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ヘッドホン・イヤホン特集 Part4

【レビュー】単なる“色違いモデル”ではないサウンド − クリプシュ「Reference One/S4/S4i」を聴く

公開日 2012/04/17 11:50 野村ケンジ
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■ただのスペシャルカラーに終わらないサウンドの「Reference One」


クリプシュから、同ブランドの最高級スピーカー「Reference」の名前を冠したヘッドホンとイヤホンが発売された。

まず、先んじて登場したヘッドホンは、オンイヤー型のフランジを持つ「Image ONE」をベースに、イメージカラーである赤銅色を随所にあしらったもの。もともとブラックを基調としている製品だけに、赤銅色のカラーがなかなか映え、まるでこちらがオリジナルであるかのような錯覚を覚える自然さを持つのも確かだ。

Reference One

ベースとなっている「Image ONE」

また、銅と黒のスパイラルが透明シースからのぞく専用ケーブルも採用されていて、こちらは耐久性も向上しているというが、やはりボディと統一されたカラーデザインに目が向く。

このケーブルをのぞくと変更点は少なく、クロコダイル調レザーのフランジも同じ。klipsch“ロゴ”がklipschマークに変えられたくらいだが、これらのカラーコーディネイトによって、ベースモデルを上回る上質さを感じられるようになったことは確かだ。よりクリプシュらしい個性的な製品へと生まれ変わった、といえるかもしれない。

イヤーカップ部の様子

その内部には、40mm径のダイナミック型ドライバーを採用する。またその細部も、低反発フォームイヤーパッドやレザー素材を採用するヘッドバンド部など、装着感や音質に関してもさまざまなこだわりが垣間見られる、細やかな作りとなっている。一方でiPhone/iPodにも対応しており、マイク付のコントロール部がケーブルの途中に付属している。このように、基本スペックに関してはベースモデルとほぼ変わらない。

iPhone/iPad用マイクが付属。本体部分もスイーベル機構を採用している

しかしただのスペシャルカラーに終わらないところが、「Reference One」の魅力的なところだ。事実そのサウンドは、「Image ONE」のイメージを残しつつも、低音のボリューム感を高めたり、SN感を向上させるなど、さらにチューニングが突き詰められた様子。おかげで、音楽表現が一段とダイナミックになっている。またヴォーカルのリアリティも向上、歌声がさらに躍動になった点は好ましい。

音質もスタイルも、好み次第ではあるが、「Reference One」のほうが、よりクリプシュらしいサウンドを堪能できるのは確かだ。

■「Image」よりクリアでダイナミック感が増した「Reference S4/S4i」


いっぽうのイヤホンは、ベースとして「Image S4」をチョイス、「Reference One」と同じく赤銅色のオリジナルカラーや専用ケーブルがあしらわれている。

Reference S4

Image S4

ラインナップはノーマルモデルの「Reference S4」と、iPhone/iPod対応の「Reference S4i」の2バリエーション。どちらも「Full range KG 25」と呼ばれるダイナミック型ドライバーや、耳にフィットする楕円型のイヤーチップ「Ear Gels」、高耐久性を誇るABS製ボディなどは共通で、これはベースモデルとも同じ。違いはマイク付コントロールの有無だけとなる。

Reference S4i

ちなみにこのコントロール部、ベースモデルと同じデザインの3ボタン式が採用されているが、プリントされているマークがちゃんと赤銅色になっている。こういった細やかな配慮もうれしいかぎりだ。

付属アクセサリー類

そのサウンドも「Reference One」同様、ベースモデルとは異なるチューニングが施されているようだ。音ヌケがよく明瞭で、それでいて中域に確かな存在感があるサウンドは、もともと「Image S4」でも感じられたクリプシュらしいサウンドバランスだが、「Reference S4」ではさらに一歩推し進め、よりクリアでダイナミック感が増したイメージ。人の声がより明瞭になり、歌詞が聴きやすくなった。

一方で低域は、多少ながらも確実に量感が増し、迫力に関してはワンランクながらもグレードアップ。それでありながらも、解像度感は犠牲になっておらず、おかけで迫力を増しつつも、声のクリアさは失わないという、なんとも絶妙なチューニングが実現できている。イメージ的には、音質がワンランクグレードアップした、といえるかもしれない。

そして「Reference One」同様、こちらもクリプシュらしさは幾分増している。よりクリプシュサウンドを堪能したい人は、迷わず「Reference」モデルを選ぶべきだ。

【筆者プロフィール】
野村ケンジ Kenji Nomura
ホームシアターやヘッドホン、音楽関連、カーAVなどの記事を中心に執筆活動を展開している。100インチスクリーン+TADスピーカーで6畳間極小ホームシアターを実践。さらに現在はステレオと7.1chの同居計画が進行中。好きなクルマはアルファ・ロメオなどのイタフラ系。


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