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「JVAフェスタ'08」 開催中

デザインから廃棄処理まで、映画美術の裏方の仕事を初めて一挙公開

公開日 2008/11/01 10:50 山之内優子
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NPO法人日本映像美術協議会が主催する “JVA フェスタ'08” が東京の世田谷文化生活情報センター(生活工房)(三軒茶屋キャロットタワー4F)で、11月2日まで開催されている。

映像美術製作に関わるあらゆる業種の職人を擁する会社集団である日本映像美術協議会(JVA)は、映像美術の発展と会員の社会的地位の向上を目指し、1979年に発足した。昨年よりNPO法人化。創立30周年となる本年、記念事業として「JVAフェスタ'08」を開催している。

本フェスタでは、映像制作、デザイン、美術制作、装飾、衣裳、電飾、機構、造園、スタジオ業務、廃棄処理など、映像美術に関する各分野の仕事を紹介。また、映像美術の「匠」の技を競い、後継者の育成、技術継承を目的とするJVA賞対象作品を公開している。

JVA賞の審査の対象作品は、主にパネルによって紹介。これらは美術監督の大御所、木村威夫氏などの専門審査員により審査が行われ、後日、インターネット等で結果を発表し、12月上旬に表彰が行われる。また今回は一般の観客投票による賞も設けられている。


高津装飾美術株式会社代表取締役社長・JVA会長の南孝二氏(左)東京衣裳株式会社代表取締役社長・JVA理事長の川田勝哉氏(中)、株式会社俳優座劇場代表取締役会長・JVA専務理事・原恒雄氏(右)

JVA会長南孝二氏 「会員だけでなく一般の人にも映像美術の内容を認識して頂き、その重要性を理解してもらうと共に(中略)更に映像美術が業界のみならず社会的に認知され、発展することを願っています」(展覧会配布のパンフレットより)

JVA理事長川田勝哉氏 「映画の裏方の職人は、監督や役者をささえて陰にまわり表に出ないことを良しとする伝統がありますが、これからは伝統の良さを大切にしながら、それぞれの仕事を多くの人に知らせて評価していただくことが後継者の育成のためにも大切です」

JVA専務理事の原恒雄氏は、今回のJVAフェスタについて「今回はこれまで会員内での発表であったJVA賞を公開し、大賞などの賞以外に一般の方の投票で決定する賞も創設しました。映画、TV、舞台、CMの本当の裏方がこれだけそろう展示会は日本ではじめてだと思います。デザインから廃棄に至る映画の現場の数々の仕事をなるべく数多く一般の方に知っていただくために、会場の制約はありましたが、コンペ参加の39点の他にも実物展示も含めて、会員社やこれからこの業界での活躍を目指す若い方の作品も紹介しております。また我々のお得意さんであり、映像の仕事が完結する場でもある東宝、東映、日活、角川の各映画会社やTV会社全社にもご参加いただきました。JVAほど異業種が集まっている団体は少ないのではないでしょうか。実際に展示をご覧になると、それぞれの仕事の内容がどのようなものか実感していただけると思いますので、ぜひ多くの方にご来場いただきたいと思っております」と語る。


在京映画スタジオも各社が参加。 東映株式会社東京撮影所美術部長・JVA 監事森田文祥氏(右) 角川映画株式会社スタジオ事業本部本部長・ JVA常務理事田中稔氏(左)

展示されたパネルには、様々な職人たちの実際の現場の技が凝縮されている。大きいとはいえない会場ではあるが、じっくり見るとかなり時間をとるほどの内容だ。映画以外にも、昨年末放映されたTVドラマ作品「点と線」(松本清張原作、ビートたけし主演)セットのCG処理や、歌舞伎舞台で実際に使われた小道具、現代演劇やイベントの舞台製作、またエコロジーに配慮した運送や廃棄処理の仕事まで、内容は多岐にわたり、映像美術に関わるさまざまな仕事について知ることができる。以下、展示の中から一部をご紹介する。

高津装飾美術株式会社は、昭和時代設定の映画で使われた小道具でコンペ参加。実物も展示

株式会社俳優座劇場舞台美術部のコンペ参加パネル「1ポンドの福音」


東映株式会社東京撮影所美術部のコンペ参加パネル「東京ドーム野外アクション舞台」

藤波小道具株式会社は、平成19年3月京都南座の歌舞伎公演で実際に使用された人形でコンペに参加し、実物展示もおこなった。


株式会社エコ・エイトのコンペ参加パネル「ゴミ 分別 再生 みんなで守ろう 限りある資源」

東京衣裳株式会社より出品された舞台暗転時に光る特殊衣装


映画の特殊メークは、日活芸術学院の学生が展示した。

「映像美術の変遷 歴史的考察 黎明篇」では、元日活撮影所代表取締役所長で、元JVA会長の映画史家、土屋伊豆夫氏がイラストと解説で日本映画の歴史を振り返る。

今回の展示は、JVA事務局長の長澤八郎氏によると「会場の大きさと共に、著作権の制約もあり、展示したくても展示できなかった作品も多かった」そうだ。しかし「映画の裏方の世界も、より良い素材や技術をとりいれてどんどん進歩していますので、今後も見ていっていただきたい」と言う。 展覧会初日の28日(火)には美術監督の大御所木村威夫氏が、映画美術について講演をおこなった。

11月1日(土) 14:00〜17:00 には「映像美術の役割と重要性」《映画「ザ・マジックアワー」における美術の創造》と題して、同映画の美術監督、種田陽平氏他美術各分野のスタッフがそれぞれの立場でトークセッションを行う。イベントは 11月2日(日)まで。


JVAフェスタ'08
会場:世田谷文化生活情報センター(生活工房)
(三軒茶屋キャロットタワー4F)
展覧会は無料。講演は当日券のみで1500円。

今回のフェスタについての問い合わせは、以下まで。

NPO法人日本映像美術協議会
TEL/03-5350-4027 JVA事務局
http://www.jva.gr.jp/main.html

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