9月2日よりドイツ・ベルリンにて
IFAが3年ぶりのリアル開催へ。主催者に聞く展望と見どころ
エレクトロニクスショー「IFA」が、2022年はドイツの首都ベルリンで“リアル展示”を中心に開催されることが明らかになった。IFAを主催するメッセ・ベルリンのIFAエグゼクティブ・ディレクターであるイエンズ・ハイテッカー氏、ディレクターのディリク・コスロフスキー氏に、今年は9月2日から予定するIFA2022がどんなイベントになるのか詳細を聞いた。
■3年ぶりにベルリンでフルスケール開催されるIFA
毎年9月頃にベルリンで開催されてきたIFAは、オーディオ・ビジュアルからデジタルガジェット、ホームアプライアンスまで多彩な領域のコンシューマー家電をカバーしていることや、期間中に多くの一般来場者も足を運ぶ“お祭り”的なイベントであることから「世界最大級のコンシューマーエレクトロニクスショー」として広く知られている。
近年は欧州を中心とするスタートアップを集めた展示エリア「IFA NEXT」を拡張したり、ジュネーブモーターショーとのパートナーシップにより、コンシューマーエレクトロニクスとモビリティをつなぐイベント「SHIFT Mobilty」をIFAに取り込みながら成長を続けてきた。
2020年は春から新型コロナウィルス感染症の影響が世界中に及んだことから、IFAは当初予定していたメッセ・ベルリンでのリアル展示の規模を大きく縮小したうえ、カンファレンスのオンライン動画配信やバーチャルブースによる展示を併設することで「IFA2020の開催を続けること」を重視し、これを達成した。
ところが2021年は春を迎えた頃、新型コロナウィルスの変異種が現れたことでパンデミックの影響が終息する兆しを見せなかったため、当初予定していたリアル展示を中心とした開催を全面キャンセルした。
今年はIFA2022が、従来通りメッセ・ベルリンの会場をフルスケールに活用するリアル展示を3年ぶりに実現できるのか、各方面から関心が寄せられている。
■メッセ・ベルリンでは大規模展示会が次々に再開されている
4月27日にはメッセ・ベルリンのハイテッカー氏がオンライン形式で開催されたデジタルプレスカンファレンスに登壇。9月2日から6日(5日間)に渡り開催するIFA2022は「コロナ禍によるパンデミックを乗り越えて以来、グローバルスケールで“リアル展示”を行う最初のテクノロジーイベントとして必ず成功させる」と宣言した。
ドイツでは今春から、新型コロナウィルス感染症に関連する規制がすべて撤廃された。コレに伴い、メッセ・ベルリンがIFA以外のグローバルな展示会・見本市も、2月には食品をテーマに扱う「FRUIT LOGISTICA」が順調にフルスケールで開催された。6月には航空・宇宙分野のグローバル展示会「ILA Berlin 2022」の開催も控える。
IFA2022の本番に向けて、ハイテッカー氏は引き続き必要な衛生対策等をしっかりと講じていくと話している。そのうえで「世界を見ればまだパンデミックが終息しきっていないし、国や地域ごとに海外渡航に関連する厳しい規制があることも承知している。これからIFAにお越しいただくことを検討される方々に、ベルリンは街の中、交通機関や空港など衛生対策がしっかりと施されており、滞在期間を安心して過ごせる環境が整っていることを伝えたい」とした。
■IFAは欧州最大エレクトロニクス関連のトレードショーでもある
ハイテッカー氏はIFA2019まで会場の大型ホールに出展していたメイン企業の7割以上が、IFA2022に同規模の展示スペースを予約していることや、ほかにも世界中の企業からブッキングの申し込みが寄せられていると述べた。
残念ながら出展企業の詳細については、日本企業の動向も含めて現時点ではまだ明らかにされなかったが、コスロフスキー氏は「これから詳細な要望をうかがっていきたい。世界的に待望されてきた、リアル開催によるエレクトロニクスのグローバルイベントに寄せられている期待は大きいと受けとめている」とし、ポジティブな展望を語った。
EuronicsやMediaMarkt、ElectronicPartnerをはじめとする、欧州やドイツの大手電気小売グループもIFA2022への参加を次々に表明している。コスロフスキー氏は「トレードショーとして他のイベントにないIFAの価値にもぜひ注目してほしい」として、IFAに出展することにより大きなメリットがあることをアピールした。
■併催イベントも実施準備が進む。デジタルイメージングの「BERLINPHOTOWEEK」も
イベントの初日の基調講演や、期間中に開催を予定する出展企業のプレスカンファレンスはすべてリアルタイム配信を行う。9月2日には米クアルコムのクリスティアーノ・アモンCEOが基調講演のステージに登壇する予定だ。
またイベントの期間中には、IFA NEXTやSHIFT Mobility、IFA+ SUMMITなど関連するイベントの開催も決まっている。IFA Global Marketについては、従来中国から多くのODM/OEM企業が出展するイベントとなっているため、中国での新型コロナウィルス感染症によるパンデミックの影響が見通せない限り、現状では実施の判断が難しいという。
IFA NEXTについては、2019年のイベントでは日本がパートナー国に名乗りを挙げて大いに盛り上げた。ハイテッカー氏は「今年も日本から、伸び盛りな企業が数多くIFA NEXTに参加してくれるのではないか」とコメントした。
なお、デジタルイメージングをテーマとするIFAのパートナーイベント「BERLIN PHOTO WEEK」は今年もIFAの開催と重なる期間(9月2日から4日まで)に、マグナム・フォトとの共催によりベルリン市内の会場で実施される。例年はIFAの会場にもカメラ関連の出展が多く集まっている。デジタルイメージングの最新動向に注目している方もまたIFAに足を運ぶことで収穫が得られそうだ。
筆者も2019年まで、毎年ベルリンを訪れてIFAを取材してきた。昨今はオンライン形式の発表会や取材を通じて多くの情報を得ることもできるが、やはりエレクトロニクス機器は実際に触れてみて質感や機能の全容を理解できることも多い。
IFAのようなグローバルイベントは、ふだん会える機会が限られている海外の製品担当者に直接、開発のエピソードや裏話が聞ける貴重な機会でもある。そして何より未知のブランドや製品、スタートアップのエキサイティングな展示にブースの近くを歩いていたら“偶然に出会える”面白さはリアル開催のイベントでしか得られない収穫だ。筆者も準備を整えて、秋には久しぶりにIFAを訪れてみたいと思う。
■3年ぶりにベルリンでフルスケール開催されるIFA
毎年9月頃にベルリンで開催されてきたIFAは、オーディオ・ビジュアルからデジタルガジェット、ホームアプライアンスまで多彩な領域のコンシューマー家電をカバーしていることや、期間中に多くの一般来場者も足を運ぶ“お祭り”的なイベントであることから「世界最大級のコンシューマーエレクトロニクスショー」として広く知られている。
近年は欧州を中心とするスタートアップを集めた展示エリア「IFA NEXT」を拡張したり、ジュネーブモーターショーとのパートナーシップにより、コンシューマーエレクトロニクスとモビリティをつなぐイベント「SHIFT Mobilty」をIFAに取り込みながら成長を続けてきた。
2020年は春から新型コロナウィルス感染症の影響が世界中に及んだことから、IFAは当初予定していたメッセ・ベルリンでのリアル展示の規模を大きく縮小したうえ、カンファレンスのオンライン動画配信やバーチャルブースによる展示を併設することで「IFA2020の開催を続けること」を重視し、これを達成した。
ところが2021年は春を迎えた頃、新型コロナウィルスの変異種が現れたことでパンデミックの影響が終息する兆しを見せなかったため、当初予定していたリアル展示を中心とした開催を全面キャンセルした。
今年はIFA2022が、従来通りメッセ・ベルリンの会場をフルスケールに活用するリアル展示を3年ぶりに実現できるのか、各方面から関心が寄せられている。
■メッセ・ベルリンでは大規模展示会が次々に再開されている
4月27日にはメッセ・ベルリンのハイテッカー氏がオンライン形式で開催されたデジタルプレスカンファレンスに登壇。9月2日から6日(5日間)に渡り開催するIFA2022は「コロナ禍によるパンデミックを乗り越えて以来、グローバルスケールで“リアル展示”を行う最初のテクノロジーイベントとして必ず成功させる」と宣言した。
ドイツでは今春から、新型コロナウィルス感染症に関連する規制がすべて撤廃された。コレに伴い、メッセ・ベルリンがIFA以外のグローバルな展示会・見本市も、2月には食品をテーマに扱う「FRUIT LOGISTICA」が順調にフルスケールで開催された。6月には航空・宇宙分野のグローバル展示会「ILA Berlin 2022」の開催も控える。
IFA2022の本番に向けて、ハイテッカー氏は引き続き必要な衛生対策等をしっかりと講じていくと話している。そのうえで「世界を見ればまだパンデミックが終息しきっていないし、国や地域ごとに海外渡航に関連する厳しい規制があることも承知している。これからIFAにお越しいただくことを検討される方々に、ベルリンは街の中、交通機関や空港など衛生対策がしっかりと施されており、滞在期間を安心して過ごせる環境が整っていることを伝えたい」とした。
■IFAは欧州最大エレクトロニクス関連のトレードショーでもある
ハイテッカー氏はIFA2019まで会場の大型ホールに出展していたメイン企業の7割以上が、IFA2022に同規模の展示スペースを予約していることや、ほかにも世界中の企業からブッキングの申し込みが寄せられていると述べた。
残念ながら出展企業の詳細については、日本企業の動向も含めて現時点ではまだ明らかにされなかったが、コスロフスキー氏は「これから詳細な要望をうかがっていきたい。世界的に待望されてきた、リアル開催によるエレクトロニクスのグローバルイベントに寄せられている期待は大きいと受けとめている」とし、ポジティブな展望を語った。
EuronicsやMediaMarkt、ElectronicPartnerをはじめとする、欧州やドイツの大手電気小売グループもIFA2022への参加を次々に表明している。コスロフスキー氏は「トレードショーとして他のイベントにないIFAの価値にもぜひ注目してほしい」として、IFAに出展することにより大きなメリットがあることをアピールした。
■併催イベントも実施準備が進む。デジタルイメージングの「BERLINPHOTOWEEK」も
イベントの初日の基調講演や、期間中に開催を予定する出展企業のプレスカンファレンスはすべてリアルタイム配信を行う。9月2日には米クアルコムのクリスティアーノ・アモンCEOが基調講演のステージに登壇する予定だ。
またイベントの期間中には、IFA NEXTやSHIFT Mobility、IFA+ SUMMITなど関連するイベントの開催も決まっている。IFA Global Marketについては、従来中国から多くのODM/OEM企業が出展するイベントとなっているため、中国での新型コロナウィルス感染症によるパンデミックの影響が見通せない限り、現状では実施の判断が難しいという。
IFA NEXTについては、2019年のイベントでは日本がパートナー国に名乗りを挙げて大いに盛り上げた。ハイテッカー氏は「今年も日本から、伸び盛りな企業が数多くIFA NEXTに参加してくれるのではないか」とコメントした。
なお、デジタルイメージングをテーマとするIFAのパートナーイベント「BERLIN PHOTO WEEK」は今年もIFAの開催と重なる期間(9月2日から4日まで)に、マグナム・フォトとの共催によりベルリン市内の会場で実施される。例年はIFAの会場にもカメラ関連の出展が多く集まっている。デジタルイメージングの最新動向に注目している方もまたIFAに足を運ぶことで収穫が得られそうだ。
筆者も2019年まで、毎年ベルリンを訪れてIFAを取材してきた。昨今はオンライン形式の発表会や取材を通じて多くの情報を得ることもできるが、やはりエレクトロニクス機器は実際に触れてみて質感や機能の全容を理解できることも多い。
IFAのようなグローバルイベントは、ふだん会える機会が限られている海外の製品担当者に直接、開発のエピソードや裏話が聞ける貴重な機会でもある。そして何より未知のブランドや製品、スタートアップのエキサイティングな展示にブースの近くを歩いていたら“偶然に出会える”面白さはリアル開催のイベントでしか得られない収穫だ。筆者も準備を整えて、秋には久しぶりにIFAを訪れてみたいと思う。