NHKプラスの説明会を実施
NHK、テレビ向けにもネット配信開始。対応テレビ拡充へ「各社と協議中」
NHKは、番組をインターネット配信で視聴できるサービス「NHK+(プラス)」のテレビ向けアプリについての説明会を開催。今月4月1日から提供したテレビ向け見逃し配信の特徴を説明するとともに、利用動向や今後の展望について明かした。
■テレビ向け見逃し配信の特徴は? 今後の対応端末拡大予定は?
NHKプラスは、総合テレビとEテレで放送する番組をインターネット配信でも見られるサービス。先行してスマートフォンおよびパソコン向けに展開していたが、今月4月1日からテレビ向けにもアプリ提供を開始した。なお、スマホ/PC向けにはテレビ放送との同時配信も行っているが、テレビ向けは見逃し配信のみの提供となっている。
説明会の司会進行を担当した中山果奈アナウンサーは、「放送と同じように高精細に見たい、テレビの大画面で見たいという声も多かった」と、テレビ向けサービス提供の背景を説明。テレビ向けには、大画面での視聴を意識してスマホ/PC向けよりも高画質な最大フルHD/6Mbpsで配信していることなど紹介した。
そのほかスマホ/PC向けアプリとの違いという点では、好みの番組を登録しておける「番組登録」機能と、見たい番組を番組表から探したり今後の放送予定を確認できる「番組表」機能をテレビ向けのみで展開。また、2倍速から0.75倍速まで、段階的にスピードを変えての再生にも対応している。番組表機能などは大画面というテレビの視認性の良さを意識してのものだが、これらをスマホ/PC向けにも提供するかはユーザーの今後の反応などを見ながら判断していくという。
テレビ向けアプリでの見逃し配信はスマホ/PC向けと比べて幼児向け番組の視聴回数が多いという特徴が出ているとのこと。ある週の視聴数ランキングでは、スマホ/PC向けでは上位50位以内に入った幼児向け番組がゼロだったのに対し、テレビ向けでは11番組がランクインしたという。「スマホやタブレットでは兄弟で一緒に見られないし、タブレットを持ったままだとダンスを踊れない」などといった理由でテレビ向け配信を歓迎する声が届いているとのことで、「テレビ向けアプリはファミリーでの視聴に向いているのも特徴」だと説明した。
なお、テレビ向けサービスは6月いっぱいまでベータサービスの位置づけ。通常、NHKプラスの利用にはID登録(受信契約の有無の確認等)をしてのログインが必要だが、6月末まではID登録およびログインなしでテレビ向けサービスを利用できる。7月以降、ログインしない状態でどのような仕様になるかは現在開発中のため未定だという。
また、現在の対応端末はAndroid TVおよびFire OS搭載テレビや同OS搭載端末。Android TV OS 9/10またはFire OS 6/7搭載機器に対応しており、現在は下記端末で動作確認がとれているという。
・シャープ アクオス 2019年以降に発売したAndroid TV機能搭載モデル
・ソニー ブラビア 2019年以降に発売したAndroid TV機能搭載モデル
・東芝 レグザ 2021年以降に発売したAndroid TV機能搭載モデル
・Amazon Fire TV Cube(第2世代)
・Amazon Fire TV Stick 4K
・Amazon Fire TV Stick 4K Max
・Amazon Fire TV Stick(第3世代)
・Amazon Fire TV(第3世代)
・Chromecast with Google TV
対応端末は今後順次拡大予定。「テレビメーカー各社とも、技術的な部分を含めて協議を重ねている」(NHKスタッフ)という。
■テレビ向け配信以外にもサービス拡充中。登録の簡素化なども
既報のとおり、総合テレビは24時間、Eテレは深夜の放送休止時間を除いた19時間程度に配信対象時間を拡大するなど、テレビ向けの配信開始以外にもNHKプラスはサービスを拡充中。「高校野球など権利許諾関係が難しいものもあるが、権利者の方々の理解も広がっている」とのことで、総合テレビで放送している番組に至っては95%を配信できているという。
NHKのスタッフは「NHKプラスで視聴できる番組をできるだけ増やしたいと思っている」ともコメント。最近、過去のドラマなどを深夜時間帯に総合チャンネルで一挙放送するケースも見られるが、これは、テレビで放送することでNHKプラスでも見逃し配信できるようにする狙いもあるようだ。
なお、NHKプラスは地上波(総合/Eテレ)の番組を配信するサービスであるため、BSやBS4K/8Kの番組は配信対象外。仮に4Kなどの配信を行おうとする場合、「NHKインターネット活用業務実施基準」を変更して総務省に認可申請を行うなどといった手順が必要になる。
また、利用開始手続きの簡素化も行っており、3月末で「確認コード」制度を廃止。現在、NHKプラスの登録を完了するためには、ID登録申請ののち、NHK側が放送受信契約があることを確認した上で、「確認コード」を記載したハガキを送付、それをもとに利用者が入力するという手続きが必要。この確認コードを廃止し、4月からはNHK側で放送受信契約があることを確認できた時点で登録完了とする。これにより、NHKプラスの利用申込み手続きは、すべてインターネット上で行えるようになる。
そして夏以降「仮登録」制度を新たに設置。「仮登録」では、IDを兼ねたメールアドレスとパスワードを登録すれば、すぐに各機能を利用できるようにする。なお、仮登録の有効期限は1ヶ月。
そのほか、いわゆる“ご当地番組”の配信も拡大。現在、午後6時台については、南関東エリアの同時配信・見逃し番組配信に加えて、大阪・名古屋・福岡の各拠点放送局のニュースを、それぞれ見逃し番組配信しているが、4月4日から、札幌・仙台・広島・松山も加え、すべての拠点放送局の午後6時台のニュースを番組配信している。
中山アナは「広島出身で、以前は広島支局にいたのでやっぱり広島の番組は気になる」とコメント。「例えば、新型コロナウイルスの感染状況も地域によって事情が異なっている。故郷の詳しい状況を知るなどといったことにも便利なのではないか」と語った。
■記者も体験してみた
会場では動作デモも実施。実際に記者もテレビでの操作を体験したが、カーソル移動などもサクサク動き、番組の音声検索などの反応も非常に早い。UIも奇をてらわず一般的な動画サービスと似た構成になっているため、マニュアルなどを確認しなくても感覚的に操作できる。
一方で、スマホで視聴していた続きをテレビで見たりすることはできない。また、ID登録は世帯ごとの扱いとなっているため、1つのIDで5台の端末まで同時視聴できるが、家族ごとにマイページを分けて持つなどといったことも不可能なので、別々の人がマイリスト登録した番組がいっしょくたになるという課題もある。このあたりはできれば改善を期待したいところだ。
ID登録数は右肩上がりで伸びており、サービスインからここまでの2年間で250万登録を突破したとのこと。視聴者のさらなる利便性向上のため、今後の展開にも期待したい。
■テレビ向け見逃し配信の特徴は? 今後の対応端末拡大予定は?
NHKプラスは、総合テレビとEテレで放送する番組をインターネット配信でも見られるサービス。先行してスマートフォンおよびパソコン向けに展開していたが、今月4月1日からテレビ向けにもアプリ提供を開始した。なお、スマホ/PC向けにはテレビ放送との同時配信も行っているが、テレビ向けは見逃し配信のみの提供となっている。
説明会の司会進行を担当した中山果奈アナウンサーは、「放送と同じように高精細に見たい、テレビの大画面で見たいという声も多かった」と、テレビ向けサービス提供の背景を説明。テレビ向けには、大画面での視聴を意識してスマホ/PC向けよりも高画質な最大フルHD/6Mbpsで配信していることなど紹介した。
そのほかスマホ/PC向けアプリとの違いという点では、好みの番組を登録しておける「番組登録」機能と、見たい番組を番組表から探したり今後の放送予定を確認できる「番組表」機能をテレビ向けのみで展開。また、2倍速から0.75倍速まで、段階的にスピードを変えての再生にも対応している。番組表機能などは大画面というテレビの視認性の良さを意識してのものだが、これらをスマホ/PC向けにも提供するかはユーザーの今後の反応などを見ながら判断していくという。
テレビ向けアプリでの見逃し配信はスマホ/PC向けと比べて幼児向け番組の視聴回数が多いという特徴が出ているとのこと。ある週の視聴数ランキングでは、スマホ/PC向けでは上位50位以内に入った幼児向け番組がゼロだったのに対し、テレビ向けでは11番組がランクインしたという。「スマホやタブレットでは兄弟で一緒に見られないし、タブレットを持ったままだとダンスを踊れない」などといった理由でテレビ向け配信を歓迎する声が届いているとのことで、「テレビ向けアプリはファミリーでの視聴に向いているのも特徴」だと説明した。
なお、テレビ向けサービスは6月いっぱいまでベータサービスの位置づけ。通常、NHKプラスの利用にはID登録(受信契約の有無の確認等)をしてのログインが必要だが、6月末まではID登録およびログインなしでテレビ向けサービスを利用できる。7月以降、ログインしない状態でどのような仕様になるかは現在開発中のため未定だという。
また、現在の対応端末はAndroid TVおよびFire OS搭載テレビや同OS搭載端末。Android TV OS 9/10またはFire OS 6/7搭載機器に対応しており、現在は下記端末で動作確認がとれているという。
・シャープ アクオス 2019年以降に発売したAndroid TV機能搭載モデル
・ソニー ブラビア 2019年以降に発売したAndroid TV機能搭載モデル
・東芝 レグザ 2021年以降に発売したAndroid TV機能搭載モデル
・Amazon Fire TV Cube(第2世代)
・Amazon Fire TV Stick 4K
・Amazon Fire TV Stick 4K Max
・Amazon Fire TV Stick(第3世代)
・Amazon Fire TV(第3世代)
・Chromecast with Google TV
対応端末は今後順次拡大予定。「テレビメーカー各社とも、技術的な部分を含めて協議を重ねている」(NHKスタッフ)という。
■テレビ向け配信以外にもサービス拡充中。登録の簡素化なども
既報のとおり、総合テレビは24時間、Eテレは深夜の放送休止時間を除いた19時間程度に配信対象時間を拡大するなど、テレビ向けの配信開始以外にもNHKプラスはサービスを拡充中。「高校野球など権利許諾関係が難しいものもあるが、権利者の方々の理解も広がっている」とのことで、総合テレビで放送している番組に至っては95%を配信できているという。
NHKのスタッフは「NHKプラスで視聴できる番組をできるだけ増やしたいと思っている」ともコメント。最近、過去のドラマなどを深夜時間帯に総合チャンネルで一挙放送するケースも見られるが、これは、テレビで放送することでNHKプラスでも見逃し配信できるようにする狙いもあるようだ。
なお、NHKプラスは地上波(総合/Eテレ)の番組を配信するサービスであるため、BSやBS4K/8Kの番組は配信対象外。仮に4Kなどの配信を行おうとする場合、「NHKインターネット活用業務実施基準」を変更して総務省に認可申請を行うなどといった手順が必要になる。
また、利用開始手続きの簡素化も行っており、3月末で「確認コード」制度を廃止。現在、NHKプラスの登録を完了するためには、ID登録申請ののち、NHK側が放送受信契約があることを確認した上で、「確認コード」を記載したハガキを送付、それをもとに利用者が入力するという手続きが必要。この確認コードを廃止し、4月からはNHK側で放送受信契約があることを確認できた時点で登録完了とする。これにより、NHKプラスの利用申込み手続きは、すべてインターネット上で行えるようになる。
そして夏以降「仮登録」制度を新たに設置。「仮登録」では、IDを兼ねたメールアドレスとパスワードを登録すれば、すぐに各機能を利用できるようにする。なお、仮登録の有効期限は1ヶ月。
そのほか、いわゆる“ご当地番組”の配信も拡大。現在、午後6時台については、南関東エリアの同時配信・見逃し番組配信に加えて、大阪・名古屋・福岡の各拠点放送局のニュースを、それぞれ見逃し番組配信しているが、4月4日から、札幌・仙台・広島・松山も加え、すべての拠点放送局の午後6時台のニュースを番組配信している。
中山アナは「広島出身で、以前は広島支局にいたのでやっぱり広島の番組は気になる」とコメント。「例えば、新型コロナウイルスの感染状況も地域によって事情が異なっている。故郷の詳しい状況を知るなどといったことにも便利なのではないか」と語った。
■記者も体験してみた
会場では動作デモも実施。実際に記者もテレビでの操作を体験したが、カーソル移動などもサクサク動き、番組の音声検索などの反応も非常に早い。UIも奇をてらわず一般的な動画サービスと似た構成になっているため、マニュアルなどを確認しなくても感覚的に操作できる。
一方で、スマホで視聴していた続きをテレビで見たりすることはできない。また、ID登録は世帯ごとの扱いとなっているため、1つのIDで5台の端末まで同時視聴できるが、家族ごとにマイページを分けて持つなどといったことも不可能なので、別々の人がマイリスト登録した番組がいっしょくたになるという課題もある。このあたりはできれば改善を期待したいところだ。
ID登録数は右肩上がりで伸びており、サービスインからここまでの2年間で250万登録を突破したとのこと。視聴者のさらなる利便性向上のため、今後の展開にも期待したい。