない方針。90%以上をネイティブ解像度で作るという。
■BS 8Kでは「三大オーケストラ」の22.2ch放送も行われる
そのほかBS 8Kでは、1日13時10分から、先日試写の模様をレポートした「2001年宇宙の旅」の8K版も放送される。さらに17時からは、ウィーン・フィルが演奏する「第九」を、8K映像と22.2chサラウンドで再生する番組も放送される。
また12月2日は「宝塚スペシャルシート」と題し、劇とレビューを完全収録した番組を放送。これは5週連続で行っていく。
さらに2日夜には「8Kスーパーライブ」も行う。乃木坂46の神宮球場でのライブを8K映像で放送するというもので、こちらも22.2chでの放送だ。この8Kスーパーライブは毎週放送され、2週目はコブクロ、3週目はPerfumeなど、すでにその後の予定も決まっている。
なお8K放送については、「可能な限り高品位な映像と音を堪能してもらう」ことがコンセプトのため、8KだけでなくHLGによるHDR放送も積極的に行う。また音声についても、多くの番組で22.2ch放送を行う。
放送技術局の増田氏は、「22.2chというと、2chや5.1chに対してものすごく制作が大変そう、と思われるかもしれないが、実際にポスプロにかかる時間は、2chとほとんど変わらない」という。
大里氏も「現場が工夫し、傘のようなものを広げて22.2ch収録を行う機器もできた。膨大な数のマイクを1本1本立てなくても実現できる」と説明する。
なお22.2chであることは、番組冒頭にテロップで表示されるので区別が付く。HDRかどうかを表示するかは「検討中」という。
ちなみに画質については、三大オーケストラ、宝塚、8Kスーパーライブの3番組は最新のカメラで撮影しており、特に高画質な放送が期待できるとのことだ。
■大河ドラマを4Kで初放送、しかも先出し
BS 4Kにも注目番組が多数ある。そのうちの一つが、来年1月6日スタートの、大河ドラマ「いだてん」の4K放送。大河ドラマが4Kで放送されるのはこれが初めてだ。しかも放送は日曜の9時からで、「2Kよりも早く、朝から大河ドラマが楽しめる」(大里氏)という。
今後の大方針として、「ドラマは4Kを先行して放送していく」という。ただし、制作スケジュールで難しいものは2Kが先になることもあるとのこと。なお、朝ドラの4K放送についてはまだ未定という。
またBS 4Kにおいては、35mmフィルムの映画を4K化して放送する試みを行う。「8Kが70mmフィルム相当の情報量だとしたら、35mmは4K相当と言われている」(大里氏)からだ。これも既に報じているように、黒澤明、小津安二郎、溝口健二という、邦画の巨匠の作品を4Kで放送する。そのあとは洋画作品の放送を検討しているという。
■4K/8Kの紅白は「2Kとは全く別物」
なお大里氏によると、大晦日の「紅白歌合戦」については、総合テレビなどの2K放送と、4K/8K放送とで、全く異なる内容になるという。
NHKが4K/8K放送で目指すのは、「NHKホールで紅白を見ている、そのままの体験を見ていただく」(大里氏)こと。地上波では、舞台転換のあいだはMCや出演者がトークするところがアップになるが、4K/8Kでは舞台転換の様子まで見られる。
「それが可能になるのは、4Kと8Kが高解像度で、いわゆる『引きの映像』でもMCの顔がはっきり映るから。このように、作り方まで変えることで差異化を図っていきたい」(大里氏)。
■NHKオンデマンドでの4K配信も
そのほか、4K放送と8K放送の細かな情報も語られた。まずEPGは、いまのBSなどと同じ体裁で見られる。なお8K放送は、平日はほぼ再放送の番組ばかりになってしまうため、再放送番組などをEPG上でどのように表示するか「検討中」とのこと。
また災害時などの場合は、テロップはBSプレミアムに準じる。また緊急時の放送は、基本的に2Kソースがアップコンされて放送される。
さらにBS 4KやBS 8K向け番組とNHKオンデマンドの関係では、4Kについては一部配信することを考えているという。「12月1日以降、すぐにではないが、いままさに、どうやるかを協議しているところ」(大里氏)とのことだ。さらに、4Kコンテンツについては4Kで配信するというから楽しみだ。なお8Kコンテンツの配信については未定という。
■短期的な普及は追わない
4K/8K放送の普及率の見通しについては、「JEITAの数値を目安にしてほしい」と内山氏が回答。「今年9月時点で、4Kテレビが500万台を少し超えた程度。これらの方々がチューナーをどの程度買うか、と言う問題もある」としたうえで、「NHKとしては、短期的なことだけを考えているわけではない」とコメントした。
こういった考え、さらにNHKが公共放送であるということから、8Kで記録に残すという公共的な取り組みも行っているとのこと。たとえば東北の震災についても、時間の経過と共に報道量が減っている現状もふまえ、どうやって放送するかはともかくとして、まずは「震災以降」を8Kで記録するプロジェクトが動いているのだという。
一般ユーザーの新4K/8K放送への反応については、「最近行っているイベントなどでは、受信する方法や、どういうコンテンツが見られるかなど、より具体的な質問に変わってきている」と内山氏は述べ、「4Kテレビも8Kテレビも、義務で買わなければいけないものではないので、『これを見たい』と思っていただけるコンテンツが必要」と語った。