プロフィール
ニューブロンズシリーズのトップモデルに当たるトールボーイタイプである。他のモデルと同じく、ドライバーユニットにはいずれも新開発のメタル系振動板を採用している。ウーファーはMMP
Mk IIと呼ばれるハイブリッド素材を使用。ポリプロピレンにメタルを貼り付けた構造で、メタルの硬度とポリプロピレンのダンピングを活かしている。またトゥイーターはアルミ・マグネシウムにセラミック処理を施した構成。分割共振なしに25kHzまでの再生が可能だ。キャビネットはブレーシングを持つ強靭なMDF製。ダブルウーファー3ウェイである。
スピードと力感を両立 解像力に優れた表現
シリーズのトップモデルだけあって、他の機種よりも余裕の大きな包容力を備えている。音の出方が楽で、解像度の高い音調である。特に低域の余力に富み、高域へかけても伸びやかでクリアな質感だ。
|
本機に搭載された「ATR reflex
port」。FastBassサブウーファーの開発から生まれた、低音域の空気流を改善した両面バスレフポート理論により、ノイズを低減し早い低音を実現している |
ジャズは穏やかで暴れのない出方だが、ウッドベースの彫りが深く動きが明瞭だ。ピアノは瑞々しいタッチを持ち、軽快でニュアンスの細かな再現である。ボーイソプラノは静かでひそやかな雰囲気がみなぎっている。声の質感に透明度が高く、透き通るような音色に繊細なニュアンスが乗っている印象だ。ハーモニーも濁りがなく、声の重なり方が極めて精密だ。柔らかな響きにも富む。
ピアノは音の動きを鮮明に捉え、明快なタッチで描き出す。骨格が凛とした線で表現され、響きは豊かだがにじみがない。無駄な音がどこにもない印象である。オーケストラは澄んだ質感で伸びのいい音調を得ている。楽器の分離がよく、やや艶やかな響きを帯びながら滑らかなレスポンスを持つ。両エンドに豊かなエネルギーが乗り、ハイスピードな立ち上がりに厚手の力感を与えている。
おすすめポイント
この音質で11万そこそこという価格は極めてお買い得だ。単にハイC/Pというだけではなく、はるかに高額の製品と比べても引けを取らない。世の中にはこういうスピーカーもあるのだということをぜひ知ってもらいたいものだ。
(「AVレビュー」2004年12月号より)
|