JBL
前モデルが出た直後から、実に12年の歳月を費やした長期プロジェクトが、ついに結実した。JBLのフラグシップスピーカーProject K2 S9500がモデルチェンジ、Project K2 S9800として2001年秋に発売されたものが本製品である。 Project K2 S9800は、“フルバンドウィズ&フルダイナミックスの実現”を大きなテーマとし、SACDやDVDオーディオなど新しいデジタルソースに完全対応を目指す。すべてのユニットが新たに開発されており、3ウェイ構成であるが、2ウェイ+スーパートゥイーターに近いユニット構成だ。 初めてみるS9800は、思ったよりもコンパクトだ。それでいて38cmウーファーを堂々と搭載している。この容量の中で38cmウーファーをどれだけ鳴らせるかというのがひとつのテーマだったようである。ミッドはJBLとしては異例の3インチ・ドライバーを使ったホーン。そして同じくホーンのスーパートゥイーターが装備されている。 ユニットからキャビネットまで、これだけ話題の豊富な製品も珍しい。どれもこれもが新しい。そして合理的な理由に満ちている。2チャンネルの音はホーンの魅力に浸ることができる。聴いた後はしばらくぼうっとしたような心持ちだった。とにかくものすごい。ハイエンドが本気になったときの音は本当に恐ろしい。 山は高ければいいというものではない。けれども高い山にはやはりなにかある、ということだ。(文/井上千岳) |