興収は前年比54.9%
『鬼滅の刃』のパワーもおよばず。2020年の国内映画市場は1,432億円、入場者数は史上最低記録
「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」などのアニメが邦画を下支え
1月27日、一般社団法人 日本映画製作者連盟は、昨年(2020年度)の全国映画概況を発表した。
令和2年(2020年)の全国の映画館の入場者数は、1億613万7,000人(前年比54.5%)。興行収入は1,432億8,500万円(前年比54.9%)と、コロナ禍の影響を大きく受け、いずれも過去最高であった前年度から大きくダウン。興行収入は2000年以降の最低記録、入場人員は、連盟が発足して興行収入の調査・発表を始めた1955年以来、史上最低記録となった。
興行収入のうち作品構成比は、邦画が前年比76.9%(1,092億7,600万円)、洋画が前年比28.6%(340億900万円)。「邦画:洋画」の構成比は「76.3%:24.7%」となった。コロナ禍により洋画大作が軒並み公開中止や延期となり、日本記録を更新した『鬼滅の刃』やアニメ作品を中心に邦画が貢献したがチカラ及ばず、映画界の深刻な環境が見える。
平均入場料金は1,350円と前年比10円上昇し、2019年6月に改訂した入場料が年間を通して定着してきたことを表している。
公開作品数は全部で1,017本で、前年比261本減。大幅減ながらも公開本数1,000本以上は8年連続を維持している。内訳は邦画が506本で前年より183本減、洋画は511本で78本減。上映スクリーン数は3,616で、前年比33スクリーン増、こちらはコロナ禍以前から開館計画がすすんでいたため、8年連続増加となっている。
興業収入が10億円を超えたヒット作品は、歴代最高記録を更新中の「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」をはじめ、邦画21作品(昨年から19本減)となった。『鬼滅の刃』の貢献度は高く、10億円超えの作品数は半減したが、興業収入は3割減にとどまっている。
50億円を超えた邦画は『鬼滅の刃』をのぞくと、『今日から俺は!!劇場版』の53.7億円のみ。続いて『コンフィデンスマンJP プリンセス編』(38.4億円)、『映画ドラえもん のび太の新恐竜』(33.5億円)と続く。
一方で、洋画の10億円超えは、『スター・ウォーズ/スカイ・ウォーカーの夜明け』以下、米アカデミー賞作品賞を受賞した『パラサイト 半地下の家族』(47.4億円)、『TENET テネット』(27.3億円)、『キャッツ』(13.5億円)のわずか4作品(計161.4億円)のみだった。興業収入も799億6,000万円減。前年比で6分の1という厳しい結果となった。
4月の緊急事態宣言で映画館は全面的に営業休止に
振り返ると、一昨年(2019年)12月に発生した新型コロナウイルス感染症は、またたく間に全世界にまん延し、映画産業界においても昨年4月7日に発出された緊急事態宣言により、映画館は全面的に営業を休止した。この影響で数多くの映画作品が公開延期を余儀なくされ、なかには公開の目途が立たない映画も見受けられ、配給者も苦境に立たされた。
一方で、密集、密閉、密接の回避と対人接触8割減を達成するため、全国6カ所の撮影所においても閉所あるいは営業を縮小し、加えて、感染拡大の配慮から外部におけるロケーション撮影も自粛するなど、新たな映画製作も困難になり、多くのスタッフ待機状態の下で、不安な生活を強いられることになった。このように映画産業界は、制作・配給・興行の川上から川下まで大きなダメージを被った。
その後、社会経済活動の再開にむけて、各業種の業界団体に対して、感染拡大を予防するためのガイドライン等を作成し実践することが求められ、日本映画製作者連盟と全国興行生活衛生同業組合連合会は、映画製作と映画館の営業再開にむけたガイドラインをそれぞれ作成した。
6月には映画館においてはガイドラインの遵守に加えて、興行場法による場内換気の基準を厳守することで、お客様に安心して映画を鑑賞していただく安全な環境を整え、営業を再開した。
映画館の営業再開後、7月の『今日から俺は!!劇場版』、8月の『映画ドラえもん のび太の新恐竜』、9月の『劇場版 ヴァイオレット・エバーガーデン』、そして10月の「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」など、多くのお客様の支持を得た作品にも恵まれて、コロナ禍にあって一筋の光が見えてきた。
そのような中で、昨年1月の全国映画概況の記者会見で登壇した、東映グループ会長であり、日本映画製作者連盟の会長でもあった岡田裕介氏が、2020年11月18日に急逝した。そののち年末の臨時総会で、東宝代表取締役社長の鳥谷能成氏が新会長に就任、映画産業界のコロナ禍からの再生のために、動き始めている。
1月27日、一般社団法人 日本映画製作者連盟は、昨年(2020年度)の全国映画概況を発表した。
令和2年(2020年)の全国の映画館の入場者数は、1億613万7,000人(前年比54.5%)。興行収入は1,432億8,500万円(前年比54.9%)と、コロナ禍の影響を大きく受け、いずれも過去最高であった前年度から大きくダウン。興行収入は2000年以降の最低記録、入場人員は、連盟が発足して興行収入の調査・発表を始めた1955年以来、史上最低記録となった。
興行収入のうち作品構成比は、邦画が前年比76.9%(1,092億7,600万円)、洋画が前年比28.6%(340億900万円)。「邦画:洋画」の構成比は「76.3%:24.7%」となった。コロナ禍により洋画大作が軒並み公開中止や延期となり、日本記録を更新した『鬼滅の刃』やアニメ作品を中心に邦画が貢献したがチカラ及ばず、映画界の深刻な環境が見える。
平均入場料金は1,350円と前年比10円上昇し、2019年6月に改訂した入場料が年間を通して定着してきたことを表している。
公開作品数は全部で1,017本で、前年比261本減。大幅減ながらも公開本数1,000本以上は8年連続を維持している。内訳は邦画が506本で前年より183本減、洋画は511本で78本減。上映スクリーン数は3,616で、前年比33スクリーン増、こちらはコロナ禍以前から開館計画がすすんでいたため、8年連続増加となっている。
興業収入が10億円を超えたヒット作品は、歴代最高記録を更新中の「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」をはじめ、邦画21作品(昨年から19本減)となった。『鬼滅の刃』の貢献度は高く、10億円超えの作品数は半減したが、興業収入は3割減にとどまっている。
50億円を超えた邦画は『鬼滅の刃』をのぞくと、『今日から俺は!!劇場版』の53.7億円のみ。続いて『コンフィデンスマンJP プリンセス編』(38.4億円)、『映画ドラえもん のび太の新恐竜』(33.5億円)と続く。
一方で、洋画の10億円超えは、『スター・ウォーズ/スカイ・ウォーカーの夜明け』以下、米アカデミー賞作品賞を受賞した『パラサイト 半地下の家族』(47.4億円)、『TENET テネット』(27.3億円)、『キャッツ』(13.5億円)のわずか4作品(計161.4億円)のみだった。興業収入も799億6,000万円減。前年比で6分の1という厳しい結果となった。
4月の緊急事態宣言で映画館は全面的に営業休止に
振り返ると、一昨年(2019年)12月に発生した新型コロナウイルス感染症は、またたく間に全世界にまん延し、映画産業界においても昨年4月7日に発出された緊急事態宣言により、映画館は全面的に営業を休止した。この影響で数多くの映画作品が公開延期を余儀なくされ、なかには公開の目途が立たない映画も見受けられ、配給者も苦境に立たされた。
一方で、密集、密閉、密接の回避と対人接触8割減を達成するため、全国6カ所の撮影所においても閉所あるいは営業を縮小し、加えて、感染拡大の配慮から外部におけるロケーション撮影も自粛するなど、新たな映画製作も困難になり、多くのスタッフ待機状態の下で、不安な生活を強いられることになった。このように映画産業界は、制作・配給・興行の川上から川下まで大きなダメージを被った。
その後、社会経済活動の再開にむけて、各業種の業界団体に対して、感染拡大を予防するためのガイドライン等を作成し実践することが求められ、日本映画製作者連盟と全国興行生活衛生同業組合連合会は、映画製作と映画館の営業再開にむけたガイドラインをそれぞれ作成した。
6月には映画館においてはガイドラインの遵守に加えて、興行場法による場内換気の基準を厳守することで、お客様に安心して映画を鑑賞していただく安全な環境を整え、営業を再開した。
映画館の営業再開後、7月の『今日から俺は!!劇場版』、8月の『映画ドラえもん のび太の新恐竜』、9月の『劇場版 ヴァイオレット・エバーガーデン』、そして10月の「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」など、多くのお客様の支持を得た作品にも恵まれて、コロナ禍にあって一筋の光が見えてきた。
そのような中で、昨年1月の全国映画概況の記者会見で登壇した、東映グループ会長であり、日本映画製作者連盟の会長でもあった岡田裕介氏が、2020年11月18日に急逝した。そののち年末の臨時総会で、東宝代表取締役社長の鳥谷能成氏が新会長に就任、映画産業界のコロナ禍からの再生のために、動き始めている。