スピーカーパッケージ「NS-P285」と組み合わせて試聴
ヤマハ AVアンプ「RX-V373」レビュー − シンプルで基本性能を凝縮した入門機
ヤマハから登場した新エントリーAVアンプ「RX-V373(関連ニュース)」は、初めてホームシアターを構築したいと考えているエントリーユーザーにも易しい使いこなし、設置性を備えた入門機として配慮されたモデルだ。さらに、コンパクトなスピーカーパッケージ「NS-P285」と本機をセットにしたホームシアターパッケージ「Theater Sound 373」も用意されており、7万円強という比較的手頃な価格で5.1chシステムを構築することが可能となっている。今回はそんなRX-V373のエントリーユーザーにも易しい使い勝手や設置性を、高橋敦氏がチェックした。
■薄型テレビと組み合わせやすい設置性と機能性を両立
テレビの薄型化が進んで久しいが、いまや薄型テレビと組み合わせるBDレコーダーの奥行も30cmを切るコンパクトな製品が多い。それを基準に、テレビラックの奥行も35cmクラスに収めて、室内スペースを広く利用したいと考える方も多いだろう。しかし、これまでホームシアターの構築においてネックの1つになっていたのがAVアンプのサイズだ。奥行き35cmを超える製品が多く、コンパクトなシアターラックには収納が難しい場面があった。
しかし今回ご紹介するRX-V373は、奥行31.5cmを実現。奥行35cmのラックに設置しても背面に配線の余裕があるサイズだ。チャンネル数は最低限の5.1chのみを備え、機能面もシンプルで“ピュア”な入門機である。
シンプルと言っても、エントリーモデルであるからこそ、使い勝手に影響するところは充実している。次に、最新の薄型テレビと組み合わせた際の連携機能に注目したい。
まず基本として、電源や入力切り替えがテレビと連動する。本機とテレビの設定を合わせておけば、テレビのリモコンで本機のボリューム操作を行うことなどが可能となる。
さらにCEC双方向対応によって、AVアンプのリモコンから本機を操作した場合も、テレビ側との連動が行える。大きなポイントは、新機能となる「SCENE」機能だ。リモコンに「BD/DVD」「TV」「CD」「RADIO」の4ボタンを用意しており、各ボタンに接続機器別の音場プログラムの組み合わせを任意で設定しておくことができるのだ。
「BD/DVD」ボタンを押すと自動でテレビの電源が入って、入力がBDレコーダーを接続しているHDMIに変更され、アンプの音場モードも事前登録しておいたBD/DVD用のものに切り替わる。一連の操作や設定をボタン一発で実行できるのだ。
なお本機は、HDMIは入力4/出力1を備えており、ARCにも対応している。テレビの音声をAVアンプから再生したいときも、「TV」ボタンを押せば一発でテレビを起動し、テレビ視聴用に登録しておいた音場プログラムを呼び出すことができる。
また、フロントに備えているUSB端子からiPod等のデジタル接続にも対応するが、「CD」ボタンにはCD入力のほかに、このiPodデジタル接続の選択も登録しておくことができる。
そのほか、省電力性への配慮もなされている点にも触れておきたい。供給電力を巧みに制御することで通常駆動時と比較して消費電力を約20%削減する、新開発「ECOモード」を搭載している。映画再生時などアンプの全力を出し切りたい場合には、このECOモードは任意にオフにもできる。うっかり電源を切り忘れても安心な「オートパワーダウン機能」をしっかり備えている点もありがたい。
■コンパクトなスピーカーパッケージ「NS-P285」と組み合わせて、7万円強で5.1ch環境が構築できる
今回は、RX-V373とのパッケージが用意されているスピーカー「NS-P285」と組み合わせて試聴を行った。NS-P285はコンパクトな筐体が特徴で、フロントSPやセンターSPをテレビラックの上に設置してもほとんど邪魔にならない。その点も、薄型テレビとの組み合わせに配慮したRX-V373と上手くフィットする印象だ。
様々なタイプの映画を試聴して確認したが、やはりサラウンド再生は魅力的だ。映画の世界がテレビ中心ではなく自分を中心にして部屋全体に広がる。空間が広がることでひとつひとつの音もその存在が明瞭になり、物音や気配が生き生きとする。また映画の台詞でもそうだが、普段観ている地デジ放送番組を観るときにも、声のクリアな肉声感が得られる。聴き取りやすく、表情が豊かになる印象だ。
音の傾向としては、RX-V373の持ち味は「素直さ」であろう。音色にも低音から高音までのバランスにも癖がない。その素直さをベースに音場モード「シネマDSP」によって、アクション向きの派手な音調も大ホールの豊かな響きも得られ、ホームシアターの醍醐味を存分に味わえる。
RX-V373は、最新の薄型テレビトレンドを備え、現在のエントリークラスのAVアンプに求められる基本要素をぎゅっと濃縮した製品といえるだろう。特にホームシアターの初構築をご検討の方は、ぜひチェックしてみてほしいモデルだ。
【執筆者プロフィール】
高橋 敦 Atsushi Takahashi
埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。東洋大学哲学科中退。大学中退後、パーソナルコンピュータ系の記事を中心にライターとしての活動を開始。現在はデジタルオーディオ及びビジュアル機器、Apple Macintosh、それらの周辺状況などに関する記事執筆を中心に活動する。また、ロック・ポップスを中心に、年代や国境を問わず様々な音楽を愛聴。 その興味は演奏や録音の技術などにまで及び、オーディオ評に独自の視点を与えている。
■薄型テレビと組み合わせやすい設置性と機能性を両立
テレビの薄型化が進んで久しいが、いまや薄型テレビと組み合わせるBDレコーダーの奥行も30cmを切るコンパクトな製品が多い。それを基準に、テレビラックの奥行も35cmクラスに収めて、室内スペースを広く利用したいと考える方も多いだろう。しかし、これまでホームシアターの構築においてネックの1つになっていたのがAVアンプのサイズだ。奥行き35cmを超える製品が多く、コンパクトなシアターラックには収納が難しい場面があった。
しかし今回ご紹介するRX-V373は、奥行31.5cmを実現。奥行35cmのラックに設置しても背面に配線の余裕があるサイズだ。チャンネル数は最低限の5.1chのみを備え、機能面もシンプルで“ピュア”な入門機である。
シンプルと言っても、エントリーモデルであるからこそ、使い勝手に影響するところは充実している。次に、最新の薄型テレビと組み合わせた際の連携機能に注目したい。
まず基本として、電源や入力切り替えがテレビと連動する。本機とテレビの設定を合わせておけば、テレビのリモコンで本機のボリューム操作を行うことなどが可能となる。
さらにCEC双方向対応によって、AVアンプのリモコンから本機を操作した場合も、テレビ側との連動が行える。大きなポイントは、新機能となる「SCENE」機能だ。リモコンに「BD/DVD」「TV」「CD」「RADIO」の4ボタンを用意しており、各ボタンに接続機器別の音場プログラムの組み合わせを任意で設定しておくことができるのだ。
「BD/DVD」ボタンを押すと自動でテレビの電源が入って、入力がBDレコーダーを接続しているHDMIに変更され、アンプの音場モードも事前登録しておいたBD/DVD用のものに切り替わる。一連の操作や設定をボタン一発で実行できるのだ。
なお本機は、HDMIは入力4/出力1を備えており、ARCにも対応している。テレビの音声をAVアンプから再生したいときも、「TV」ボタンを押せば一発でテレビを起動し、テレビ視聴用に登録しておいた音場プログラムを呼び出すことができる。
また、フロントに備えているUSB端子からiPod等のデジタル接続にも対応するが、「CD」ボタンにはCD入力のほかに、このiPodデジタル接続の選択も登録しておくことができる。
そのほか、省電力性への配慮もなされている点にも触れておきたい。供給電力を巧みに制御することで通常駆動時と比較して消費電力を約20%削減する、新開発「ECOモード」を搭載している。映画再生時などアンプの全力を出し切りたい場合には、このECOモードは任意にオフにもできる。うっかり電源を切り忘れても安心な「オートパワーダウン機能」をしっかり備えている点もありがたい。
■コンパクトなスピーカーパッケージ「NS-P285」と組み合わせて、7万円強で5.1ch環境が構築できる
今回は、RX-V373とのパッケージが用意されているスピーカー「NS-P285」と組み合わせて試聴を行った。NS-P285はコンパクトな筐体が特徴で、フロントSPやセンターSPをテレビラックの上に設置してもほとんど邪魔にならない。その点も、薄型テレビとの組み合わせに配慮したRX-V373と上手くフィットする印象だ。
様々なタイプの映画を試聴して確認したが、やはりサラウンド再生は魅力的だ。映画の世界がテレビ中心ではなく自分を中心にして部屋全体に広がる。空間が広がることでひとつひとつの音もその存在が明瞭になり、物音や気配が生き生きとする。また映画の台詞でもそうだが、普段観ている地デジ放送番組を観るときにも、声のクリアな肉声感が得られる。聴き取りやすく、表情が豊かになる印象だ。
音の傾向としては、RX-V373の持ち味は「素直さ」であろう。音色にも低音から高音までのバランスにも癖がない。その素直さをベースに音場モード「シネマDSP」によって、アクション向きの派手な音調も大ホールの豊かな響きも得られ、ホームシアターの醍醐味を存分に味わえる。
RX-V373は、最新の薄型テレビトレンドを備え、現在のエントリークラスのAVアンプに求められる基本要素をぎゅっと濃縮した製品といえるだろう。特にホームシアターの初構築をご検討の方は、ぜひチェックしてみてほしいモデルだ。
【執筆者プロフィール】
高橋 敦 Atsushi Takahashi
埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。東洋大学哲学科中退。大学中退後、パーソナルコンピュータ系の記事を中心にライターとしての活動を開始。現在はデジタルオーディオ及びビジュアル機器、Apple Macintosh、それらの周辺状況などに関する記事執筆を中心に活動する。また、ロック・ポップスを中心に、年代や国境を問わず様々な音楽を愛聴。 その興味は演奏や録音の技術などにまで及び、オーディオ評に独自の視点を与えている。