遮音性能や最大音量を向上
final、新フラグシップ完全ワイヤレス「ZE8000 MK2」。8K SOUNDをさらに進化
finalは、同社完全ワイヤレスイヤホンのフラグシップである「ZE8000」の機能を進化させた新モデル、「ZE8000 MK2」を11月17日に発売する。本日10月28日より予約受付を開始、価格は36,800円(税込)。
本日開催の「秋のヘッドフォン祭2023」にて同社は新製品発表会を実施。ZE8000 MK2をはじめとした新モデルについて紹介された。
finalでは、人によって好みは様々あるなかで、良い音の基準を定めるにあたり、「完全な没入体験(Immersive Sound)を実現すること」を目標の根幹に掲げているという。それに向け会社のリソースの多くを研究開発に割き、新しい音楽体験を提供できるように取り組んでいる。
同社ではこれまでの製品において、Immersive Soundをアコースティックな調整で実現を目指してきた。それに対し、初代ZE8000はこのアコースティックな調整にデジタル信号処理を組み合わせることで、「8K SOUND」の実現を謳ったモデルとなる。
この8K SOUNDが上述の目標のかたちの1つで、それを成し遂げたZE8000はfinalの集大成の1つであるとしている。楽器や声のどこに注意を向けても、奥行きも含めて全てにフォーカスが合うという体験は初めてのものであり、「低域の質感」「高域の伸び」といった表現では表しきれないとして、8K SOUNDという呼称を決定したという。
同社は8K SOUNDについて、フォーカスと情報量の2つの側面から解説。フォーカスの面では、ある対象物にピントをあわせて背景をボカした写真と全体的にピントのあった写真を例に挙げて、8K SOUNDは全体にピントのあったものであると述べる。
つまり、「強調された音」を聴くのではなく、自分が好きなところにピントをあわせていくような聴き方ができるのが特徴となる。一方で、ZE8000については賛否の声があった。「否」はイヤホンファンの方、「賛」はスピーカーでの音楽鑑賞に慣れている方から多く寄せられる傾向にあったそうだ。これはイヤホンに比べて「遠くの音を自分で聴きにいく」というスピーカーリスニングの特性によるものではないかと同社は分析している。
では、「この音が聴きたい」とピントをあわせていくと、全体だけでなく細部での情報量が必要となる。これが情報量の側面であり、ここが音色に関わってくるとして、その再現性を高めたそうだ。
今回のZE8000 MK2では、この8K SOUNDをさらに進化させた。その内容を同社は「オーケストラに没入できるイヤホン」と説明している。
従来のイヤホンについては、特定の周波数にピークをもたせるような音響設計がなされていることが多く、オーケストラのように異なる音色の多数の楽器で構成された音源に対しては、作曲家や演奏家が意図した再現ができないという課題があったと同社。これに対してZE8000 MK2では、極めてフラットな音質特性の8K SOUNDにより、各楽器間のバランスを損なうことなく、楽器独自の音色を忠実に再現できるとアピールする。
また一例としてオーケストラを出しているが、この再現性はジャズ、ロック、ポップスなどあらゆるジャンルの音楽においても、楽器やボーカルを音源そのままのバランスで再生できると述べている。
ZE8000 MK2はハードウェアとソフトウェアの両面で改良を行っている。信号処理を見直し、S/Nが向上。小音量でも8K SOUNDを体感できるようになった。加えて、内部構造の改善や、2つの「シールドフィン」を備えた新設計イヤーピースによる装着性と遮音性の向上、アクティブノイズキャンセリングのアルゴリズムの見直しによって、遮音性能をZE8000より32%高めた。さらに最大音量は5dBアップしている。
ノイズキャンセリングモードは、ZE8000同様にウインドカットモード、ながら聴きモード、ボイススルーモードも用意。風切り音に対するノイズ耐性が従来より高められている。
連続再生時間や対応コーデックなどのスペックはZE8000に準拠。連続再生時間はイヤホン単体で最長5時間、ケース込みで15時間。チップセットにQualcomm QCC5141を採用し、Bluetoothはバージョン5.2、コーデックはaptX Adaptive/aptX/AAC/SBCをサポートするほか、「Snapdragon Sound」にも対応する。マルチポイント接続もZE8000はファームウェアアップデートで実現したが、本機では最初から対応している。
D7000はフラグシップヘッドホン「D8000」の弟分にあたるモデル。新しい音質へのアプローチとして、D8000の開発時に構想はあったが実現できなかったという、耳介の非対称性を考慮した形状を採用した専用ディフューザーを採用している。整った形状のディフューザーは存在するが、それでは環境によって左右されてしまうことから、この形が最適と判断したとのことだ。
ヘッドバンドとイヤーパッドに和紙素材を採用している。また専用プロテクトケース、6.3mmケーブルが同梱。価格は未定だが30〜40万円程度になる見込みで、発売は11月下旬を予定している。
VR500はこれまで「VR3000 for Gaming」「VR2000 for Gaming」と展開されてきた有線イヤホンVRシリーズの最新モデル。ゲームに向いたサウンドという傾向を踏襲しながら、コストを抑えることでより手頃な価格を実現している。
finalではエントリーイヤホン「E1000」をラインナップしているが、VR500はこのモデルのコンセプトも引き継いでいるとのことで、若年層が手に入れやすく、また使いやすいモデルであることも目指したという。上位機が耳掛け型であるのに対してVR500はその仕様を省きコンパクト化しているが、これはコストの面もさることながら、お子様の小さな耳にも装着しやすいことに配慮したそうだ。
またサウンドは音の定位、空間表現に優れている点はVRシリーズに共通しているが、上位機よりもバランス型の音作りになっているという。価格は「E1000C」(2,980円前後)を見込み、年内発売を予定。
ゲーミングジャンルではUXシリーズの新モデルとして、ハイブリッドノイズキャンセリングにゲーミングモードを搭載する「UX2000」も新登場。こちらは「UX3000」よりは低価格で、ag「WHP01K」(9,800円)程度になるのではとのこと。こちらも発売は年内を見込む。
REBブランドからは、final「E3000」開発チームと共同開発したというイヤホン「GLID01」の一般販売がアナウンスされた。本日より予約受付を開始し、11月21日に販売。価格は5,980円(税込)となる。
さらに、春のヘッドフォン祭で発表した新サービス「自分ダミーヘッド」の続報も明かされた。自分ダミーヘッドは上半身3Dスキャン、耳介&外耳道入り口の3Dスキャンを行い構築したダミーヘッドデータをバーチャル音空間に配置して、専用の物理特性を出すというもの。
本サービスが11月下旬に予約開始となる。価格は55,000円。対象モデルはZE8000からスタートし、年明けにはZE8000 MK2も対象にできるように調整中とのこと。なお、自分ダミーヘッドの効果は大きく、ZE8000に自分ダミーヘッドを組み合わせた音はZE8000 ML2とはまた違った「自分にあった」ものとなることからオススメしたいと担当者は語っていた。
同社が取り扱うDITAブランドからも新モデルの有線イヤホン「Project M」が披露された。これまでの製品と異なり、金属筐体ではなく樹脂を採用。ドライバーは1ダイナミック+1BA構成で、新規開発された9.8mmダイナミックドライバー「PM1+」、Knowles製BAドライバー「33518」を搭載する。
PM1+の「+」には、ダイナミックドライバーに他形式のドライバーがプラスできるチューニングである、ということを意味しているとのこと。全体の音バランスとしては90%がダイナミックドライバーで、残りをBAドライバーが担うような調整が施される。
イヤホン端子などでコストカットすることもできたが、DITAとしてもアイデンティティであることから、そこで妥協はしなかったそう。その分だけ本体価格も上がってしまうが、その代わりとして内部配線や同梱ケーブルは、Cardas Audioの協力のもと高品位な線材を採用した。このほかにも、蓄光仕様のfinal TYPE-Eイヤーチップ、TANOS製のケースも用意。年内の発売を目指しており、価格はブランド初のDACアンプ「Navigator」(49,800円)に近しいものになるのでは、とのことだった。
本日開催の「秋のヘッドフォン祭2023」にて同社は新製品発表会を実施。ZE8000 MK2をはじめとした新モデルについて紹介された。
■ZE8000 MK2は「オーケストラに没入できるイヤホン」に
finalでは、人によって好みは様々あるなかで、良い音の基準を定めるにあたり、「完全な没入体験(Immersive Sound)を実現すること」を目標の根幹に掲げているという。それに向け会社のリソースの多くを研究開発に割き、新しい音楽体験を提供できるように取り組んでいる。
同社ではこれまでの製品において、Immersive Soundをアコースティックな調整で実現を目指してきた。それに対し、初代ZE8000はこのアコースティックな調整にデジタル信号処理を組み合わせることで、「8K SOUND」の実現を謳ったモデルとなる。
この8K SOUNDが上述の目標のかたちの1つで、それを成し遂げたZE8000はfinalの集大成の1つであるとしている。楽器や声のどこに注意を向けても、奥行きも含めて全てにフォーカスが合うという体験は初めてのものであり、「低域の質感」「高域の伸び」といった表現では表しきれないとして、8K SOUNDという呼称を決定したという。
同社は8K SOUNDについて、フォーカスと情報量の2つの側面から解説。フォーカスの面では、ある対象物にピントをあわせて背景をボカした写真と全体的にピントのあった写真を例に挙げて、8K SOUNDは全体にピントのあったものであると述べる。
つまり、「強調された音」を聴くのではなく、自分が好きなところにピントをあわせていくような聴き方ができるのが特徴となる。一方で、ZE8000については賛否の声があった。「否」はイヤホンファンの方、「賛」はスピーカーでの音楽鑑賞に慣れている方から多く寄せられる傾向にあったそうだ。これはイヤホンに比べて「遠くの音を自分で聴きにいく」というスピーカーリスニングの特性によるものではないかと同社は分析している。
では、「この音が聴きたい」とピントをあわせていくと、全体だけでなく細部での情報量が必要となる。これが情報量の側面であり、ここが音色に関わってくるとして、その再現性を高めたそうだ。
今回のZE8000 MK2では、この8K SOUNDをさらに進化させた。その内容を同社は「オーケストラに没入できるイヤホン」と説明している。
従来のイヤホンについては、特定の周波数にピークをもたせるような音響設計がなされていることが多く、オーケストラのように異なる音色の多数の楽器で構成された音源に対しては、作曲家や演奏家が意図した再現ができないという課題があったと同社。これに対してZE8000 MK2では、極めてフラットな音質特性の8K SOUNDにより、各楽器間のバランスを損なうことなく、楽器独自の音色を忠実に再現できるとアピールする。
また一例としてオーケストラを出しているが、この再現性はジャズ、ロック、ポップスなどあらゆるジャンルの音楽においても、楽器やボーカルを音源そのままのバランスで再生できると述べている。
ZE8000 MK2はハードウェアとソフトウェアの両面で改良を行っている。信号処理を見直し、S/Nが向上。小音量でも8K SOUNDを体感できるようになった。加えて、内部構造の改善や、2つの「シールドフィン」を備えた新設計イヤーピースによる装着性と遮音性の向上、アクティブノイズキャンセリングのアルゴリズムの見直しによって、遮音性能をZE8000より32%高めた。さらに最大音量は5dBアップしている。
ノイズキャンセリングモードは、ZE8000同様にウインドカットモード、ながら聴きモード、ボイススルーモードも用意。風切り音に対するノイズ耐性が従来より高められている。
連続再生時間や対応コーデックなどのスペックはZE8000に準拠。連続再生時間はイヤホン単体で最長5時間、ケース込みで15時間。チップセットにQualcomm QCC5141を採用し、Bluetoothはバージョン5.2、コーデックはaptX Adaptive/aptX/AAC/SBCをサポートするほか、「Snapdragon Sound」にも対応する。マルチポイント接続もZE8000はファームウェアアップデートで実現したが、本機では最初から対応している。
■ヘッドホン「UX7000」や「VR500」など新モデル多数
D7000はフラグシップヘッドホン「D8000」の弟分にあたるモデル。新しい音質へのアプローチとして、D8000の開発時に構想はあったが実現できなかったという、耳介の非対称性を考慮した形状を採用した専用ディフューザーを採用している。整った形状のディフューザーは存在するが、それでは環境によって左右されてしまうことから、この形が最適と判断したとのことだ。
ヘッドバンドとイヤーパッドに和紙素材を採用している。また専用プロテクトケース、6.3mmケーブルが同梱。価格は未定だが30〜40万円程度になる見込みで、発売は11月下旬を予定している。
VR500はこれまで「VR3000 for Gaming」「VR2000 for Gaming」と展開されてきた有線イヤホンVRシリーズの最新モデル。ゲームに向いたサウンドという傾向を踏襲しながら、コストを抑えることでより手頃な価格を実現している。
finalではエントリーイヤホン「E1000」をラインナップしているが、VR500はこのモデルのコンセプトも引き継いでいるとのことで、若年層が手に入れやすく、また使いやすいモデルであることも目指したという。上位機が耳掛け型であるのに対してVR500はその仕様を省きコンパクト化しているが、これはコストの面もさることながら、お子様の小さな耳にも装着しやすいことに配慮したそうだ。
またサウンドは音の定位、空間表現に優れている点はVRシリーズに共通しているが、上位機よりもバランス型の音作りになっているという。価格は「E1000C」(2,980円前後)を見込み、年内発売を予定。
ゲーミングジャンルではUXシリーズの新モデルとして、ハイブリッドノイズキャンセリングにゲーミングモードを搭載する「UX2000」も新登場。こちらは「UX3000」よりは低価格で、ag「WHP01K」(9,800円)程度になるのではとのこと。こちらも発売は年内を見込む。
REBブランドからは、final「E3000」開発チームと共同開発したというイヤホン「GLID01」の一般販売がアナウンスされた。本日より予約受付を開始し、11月21日に販売。価格は5,980円(税込)となる。
さらに、春のヘッドフォン祭で発表した新サービス「自分ダミーヘッド」の続報も明かされた。自分ダミーヘッドは上半身3Dスキャン、耳介&外耳道入り口の3Dスキャンを行い構築したダミーヘッドデータをバーチャル音空間に配置して、専用の物理特性を出すというもの。
本サービスが11月下旬に予約開始となる。価格は55,000円。対象モデルはZE8000からスタートし、年明けにはZE8000 MK2も対象にできるように調整中とのこと。なお、自分ダミーヘッドの効果は大きく、ZE8000に自分ダミーヘッドを組み合わせた音はZE8000 ML2とはまた違った「自分にあった」ものとなることからオススメしたいと担当者は語っていた。
同社が取り扱うDITAブランドからも新モデルの有線イヤホン「Project M」が披露された。これまでの製品と異なり、金属筐体ではなく樹脂を採用。ドライバーは1ダイナミック+1BA構成で、新規開発された9.8mmダイナミックドライバー「PM1+」、Knowles製BAドライバー「33518」を搭載する。
PM1+の「+」には、ダイナミックドライバーに他形式のドライバーがプラスできるチューニングである、ということを意味しているとのこと。全体の音バランスとしては90%がダイナミックドライバーで、残りをBAドライバーが担うような調整が施される。
イヤホン端子などでコストカットすることもできたが、DITAとしてもアイデンティティであることから、そこで妥協はしなかったそう。その分だけ本体価格も上がってしまうが、その代わりとして内部配線や同梱ケーブルは、Cardas Audioの協力のもと高品位な線材を採用した。このほかにも、蓄光仕様のfinal TYPE-Eイヤーチップ、TANOS製のケースも用意。年内の発売を目指しており、価格はブランド初のDACアンプ「Navigator」(49,800円)に近しいものになるのでは、とのことだった。