ガジェット宇宙船にもいろんな役割がある
水漏れの「ソユーズ」、代替機は2月下旬まで用意できず
NASAは、冷却水漏れが発生したロシアのソユーズ宇宙船(MS-22)に関する会見を開き、現状ではこの機体が使用できるかどうかが明確でないと述べ、さらに代替の宇宙船を国際宇宙ステーション(ISS)に送り届ける場合、その準備に2月下旬まで待たなければならないことを明らかにした。
問題の発生したソユーズ(MS-22)宇宙船は、現在ISSへの人員輸送を受け持つ2種類の宇宙船のうちのひとつで、ISSに滞在中の飛行士が緊急にISSから避難しなければならない状況になった場合には、これが救命ボートの役割も果たすようになっている。たとえばISSにスペースデブリが接近し、飛行士らがドッキング中の宇宙船に避難した例は何度もある。
しかし、先日発生した冷却水漏れにより、このソユーズ(MS-22)が安全に機能しない可能性が出てきた。ソユーズの冷却水ラインのポンプは冗長化が施されているが、冷却水がすべて漏れ出てしまった現状、ポンプが機能しても船内機器の冷却ができない状況だ。ロシアの宇宙機関Roscosmosは、冷却水ラインの穴が微小隕石の飛来によるものか確認しようとしているが、想定される飛来の方向と穴の場所が一致しないため、まだ原因は把握できていない。
Roscosmosは、現在の状況で可能性のある対応策としては、現在ISSに滞在しているMS-22ミッションの飛行士と入れ替わりでISSにやってくるソユーズ(MS-23)の打ち上げスケジュールを、3月中旬から2月下旬に早めることが考えられるとしている。
そうすれば、現在のクルーに救命ボートがない状況は解消できる(もちろん2月下旬までは、飛行士は救命ボートがない状態で待機しなければならない)。ただ、予定より早まるその打ち上げに、本来MS-23に搭乗する予定の飛行士を乗せるのか、無人で打ち上げるのかは検討を要するとした。
もし、問題のソユーズが有人での再突入には危険で、安全が保てない状況となれば、次のソユーズは無人でISSへ送り届ける必要が出てきそうだ。もしそうなった場合、現在のクルーは滞在期間を1ミッション分延長することになるかもしれない。
NASAのISSプログラムマネージャー、ジョエル・モンタルバーノ氏は、このような場合、問題の起きたソユーズをISSから切り離して無人で再突入させ、Roscosmosが問題の機体から挙動に関するデータを収集できるようにするだろうとの考えを示した。
ドッキング中のソユーズから漏れ出た冷却水は船内の機器を冷却するためのもので、これが機能しないと、「機器の電源を入れて飛行士がソユーズ内に入ると、すぐに船内の気温が上昇し始めてしまう」。さらに「気温がどこまで上昇するかは正確にはわからないが、いまはロシアとNASAの専門家が気温の上昇率や、さまざまな再突入の仕方によって、どれぐらいの温度にまで到達する可能性があるか推定しようとしている」とRoscosmosは説明した。
再突入の仕方については、たとえばソユーズ宇宙船がISSを離れて大気圏に再突入するまでの時間を最短にし、少しでも正常に近い状態で帰還させる方法や、宇宙船を制御する電子機器を一部オフにして温度上昇を抑え、手動で制御しつつ帰還する方法も検討されている。
なお、ISSへの人員輸送はSpaceXのCrew Dragon宇宙船でも行われており、こちらは1月9日に次回の打ち上げを実施する予定だ。ただ、Crew Dragonの飛行士が着るSpaceXの宇宙服(与圧服)は搭乗する飛行士ひとりひとりの体格にフィットするよう仕立てられたオーダーメイドであるため、ソユーズでISSに来た飛行士がCrew Dragonに乗り換えて帰還することはできないとのことだ。
Source: NASA
via: Ars Technica
問題の発生したソユーズ(MS-22)宇宙船は、現在ISSへの人員輸送を受け持つ2種類の宇宙船のうちのひとつで、ISSに滞在中の飛行士が緊急にISSから避難しなければならない状況になった場合には、これが救命ボートの役割も果たすようになっている。たとえばISSにスペースデブリが接近し、飛行士らがドッキング中の宇宙船に避難した例は何度もある。
しかし、先日発生した冷却水漏れにより、このソユーズ(MS-22)が安全に機能しない可能性が出てきた。ソユーズの冷却水ラインのポンプは冗長化が施されているが、冷却水がすべて漏れ出てしまった現状、ポンプが機能しても船内機器の冷却ができない状況だ。ロシアの宇宙機関Roscosmosは、冷却水ラインの穴が微小隕石の飛来によるものか確認しようとしているが、想定される飛来の方向と穴の場所が一致しないため、まだ原因は把握できていない。
Roscosmosは、現在の状況で可能性のある対応策としては、現在ISSに滞在しているMS-22ミッションの飛行士と入れ替わりでISSにやってくるソユーズ(MS-23)の打ち上げスケジュールを、3月中旬から2月下旬に早めることが考えられるとしている。
そうすれば、現在のクルーに救命ボートがない状況は解消できる(もちろん2月下旬までは、飛行士は救命ボートがない状態で待機しなければならない)。ただ、予定より早まるその打ち上げに、本来MS-23に搭乗する予定の飛行士を乗せるのか、無人で打ち上げるのかは検討を要するとした。
もし、問題のソユーズが有人での再突入には危険で、安全が保てない状況となれば、次のソユーズは無人でISSへ送り届ける必要が出てきそうだ。もしそうなった場合、現在のクルーは滞在期間を1ミッション分延長することになるかもしれない。
NASAのISSプログラムマネージャー、ジョエル・モンタルバーノ氏は、このような場合、問題の起きたソユーズをISSから切り離して無人で再突入させ、Roscosmosが問題の機体から挙動に関するデータを収集できるようにするだろうとの考えを示した。
ドッキング中のソユーズから漏れ出た冷却水は船内の機器を冷却するためのもので、これが機能しないと、「機器の電源を入れて飛行士がソユーズ内に入ると、すぐに船内の気温が上昇し始めてしまう」。さらに「気温がどこまで上昇するかは正確にはわからないが、いまはロシアとNASAの専門家が気温の上昇率や、さまざまな再突入の仕方によって、どれぐらいの温度にまで到達する可能性があるか推定しようとしている」とRoscosmosは説明した。
再突入の仕方については、たとえばソユーズ宇宙船がISSを離れて大気圏に再突入するまでの時間を最短にし、少しでも正常に近い状態で帰還させる方法や、宇宙船を制御する電子機器を一部オフにして温度上昇を抑え、手動で制御しつつ帰還する方法も検討されている。
なお、ISSへの人員輸送はSpaceXのCrew Dragon宇宙船でも行われており、こちらは1月9日に次回の打ち上げを実施する予定だ。ただ、Crew Dragonの飛行士が着るSpaceXの宇宙服(与圧服)は搭乗する飛行士ひとりひとりの体格にフィットするよう仕立てられたオーダーメイドであるため、ソユーズでISSに来た飛行士がCrew Dragonに乗り換えて帰還することはできないとのことだ。
Source: NASA
via: Ars Technica