完全ワイヤレスイヤホン向け
米クアルコム、新たなTWS向け左右同時接続技術「TrueWireless Mirroring」。搭載SoC発表
米クアルコムが最新世代のBluetoothオーディオ向けSoCを発表した。上位の「QCC514x」、ミドル/エントリー向けの「QCC304x」の2シリーズに大別される(下一桁のxには数字が入る)。
すべてのSoCが超低消費電力設計のアクティブ・ノイズキャンセリング(ANC)専用回路と、新たなソース機器との左右同時接続技術となる「Qualcomm TrueWireless Mirroring」を搭載した2点が注目すべきポイントだ。
最新世代のSoCにはハイブリッド方式のデジタルANC回路が積まれたことにより、ワイヤレスイヤホン・ヘッドホンのデバイスメーカーは高精度なノイズキャンセリングと外音取り込み機能を搭載する製品を、これまで以上に容易に開発できるようになる。
クアルコムの新しいANC回路は、駆動時の消費電力が非常に低いことも特徴として謳われている。同社では最終製品の仕様にも依存すると断りを入れているが、目安として65mAhのバッテリーパックで駆動した場合、最長約13時間の連続音楽リスニングが可能になると説明している。
イヤホンに内蔵するバッテリー単体での連続音楽再生時間が伸ばせることは、引いては充電ケースのデザインにおいても、コンパクト化を含めて自由度が広がることを意味している。
最新世代のオーディオ向けSoCは、QCC514x/QCC304xの両シリーズともに、AIアシスタントの音声コントロール機能も提供する。上位のQCC514xシリーズにラインナップするSoCは今後複数種類のチップが開発されることになるものと思われるが、その中で名称が明らかにされている「QCC5141」は、内蔵マイクを常時オンのまま、ユーザーが発するウェイクワードを待機し続ける「Always on Voice」機能を、消費電力を抑えながら実現できるという。
また最新世代のSoCはいずれも、音質や低遅延性能において優位性を発揮する上位オーディオコーデック「aptX Adaptive」を実装することも可能。aptX Adaptiveについては、筆者が昨年、クアルコムのオーディオ部門の責任者をインタビューした際に、音質の上限が現在の48kHz/24bitから96kHz/24bitにまで高められる計画があることも明らかになっている。クアルコムのオーディオ向けSoCを搭載する「本格派のハイレゾ対応完全ワイヤレスイヤホン」が実現する展望が開けたと言えそうだ。
そして気になる「Qualcomm TrueWireless Mirroring」は、QCC514x/QCC304xシリーズのチップを載せた完全ワイヤレスイヤホンに、スマートフォンなど音楽プレーヤー機器との左右同時接続を実現する新技術だ。
クアルコムはすでに最新世代のモバイル向けSnapdragonシリーズのSoCと、オーディオ向けのQCC512x/QCC302xシリーズのSoCによる組み合わせで実現する「Qualcomm TrueWireless Stereo Plus」という技術を世に送り出している。こちらの技術の詳細については、筆者が過去に取材した別のクアルコムの責任者へのインタビューなどの記事を参照してもらいたい。
Qualcomm TrueWireless Mirroringは、スマートフォンなど音楽ソースの送信側機器に対して片側のイヤホンを “マスター” として接続した後に、もう片方のスレーブ側イヤホンをセキュアな通信環境の下でスマートフォンに接続した後に、マスター側とは左右反対側の信号をスレーブ側にミラーリング(=スレーブ側が傍受)する接続技術をベースにしている。これをクアルコムが独自に無線通信の感度を高めたり、低消費電力・低遅延を実現するべくチューニングを施した。
同技術には左右イヤホンのロールスワッピング機能が含まれているため、ユーザーが片側のイヤホンを外した場合にも、素速くマスター/スレーブの入れ替えを行い、音を途切れさせることなくユーザーの耳に届けるという。
また、現在提供されているQualcomm TrueWireless Stereo Plusの技術では、対応するスマートフォンと完全ワイヤレスイヤホンを接続すると、Bluetoothの設定画面にイヤホンの名前が左右2つぶん表示される。これがQualcomm TrueWireless Mirroringの場合は1台の機器としてまとめて名前が表示される。
Qualcomm TrueWireless Mirroring技術については、今回の発表時点で明らかにされた部分がまだ少ない。現在Qualcomm TrueWireless Stereo Plusの技術では送信・受信側双方の機器にクアルコムのSoCが組み込まれていることが使用の必須条件とされている。
Qualcomm TrueWireless Mirroringがオーディオ向けSoC側で完結する傍受方式の左右同時接続技術なのであれば、QCC514x/QCC304xシリーズを搭載する完全ワイヤレスイヤホンで、どんなプレーヤーと組み合わせた場合でも接続性の向上など、様々なメリットを活かせる可能性がある。もしそうならば、より多くのオーディオファン、音楽ファンに朗報をもたらすことになりそうだ。
クアルコムが発表したQCC514x/QCC304x両シリーズのスペックには、それぞれBluetoothの次世代コアスペックバージョンであるBluetooth 5.2から採用が始まるBluetooth LEオーディオに“Ready”な通信モデムを搭載したSoCであるという記載が含まれている。
Bluetooth LEオーディオについては、年初にラスベガスで開催されたCES2020のイベントにタイミングを合わせて技術発表が行われたばかりだ。その仕様については2020年前半から提供が開始されることが報道発表でも伝えられている。
クアルコムが新たなオーディオ向けSoCでいち早くBluetooth LEオーディオをサポートし、今後の技術発展にどう貢献していくのか興味は尽きない。クアルコムの最新オーディオ向けSoCに関連する詳細は、また機会を改めて取材・レポートしたい。
すべてのSoCが超低消費電力設計のアクティブ・ノイズキャンセリング(ANC)専用回路と、新たなソース機器との左右同時接続技術となる「Qualcomm TrueWireless Mirroring」を搭載した2点が注目すべきポイントだ。
最新世代のSoCにはハイブリッド方式のデジタルANC回路が積まれたことにより、ワイヤレスイヤホン・ヘッドホンのデバイスメーカーは高精度なノイズキャンセリングと外音取り込み機能を搭載する製品を、これまで以上に容易に開発できるようになる。
クアルコムの新しいANC回路は、駆動時の消費電力が非常に低いことも特徴として謳われている。同社では最終製品の仕様にも依存すると断りを入れているが、目安として65mAhのバッテリーパックで駆動した場合、最長約13時間の連続音楽リスニングが可能になると説明している。
イヤホンに内蔵するバッテリー単体での連続音楽再生時間が伸ばせることは、引いては充電ケースのデザインにおいても、コンパクト化を含めて自由度が広がることを意味している。
最新世代のオーディオ向けSoCは、QCC514x/QCC304xの両シリーズともに、AIアシスタントの音声コントロール機能も提供する。上位のQCC514xシリーズにラインナップするSoCは今後複数種類のチップが開発されることになるものと思われるが、その中で名称が明らかにされている「QCC5141」は、内蔵マイクを常時オンのまま、ユーザーが発するウェイクワードを待機し続ける「Always on Voice」機能を、消費電力を抑えながら実現できるという。
また最新世代のSoCはいずれも、音質や低遅延性能において優位性を発揮する上位オーディオコーデック「aptX Adaptive」を実装することも可能。aptX Adaptiveについては、筆者が昨年、クアルコムのオーディオ部門の責任者をインタビューした際に、音質の上限が現在の48kHz/24bitから96kHz/24bitにまで高められる計画があることも明らかになっている。クアルコムのオーディオ向けSoCを搭載する「本格派のハイレゾ対応完全ワイヤレスイヤホン」が実現する展望が開けたと言えそうだ。
そして気になる「Qualcomm TrueWireless Mirroring」は、QCC514x/QCC304xシリーズのチップを載せた完全ワイヤレスイヤホンに、スマートフォンなど音楽プレーヤー機器との左右同時接続を実現する新技術だ。
クアルコムはすでに最新世代のモバイル向けSnapdragonシリーズのSoCと、オーディオ向けのQCC512x/QCC302xシリーズのSoCによる組み合わせで実現する「Qualcomm TrueWireless Stereo Plus」という技術を世に送り出している。こちらの技術の詳細については、筆者が過去に取材した別のクアルコムの責任者へのインタビューなどの記事を参照してもらいたい。
Qualcomm TrueWireless Mirroringは、スマートフォンなど音楽ソースの送信側機器に対して片側のイヤホンを “マスター” として接続した後に、もう片方のスレーブ側イヤホンをセキュアな通信環境の下でスマートフォンに接続した後に、マスター側とは左右反対側の信号をスレーブ側にミラーリング(=スレーブ側が傍受)する接続技術をベースにしている。これをクアルコムが独自に無線通信の感度を高めたり、低消費電力・低遅延を実現するべくチューニングを施した。
同技術には左右イヤホンのロールスワッピング機能が含まれているため、ユーザーが片側のイヤホンを外した場合にも、素速くマスター/スレーブの入れ替えを行い、音を途切れさせることなくユーザーの耳に届けるという。
また、現在提供されているQualcomm TrueWireless Stereo Plusの技術では、対応するスマートフォンと完全ワイヤレスイヤホンを接続すると、Bluetoothの設定画面にイヤホンの名前が左右2つぶん表示される。これがQualcomm TrueWireless Mirroringの場合は1台の機器としてまとめて名前が表示される。
Qualcomm TrueWireless Mirroring技術については、今回の発表時点で明らかにされた部分がまだ少ない。現在Qualcomm TrueWireless Stereo Plusの技術では送信・受信側双方の機器にクアルコムのSoCが組み込まれていることが使用の必須条件とされている。
Qualcomm TrueWireless Mirroringがオーディオ向けSoC側で完結する傍受方式の左右同時接続技術なのであれば、QCC514x/QCC304xシリーズを搭載する完全ワイヤレスイヤホンで、どんなプレーヤーと組み合わせた場合でも接続性の向上など、様々なメリットを活かせる可能性がある。もしそうならば、より多くのオーディオファン、音楽ファンに朗報をもたらすことになりそうだ。
クアルコムが発表したQCC514x/QCC304x両シリーズのスペックには、それぞれBluetoothの次世代コアスペックバージョンであるBluetooth 5.2から採用が始まるBluetooth LEオーディオに“Ready”な通信モデムを搭載したSoCであるという記載が含まれている。
Bluetooth LEオーディオについては、年初にラスベガスで開催されたCES2020のイベントにタイミングを合わせて技術発表が行われたばかりだ。その仕様については2020年前半から提供が開始されることが報道発表でも伝えられている。
クアルコムが新たなオーディオ向けSoCでいち早くBluetooth LEオーディオをサポートし、今後の技術発展にどう貢献していくのか興味は尽きない。クアルコムの最新オーディオ向けSoCに関連する詳細は、また機会を改めて取材・レポートしたい。