ガジェット「AI画像は写真ではない」
AI生成画像が世界的写真コンテストで最優秀賞。作者は受賞辞退
写真コンテストのソニー・ワールドフォトグラフィーアワード 2023で、最優秀賞に選出された画像が、実は写真ではなく、AIで生成した画像であることを作者のBoris Eldagsen氏が明かした。これに対して、主催者のワールドフォトグラフィーオーガニゼーション(WPO)は、受賞作品をウェブサイトから削除したが、特にコメントを出すこともしていないため、議論を巻き起こしている。
このコンテストは、最優秀賞に選出されれば賞金5000ドルに加え、ソニーのカメラ機材、書籍および展覧会による世界的宣伝といった賞品が獲得できる世界規模の写真コンテストだ。
そして今年のコンテストでは、一般が参加できるクリエイティブ部門の最優秀作品として、写真の聡明期に2人の女性の肖像を撮影したような作品『THE ELECTRICIAN』が選ばれた。
Eldagsen氏は自身のブログで、今回の作品はフォトグラファーとしての経験を用いつつ、ジェネレーティブAIを「共同制作者」とし、その制作プロセスを監督する立場を務めたとしている。また、この作品は写真にインスパイアされてはいるものの「公募に参加することで、アワードの主催者がこの違いを認識し、AI生成画像を対象とする新しいコンテストが早期に開催されるようにさせたい」と述べた。
その後、Eldagsen氏は、選出されたことに関しては「権威ある国際的な写真コンテストでAIが生成した画像として初めて受賞するという、歴史的な瞬間になったことに感謝」しつつも、「(この作品が)AIで生成したものだと知っていた、あるいは疑っていた人はどれくらいいるのでしょうか。なんだか納得がいかないのではないでしょうか?AI画像と写真は、このような賞で同時に競い合うべきではありません。両者は別の存在です。AIは写真ではないので、私はこの賞を受け取らないことにしました」と述べ、受賞を辞退した。
なお、Eldagsen氏は受賞を辞退したため、コンテストの授賞式に招待されなかったが、自費でロンドンの授賞式に赴いて式典に参加した。そして頃合いを見計らって勝手にステージに上がり、その場の人々に自身の考えを話した。しかし、最後まで主催者スタッフや観客の誰もが彼に話しかけることはなく、また会場に飾られた『THE ELECTRICIAN』の額も途中で撤去されたという。
Eldagsen氏は昨年から、「PSEUDOMNESIA: Fake Memories」と題したシリーズで、AI生成画像をいくつか制作してきており、『THE ELECTRICIAN』もその作品のなかのひとつだ。「PSEUDOMNESIAとは、ラテン語で疑似記憶、偽りの記憶を意味し、単に不正確な記憶とは異なり、起こったことのない出来事を偽りなく思い出すようなものだ」と説明されている。
『THE ELECTRICIAN』も、1940年代思い起こさせる写真スタイルになるように生成用の言葉を選んで生成し、さらに40回近くも言葉による再編集を繰り返して作り出された。Eldagsen氏はこのプロセスを「プロンプトのささやき」と呼んでいる。
DALL・EやMidjoubneyと言った画像生成AIは、ここ数年で途轍もなく進歩が加速しており、まだ繰り返しの修正が必要だとは言え、『THE ELECTRICIAN』のような現実に撮影された者と変わりないほどの作品も生み出せるようになってきた。そして今後ますます、AIで生成した画像と実際の写真の違いは見分けがつかなくなることが予想される。Eldagsen氏の言うように、すでにこうしたコンテストは部門を分ける必要性が出てきているのかもしれない。
Source: WPO, Boris Eldagsen
via: PetaPixel
このコンテストは、最優秀賞に選出されれば賞金5000ドルに加え、ソニーのカメラ機材、書籍および展覧会による世界的宣伝といった賞品が獲得できる世界規模の写真コンテストだ。
そして今年のコンテストでは、一般が参加できるクリエイティブ部門の最優秀作品として、写真の聡明期に2人の女性の肖像を撮影したような作品『THE ELECTRICIAN』が選ばれた。
Eldagsen氏は自身のブログで、今回の作品はフォトグラファーとしての経験を用いつつ、ジェネレーティブAIを「共同制作者」とし、その制作プロセスを監督する立場を務めたとしている。また、この作品は写真にインスパイアされてはいるものの「公募に参加することで、アワードの主催者がこの違いを認識し、AI生成画像を対象とする新しいコンテストが早期に開催されるようにさせたい」と述べた。
その後、Eldagsen氏は、選出されたことに関しては「権威ある国際的な写真コンテストでAIが生成した画像として初めて受賞するという、歴史的な瞬間になったことに感謝」しつつも、「(この作品が)AIで生成したものだと知っていた、あるいは疑っていた人はどれくらいいるのでしょうか。なんだか納得がいかないのではないでしょうか?AI画像と写真は、このような賞で同時に競い合うべきではありません。両者は別の存在です。AIは写真ではないので、私はこの賞を受け取らないことにしました」と述べ、受賞を辞退した。
なお、Eldagsen氏は受賞を辞退したため、コンテストの授賞式に招待されなかったが、自費でロンドンの授賞式に赴いて式典に参加した。そして頃合いを見計らって勝手にステージに上がり、その場の人々に自身の考えを話した。しかし、最後まで主催者スタッフや観客の誰もが彼に話しかけることはなく、また会場に飾られた『THE ELECTRICIAN』の額も途中で撤去されたという。
Eldagsen氏は昨年から、「PSEUDOMNESIA: Fake Memories」と題したシリーズで、AI生成画像をいくつか制作してきており、『THE ELECTRICIAN』もその作品のなかのひとつだ。「PSEUDOMNESIAとは、ラテン語で疑似記憶、偽りの記憶を意味し、単に不正確な記憶とは異なり、起こったことのない出来事を偽りなく思い出すようなものだ」と説明されている。
『THE ELECTRICIAN』も、1940年代思い起こさせる写真スタイルになるように生成用の言葉を選んで生成し、さらに40回近くも言葉による再編集を繰り返して作り出された。Eldagsen氏はこのプロセスを「プロンプトのささやき」と呼んでいる。
DALL・EやMidjoubneyと言った画像生成AIは、ここ数年で途轍もなく進歩が加速しており、まだ繰り返しの修正が必要だとは言え、『THE ELECTRICIAN』のような現実に撮影された者と変わりないほどの作品も生み出せるようになってきた。そして今後ますます、AIで生成した画像と実際の写真の違いは見分けがつかなくなることが予想される。Eldagsen氏の言うように、すでにこうしたコンテストは部門を分ける必要性が出てきているのかもしれない。
Source: WPO, Boris Eldagsen
via: PetaPixel