メディア向け実績報告会の模様をレポート
「DMM TV」ローンチ2周年。DMMプレミアムは累計登録者350万人突破、今後は“縦型ショートドラマ“にも参入
合同会社DMM.comは、同社が展開する動画配信サービス「DMM TV」、およびサブスク会員システム「DMMプレミアム」が来月サービス開始2周年を迎えることに伴い、これまでの2年間の実績やユーザー動向、戦略、今後の取り組みについて紹介するメディア向け実績報告会を、昨日11月27日に開催した。本稿ではその模様をレポートしたい。
DMM TVは,アニメを主軸にバラエティや2.5次元作品、舞台、ミュージカル、ドラマ、映画など幅広いジャンルのコンテンツを提供する総合動画配信サービス。新作から独占配信作品、そしてオリジナル作品までアニメ約6,000作品、エンタメを含む計約19万本のコンテンツを配信しており、月額550円(税込)のDMMプレミアムに加入することで、これらを見放題で楽しむことができる。
2022年12月にDMM TVとDMMプレミアムがローンチ。翌年3月にDAZN、Pixivとのセットプランの提供を開始すると、同年8月には累計登録者数100万人を突破する。そして今年1月には新作アニメの見放題作品数年間No.1を獲得。同年9月には新たにショートドラマ領域への参入を発表すると共に、10月には累計登録者数350万人を突破している。
この2年間を振り返り、DMMのCOO兼DMM TV総合プロデューサー・村中 悠介氏は「DMMはアニメが充実したプラットフォームとして認知いただけた」と特にアニメ作品の充実をアピール。また、同社初のオリジナルドラマ『ケンシロウによろしく』が国際エミー賞2024の短編シリーズ部門にノミネートしたことや、現在推し進めるショートドラマ領域への参入など、実写ドラマ製作にも力を入れていると語る。
DMM TVならではの強みとして、村中氏は「配信コンテンツの数は常に意識して取り組んできた」と強調する。2024年10月時点で配信コンテンツ数は約19万本以上、配信アニメは約6,000作品以上、国内作品見放題数業界第2位を記録するなど、継続的な配信コンテンツ数の拡大を図ってきたと述べた。
特にアニメ作品では、過去作品のラインナップの充実よりも、ユーザーからニーズの高い新作アニメに注力していると村中氏は語る。一方、過去作品についても「ある程度のものはほぼ網羅できているはず」と謳う。
また、主軸であるアニメの視聴体験向上を図るため、国内の大手配信事業者として初めて次世代動画圧縮コーデック技術「AV1」を今年7月に採用。AV1は非営利団体のAlliance for Open Mediaが開発した動画圧縮コーデックで、このコーデックへの対応により、DMM TVではフルHD(1080p)の映像において、従来の「H.264」による映像と比較して同等の画質を保ったまま、40%から70%程度の通信量でコンテンツを視聴できるようなっている。
さらに、DMMはオリジナルコンテンツにも注力する。配信ならではのチャレンジングかつハイクオリティな企画に積極投資。TBSの人気TV番組『水曜日のダウンタウン』のディレクター藤井健太郎氏が手がけるバラエティ『大脱出』や、脚本バカリズム・主演松田龍平氏によるドラマ『ケンシロウによろしく』など、約30作品のオリジナルコンテンツを配信。村中氏は「YoutubeクオリティのコンテンツならYouTubeで配信すれば良いとなる。作品選定なども含めて、攻めたコンテンツ作りを意識している」と力を込めた。
そのほか、プラットフォームを横断したエンタメ体験の提供にも注力。カンテレ共同企画としてドラマと漫画が同時に進行する新企画『デスゲームで待ってる』や、人気VTuver「にじさんじ」をオリジナル番組に起用し、関連グッズをDMMスクラッチにて展開する『にじさんじ人気VTuber大集結!THE遊び王決定戦 Season2』などを紹介した。
続いて、DMMプレミアムの実績と概況として、今年10月にDMMプレミアムの有料会員数が106万人を突破したことを明らかにした。来年1月には約125万人ほどを見込んでいるとしており、これはサービス開始から約2年で約430%の急成長を遂げる形となる。なお、この有料会員数には無料トライアルのユーザーは含まれていない。
数年で急成長を遂げた要因として、同社は「アニメへの集中投資によるコアファンの獲得」「実写コンテンツ強化によるユーザー層拡大」「強力なパートナーとの積極的な協業を通じた認知・獲得の強化」を挙げる。村中氏は「サービス初動は手探り状態ということもあり少し苦戦したが、今はコツも掴んできたので順調に会員数増加を見込める状態」と語る。
また、DMM全体のユーザー数・ユーザー層拡大への貢献度合いとして、DMM全体の新規ユーザー(DMM.com会員+DMMプレミアム会員)の約半数をDMMプレミアム経由で獲得することができたとアピールする。さらには、DMMプレミアム会員において10〜20代が44%を占めるなど、若年ユーザー層拡大にも寄与したとのこと。
村中氏は「従来までのメインターゲットが30代〜40代だったところ、新たに10代〜20代の方にも入ってもらえた。より広い方に認知されやすい動画サービスにより、今までDMMにいなかったユーザー層が獲得できている」と述べる。また、従来のDMMはPCブラウザ向けサービスだったのに対し、DMM TVではアプリ視聴が全体の7〜8割を占めていることから、普段アプリ視聴に慣れている若い層にも広がりをみせたのではと考察していた。
同社はサービス開始当初に「2年間で会員数200万人突破」を目標として掲げていた。村中氏は「200万人という目標設定が、当時の分析含めて見込みが甘かった」としながらも、「有料会員数としてはまだ200万人に到達できていないので、今後も継続的なサービス向上を図っていく」とコメントした。
今後の施策および展望として、まずアニメ作品においては、今後も新作アニメカバー率100%(他社独占作品を除く)を追求し、「圧倒的コスパ×作品数」で差別化に取り組んでいくと説明する。具体例として、2024年秋クールの最新ラインナップにも70作品以上の新作アニメが追加。また最新作を含むアニメ2,000作品以上の第1話無料配信も実施している。
また、国内実写コンテンツも継続強化していくとしており、「アニメファン以外の新たなユーザー層の開拓を狙う」と強調する。新たなユーザー層を惹きつける国内ドラマ・邦画作品の拡充に努めていきながら、企画段階からの制作強力による実写化に取り組むとしており、今年10月には漫画家・桂正和の代表作『ウイングマン』生誕40周年を記念した実写ドラマ『ウイングマン』を配信開始している。
さらにオリジナル作品では、今冬〜来春にかけて強力なキャストを迎えた新作ドラマを多数予定。窪塚洋介・亀梨和也のW主演ドラマ『外道の歌』を12月6日より配信開始するほか、来年以降も、のん、藤ヶ谷太輔出演の『幸せカナコの殺し屋生活』、伊藤英明主演の『ドンケツ』といった注目作品を多数予定している。
そして、新たなジャンルとして「縦型ショートドラマ」へ参入する。縦型ショートドラマは、1話約2〜3分のコンテンツが展開されるもので、1作品あたり全30〜50話ほどで構成される。行間のあまりない、どんどんと話や展開が進んでいくのが特徴としている。加えてアプリ視聴がメインとなることから、「時間のない現代人に向いたコンテンツ」だとアピールする。
縦型ショートドラマの市場規模は中国だけでも6兆円規模に達しているという報告もあり、これまで市場規模が狭かった日本国内においても、2023年と2024年の収益比較では約3,000万円から約36億円と、わずか1年で120倍に成長。直近数ヶ月の月間収益規模は合計約20〜30億円/月に至るなど、日本でも着実に市場拡大の一途を辿っていると強調した。
DMM TVでは縦型ショートドラマ領域での今後展開として、年間20億円規模の投資とオリジナルコンテンツの制作ノウハウや、優秀なクリエイター等との協業実績により、注目度の高い国内外ヒット作品の配信や、クリエイター・制作会社とのオリジナル共同制作を目指してくという。コンテンツの配信開始は現在来春頃を予定しており、毎月オリジナル制作ショートドラマ4作品の配信、年間で50作品以上の国内外ヒット作品を目指していくとのことだ。
最後に村中氏は、「DMM TVとDMMプレミアムは業界最後発のサブスク動画サービスとしてローンチしたが、ある程度戦えるという確信のもとやってきたことで一定の市民権は得られた。今後もやり方をどんどん変化させながら、より深いエンタメ体験をユーザーの方々に提供できるようにしていく。ぜひ今後もDMM TVに期待していただきたい」と締めくくった。
■ローンチ開始から2年間を振り返る。「アニメが充実したプラットフォームとして認知してもらえた」
DMM TVは,アニメを主軸にバラエティや2.5次元作品、舞台、ミュージカル、ドラマ、映画など幅広いジャンルのコンテンツを提供する総合動画配信サービス。新作から独占配信作品、そしてオリジナル作品までアニメ約6,000作品、エンタメを含む計約19万本のコンテンツを配信しており、月額550円(税込)のDMMプレミアムに加入することで、これらを見放題で楽しむことができる。
2022年12月にDMM TVとDMMプレミアムがローンチ。翌年3月にDAZN、Pixivとのセットプランの提供を開始すると、同年8月には累計登録者数100万人を突破する。そして今年1月には新作アニメの見放題作品数年間No.1を獲得。同年9月には新たにショートドラマ領域への参入を発表すると共に、10月には累計登録者数350万人を突破している。
この2年間を振り返り、DMMのCOO兼DMM TV総合プロデューサー・村中 悠介氏は「DMMはアニメが充実したプラットフォームとして認知いただけた」と特にアニメ作品の充実をアピール。また、同社初のオリジナルドラマ『ケンシロウによろしく』が国際エミー賞2024の短編シリーズ部門にノミネートしたことや、現在推し進めるショートドラマ領域への参入など、実写ドラマ製作にも力を入れていると語る。
DMM TVならではの強みとして、村中氏は「配信コンテンツの数は常に意識して取り組んできた」と強調する。2024年10月時点で配信コンテンツ数は約19万本以上、配信アニメは約6,000作品以上、国内作品見放題数業界第2位を記録するなど、継続的な配信コンテンツ数の拡大を図ってきたと述べた。
特にアニメ作品では、過去作品のラインナップの充実よりも、ユーザーからニーズの高い新作アニメに注力していると村中氏は語る。一方、過去作品についても「ある程度のものはほぼ網羅できているはず」と謳う。
また、主軸であるアニメの視聴体験向上を図るため、国内の大手配信事業者として初めて次世代動画圧縮コーデック技術「AV1」を今年7月に採用。AV1は非営利団体のAlliance for Open Mediaが開発した動画圧縮コーデックで、このコーデックへの対応により、DMM TVではフルHD(1080p)の映像において、従来の「H.264」による映像と比較して同等の画質を保ったまま、40%から70%程度の通信量でコンテンツを視聴できるようなっている。
さらに、DMMはオリジナルコンテンツにも注力する。配信ならではのチャレンジングかつハイクオリティな企画に積極投資。TBSの人気TV番組『水曜日のダウンタウン』のディレクター藤井健太郎氏が手がけるバラエティ『大脱出』や、脚本バカリズム・主演松田龍平氏によるドラマ『ケンシロウによろしく』など、約30作品のオリジナルコンテンツを配信。村中氏は「YoutubeクオリティのコンテンツならYouTubeで配信すれば良いとなる。作品選定なども含めて、攻めたコンテンツ作りを意識している」と力を込めた。
そのほか、プラットフォームを横断したエンタメ体験の提供にも注力。カンテレ共同企画としてドラマと漫画が同時に進行する新企画『デスゲームで待ってる』や、人気VTuver「にじさんじ」をオリジナル番組に起用し、関連グッズをDMMスクラッチにて展開する『にじさんじ人気VTuber大集結!THE遊び王決定戦 Season2』などを紹介した。
■DMMプレミアム有料会員数106万人を突破。新たに若年ユーザー層も獲得
続いて、DMMプレミアムの実績と概況として、今年10月にDMMプレミアムの有料会員数が106万人を突破したことを明らかにした。来年1月には約125万人ほどを見込んでいるとしており、これはサービス開始から約2年で約430%の急成長を遂げる形となる。なお、この有料会員数には無料トライアルのユーザーは含まれていない。
数年で急成長を遂げた要因として、同社は「アニメへの集中投資によるコアファンの獲得」「実写コンテンツ強化によるユーザー層拡大」「強力なパートナーとの積極的な協業を通じた認知・獲得の強化」を挙げる。村中氏は「サービス初動は手探り状態ということもあり少し苦戦したが、今はコツも掴んできたので順調に会員数増加を見込める状態」と語る。
また、DMM全体のユーザー数・ユーザー層拡大への貢献度合いとして、DMM全体の新規ユーザー(DMM.com会員+DMMプレミアム会員)の約半数をDMMプレミアム経由で獲得することができたとアピールする。さらには、DMMプレミアム会員において10〜20代が44%を占めるなど、若年ユーザー層拡大にも寄与したとのこと。
村中氏は「従来までのメインターゲットが30代〜40代だったところ、新たに10代〜20代の方にも入ってもらえた。より広い方に認知されやすい動画サービスにより、今までDMMにいなかったユーザー層が獲得できている」と述べる。また、従来のDMMはPCブラウザ向けサービスだったのに対し、DMM TVではアプリ視聴が全体の7〜8割を占めていることから、普段アプリ視聴に慣れている若い層にも広がりをみせたのではと考察していた。
同社はサービス開始当初に「2年間で会員数200万人突破」を目標として掲げていた。村中氏は「200万人という目標設定が、当時の分析含めて見込みが甘かった」としながらも、「有料会員数としてはまだ200万人に到達できていないので、今後も継続的なサービス向上を図っていく」とコメントした。
■今後も新作アニメカバー率100%を追求。来春から縦型ショートドラマにも参入
今後の施策および展望として、まずアニメ作品においては、今後も新作アニメカバー率100%(他社独占作品を除く)を追求し、「圧倒的コスパ×作品数」で差別化に取り組んでいくと説明する。具体例として、2024年秋クールの最新ラインナップにも70作品以上の新作アニメが追加。また最新作を含むアニメ2,000作品以上の第1話無料配信も実施している。
また、国内実写コンテンツも継続強化していくとしており、「アニメファン以外の新たなユーザー層の開拓を狙う」と強調する。新たなユーザー層を惹きつける国内ドラマ・邦画作品の拡充に努めていきながら、企画段階からの制作強力による実写化に取り組むとしており、今年10月には漫画家・桂正和の代表作『ウイングマン』生誕40周年を記念した実写ドラマ『ウイングマン』を配信開始している。
さらにオリジナル作品では、今冬〜来春にかけて強力なキャストを迎えた新作ドラマを多数予定。窪塚洋介・亀梨和也のW主演ドラマ『外道の歌』を12月6日より配信開始するほか、来年以降も、のん、藤ヶ谷太輔出演の『幸せカナコの殺し屋生活』、伊藤英明主演の『ドンケツ』といった注目作品を多数予定している。
そして、新たなジャンルとして「縦型ショートドラマ」へ参入する。縦型ショートドラマは、1話約2〜3分のコンテンツが展開されるもので、1作品あたり全30〜50話ほどで構成される。行間のあまりない、どんどんと話や展開が進んでいくのが特徴としている。加えてアプリ視聴がメインとなることから、「時間のない現代人に向いたコンテンツ」だとアピールする。
縦型ショートドラマの市場規模は中国だけでも6兆円規模に達しているという報告もあり、これまで市場規模が狭かった日本国内においても、2023年と2024年の収益比較では約3,000万円から約36億円と、わずか1年で120倍に成長。直近数ヶ月の月間収益規模は合計約20〜30億円/月に至るなど、日本でも着実に市場拡大の一途を辿っていると強調した。
DMM TVでは縦型ショートドラマ領域での今後展開として、年間20億円規模の投資とオリジナルコンテンツの制作ノウハウや、優秀なクリエイター等との協業実績により、注目度の高い国内外ヒット作品の配信や、クリエイター・制作会社とのオリジナル共同制作を目指してくという。コンテンツの配信開始は現在来春頃を予定しており、毎月オリジナル制作ショートドラマ4作品の配信、年間で50作品以上の国内外ヒット作品を目指していくとのことだ。
最後に村中氏は、「DMM TVとDMMプレミアムは業界最後発のサブスク動画サービスとしてローンチしたが、ある程度戦えるという確信のもとやってきたことで一定の市民権は得られた。今後もやり方をどんどん変化させながら、より深いエンタメ体験をユーザーの方々に提供できるようにしていく。ぜひ今後もDMM TVに期待していただきたい」と締めくくった。