LUMIX初のフルサイズミラーレス一眼カメラ
パナソニック、フルサイズミラーレス「S1/S1R」を3月23日発売。314,000円から
パナソニックは、フルサイズミラーレス一眼カメラ “LUMIX”「DC-S1R」「DC-S1」を3月23日に発売する。標準ズームとのレンズキット「DC-S1RM」「DC-S1M」もラインナップされる。
・「DC-S1R」¥OPEN(予想実売価格464,000円前後/税抜)
・「DC-S1」¥OPEN(予想実売価格314,000円前後/税抜)
・「DC-S1RM」¥OPEN(予想実売価格576,000円前後/税抜)
・「DC-S1M」¥OPEN(予想実売価格426,000円前後/税抜)
また3本の「LUMIX S PRO」レンズ、「24-105mm F4 Macro O.I.S.(160,000円・税抜)」「70-200mm F4 O.I.S.(210,000円・税抜)」「50mm F1.4(285,000円前後・税抜)」も同時に発表。こちらも発売日は3月23日となる。
今回発表された2機種は、LUMIXとして初めてフルサイズセンサーを使用したモデル。昨年9月に開発発表(関連ニュース)が行われ、今月の頭には海外で発表されていた(関連ニュース)。今回、日本での発売が正式に発表されたかたちだ。
S1Rは、ローパスレスで有効4,730万画素のフルサイズセンサーを搭載することで高解像度描写を実現。またS1は、有効2,420万画素のフルサイズセンサーを搭載、ISO100 - 512000の常用感度に対応することで、優れた高感度性能をもつとする。
発表会に登壇した同社の渕上氏は、本モデルに対して「プロの方が本当に使い込める仕上がり」とアピール。「ぜひともプロの方に使っていただき、様々な形で写真・映像を創造してほしい、自信を持って送り出したい製品」と述べた。
2機種ともにセンサーの表面には、AR(Anti Reflection)コーティング処理が施される。逆光時の撮影時やセンサー表面での反射を抑え、フレアを効果的に抑制するという。またセンサーの高速読み出しにより、フルサイズミラーレス一眼カメラとしては世界初となる、4K/60pの動画記録、ハイスピード動画(4K:最大2倍スロー/FHD:最大6倍スロー)に対応した。
S1では、HLG方式でのHDR動画記録に対応する。また別売予定のアップグレードソフトウェアキーを購入することで、4:2:2 10bit記録やV-Log記録に対応する。HDMI出力では4:2:2 10bit 4K/60pで、本体内部記録では4:2:2 10bit 4K/30pの記録が可能となっている。
センサー以外の性能はほぼ共通。HLGフォト機能を搭載しており、HDRの静止画を撮影することも可能。同社のHDR対応テレビなどと接続することで、従来のSDRと比べて3倍のダイナミックレンジで表示することができる。HDR対応の4Kディスプレイで実現する写真の新表現と説明されており、山根氏は、「プリントでは表現できない光の大きさや色域の拡大による色彩豊かな表現が楽しめる。これはカメラもテレビも開発しているパナソニックだからこその機能」と述べていた。
画像処理エンジンには、新ヴィーナスエンジンを採用。マルチピクセル輝度生成とインテリジェントディテール処理により、交換レンズのもつ改造性能を余すことなく再現。またセンサーからの信号処理フローを最適化させることで、広いダイナミックを実現したとする。さらに明度別の制御が可能な「新3次元色コントロール」により、色調を再現しながらの階調表現や、「マルチプロセスNR」により、解像度・質感を維持しながらノイズを抑えることもできるようになったという。
本製品の画作りは「生命力・生命美」という考え方を継承。「『G9 PRO』では自然なディティールや豊かな階調表現で高い評価を頂いたが、Sシリーズではフルサイズセンサーの特性を活かしながら、さらに表現力を高めている」と山根氏。この表現を支えているのが、先述したイメージセンサーと、新しいヴィーナスエンジンだという。
そして手ぶれ補正ではボディ内に5軸手ぶれ補正を搭載し、効果は5.5段分という。またボディ内とレンズの両方の手ぶれ補正を連動させる「Dual I.S 2」は6段分の補正に対応する。オートフォーカスは空間認識技術「DFDテクノロジー」により、合焦速度0.08秒で動作、また-6EVの低照度に対応する。ディープラーニングを用いた顔・瞳AFにも対応するほか、人体認識AF、鳥/イヌ科/ネコ科に対応した動物認識にも対応。
撮影したいイメージに合わせて効果を選べるフォトスタイルには、コントラストを彩度を抑えた「フラット」を搭載することで、やわらかな表現が可能になったほか、撮影時のアスペクト比は従来の3:2、4:3、16:9、1:1に加えて65:24、2:1に対応する。
マウントにはライカLマウントを採用し、パナソニック/ライカ/シグマから発売される同マウントのレンズを使用することができる(関連ニュース「Lマウントアライアンス」)。
シャッター速度は1/8000秒に対応しており、フラッシュ同調速度は1/320秒。また連写性能は最大9コマ/秒で、30コマ/秒の6Kフォトと60コマ/秒の4Kフォトモードにも対応する。なお耐久性能は約40万回。
ボディ内手ブレ補正の機構を活かすことで、センサーをシフトさせながら計8回の連続自動撮影を行う「ハイレゾモード」も搭載し、S1Rでは1億8,700万画素相当、S1では9,600万画素相当の撮影が行える。
3軸で可動する背面のタッチパネル液晶は3.2インチの210万ドット。本体上部にはステータスLCD搭載し、ファインダー「リアルビューファインダー」はOLEDの576万ドット。倍率は0.78倍で、0.74倍、0.7倍に変更することも可能だ。またファインダーのリフレッシュレートは120fpsで、ラグは0.005秒だという。ファインダー・モニターともに、天体撮影のような暗所に役立つ「ナイトモード」も搭載する。
ボディには100%のシーリングが施され、防塵防滴かつ耐低温(-10度)の設計。なおこれはSシリーズ共通仕様となっており、バッテリーやレンズも同様とのこと。記録メディアとしてSD(UHS-II)とXQDのダブルスロットを搭載しており、XQDスロットはCFexpressカード(TypeB)にも対応予定。
撮影可能枚数は、静止画でS1Rが約360枚(XQDカード/モニター)、S1が約380枚(XQDカード/モニター)。またファインダー使用時は約380枚(XQDカード)、S1が約400枚(XQDカード)。そして動画では両機種ともにモニターで約150分、ファインダーで約140分となる。外形寸法はどちらも148.9W×110.0H×96.7Dmmで、質量(ボディのみ)はS1Rが898gで、S1が899g。USB PDに対応し、USB-Cからの充電も可能。
■スペックには出てこない素晴らしさがある
発表会では、写真家 相原正明氏が登壇し、実際にS1Rで撮影を行った感想について語った。同氏によると「持ったときの所有感がすごい」という。また大きさや重さについても触れられ、「風景の撮影ではある程度の大きさがないと、写真がぶれてしまう」と、アウトドアでの撮影に適したカメラだとアピールした。
また画質については、「階調や色の抜けが良い。JPEGからの撮って出しでも十分」と説明し、また「ファインダーは素晴らしく、1日中使っていても目の疲労が少ない。シャッターのストロークも良く、各部品の工作精度も高い」と実際に使用することで、スペックには乗っていない部分で多くの良さを感じたと述べた。
■堅牢性のある本体。ストレスなく使える操作性
発表会の後には実際に製品を試すことができ、はじめに持った感想として、ボディの剛性感がしっかりと感じられた。グリップは少し浅めなものの、十分な本体サイズのおかげで大型のレンズを装着してもしっかりとホールドすることができた。本体重量やサイズ感の影響もあり、70-200mmのような大型のレンズであってもバランスが良く、非常に安定感があった。
また先述の相原氏もアピールしていたように、ミラーレス一眼において最高クラスの解像度をもつファインダーの見栄えはよく、MF(マニュアルフォーカス)でもピントを合わせやすいと感じた。本体上部に設置されたステータスLCDは、ミラーレスでは小型化・省略されることが多いが、本製品では本体サイズが大きいため、情報量が多く見やすいと感じた。
本体のボタン類も多く、ISO感度、ホワイトバランス、AF設定など、各設定が独立ボタンとなっているところも個人的には好印象。記者は同社のカメラ操作にあまり慣れていなかったが、この独立した設定ボタンのおかげで、直感的に設定を変更することができた。このあたりも本体サイズを小型化しなかったメリットだと感じられる。ジョイスティックも装備されており、AFポイントの移動もしやすい。
シャッターボタンを押したときの感触もよく、気持ちよくシャッターが切れるように感じた。個体差はあるもののレリーズ位置は浅めとなっており、シャッターチャンスを逃しにくそうだ。またシャッター音は「カタッ」と柔らかな音で、シャッターによるショックも大きくはない。
ミラーレス=小型化という流れがある昨今ではあるが、そのために犠牲になる性能も多い。本機では小型化するのではなく、より性能や操作性、堅牢性などを追求することで、ミラーレスの限界に挑戦しているような印象を受けた。
・「DC-S1R」¥OPEN(予想実売価格464,000円前後/税抜)
・「DC-S1」¥OPEN(予想実売価格314,000円前後/税抜)
・「DC-S1RM」¥OPEN(予想実売価格576,000円前後/税抜)
・「DC-S1M」¥OPEN(予想実売価格426,000円前後/税抜)
また3本の「LUMIX S PRO」レンズ、「24-105mm F4 Macro O.I.S.(160,000円・税抜)」「70-200mm F4 O.I.S.(210,000円・税抜)」「50mm F1.4(285,000円前後・税抜)」も同時に発表。こちらも発売日は3月23日となる。
今回発表された2機種は、LUMIXとして初めてフルサイズセンサーを使用したモデル。昨年9月に開発発表(関連ニュース)が行われ、今月の頭には海外で発表されていた(関連ニュース)。今回、日本での発売が正式に発表されたかたちだ。
S1Rは、ローパスレスで有効4,730万画素のフルサイズセンサーを搭載することで高解像度描写を実現。またS1は、有効2,420万画素のフルサイズセンサーを搭載、ISO100 - 512000の常用感度に対応することで、優れた高感度性能をもつとする。
発表会に登壇した同社の渕上氏は、本モデルに対して「プロの方が本当に使い込める仕上がり」とアピール。「ぜひともプロの方に使っていただき、様々な形で写真・映像を創造してほしい、自信を持って送り出したい製品」と述べた。
2機種ともにセンサーの表面には、AR(Anti Reflection)コーティング処理が施される。逆光時の撮影時やセンサー表面での反射を抑え、フレアを効果的に抑制するという。またセンサーの高速読み出しにより、フルサイズミラーレス一眼カメラとしては世界初となる、4K/60pの動画記録、ハイスピード動画(4K:最大2倍スロー/FHD:最大6倍スロー)に対応した。
S1では、HLG方式でのHDR動画記録に対応する。また別売予定のアップグレードソフトウェアキーを購入することで、4:2:2 10bit記録やV-Log記録に対応する。HDMI出力では4:2:2 10bit 4K/60pで、本体内部記録では4:2:2 10bit 4K/30pの記録が可能となっている。
センサー以外の性能はほぼ共通。HLGフォト機能を搭載しており、HDRの静止画を撮影することも可能。同社のHDR対応テレビなどと接続することで、従来のSDRと比べて3倍のダイナミックレンジで表示することができる。HDR対応の4Kディスプレイで実現する写真の新表現と説明されており、山根氏は、「プリントでは表現できない光の大きさや色域の拡大による色彩豊かな表現が楽しめる。これはカメラもテレビも開発しているパナソニックだからこその機能」と述べていた。
画像処理エンジンには、新ヴィーナスエンジンを採用。マルチピクセル輝度生成とインテリジェントディテール処理により、交換レンズのもつ改造性能を余すことなく再現。またセンサーからの信号処理フローを最適化させることで、広いダイナミックを実現したとする。さらに明度別の制御が可能な「新3次元色コントロール」により、色調を再現しながらの階調表現や、「マルチプロセスNR」により、解像度・質感を維持しながらノイズを抑えることもできるようになったという。
本製品の画作りは「生命力・生命美」という考え方を継承。「『G9 PRO』では自然なディティールや豊かな階調表現で高い評価を頂いたが、Sシリーズではフルサイズセンサーの特性を活かしながら、さらに表現力を高めている」と山根氏。この表現を支えているのが、先述したイメージセンサーと、新しいヴィーナスエンジンだという。
そして手ぶれ補正ではボディ内に5軸手ぶれ補正を搭載し、効果は5.5段分という。またボディ内とレンズの両方の手ぶれ補正を連動させる「Dual I.S 2」は6段分の補正に対応する。オートフォーカスは空間認識技術「DFDテクノロジー」により、合焦速度0.08秒で動作、また-6EVの低照度に対応する。ディープラーニングを用いた顔・瞳AFにも対応するほか、人体認識AF、鳥/イヌ科/ネコ科に対応した動物認識にも対応。
撮影したいイメージに合わせて効果を選べるフォトスタイルには、コントラストを彩度を抑えた「フラット」を搭載することで、やわらかな表現が可能になったほか、撮影時のアスペクト比は従来の3:2、4:3、16:9、1:1に加えて65:24、2:1に対応する。
マウントにはライカLマウントを採用し、パナソニック/ライカ/シグマから発売される同マウントのレンズを使用することができる(関連ニュース「Lマウントアライアンス」)。
シャッター速度は1/8000秒に対応しており、フラッシュ同調速度は1/320秒。また連写性能は最大9コマ/秒で、30コマ/秒の6Kフォトと60コマ/秒の4Kフォトモードにも対応する。なお耐久性能は約40万回。
ボディ内手ブレ補正の機構を活かすことで、センサーをシフトさせながら計8回の連続自動撮影を行う「ハイレゾモード」も搭載し、S1Rでは1億8,700万画素相当、S1では9,600万画素相当の撮影が行える。
3軸で可動する背面のタッチパネル液晶は3.2インチの210万ドット。本体上部にはステータスLCD搭載し、ファインダー「リアルビューファインダー」はOLEDの576万ドット。倍率は0.78倍で、0.74倍、0.7倍に変更することも可能だ。またファインダーのリフレッシュレートは120fpsで、ラグは0.005秒だという。ファインダー・モニターともに、天体撮影のような暗所に役立つ「ナイトモード」も搭載する。
ボディには100%のシーリングが施され、防塵防滴かつ耐低温(-10度)の設計。なおこれはSシリーズ共通仕様となっており、バッテリーやレンズも同様とのこと。記録メディアとしてSD(UHS-II)とXQDのダブルスロットを搭載しており、XQDスロットはCFexpressカード(TypeB)にも対応予定。
撮影可能枚数は、静止画でS1Rが約360枚(XQDカード/モニター)、S1が約380枚(XQDカード/モニター)。またファインダー使用時は約380枚(XQDカード)、S1が約400枚(XQDカード)。そして動画では両機種ともにモニターで約150分、ファインダーで約140分となる。外形寸法はどちらも148.9W×110.0H×96.7Dmmで、質量(ボディのみ)はS1Rが898gで、S1が899g。USB PDに対応し、USB-Cからの充電も可能。
■スペックには出てこない素晴らしさがある
発表会では、写真家 相原正明氏が登壇し、実際にS1Rで撮影を行った感想について語った。同氏によると「持ったときの所有感がすごい」という。また大きさや重さについても触れられ、「風景の撮影ではある程度の大きさがないと、写真がぶれてしまう」と、アウトドアでの撮影に適したカメラだとアピールした。
また画質については、「階調や色の抜けが良い。JPEGからの撮って出しでも十分」と説明し、また「ファインダーは素晴らしく、1日中使っていても目の疲労が少ない。シャッターのストロークも良く、各部品の工作精度も高い」と実際に使用することで、スペックには乗っていない部分で多くの良さを感じたと述べた。
■堅牢性のある本体。ストレスなく使える操作性
発表会の後には実際に製品を試すことができ、はじめに持った感想として、ボディの剛性感がしっかりと感じられた。グリップは少し浅めなものの、十分な本体サイズのおかげで大型のレンズを装着してもしっかりとホールドすることができた。本体重量やサイズ感の影響もあり、70-200mmのような大型のレンズであってもバランスが良く、非常に安定感があった。
また先述の相原氏もアピールしていたように、ミラーレス一眼において最高クラスの解像度をもつファインダーの見栄えはよく、MF(マニュアルフォーカス)でもピントを合わせやすいと感じた。本体上部に設置されたステータスLCDは、ミラーレスでは小型化・省略されることが多いが、本製品では本体サイズが大きいため、情報量が多く見やすいと感じた。
本体のボタン類も多く、ISO感度、ホワイトバランス、AF設定など、各設定が独立ボタンとなっているところも個人的には好印象。記者は同社のカメラ操作にあまり慣れていなかったが、この独立した設定ボタンのおかげで、直感的に設定を変更することができた。このあたりも本体サイズを小型化しなかったメリットだと感じられる。ジョイスティックも装備されており、AFポイントの移動もしやすい。
シャッターボタンを押したときの感触もよく、気持ちよくシャッターが切れるように感じた。個体差はあるもののレリーズ位置は浅めとなっており、シャッターチャンスを逃しにくそうだ。またシャッター音は「カタッ」と柔らかな音で、シャッターによるショックも大きくはない。
ミラーレス=小型化という流れがある昨今ではあるが、そのために犠牲になる性能も多い。本機では小型化するのではなく、より性能や操作性、堅牢性などを追求することで、ミラーレスの限界に挑戦しているような印象を受けた。