「I-03」と比較試聴
エソテリックの第2弾プリメイン「I-05」登場 − 新アンプシリーズのパフォーマンスを探る
■マスターサウンドワークスの系譜
エソテリックのアンプ製品の根底にはマスターサウンドワークスという考え方がある。その思想のルーツはエソテリックの母体となるティアック時代のオープンリールデッキにまで遡る。音楽制作の現場でアーティストの生み出す音楽を最高のクオリティで収録し、音楽の姿を変えることなく再現する存在。何かの要素を付け足したり、欠落させることなく録音、再生しなければならないのが録音機だ。
しかしその収録の対象である音楽と一言で言っても物理的にも音楽的にもとても広いレンジをカバーしなければならない。重い音、鋭い音から、“たゆたう“ような響きや溶け合うハーモニーまで。また、ミュージシャンたちの情念やガッツや人生のキャリア。さらにはコンサートホールの空気感からオーディエンスの歓喜までをも収録、再現しなければならないのだ。
この、ティアック時代からの遺伝子(というか、必要性と言ってもいいかもしれない)を受け継いでいるのがマスターサウンドワークス思想だ。そしてそれは特にアンプに継承され、実際にレコーディングスタジオのモニタースピーカーを鳴らす存在として稼働しているし、その流れはインテグレーテッドアンプ(プリメインアンプ)にも脈々と流れている。
■エソテリックのプリメインアンプの概要
マスターサウンドワークスの系譜のインテグレーテッドアンプ(プリメインアンプ)。現在のところ、2011年4月に発売されたI-03と、2012年8月25日発売のI-05がラインナップされている。両者には共通項も多い。
まず2台ともにEsoteric MSW(マスターサウンドワークス)Pure Class D方式の増幅部を有志、高効率でハイスピードな最新型MOS-FETを、I-03では3パラレルプッシュプルで、I-05では2パラレルプッシュプルで構成。しかもそれをモノブロックにしてシャーシの左右にデュアル・モノの配置で搭載している。
電源部は大容量のカスタムトランスと大型コンデンサーで、規模こそ違えどもトランスが中央のフロントパネル寄り鎮座。ちなみに出力はI-03が6Ω不可時の実用最大出力で320W×2。I-05が同じく6Ω負荷時の実用最大出力で190W×2という数値。どちらも4Ωまでたっぷりと電流を流せる実力を持っている。
バックパネルの端子の配置からも分かるが、天板をはずして内部を見たときの一番の違いは、プリ部の左右チャンネルのレイアウトだ。
I-03では基板がLチャンネルとRチャンネルに分かれ、それがシールド鋼板を挟んで上下に組み合わせられている。それに対してI-05では1枚の基板に左右チャンネルをシンメトリーに配置している。いずれも音量調整はボリュームノブを回すことにより、ゲインを可変させる方式のシステムだ。
ただし、I-03がアンバランス回路であるのに対して、I-05はフルバランス回路なので、左右のそれぞれのプラスとマイナスの4系統分をコントロールすることになる。この違いが大きい。バランス回路にすることによって高いS/N性能を獲得したのがI-05だ。
■視聴による2モデルのパフォーマンス
オーディオは比較することによってその特性が際立ってくるが、I-03とI-05の聴く比べも、とても興味深かった。同じ部屋(エソテリックの試聴室)で、プレーヤー(K-07)とスピーカー(タンノイDifinition DC10 T)を固定して、まずI-05を聴き、続けてI-03に替え、さらにI-05に戻して確認するというかたちで試聴を進めた。こうやって聴いてみると、両者の個性やどんな利き手にマッチングする傾向なのかが鮮明に見えてきて、個人的にも楽しい試聴であった。
I-05はホームオーディオという言葉がふさわしい、小音量時のほっとできるような聴き心地の良さと、いざ気合いを入れて聴こうとボリュームを上げていったときの鳴りっぷりの良さという二面性を持ったアンプである。
クルマに例えるならば2リッターくらいの排気量を持った、良くできたスポーツセダンの存在といったらいいだろうか。ゆっきり走っているときはココロ穏やかにクルージングできるが、いざスポーティな走りをしようとアクセルをワイドオープンしてエンジンを高回転域にもっていけば、十分な加速とドライビングコンシャスな機動性おおった走りができる存在に例えられる。
イメージでいうならば、家族がいるときにはBGMに音を流して雰囲気よく音楽の世界を再生し、家族が外出してひとりで音楽と向き合うときには強力な駆動力によって、ぐいぐいとグルーブを刻むようなアンプである。
■I-03はストレートでダイレクトな音 - 情報量を失うことなく音楽を再生する
それに対してI-03はレコーディングスタジオで採用されるようなアンプ直系の、ストレートでダイレクトな表現力の傾向が強いアンプだ。小音量時にもスタジオのラージモニターの振動板をがっちりグリップして情報量を失うことなく音楽を再生、音量を上げてプレイバックすれば、まさにブースの中でミュージシャンがプレイしているような精彩感。ぐいぐいとビートを前に進めていくような推進力を伴った音楽表現力をもっている。
クルマに例えるならば、4リッター近い排気量のスポーツカーといったイメージである。エンジンが低回転でも路面のインフォメーションが高く、常にドライバーがステアリングをもってクルマをコントロールしていることを意識させられ、いざスロットルをワイドオープンさせれば痛快な加速を提供してくれる存在といったらいいだろうか。よくも悪くもBGM的に音楽を聴き流せるような感じではないのだ。
どちらもマスターサウンドワークスという遺伝子をもって、何かを負荷することなく音楽のありのままを再生する傾向ではあるが、正確の違いを持っている。鳴らすスピーカーの能率にもよるが、選択するときの参考にされたい。
エソテリックのアンプ製品の根底にはマスターサウンドワークスという考え方がある。その思想のルーツはエソテリックの母体となるティアック時代のオープンリールデッキにまで遡る。音楽制作の現場でアーティストの生み出す音楽を最高のクオリティで収録し、音楽の姿を変えることなく再現する存在。何かの要素を付け足したり、欠落させることなく録音、再生しなければならないのが録音機だ。
しかしその収録の対象である音楽と一言で言っても物理的にも音楽的にもとても広いレンジをカバーしなければならない。重い音、鋭い音から、“たゆたう“ような響きや溶け合うハーモニーまで。また、ミュージシャンたちの情念やガッツや人生のキャリア。さらにはコンサートホールの空気感からオーディエンスの歓喜までをも収録、再現しなければならないのだ。
この、ティアック時代からの遺伝子(というか、必要性と言ってもいいかもしれない)を受け継いでいるのがマスターサウンドワークス思想だ。そしてそれは特にアンプに継承され、実際にレコーディングスタジオのモニタースピーカーを鳴らす存在として稼働しているし、その流れはインテグレーテッドアンプ(プリメインアンプ)にも脈々と流れている。
■エソテリックのプリメインアンプの概要
マスターサウンドワークスの系譜のインテグレーテッドアンプ(プリメインアンプ)。現在のところ、2011年4月に発売されたI-03と、2012年8月25日発売のI-05がラインナップされている。両者には共通項も多い。
まず2台ともにEsoteric MSW(マスターサウンドワークス)Pure Class D方式の増幅部を有志、高効率でハイスピードな最新型MOS-FETを、I-03では3パラレルプッシュプルで、I-05では2パラレルプッシュプルで構成。しかもそれをモノブロックにしてシャーシの左右にデュアル・モノの配置で搭載している。
電源部は大容量のカスタムトランスと大型コンデンサーで、規模こそ違えどもトランスが中央のフロントパネル寄り鎮座。ちなみに出力はI-03が6Ω不可時の実用最大出力で320W×2。I-05が同じく6Ω負荷時の実用最大出力で190W×2という数値。どちらも4Ωまでたっぷりと電流を流せる実力を持っている。
バックパネルの端子の配置からも分かるが、天板をはずして内部を見たときの一番の違いは、プリ部の左右チャンネルのレイアウトだ。
I-03では基板がLチャンネルとRチャンネルに分かれ、それがシールド鋼板を挟んで上下に組み合わせられている。それに対してI-05では1枚の基板に左右チャンネルをシンメトリーに配置している。いずれも音量調整はボリュームノブを回すことにより、ゲインを可変させる方式のシステムだ。
ただし、I-03がアンバランス回路であるのに対して、I-05はフルバランス回路なので、左右のそれぞれのプラスとマイナスの4系統分をコントロールすることになる。この違いが大きい。バランス回路にすることによって高いS/N性能を獲得したのがI-05だ。
■視聴による2モデルのパフォーマンス
オーディオは比較することによってその特性が際立ってくるが、I-03とI-05の聴く比べも、とても興味深かった。同じ部屋(エソテリックの試聴室)で、プレーヤー(K-07)とスピーカー(タンノイDifinition DC10 T)を固定して、まずI-05を聴き、続けてI-03に替え、さらにI-05に戻して確認するというかたちで試聴を進めた。こうやって聴いてみると、両者の個性やどんな利き手にマッチングする傾向なのかが鮮明に見えてきて、個人的にも楽しい試聴であった。
I-05はホームオーディオという言葉がふさわしい、小音量時のほっとできるような聴き心地の良さと、いざ気合いを入れて聴こうとボリュームを上げていったときの鳴りっぷりの良さという二面性を持ったアンプである。
クルマに例えるならば2リッターくらいの排気量を持った、良くできたスポーツセダンの存在といったらいいだろうか。ゆっきり走っているときはココロ穏やかにクルージングできるが、いざスポーティな走りをしようとアクセルをワイドオープンしてエンジンを高回転域にもっていけば、十分な加速とドライビングコンシャスな機動性おおった走りができる存在に例えられる。
イメージでいうならば、家族がいるときにはBGMに音を流して雰囲気よく音楽の世界を再生し、家族が外出してひとりで音楽と向き合うときには強力な駆動力によって、ぐいぐいとグルーブを刻むようなアンプである。
■I-03はストレートでダイレクトな音 - 情報量を失うことなく音楽を再生する
それに対してI-03はレコーディングスタジオで採用されるようなアンプ直系の、ストレートでダイレクトな表現力の傾向が強いアンプだ。小音量時にもスタジオのラージモニターの振動板をがっちりグリップして情報量を失うことなく音楽を再生、音量を上げてプレイバックすれば、まさにブースの中でミュージシャンがプレイしているような精彩感。ぐいぐいとビートを前に進めていくような推進力を伴った音楽表現力をもっている。
クルマに例えるならば、4リッター近い排気量のスポーツカーといったイメージである。エンジンが低回転でも路面のインフォメーションが高く、常にドライバーがステアリングをもってクルマをコントロールしていることを意識させられ、いざスロットルをワイドオープンさせれば痛快な加速を提供してくれる存在といったらいいだろうか。よくも悪くもBGM的に音楽を聴き流せるような感じではないのだ。
どちらもマスターサウンドワークスという遺伝子をもって、何かを負荷することなく音楽のありのままを再生する傾向ではあるが、正確の違いを持っている。鳴らすスピーカーの能率にもよるが、選択するときの参考にされたい。