「TSUBURAYA CONVENTION 2023」オープニングレポート
山田裕貴も感無量。ウルトラマン吹き替えに「二つの夢が叶った」
円谷プロダクションによるイベント「TSUBURAYA CONVENTION 2023」が本日11月25日(土)と26日(日)に東京ドームシティにて開催。本記事ではオープニングセレモニーの模様をレポートする。
「TSUBURAYA CONVENTION」とは、“円谷プロ作品を愛するすべてのファンに贈る最大の祭典”として、様々なプログラムラインナップを揃える。本イベントのキックオフとなるオープニングセレモニーでは、今年で創立60周年を迎えた円谷プロダクションによる2024年以降の様々な作品や活動の最新情報が発表された。
セレモニーの開始と共にゾフィー、ウルトラマン、ウルトラセブン、ウルトラマンジャック、ウルトラマンエース、ウルトラマンタロウらウルトラ6兄弟がアリーナに登場。観客の間をすり抜けステージに勢ぞろいする演出にスタートから会場はヒートアップする。続けて、円谷プロダクションの代表取締役会長 兼 CEOの塚越隆行氏が登壇。今回のイベントテーマ「空想の力」に込めたメッセージを披露した。
今年度開催は上記したように円谷プロの創立60周年を記念したものとなっており、その原点に立ち返ったと塚越氏。特撮という映像技術、ストーリー、キャラクターデザイン、演技などの全てが作品に関わった「空想の力」から生まれたものだと訴える。イベントロゴについても、「大樹に登り空を見上げ、飛行機乗りになることを夢見ていた」という円谷プロ創設者である円谷英二氏の少年時代のエピソードにちなんだものになっているという。
続く『ウルトラセブン』55周年のプログラムでは、1967年放送当時にシリーズの一篇として「存在したかもしれない」エピソードを「IFストーリー」とした55周年コンセプトムービー「ウルトラセブン IF Story 『55年前の未来』」の完成版が解禁された。
本作品では1967年放送の『ウルトラセブン』 主人公「モロボシ・ダン」と「友里アンヌ」(演・ひし美ゆり子)が、最新デジタル技術「バーチャルヒューマン」を用い、時空を超えて登場する。そして、ウルトラセブンが勇気ある行動に感銘を受け、地球での姿(=モロボシ・ダン)のモデルとした青年「薩摩次郎」を森次晃嗣さんが再演するのも見どころとなっている。
会場では7分に渡る完成版映像の上映後、モロボシ・ダン(ウルトラセブン)を演じ、コンセプトムービーでは薩摩次郎を演じた森次晃嗣さんが登壇。司会者から「まずは一言メッセージ」と促されると、「一言でですか?」と確認を置いた上で「デュワッ!」と、力強い掛け声を披露! 会場は大いに湧き上がった。そして、朝からウルトラファンが後楽園に詰めかける様子を見て「ここはもう円谷プロダクションですよ」と集まったファンたちを讃える一幕も見られた。
撮影は冬の川崎の工業地帯で行われたとのことで、ウルトラセブン第25話「零下140度の対決」になぞらえて厳しい寒さだったと森次さん。デジタル技術「バーチャルヒューマン」で、モロボシ・ダンを演じた役者(ボディダブル)についても「遠目に見ると若い時の俺が立ってる」と、その立ち振る舞いを高く評価していた。
そして、今年で放送から55周年を迎えるウルトラセブンについて、演じた当時は24歳で「宇宙人をやった俳優なんて珍しいんじゃないの?」と振り返り、選んでもらった魅力を1年間出した結果がモロボシ・ダンを作り上げたとコメント。そして55年愛され続ける理由については「モロボシ・ダンを演った森次晃嗣が良かった」と会場の笑いを誘った後、「自分がM78星雲に還ってもこの作品は生き続ける。永遠のヒーローになっていくのかな」と締めた。
ウルトラセブン55周年プロジェクトに続く企画として、シリーズの祖『ウルトラマン』をフィーチャーしたプロジェクト『THE ORIGIN OF ULTRAMAN(仮)』を始動。「空想の力」を切り口にしたドキュメンタリー映画の製作が決定した。本作は円谷プロ創立60周年記念作品としてグローバル展開も視野。現在公開に向けたリサーチや、インタビュー撮影の最中とのこと。
イベントでは、ウルトラマンを始めとした怪獣フリークで知られるハリウッドのフィルムメイカー、ギレルモ・デル・トロ監督のインタビュー映像が初披露。ウルトラマンや怪獣たちの魅力について語る姿が公開された。なお、デルトロ監督は同ドキュメンタリー映画にも出演者として参加する。
そして、美麗な4K映像でリマスターを施し、「生命/浪漫/仲間/正義」という4つのテーマで『ウルトラマン』の魅力を再発信する映像作品『空想特撮シリーズ ウルトラマン 4Kディスカバリー』も初発表。その中の1エピソード「生命(いのち)のものがたり」を、12月1日(金)よりスタートする「円谷映画祭2023」Part2の上映作品として、12月14日(木)までの2週間限定で先行公開することが明かされた。
ステージには同作にナビゲーターとして参加する石坂浩二さんが登壇。石坂さんは1966年放送の『ウルトラQ』『ウルトラマン』にナレーターとして参加しており、その後も『ウルトラマンコスモス THE FIRST CONTACT』『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』などでもナレーターを務めるなど、円谷作品に非常に縁の深い人物だ。「4Kディスカバリー」では、世界のあらゆる物語を鑑賞できる “不思議な映画館” の劇場支配人役として出演し、観客となる「謎の少女」ともにその魅力を探っていくという。
同作で使用される4Kリマスタリングを施された『ウルトラマン』の映像について「映像が精細になるだけでなく、あの時代のスタッフの熱量も4倍になっています!」と石坂さんは力を込める。そして、令和になっても新作が作られ続けるウルトラマンの魅力とは、との問いに「『ウルトラQ』からの熱気が継承されていて、それが作品に表れている」と結んだ。
『空想特撮シリーズ ウルトラマン 4Kディスカバリー』「生命(いのち)のものがたり」使用作品は記念すべき第1話「ウルトラ作戦第一号」、バルタン星人の登場する第2話「侵略者を撃て」、宇宙へ帰りたがるシーボーズの姿が印象的な35話「怪獣墓場」、そして強敵ゼットンの登場する最終話「さらばウルトラマン」の4本。
続いて、テレビ東京系にて好評放送中の現行シリーズ『ウルトラマンブレーザー』の劇場版、『ウルトラマンブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突』の劇場上映をステージ上で初解禁! 主人公のヒルマ・ゲント役を演じる蕨野友也さん、TVシリーズのメイン監督・シリーズ構成を務め、この度発表された劇場版でもメガホンを握る田口清隆監督が、ウルトラマンブレーザーと共にステージに登壇。観衆の前で本作の公開決定を高らかに発表した。
イベント当日の朝9時には第19話「光と炎」も放送され、クライマックスに向けて物語も佳境といった状況の『ウルトラマンブレーザー』。地球防衛隊が隠匿する最重要機密事項「V99」と飛来する宇宙怪獣との関係性など、物語の落とし所が非常に気になる本作だが、この度決定した劇場版では首都・東京を舞台にスペクタクルなアクションを展開。巧みなVFX技術を使った演出に加え、首都の象徴である「国会議事堂」を精密に再現したクライマックスの特撮シーンが見どころになっていること。
発表こそ本日となっているが、劇場版の撮影自体は本編最終回後すぐであり、6月に実施された製作発表会で全部済んでいたとのことで「やっとこの場で発表できたことを嬉しく思う」と田口監督はコメント。
劇場版ではテレビシリーズ最終回後の時間軸で、ゲントとウルトラマンブレーザーの関係性、特殊怪獣対応分遣隊「SKaRD」メンバーが最終回後に訪れる大きな難局に立ち向かう姿を描くとのことで、本編最終回を控える中で「成長したSKaRDメンバーや、ヒルマ家の絆に注目してほしい」と蕨野さんは語る。撮影については「特撮も本編も1日ずつ足らなかったくらい」の過密スケジュールで「久々に立ったまま眠りました」との逸話を田口監督が披露。そして「昨今は世界中でいろいろな“怪獣”映画が公開されている中、『こういうのでも良いじゃないか!』というのを本気で作りました! ご期待ください!」と結んだ。
脚本は『ウルトラマンオーブ』『ウルトラマンZ』などでも田口監督とタッグを組んだ中野貴雄さんが担当。主題歌は本作のオープニング曲を担当するきただにひろしさんによる新曲「星と獣」に決定。コーラスとしてエンディング曲を歌唱するMindaRynも参加する。『ウルトラマンブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突』は2024年2月23日(金・祝)全国の映画館で公開。数量限定の入場者プレゼント、前売り券、上映館などの詳細は、後日アナウンスを予定している。
VRアトラクションや展示企画を通して、歴代の円谷プロ作品に登場した怪獣たちの魅力をフィーチャーする『かいじゅうのすみか』は作家の小森陽一さんを迎え、今後の展開を発表。ステージ上ではさまざまな設定やアイデアを塚越会長と共に語り、2024年の小説刊行を皮切りにさまざまな切り口で作品を提供したいと、展望を述べた。
また、歴代のウルトラシリーズに登場する“悪役”であるダークヒーローを主役とした企画『DARKNESS HEELS』のパネルでは、LDHのパフォーマー世界 (EXILE/FANTASTICS)さんがダンスを披露。自身が振り付けを担当したイーヴィルティガのダンスパフォーマンスを披露した。
LDHとウルトラシリーズの関係性は深く、2017年放送の『ウルトラマンジード』では、人気キャラクター・ウルトラマンゼロに変身する伊賀栗レイト役を劇団EXILEの小澤雄太さんが担当。昨年上演された舞台「DARKNESS HEELS〜THE LIVE〜2022」では、同劇団の八木将康さんがウルトラマンベリアル役を好演。
そして、LDH DIGITALとの共同プロジェクト第1弾として、今年7月にはダンスアプリ「キャラだん」にDARKNESS HEELSのダークヒーローたちが登場。ステージで披露されたパフォーマンスも同アプリで世界さんが手掛けたものとなっている。
塚越会長はダークヒーローたちの野生み溢れるキャラクターや価値観を戦いやアクション以外の切り口で表現したかったとのことで、「ダンス」というアプローチに挑戦。その際、楽曲・ダンスのプロデューサーとして一番最初に名前が挙がったのがアニメや特撮に造詣が深い世界さんだったという。
パネルの最後には『DARKNESS HEELS』のアニメ化企画が進行中であることを発表。声優の経験もある世界さんは自身の活動を塚越会長にアピール。「もちろんです世界さん、やりましょう!」と二つ返事で応える会長の姿が非常に印象的であった。
イベントのクライマックスには、先日予告編の公開と、山田裕貴さんの吹き替え参加が発表されたNetflix映画『ULTRAMAN: RISING』のパネルを実施。
『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』にアニメーターとして参加した、シャノン・ティンドル氏(監督・脚本)と共同監督のジョン・アオシマ氏、そしてウルトラマンに変身する主人公サトウ・ケンの吹き替えを担当する山田裕貴さん、そして本作に登場する怪獣ジャイガントロンがステージに登場した。
シャノン氏は、会場に詰めかけた円谷プロファンを前に「これだけ多くのウルトラマンファンとご一緒できて光栄に思う」と感謝の気持ちをコメント。ジョン氏も4年前は観客側で参加したイベントに作品を携えて登壇できてとてもワクワクしていると気持ちを露わにした。
本作が生まれた経緯として「元になったインスピレーションは20年前から育んでいた」とシャノン氏。そして年月が経ちNetflix・円谷のスタッフとのコンタクトを経て、思い描いていた“家族の絆”をテーマにした創作を『ウルトラマン』を通じて描くことが決まったという。
共同監督のジョン氏は子供の頃日本に住んでいたというエピソードを交えながら、ウルトラマンに対する愛情や想いを、自然と製作クルーと共有できたという。それが原動力となり、『ULTRAMAN: RISING』を作り上げていっているとアピールした。
本作の主人公であるサトウ・ケンはプロ野球選手でありながらウルトラマンという人物。そんな彼の吹き替えを担当する山田さんは、自身の父親がプロ野球選手(中日などでプレイした山田和利選手)であることを踏まえ「子供の頃思い描いていたスーパーヒーローになる夢とプロ野球選手になる夢の二つを叶えてくれたことに嬉しさを覚えた」とコメント。
そしてアニメーション製作を担当するインダストリアル・ライト&マジックのスタッフと関われたことに「めちゃくちゃ嬉しいです!」と素直な感情を表していた。
山田さんは監督二人の柔和な雰囲気を含め「愛の深い方だからこそ、こういう作品ができるのかな。『ヒーロー映画です』という感じではなく、いろいろな人が持っている愛に触れられるような作品になるんじゃないかな」とティザー予告からの印象を力強くアピール。そして、「全てのスタッフの皆さんの気持ちを背負って日本の皆さんにしっかり愛の物語とウルトラマンを世界に届けられるように、マジで気持ちを込めて声を届けたいと思います」と力を込めた。
本イベントの一部プログラムはU-NEXTでの独占ライブ配信も実施。豪華キャストによるトークショーや、ウルトラヒーローたちのライブステージ、ミュージックライブなどを自宅に居ながら楽しむことができる。
「TSUBURAYA CONVENTION 2023」の会場である東京ドームシティは言わずとしれたアミューズメントパークだ。イベント会期から一週間後の12月1日(金)から、東京ドームシティ アトラクションズ ジオポリスゾーン内にて体験型VRアトラクション「ウルトラセブン THE ATTRACTION 史上最速の作戦」がオープンする。今回そのプレオープン試乗会の機会に恵まれたのであわせて紹介したい。
本アトラクションは、『ウルトラセブン』初のVRアトラクションとして、高解像度のグラフィックを楽しめるHTC製のVRヘッドセット「VIVE Focus 3」、映画館でもお馴染みのモーションシート「MX4D」に加え、本アトラクションのために開発したという“強風”エフェクトを採用。ウルトラ警備隊の専用メカ・「ウルトラホーク1号」のコックピットの中から、ウルトラ警備隊の一員として、「ウルトラセブン」のピンチを救うための“史上最速の作戦”に参加する……というのがアトラクションの筋書きである。
ウルトラホーク1号に搭乗できるだけでもファン垂涎といったところだが、相対する怪獣がキングジョー、そしてそのウルトラホークは“極超音速推進ブースター”を搭載した特別仕様というのだからテンションが上がりっぱなしである。さぞ、“強風”エフェクトが効いた演出が用意されるのだろう。先程のオープニングセレモニーでの熱狂を引きずったまま、ウルトラセブンを援護すべく搭乗してきた。
本アトラクションで使用されるVIVE Focus 3は90Hzのリフレッシュレートに対応し、デュアルドライバー搭載の新たなオープンバックスピーカーを搭載するVRヘッドセット。解像度は最大5Kに対応し、120度の視野角をサポートするモデルとなっているので、アトラクションが始まった瞬間から視界一杯に美麗なCG描かれる「ウルトラの世界」にダイブ。VRコンテンツなのでヘッドトラッキングによる視野追従も用意されているが、視点を動かさずとも眼前に広がる世界観にしばらくぼーっとしてしまう。
流れる映像についてはアトラクションのネタバレになるので深く触れることは避けるが、『トップガンマーヴェリック』『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』もかくや、という映像が眼前に展開。VR映像ということもあり、ウルトラホークの足元や、後ろを振り返れば後部座席もキチンと作り込まれているのだから素晴らしい。
個人的には、シリーズを通して描かれる「ウルトラヒーローを援護するパイロットの視点」を味わえる映像体験として胸を打たれた。ウルトラセブンファン、いや、シリーズファンにはぜひとも搭乗していただきたい。
「TSUBURAYA CONVENTION」とは、“円谷プロ作品を愛するすべてのファンに贈る最大の祭典”として、様々なプログラムラインナップを揃える。本イベントのキックオフとなるオープニングセレモニーでは、今年で創立60周年を迎えた円谷プロダクションによる2024年以降の様々な作品や活動の最新情報が発表された。
セレモニーの開始と共にゾフィー、ウルトラマン、ウルトラセブン、ウルトラマンジャック、ウルトラマンエース、ウルトラマンタロウらウルトラ6兄弟がアリーナに登場。観客の間をすり抜けステージに勢ぞろいする演出にスタートから会場はヒートアップする。続けて、円谷プロダクションの代表取締役会長 兼 CEOの塚越隆行氏が登壇。今回のイベントテーマ「空想の力」に込めたメッセージを披露した。
今年度開催は上記したように円谷プロの創立60周年を記念したものとなっており、その原点に立ち返ったと塚越氏。特撮という映像技術、ストーリー、キャラクターデザイン、演技などの全てが作品に関わった「空想の力」から生まれたものだと訴える。イベントロゴについても、「大樹に登り空を見上げ、飛行機乗りになることを夢見ていた」という円谷プロ創設者である円谷英二氏の少年時代のエピソードにちなんだものになっているという。
■IFストーリー初公開!「ウルトラセブンは永遠」
続く『ウルトラセブン』55周年のプログラムでは、1967年放送当時にシリーズの一篇として「存在したかもしれない」エピソードを「IFストーリー」とした55周年コンセプトムービー「ウルトラセブン IF Story 『55年前の未来』」の完成版が解禁された。
本作品では1967年放送の『ウルトラセブン』 主人公「モロボシ・ダン」と「友里アンヌ」(演・ひし美ゆり子)が、最新デジタル技術「バーチャルヒューマン」を用い、時空を超えて登場する。そして、ウルトラセブンが勇気ある行動に感銘を受け、地球での姿(=モロボシ・ダン)のモデルとした青年「薩摩次郎」を森次晃嗣さんが再演するのも見どころとなっている。
会場では7分に渡る完成版映像の上映後、モロボシ・ダン(ウルトラセブン)を演じ、コンセプトムービーでは薩摩次郎を演じた森次晃嗣さんが登壇。司会者から「まずは一言メッセージ」と促されると、「一言でですか?」と確認を置いた上で「デュワッ!」と、力強い掛け声を披露! 会場は大いに湧き上がった。そして、朝からウルトラファンが後楽園に詰めかける様子を見て「ここはもう円谷プロダクションですよ」と集まったファンたちを讃える一幕も見られた。
撮影は冬の川崎の工業地帯で行われたとのことで、ウルトラセブン第25話「零下140度の対決」になぞらえて厳しい寒さだったと森次さん。デジタル技術「バーチャルヒューマン」で、モロボシ・ダンを演じた役者(ボディダブル)についても「遠目に見ると若い時の俺が立ってる」と、その立ち振る舞いを高く評価していた。
そして、今年で放送から55周年を迎えるウルトラセブンについて、演じた当時は24歳で「宇宙人をやった俳優なんて珍しいんじゃないの?」と振り返り、選んでもらった魅力を1年間出した結果がモロボシ・ダンを作り上げたとコメント。そして55年愛され続ける理由については「モロボシ・ダンを演った森次晃嗣が良かった」と会場の笑いを誘った後、「自分がM78星雲に還ってもこの作品は生き続ける。永遠のヒーローになっていくのかな」と締めた。
■デルトロ監督も証言。初代『ウルトラマン』の魅力を再発信する企画も
ウルトラセブン55周年プロジェクトに続く企画として、シリーズの祖『ウルトラマン』をフィーチャーしたプロジェクト『THE ORIGIN OF ULTRAMAN(仮)』を始動。「空想の力」を切り口にしたドキュメンタリー映画の製作が決定した。本作は円谷プロ創立60周年記念作品としてグローバル展開も視野。現在公開に向けたリサーチや、インタビュー撮影の最中とのこと。
イベントでは、ウルトラマンを始めとした怪獣フリークで知られるハリウッドのフィルムメイカー、ギレルモ・デル・トロ監督のインタビュー映像が初披露。ウルトラマンや怪獣たちの魅力について語る姿が公開された。なお、デルトロ監督は同ドキュメンタリー映画にも出演者として参加する。
そして、美麗な4K映像でリマスターを施し、「生命/浪漫/仲間/正義」という4つのテーマで『ウルトラマン』の魅力を再発信する映像作品『空想特撮シリーズ ウルトラマン 4Kディスカバリー』も初発表。その中の1エピソード「生命(いのち)のものがたり」を、12月1日(金)よりスタートする「円谷映画祭2023」Part2の上映作品として、12月14日(木)までの2週間限定で先行公開することが明かされた。
ステージには同作にナビゲーターとして参加する石坂浩二さんが登壇。石坂さんは1966年放送の『ウルトラQ』『ウルトラマン』にナレーターとして参加しており、その後も『ウルトラマンコスモス THE FIRST CONTACT』『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』などでもナレーターを務めるなど、円谷作品に非常に縁の深い人物だ。「4Kディスカバリー」では、世界のあらゆる物語を鑑賞できる “不思議な映画館” の劇場支配人役として出演し、観客となる「謎の少女」ともにその魅力を探っていくという。
同作で使用される4Kリマスタリングを施された『ウルトラマン』の映像について「映像が精細になるだけでなく、あの時代のスタッフの熱量も4倍になっています!」と石坂さんは力を込める。そして、令和になっても新作が作られ続けるウルトラマンの魅力とは、との問いに「『ウルトラQ』からの熱気が継承されていて、それが作品に表れている」と結んだ。
『空想特撮シリーズ ウルトラマン 4Kディスカバリー』「生命(いのち)のものがたり」使用作品は記念すべき第1話「ウルトラ作戦第一号」、バルタン星人の登場する第2話「侵略者を撃て」、宇宙へ帰りたがるシーボーズの姿が印象的な35話「怪獣墓場」、そして強敵ゼットンの登場する最終話「さらばウルトラマン」の4本。
■現行シリーズ『ウルトラマンブレーザー』は劇場版を初発表!
続いて、テレビ東京系にて好評放送中の現行シリーズ『ウルトラマンブレーザー』の劇場版、『ウルトラマンブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突』の劇場上映をステージ上で初解禁! 主人公のヒルマ・ゲント役を演じる蕨野友也さん、TVシリーズのメイン監督・シリーズ構成を務め、この度発表された劇場版でもメガホンを握る田口清隆監督が、ウルトラマンブレーザーと共にステージに登壇。観衆の前で本作の公開決定を高らかに発表した。
イベント当日の朝9時には第19話「光と炎」も放送され、クライマックスに向けて物語も佳境といった状況の『ウルトラマンブレーザー』。地球防衛隊が隠匿する最重要機密事項「V99」と飛来する宇宙怪獣との関係性など、物語の落とし所が非常に気になる本作だが、この度決定した劇場版では首都・東京を舞台にスペクタクルなアクションを展開。巧みなVFX技術を使った演出に加え、首都の象徴である「国会議事堂」を精密に再現したクライマックスの特撮シーンが見どころになっていること。
発表こそ本日となっているが、劇場版の撮影自体は本編最終回後すぐであり、6月に実施された製作発表会で全部済んでいたとのことで「やっとこの場で発表できたことを嬉しく思う」と田口監督はコメント。
劇場版ではテレビシリーズ最終回後の時間軸で、ゲントとウルトラマンブレーザーの関係性、特殊怪獣対応分遣隊「SKaRD」メンバーが最終回後に訪れる大きな難局に立ち向かう姿を描くとのことで、本編最終回を控える中で「成長したSKaRDメンバーや、ヒルマ家の絆に注目してほしい」と蕨野さんは語る。撮影については「特撮も本編も1日ずつ足らなかったくらい」の過密スケジュールで「久々に立ったまま眠りました」との逸話を田口監督が披露。そして「昨今は世界中でいろいろな“怪獣”映画が公開されている中、『こういうのでも良いじゃないか!』というのを本気で作りました! ご期待ください!」と結んだ。
脚本は『ウルトラマンオーブ』『ウルトラマンZ』などでも田口監督とタッグを組んだ中野貴雄さんが担当。主題歌は本作のオープニング曲を担当するきただにひろしさんによる新曲「星と獣」に決定。コーラスとしてエンディング曲を歌唱するMindaRynも参加する。『ウルトラマンブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突』は2024年2月23日(金・祝)全国の映画館で公開。数量限定の入場者プレゼント、前売り券、上映館などの詳細は、後日アナウンスを予定している。
■ウルトラヒーローだけじゃない!新プロジェクト続々待機
VRアトラクションや展示企画を通して、歴代の円谷プロ作品に登場した怪獣たちの魅力をフィーチャーする『かいじゅうのすみか』は作家の小森陽一さんを迎え、今後の展開を発表。ステージ上ではさまざまな設定やアイデアを塚越会長と共に語り、2024年の小説刊行を皮切りにさまざまな切り口で作品を提供したいと、展望を述べた。
また、歴代のウルトラシリーズに登場する“悪役”であるダークヒーローを主役とした企画『DARKNESS HEELS』のパネルでは、LDHのパフォーマー世界 (EXILE/FANTASTICS)さんがダンスを披露。自身が振り付けを担当したイーヴィルティガのダンスパフォーマンスを披露した。
LDHとウルトラシリーズの関係性は深く、2017年放送の『ウルトラマンジード』では、人気キャラクター・ウルトラマンゼロに変身する伊賀栗レイト役を劇団EXILEの小澤雄太さんが担当。昨年上演された舞台「DARKNESS HEELS〜THE LIVE〜2022」では、同劇団の八木将康さんがウルトラマンベリアル役を好演。
そして、LDH DIGITALとの共同プロジェクト第1弾として、今年7月にはダンスアプリ「キャラだん」にDARKNESS HEELSのダークヒーローたちが登場。ステージで披露されたパフォーマンスも同アプリで世界さんが手掛けたものとなっている。
塚越会長はダークヒーローたちの野生み溢れるキャラクターや価値観を戦いやアクション以外の切り口で表現したかったとのことで、「ダンス」というアプローチに挑戦。その際、楽曲・ダンスのプロデューサーとして一番最初に名前が挙がったのがアニメや特撮に造詣が深い世界さんだったという。
パネルの最後には『DARKNESS HEELS』のアニメ化企画が進行中であることを発表。声優の経験もある世界さんは自身の活動を塚越会長にアピール。「もちろんです世界さん、やりましょう!」と二つ返事で応える会長の姿が非常に印象的であった。
■「夢が叶った」山田裕貴感無量のNetflixタッグ作
イベントのクライマックスには、先日予告編の公開と、山田裕貴さんの吹き替え参加が発表されたNetflix映画『ULTRAMAN: RISING』のパネルを実施。
『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』にアニメーターとして参加した、シャノン・ティンドル氏(監督・脚本)と共同監督のジョン・アオシマ氏、そしてウルトラマンに変身する主人公サトウ・ケンの吹き替えを担当する山田裕貴さん、そして本作に登場する怪獣ジャイガントロンがステージに登場した。
シャノン氏は、会場に詰めかけた円谷プロファンを前に「これだけ多くのウルトラマンファンとご一緒できて光栄に思う」と感謝の気持ちをコメント。ジョン氏も4年前は観客側で参加したイベントに作品を携えて登壇できてとてもワクワクしていると気持ちを露わにした。
本作が生まれた経緯として「元になったインスピレーションは20年前から育んでいた」とシャノン氏。そして年月が経ちNetflix・円谷のスタッフとのコンタクトを経て、思い描いていた“家族の絆”をテーマにした創作を『ウルトラマン』を通じて描くことが決まったという。
共同監督のジョン氏は子供の頃日本に住んでいたというエピソードを交えながら、ウルトラマンに対する愛情や想いを、自然と製作クルーと共有できたという。それが原動力となり、『ULTRAMAN: RISING』を作り上げていっているとアピールした。
本作の主人公であるサトウ・ケンはプロ野球選手でありながらウルトラマンという人物。そんな彼の吹き替えを担当する山田さんは、自身の父親がプロ野球選手(中日などでプレイした山田和利選手)であることを踏まえ「子供の頃思い描いていたスーパーヒーローになる夢とプロ野球選手になる夢の二つを叶えてくれたことに嬉しさを覚えた」とコメント。
そしてアニメーション製作を担当するインダストリアル・ライト&マジックのスタッフと関われたことに「めちゃくちゃ嬉しいです!」と素直な感情を表していた。
山田さんは監督二人の柔和な雰囲気を含め「愛の深い方だからこそ、こういう作品ができるのかな。『ヒーロー映画です』という感じではなく、いろいろな人が持っている愛に触れられるような作品になるんじゃないかな」とティザー予告からの印象を力強くアピール。そして、「全てのスタッフの皆さんの気持ちを背負って日本の皆さんにしっかり愛の物語とウルトラマンを世界に届けられるように、マジで気持ちを込めて声を届けたいと思います」と力を込めた。
本イベントの一部プログラムはU-NEXTでの独占ライブ配信も実施。豪華キャストによるトークショーや、ウルトラヒーローたちのライブステージ、ミュージックライブなどを自宅に居ながら楽しむことができる。
■乗るぜ、ウルトラホーク。「ウルトラセブン THE ATTRACTION 史上最速の作戦」に一足先に“搭乗”してきた
「TSUBURAYA CONVENTION 2023」の会場である東京ドームシティは言わずとしれたアミューズメントパークだ。イベント会期から一週間後の12月1日(金)から、東京ドームシティ アトラクションズ ジオポリスゾーン内にて体験型VRアトラクション「ウルトラセブン THE ATTRACTION 史上最速の作戦」がオープンする。今回そのプレオープン試乗会の機会に恵まれたのであわせて紹介したい。
本アトラクションは、『ウルトラセブン』初のVRアトラクションとして、高解像度のグラフィックを楽しめるHTC製のVRヘッドセット「VIVE Focus 3」、映画館でもお馴染みのモーションシート「MX4D」に加え、本アトラクションのために開発したという“強風”エフェクトを採用。ウルトラ警備隊の専用メカ・「ウルトラホーク1号」のコックピットの中から、ウルトラ警備隊の一員として、「ウルトラセブン」のピンチを救うための“史上最速の作戦”に参加する……というのがアトラクションの筋書きである。
ウルトラホーク1号に搭乗できるだけでもファン垂涎といったところだが、相対する怪獣がキングジョー、そしてそのウルトラホークは“極超音速推進ブースター”を搭載した特別仕様というのだからテンションが上がりっぱなしである。さぞ、“強風”エフェクトが効いた演出が用意されるのだろう。先程のオープニングセレモニーでの熱狂を引きずったまま、ウルトラセブンを援護すべく搭乗してきた。
本アトラクションで使用されるVIVE Focus 3は90Hzのリフレッシュレートに対応し、デュアルドライバー搭載の新たなオープンバックスピーカーを搭載するVRヘッドセット。解像度は最大5Kに対応し、120度の視野角をサポートするモデルとなっているので、アトラクションが始まった瞬間から視界一杯に美麗なCG描かれる「ウルトラの世界」にダイブ。VRコンテンツなのでヘッドトラッキングによる視野追従も用意されているが、視点を動かさずとも眼前に広がる世界観にしばらくぼーっとしてしまう。
流れる映像についてはアトラクションのネタバレになるので深く触れることは避けるが、『トップガンマーヴェリック』『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』もかくや、という映像が眼前に展開。VR映像ということもあり、ウルトラホークの足元や、後ろを振り返れば後部座席もキチンと作り込まれているのだから素晴らしい。
個人的には、シリーズを通して描かれる「ウルトラヒーローを援護するパイロットの視点」を味わえる映像体験として胸を打たれた。ウルトラセブンファン、いや、シリーズファンにはぜひとも搭乗していただきたい。