7/1まで開催
厚さ約1mm55型フレキシブルminiLEDディスプレイ/『ドンブラザーズ』採用“リアルタイムモーションキャプチャー”。「先端デジタル テクノロジー展」レポート
本日6月29日から7月1日の3日間、東京ビッグサイトでは日本最大のコンテンツビジネス総合展「コンテンツ 東京 2022」を開催している。本稿では同総合展を構成する「先端デジタル テクノロジー展」と同時開催の「第2回XR総合展 夏」の内容をピックアップしてレポートする。
台湾の大手半導体メーカー、フォックスコングループの液晶パネル製造会社Innolux Corporationは、厚さ約1mmでR75mmまでの折り曲げに対応するフレキシブルminiLEDディスプレイ「H5512A」を展示。一般で使用されるテレビの20%以下を謳う低消費電力と約4kgの軽量設計による設置性の高さをアピール。現在使用されている液晶モニタータイプのサイネージからの置き換え需要を見込み、日本国内での展開を行っていくとのこと。
会場にて展示を行っていた55型サイズのモデルは、miniLED素子を155万個搭載し、コントラスト比は10万:1、600ニットの高輝度を実現。色再現性についても「有機ELよりも色の表現力が高い」と説明する。
開発したばかりの製品ということもあり、導入費についても「安くはない」額になっており、現在はサイネージとしての使用を主にBtoB向けソリューションとして展開を目指す。しかし、本製品の持つポテンシャルの高さから「10年後は一般家庭用のテレビディスプレイになっていくのではないか」と展望を語った。
ブースではR75mmまでの折り曲げ性能を実証する360度ディスプレイや、防水性能の高さをアピールするデモンストレーションを実施。このフレキシブルminiLEDディスプレイは、現在110インチモデルの開発に成功しているとのことで、今後さらなる大型サイズの生産に着手し、より幅広い普及を目指していく計画だ。
ほかにも同社ブースでは、通常ディスプレイでは再現の難しい、被写体の質感や角度ごとの光の反射を表現する「煌めきディスプレイ」を展示。28インチ(3,840×2,160)と65インチ(4,320×7,680)の2つのサイズでデモンストレーションを行っていた。
ディスプレイに光の反射を制御する特殊な光学フィルムを貼り付けることで、反射の分布の再現を実施。表示コンテンツについては、専用のコンテンツを用意する必要があるが、Unity専用のマテリアルアセットを開発することで、Unityユーザーであれば簡単に「煌めき」効果を付与したCGが作成できるとしている。
こちらについてもサイネージやイベント展示などでの露出をメインとしているが、将来的にはスマートフォンなどに導入し、ウェブショッピングページに掲載される販売品写真を“実際の質感”になるべく近いものにするといったビジョンを描いているという。
シーイヤー株式会社では、ビームフォーミングとハウリングキャンセルを利用し、騒音環境下でも確実な収音を実現する技術展示を実施。電車や乗用車の中といった騒音環境下においても確実に声を収音する業務用の引き合いを期待したプロダクトとなっている。
ほかにも、タブレットに専用のアプリをインストールし、“音を触って自在に動かす”「Drowing Sound0」を展示。入力音源は最大8個、最高8chのシステムに対応したミキサーとなっており、画面表示される「音のアイコン」のスワイプに連動してスピーカーから発せられる音の指向性を変えられるというもの。
製品としてのリリースはこれからになるとのことだが、使用例として、舞台芸術の場で演者と一緒に音を動かすといった演出のアシストや自宅でのリスニングポイント設定など、「多岐に渡る使用用途が想定される」と説明する。
今回が先端デジタル テクノロジー展初出展というアイ・ペアーズ株式会社は、映像制作やライブイベントで用いられる演出技術を仮想化し、メタバースコンテンツにリアルタイムで対応可能にするテクニカルパッケージ「ライブビジュアライゼーション」を紹介。
ブースではその一例として、演者が関節部分に加速度センサーとジャイロセンサーなどを備える専用スーツを着用し、パーツごとの動きをAIが人間の動きに換算するという「リアルタイムモーションキャプチャー」を実施する。
モーションキャプチャー用のカメラを使用することなく、各センサーが集めたデータは背中に装備されるボディパックに集約し、Wi-Fiを通してデータを飛すことで演者の動きをそのままCGキャラクターにトレースすることができる。
基本はWi-Fiでのリアルタイムオペレーションが主とのことだが、ボディパック内へのレコーディングも可能で、スキージャンプ金メダリスト・小林陵侑選手のモーションキャプチャーを実施した際には、実際に飛ぶ直前にエンジニアがレコーディングボタンを押すといった運用を行ったという。
また、現在テレビ朝日系にて放送されている「スーパー戦隊シリーズ」第46作目『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』の撮影においても同技術は採用されている。実写スーツに混じって戦うCGキャラクターのメンバー(キジブラザー、イヌブラザー)は、モーションキャプチャーとモーションビルダーデータをUnityで反映。さらに、BlackMagic社製品との連携で、その場で撮影している映像にCGキャラを合成して放送用の映像を作り上げているという。
なお、リアルタイムの実写映像との組み合わせというシチュエーションでは正確なデータ同期実現のため、Wi-FiだけでなくボディパックにLANケーブルを差し込むことで対応する。撮影時には、モーションキャプチャーの演者がアクション中にケーブルを踏まないように、同社エンジニアチームにケーブル裁き用の人員も配置しているといったこぼれ話も聞かれた。
プリンター・OA機器といった複合機に用いられる光センサーの供給を行なう京都府の会社KODENSHIは、光センサーという“部品”から“モジュール”にという観点のもと開発した「空間入力モジュール」を展示。「コロナ禍でより身近になった非接触という考えを一歩進めて開発を行った」と説明する。
立体視の見やすい表示や筐体モジュールを大きくとすることで社会実装性を高めたとする本モデルは、エレベーターのボタンや飲食店の呼び出しベルといったシチュエーション、医療・食品工場などの衛生管理が求められる現場などでの採用を狙い、プロモーションを掛けているとのことだ。
光センサーによるジェスチャーセンシングを誘導する、空中結像技術「空中ディスプレイ」は同社のビジネスパートナーでもあるアスカネットの提供によるもの。同社スタッフによると、アニメーションを描画するディスプレイと空中結像に必要なガラスプレートの配置間隔や屈折方法を見直すことができればモジュールの薄型化を実現できるとしており、今後のさらなる技術発展に意気込んでいた。
台湾の大手半導体メーカー、フォックスコングループの液晶パネル製造会社Innolux Corporationは、厚さ約1mmでR75mmまでの折り曲げに対応するフレキシブルminiLEDディスプレイ「H5512A」を展示。一般で使用されるテレビの20%以下を謳う低消費電力と約4kgの軽量設計による設置性の高さをアピール。現在使用されている液晶モニタータイプのサイネージからの置き換え需要を見込み、日本国内での展開を行っていくとのこと。
会場にて展示を行っていた55型サイズのモデルは、miniLED素子を155万個搭載し、コントラスト比は10万:1、600ニットの高輝度を実現。色再現性についても「有機ELよりも色の表現力が高い」と説明する。
開発したばかりの製品ということもあり、導入費についても「安くはない」額になっており、現在はサイネージとしての使用を主にBtoB向けソリューションとして展開を目指す。しかし、本製品の持つポテンシャルの高さから「10年後は一般家庭用のテレビディスプレイになっていくのではないか」と展望を語った。
ブースではR75mmまでの折り曲げ性能を実証する360度ディスプレイや、防水性能の高さをアピールするデモンストレーションを実施。このフレキシブルminiLEDディスプレイは、現在110インチモデルの開発に成功しているとのことで、今後さらなる大型サイズの生産に着手し、より幅広い普及を目指していく計画だ。
ほかにも同社ブースでは、通常ディスプレイでは再現の難しい、被写体の質感や角度ごとの光の反射を表現する「煌めきディスプレイ」を展示。28インチ(3,840×2,160)と65インチ(4,320×7,680)の2つのサイズでデモンストレーションを行っていた。
ディスプレイに光の反射を制御する特殊な光学フィルムを貼り付けることで、反射の分布の再現を実施。表示コンテンツについては、専用のコンテンツを用意する必要があるが、Unity専用のマテリアルアセットを開発することで、Unityユーザーであれば簡単に「煌めき」効果を付与したCGが作成できるとしている。
こちらについてもサイネージやイベント展示などでの露出をメインとしているが、将来的にはスマートフォンなどに導入し、ウェブショッピングページに掲載される販売品写真を“実際の質感”になるべく近いものにするといったビジョンを描いているという。
シーイヤー株式会社では、ビームフォーミングとハウリングキャンセルを利用し、騒音環境下でも確実な収音を実現する技術展示を実施。電車や乗用車の中といった騒音環境下においても確実に声を収音する業務用の引き合いを期待したプロダクトとなっている。
ほかにも、タブレットに専用のアプリをインストールし、“音を触って自在に動かす”「Drowing Sound0」を展示。入力音源は最大8個、最高8chのシステムに対応したミキサーとなっており、画面表示される「音のアイコン」のスワイプに連動してスピーカーから発せられる音の指向性を変えられるというもの。
製品としてのリリースはこれからになるとのことだが、使用例として、舞台芸術の場で演者と一緒に音を動かすといった演出のアシストや自宅でのリスニングポイント設定など、「多岐に渡る使用用途が想定される」と説明する。
今回が先端デジタル テクノロジー展初出展というアイ・ペアーズ株式会社は、映像制作やライブイベントで用いられる演出技術を仮想化し、メタバースコンテンツにリアルタイムで対応可能にするテクニカルパッケージ「ライブビジュアライゼーション」を紹介。
ブースではその一例として、演者が関節部分に加速度センサーとジャイロセンサーなどを備える専用スーツを着用し、パーツごとの動きをAIが人間の動きに換算するという「リアルタイムモーションキャプチャー」を実施する。
モーションキャプチャー用のカメラを使用することなく、各センサーが集めたデータは背中に装備されるボディパックに集約し、Wi-Fiを通してデータを飛すことで演者の動きをそのままCGキャラクターにトレースすることができる。
基本はWi-Fiでのリアルタイムオペレーションが主とのことだが、ボディパック内へのレコーディングも可能で、スキージャンプ金メダリスト・小林陵侑選手のモーションキャプチャーを実施した際には、実際に飛ぶ直前にエンジニアがレコーディングボタンを押すといった運用を行ったという。
また、現在テレビ朝日系にて放送されている「スーパー戦隊シリーズ」第46作目『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』の撮影においても同技術は採用されている。実写スーツに混じって戦うCGキャラクターのメンバー(キジブラザー、イヌブラザー)は、モーションキャプチャーとモーションビルダーデータをUnityで反映。さらに、BlackMagic社製品との連携で、その場で撮影している映像にCGキャラを合成して放送用の映像を作り上げているという。
なお、リアルタイムの実写映像との組み合わせというシチュエーションでは正確なデータ同期実現のため、Wi-FiだけでなくボディパックにLANケーブルを差し込むことで対応する。撮影時には、モーションキャプチャーの演者がアクション中にケーブルを踏まないように、同社エンジニアチームにケーブル裁き用の人員も配置しているといったこぼれ話も聞かれた。
プリンター・OA機器といった複合機に用いられる光センサーの供給を行なう京都府の会社KODENSHIは、光センサーという“部品”から“モジュール”にという観点のもと開発した「空間入力モジュール」を展示。「コロナ禍でより身近になった非接触という考えを一歩進めて開発を行った」と説明する。
立体視の見やすい表示や筐体モジュールを大きくとすることで社会実装性を高めたとする本モデルは、エレベーターのボタンや飲食店の呼び出しベルといったシチュエーション、医療・食品工場などの衛生管理が求められる現場などでの採用を狙い、プロモーションを掛けているとのことだ。
光センサーによるジェスチャーセンシングを誘導する、空中結像技術「空中ディスプレイ」は同社のビジネスパートナーでもあるアスカネットの提供によるもの。同社スタッフによると、アニメーションを描画するディスプレイと空中結像に必要なガラスプレートの配置間隔や屈折方法を見直すことができればモジュールの薄型化を実現できるとしており、今後のさらなる技術発展に意気込んでいた。