【特別企画】“部屋をつくる"オーディオルーム・プロジェクト
音響設計のプロ集団「アコースティックラボ」誕生の経緯とは? その軌跡と“蔵前ヴィレッジ”の魅力
音響設計のプロフェッショナル集団、アコースティックラボが手掛けるオーディオルームを訪ねる本企画の最終回をお届けする。今回は同社がこれまで歩んできた軌跡をたどりながら、オーディオルーム造りの考え方、設計について、筆者である鈴木 裕氏が訊ねている。また同社が一般ユーザーに向けてショウルームを開設している蔵前ヴィレッジについても、その魅力とその活動についてご紹介していくことにしよう。
音響設計のプロ集団、アコースティックラボはどのようにして誕生したのか? その軌跡をたどる
■アコースティックラボの成り立ち − オーディオを熟知した一級建築士が直轄
以前から疑問に思っていたことがある。アコースティックラボのコストパフォーマンスの高さについてだ。
一般的なイメージとしては遮音するだけでも相当な金額がかかるのに、その上オーディオを鳴らす部屋として音がよく、さらに内装のデザインもいい。お客さんの満足度も高いはずだ。
筆者(鈴木 裕)に提灯記事を書く意図はないが、実際に施工した部屋の音を聴き、そのオーナーに取材したり、関係者に話を訊くと悪い話がない。それでいて予算は一般的な金額と比較して高くないのだから、その理由を知りたくなるのも自然な流れだろう。きっと何か秘訣があるはずだ。
この連載のラストということで、そのことをまず質問していった。結論から短く言うと、オーディオや音のふるまいのことをわかっている人間が、同時に一級建築士であり、直轄の建築専門工事会社(株)アコースティックエンジニアリングを立ち上げ、以来40年間にわたって育ってきたということなのだ。(株)アコースティックラボは3年前にアコースティックグループの(株)アコースティックデザインシステムからオーディオルーム専門会社として分社・独立している。
■音楽好きの電気少年が長じて建築への深い造詣から設立
そもそも(株)アコースティックエンジニアリングを立ち上げたのは鈴木泰之代表だが、その経歴が興味深い。
団塊の世代として生まれた鈴木代表。そのオーディオとの最初の接点はアマチュア無線だったという。当時の秋葉原は既製品や米軍の払い下げのジャンク品などもあったそうだがかなり高額で、無線の送受信機を自作したところからスタートしている。
大学時代は70年安保の時代だった。「目には見えない音・電気にロマンを感じていました」(以下、鈴木代表の言葉)という理由で電気科志望するもあえなく受験には失敗して浪人、その間に形ある建築に志望変更。
「実際に形のあるものの方がいいと思ったんですよ」ということで、建築学科の学生生活を始めたもののキャンパスは大学闘争・全共闘の全盛時代、勉学そっちのけ。
当時は高度成長期で建築関係の仕事もたくさんあって在学当時からそうしたアルバイトをして仲間と資金稼ぎ、いつの間にかキャリアを重ね気が付いてみたら建築の設計でしか飯が食えないことがわかり20歳代後半にして独立、建築事務所を設立している。ただし、その時代でも音楽やオーディオに対する興味は失われていなかった。
「一般的な建築には定石があります。でも、音響といったものについては事細かく、ひとつひとつやらないといけないんです。そしてその基本的な考え方や数式といったものが自分の中にありました」
実際には音楽家たちからの要望に応えて、遮音/防音といった案件から仕事をしていったそうだが、事細かく、ひとつひとつやらないと結果の出ない仕事だ。
「わかったことは当時の一般の業者のやっている音響関係の仕事は値段が高いし、音もあまり良くなかったんですよ(笑)」
そもそも建築における音響技術は第二次世界大戦後、特に70年代以降整ってきたもので、その当時でも学問として体系化されていなかった。専門書はあったがコンサートホールや劇場・放送局といった大きな空間を想定していた。
「自分自身が音楽を聴くのに満足できるような部屋を作ろうと思いました」
かくして、音楽好きの電気少年が長じて、建築に深い造詣を持って生まれた会社がアコースティックラボの前身だったのだ。
■アコースティックラボの部屋作り − 設計図を“読み取って”音のいい部屋を提案する
ここで興味深いのは、アコースティックラボが仕事を受ける形の割合だ。新築住宅の場合は住宅メーカーとの共同作業(コラボ設計・施工)が多く全体の3〜4割、AVルームの設計・施工を担当することになる。
それ以外は個人クライアントからのリフォーム工事で、なかには家全体の設計・施工もあるという。この時に鈴木代表自身が一級建築士であり、会社のメンバーにもこの資格を持っている人が多いということが大事になってくる。
設計段階の最初に存在するのは設計図である。その設計図を“読み取って”その中で音のいい部屋を作るために何ができるか。あるいは建築的に考えて、この程度は設計変更できるのではないか、と提案したり、交渉する能力がアコースティク・ラボにはある。この出発点(建築では基本設計段階)が大事であると。
■もっとも大事なのは部屋の形。低域の定在波はここで決まる
そもそも音のいい部屋にとって大事な要件のひとつはその形だ。奥行き・幅・高さという寸法によって低域の定在波を散らしたい。
逆に言うと、低域の定在波は部屋の形で決まってしまうので、それを実現するためには家全体の設計の最初からオーディオルームの設計に携われると、よりいい結果を得られることになる(ちなみに、現在は仕事の半分くらいは家の設計と同時にオーディオ用の部屋の設計も始めている)。
この連載でも見てきたように、オーディオルームを一階に設置して床の位置を下げ、天井高さ方向の寸法を大きく取るといったことも設計テクニックの一つだそうだ。
■いくら理論が分かっていても音の良い部屋は実現できない
逆に言うと、音のいい部屋の形や計算方法をわかっている人がいたとしても、それを建築的な言葉や、きちんとした設計図として住宅メーカーや建築職人と相談したり、提示、説得する能力がなければ、よい音の部屋は実現することができない。それができるのがアコースティックラボである。
「音響設計とは実際の作業はほとんど建築設計なんですよ」と。しかも個々の事例において、クライアントに応じてきめ細やかにやっていかなければいけないし、できた後も音響測定を行って、響きの量をクライアントの感覚にフィットさせるコントールもしているという。そういう細かい作業をアウトソーシング化しないのも特徴になってくる。
そういったことすべてをトータルで考え、実現していることがコストパフォーマンスの高さにつながっている。そうリポートしたい。
■蔵前ヴィレッジの魅力 − 音のいい部屋が体験できる様々なスペースが用意される
オーディオでもそうだが、あるアンプの良さをいくら文章で読んでもやはり実際に音を聴かないと納得できないのが普通だと思う。オーディオの部屋も同じく。アコースティックラボの仕事の実際を体験したい人のためにモデルルームが作られている。ここでは蔵前ヴィレッジ(正式には(株)アコースティックラボ蔵前分室)の紹介をしておこう。
もともと音響実験・研究所として始まったという。これを整備し、さまざまな立場の人、たとえば楽器を演奏する人、モニタースタジオを考えているレコーディングエンジニア、ホームシアターを楽しみたい方、そしてオーディオ好きの人が体験できるようにと整備してきた場所だ。
特徴的なのは、まだすべての部屋は完成していないが異なるサイズの部屋を設定し、異なる音響特性を体験できることだ。
具体的に書いてみよう。
エントランスから入るとまずロビーがある。その右手にはガラス越しにスタッフが設計などのデスクワークをしているスペースが見え、正々堂々、見ていただいてもいいですよ、という社風が伝わってくる。
そのロビーの正面にあるのが17帖の部屋だ。ミュージック&オーディオ&シアタールームと名付けられている。場合によってはグランドピアノが入っている場合もあるし、手前に出されている時もあるがここが一番広い部屋だ。オーディオ的なイベントでも使われる空間で、4.2mの天井高を体感できる。
次にあるのが7.5帖(天井高3.0m)のDAWスタジオ。そして防音の扉を介してつながっているのが12帖(天井高3.0m)のレコーディング&ミキシング・スタジオだ。後者にはドラムセットが設置されていて試奏することもでき、それを外側から聴いて、どれくらい遮音が効いているかを体験できる。また、壁の表面の板が分割され、フラットな面から音を反射するような角度まで自由に変えられるので、レコーディングの時のソノリティの調整も可能だ。
サブ(副調節室)的な感じのDAWスタジオの方は、一般家庭でのサイズに近いのでこういった部屋での音の聴こえ方を感覚的に把握するのに適している。アコースティックラボに相談する方は、実際には6帖、8帖、10帖といった部屋の方も多いということなので、こうしたサイズの部屋を体感して、ご自身のイメージ作りに参考にしてほしいと鈴木代表は語っていた。
■オーディオルームはスピーカーの箱である
最後に筆者の感想などを短く。一般的にスピーカーユニットはエンクロージャーの中に組み込まれている。エンクロージャーなしでは位置も固定できないが、ドライバーユニット背面の音を受け止めて、適切なレゾナンスを発生する役割もある。剛性の弱い箱だと、悪い意味で呼吸したり、付帯音がついて音の純度は上がらない。
実は、オーディオを鳴らす部屋というのは、振動板の表側のエンクロージャーのようなもので、その床・壁・天井の剛性とか形状はただちに再生音に反映されることになる。
オーディオ、音のふるまい、建築のことがわかっているアコースティックラボは経験値の高いスピーカーメーカーのように、上手な作り手なのだ。オーディオルームを参考にしている方には有力な選択肢と思う。
蔵前ビレッジのキャッチコピーは「音は体験してみて初めて分かることがある」だという。きっと部屋による音の違いを目の当たりに体験すると、部屋の役割の大きさに気づくはずだ。
<試聴会『オーディオライブin蔵前Village』開催情報>
記事中でも紹介しているアコースティックラボ蔵前ショールームを会場に行われる試聴イベント『オーディオライブin蔵前Village』が9月1日(金)・2日(土)、および翌週末9月8日(金)・9日(土)に開催される。各イベントの詳細は下記の通り。
■オーディオライブin蔵前Village【ALLION】
・9月1日(金)18時〜20時
・9月2日(土)14時〜16時
・イベント詳細情報
・参加申し込みメールフォーム
“マイ柱”やオーディオブランド「ALLION」で知られる出水電器による試聴イベント。アリオンのプリメインアンプ新製品「A-10」の試聴デモも予定している。
アコースティックラボではオーディオ専用アースを設置。専用アース、共用アースそれぞれの有無による音の違いを、実際に確かめるという。
■オーディオライブin蔵前Village【スフォルツァート】
・9月8日(金)18時〜20時
・9月9日(土)14時〜16時
・イベント詳細情報
・参加申し込みメールフォーム
スフォルツァートの新ネットワークプレーヤー「DSP-Vela」および「DSP-Dorado」を体験可能。
なお両イベントとも2日間開催されるが、どちらの日も基本的な内容は同一。都合のよい日時を選んで参加できるように配慮している。参加はもちろん無料だが事前申し込みが必要で、上記の参加申し込みメールフォームか下記問い合わせ先から申し込みや各種問い合わせを受け付けている。
【問い合わせ先】
アコースティックラボ
TEL/03-5829-6035
MAIL/kusakai@acoustic-designsys.com
担当:草階(くさかい)氏
(特別企画 協力:アコースティックラボ)
音響設計のプロ集団、アコースティックラボはどのようにして誕生したのか? その軌跡をたどる
■アコースティックラボの成り立ち − オーディオを熟知した一級建築士が直轄
以前から疑問に思っていたことがある。アコースティックラボのコストパフォーマンスの高さについてだ。
一般的なイメージとしては遮音するだけでも相当な金額がかかるのに、その上オーディオを鳴らす部屋として音がよく、さらに内装のデザインもいい。お客さんの満足度も高いはずだ。
筆者(鈴木 裕)に提灯記事を書く意図はないが、実際に施工した部屋の音を聴き、そのオーナーに取材したり、関係者に話を訊くと悪い話がない。それでいて予算は一般的な金額と比較して高くないのだから、その理由を知りたくなるのも自然な流れだろう。きっと何か秘訣があるはずだ。
この連載のラストということで、そのことをまず質問していった。結論から短く言うと、オーディオや音のふるまいのことをわかっている人間が、同時に一級建築士であり、直轄の建築専門工事会社(株)アコースティックエンジニアリングを立ち上げ、以来40年間にわたって育ってきたということなのだ。(株)アコースティックラボは3年前にアコースティックグループの(株)アコースティックデザインシステムからオーディオルーム専門会社として分社・独立している。
■音楽好きの電気少年が長じて建築への深い造詣から設立
そもそも(株)アコースティックエンジニアリングを立ち上げたのは鈴木泰之代表だが、その経歴が興味深い。
団塊の世代として生まれた鈴木代表。そのオーディオとの最初の接点はアマチュア無線だったという。当時の秋葉原は既製品や米軍の払い下げのジャンク品などもあったそうだがかなり高額で、無線の送受信機を自作したところからスタートしている。
大学時代は70年安保の時代だった。「目には見えない音・電気にロマンを感じていました」(以下、鈴木代表の言葉)という理由で電気科志望するもあえなく受験には失敗して浪人、その間に形ある建築に志望変更。
「実際に形のあるものの方がいいと思ったんですよ」ということで、建築学科の学生生活を始めたもののキャンパスは大学闘争・全共闘の全盛時代、勉学そっちのけ。
当時は高度成長期で建築関係の仕事もたくさんあって在学当時からそうしたアルバイトをして仲間と資金稼ぎ、いつの間にかキャリアを重ね気が付いてみたら建築の設計でしか飯が食えないことがわかり20歳代後半にして独立、建築事務所を設立している。ただし、その時代でも音楽やオーディオに対する興味は失われていなかった。
「一般的な建築には定石があります。でも、音響といったものについては事細かく、ひとつひとつやらないといけないんです。そしてその基本的な考え方や数式といったものが自分の中にありました」
実際には音楽家たちからの要望に応えて、遮音/防音といった案件から仕事をしていったそうだが、事細かく、ひとつひとつやらないと結果の出ない仕事だ。
「わかったことは当時の一般の業者のやっている音響関係の仕事は値段が高いし、音もあまり良くなかったんですよ(笑)」
そもそも建築における音響技術は第二次世界大戦後、特に70年代以降整ってきたもので、その当時でも学問として体系化されていなかった。専門書はあったがコンサートホールや劇場・放送局といった大きな空間を想定していた。
「自分自身が音楽を聴くのに満足できるような部屋を作ろうと思いました」
かくして、音楽好きの電気少年が長じて、建築に深い造詣を持って生まれた会社がアコースティックラボの前身だったのだ。
■アコースティックラボの部屋作り − 設計図を“読み取って”音のいい部屋を提案する
ここで興味深いのは、アコースティックラボが仕事を受ける形の割合だ。新築住宅の場合は住宅メーカーとの共同作業(コラボ設計・施工)が多く全体の3〜4割、AVルームの設計・施工を担当することになる。
それ以外は個人クライアントからのリフォーム工事で、なかには家全体の設計・施工もあるという。この時に鈴木代表自身が一級建築士であり、会社のメンバーにもこの資格を持っている人が多いということが大事になってくる。
設計段階の最初に存在するのは設計図である。その設計図を“読み取って”その中で音のいい部屋を作るために何ができるか。あるいは建築的に考えて、この程度は設計変更できるのではないか、と提案したり、交渉する能力がアコースティク・ラボにはある。この出発点(建築では基本設計段階)が大事であると。
■もっとも大事なのは部屋の形。低域の定在波はここで決まる
そもそも音のいい部屋にとって大事な要件のひとつはその形だ。奥行き・幅・高さという寸法によって低域の定在波を散らしたい。
逆に言うと、低域の定在波は部屋の形で決まってしまうので、それを実現するためには家全体の設計の最初からオーディオルームの設計に携われると、よりいい結果を得られることになる(ちなみに、現在は仕事の半分くらいは家の設計と同時にオーディオ用の部屋の設計も始めている)。
この連載でも見てきたように、オーディオルームを一階に設置して床の位置を下げ、天井高さ方向の寸法を大きく取るといったことも設計テクニックの一つだそうだ。
■いくら理論が分かっていても音の良い部屋は実現できない
逆に言うと、音のいい部屋の形や計算方法をわかっている人がいたとしても、それを建築的な言葉や、きちんとした設計図として住宅メーカーや建築職人と相談したり、提示、説得する能力がなければ、よい音の部屋は実現することができない。それができるのがアコースティックラボである。
「音響設計とは実際の作業はほとんど建築設計なんですよ」と。しかも個々の事例において、クライアントに応じてきめ細やかにやっていかなければいけないし、できた後も音響測定を行って、響きの量をクライアントの感覚にフィットさせるコントールもしているという。そういう細かい作業をアウトソーシング化しないのも特徴になってくる。
そういったことすべてをトータルで考え、実現していることがコストパフォーマンスの高さにつながっている。そうリポートしたい。
■蔵前ヴィレッジの魅力 − 音のいい部屋が体験できる様々なスペースが用意される
オーディオでもそうだが、あるアンプの良さをいくら文章で読んでもやはり実際に音を聴かないと納得できないのが普通だと思う。オーディオの部屋も同じく。アコースティックラボの仕事の実際を体験したい人のためにモデルルームが作られている。ここでは蔵前ヴィレッジ(正式には(株)アコースティックラボ蔵前分室)の紹介をしておこう。
もともと音響実験・研究所として始まったという。これを整備し、さまざまな立場の人、たとえば楽器を演奏する人、モニタースタジオを考えているレコーディングエンジニア、ホームシアターを楽しみたい方、そしてオーディオ好きの人が体験できるようにと整備してきた場所だ。
特徴的なのは、まだすべての部屋は完成していないが異なるサイズの部屋を設定し、異なる音響特性を体験できることだ。
具体的に書いてみよう。
エントランスから入るとまずロビーがある。その右手にはガラス越しにスタッフが設計などのデスクワークをしているスペースが見え、正々堂々、見ていただいてもいいですよ、という社風が伝わってくる。
そのロビーの正面にあるのが17帖の部屋だ。ミュージック&オーディオ&シアタールームと名付けられている。場合によってはグランドピアノが入っている場合もあるし、手前に出されている時もあるがここが一番広い部屋だ。オーディオ的なイベントでも使われる空間で、4.2mの天井高を体感できる。
次にあるのが7.5帖(天井高3.0m)のDAWスタジオ。そして防音の扉を介してつながっているのが12帖(天井高3.0m)のレコーディング&ミキシング・スタジオだ。後者にはドラムセットが設置されていて試奏することもでき、それを外側から聴いて、どれくらい遮音が効いているかを体験できる。また、壁の表面の板が分割され、フラットな面から音を反射するような角度まで自由に変えられるので、レコーディングの時のソノリティの調整も可能だ。
サブ(副調節室)的な感じのDAWスタジオの方は、一般家庭でのサイズに近いのでこういった部屋での音の聴こえ方を感覚的に把握するのに適している。アコースティックラボに相談する方は、実際には6帖、8帖、10帖といった部屋の方も多いということなので、こうしたサイズの部屋を体感して、ご自身のイメージ作りに参考にしてほしいと鈴木代表は語っていた。
■オーディオルームはスピーカーの箱である
最後に筆者の感想などを短く。一般的にスピーカーユニットはエンクロージャーの中に組み込まれている。エンクロージャーなしでは位置も固定できないが、ドライバーユニット背面の音を受け止めて、適切なレゾナンスを発生する役割もある。剛性の弱い箱だと、悪い意味で呼吸したり、付帯音がついて音の純度は上がらない。
実は、オーディオを鳴らす部屋というのは、振動板の表側のエンクロージャーのようなもので、その床・壁・天井の剛性とか形状はただちに再生音に反映されることになる。
オーディオ、音のふるまい、建築のことがわかっているアコースティックラボは経験値の高いスピーカーメーカーのように、上手な作り手なのだ。オーディオルームを参考にしている方には有力な選択肢と思う。
蔵前ビレッジのキャッチコピーは「音は体験してみて初めて分かることがある」だという。きっと部屋による音の違いを目の当たりに体験すると、部屋の役割の大きさに気づくはずだ。
<試聴会『オーディオライブin蔵前Village』開催情報>
記事中でも紹介しているアコースティックラボ蔵前ショールームを会場に行われる試聴イベント『オーディオライブin蔵前Village』が9月1日(金)・2日(土)、および翌週末9月8日(金)・9日(土)に開催される。各イベントの詳細は下記の通り。
■オーディオライブin蔵前Village【ALLION】
・9月1日(金)18時〜20時
・9月2日(土)14時〜16時
・イベント詳細情報
・参加申し込みメールフォーム
“マイ柱”やオーディオブランド「ALLION」で知られる出水電器による試聴イベント。アリオンのプリメインアンプ新製品「A-10」の試聴デモも予定している。
アコースティックラボではオーディオ専用アースを設置。専用アース、共用アースそれぞれの有無による音の違いを、実際に確かめるという。
■オーディオライブin蔵前Village【スフォルツァート】
・9月8日(金)18時〜20時
・9月9日(土)14時〜16時
・イベント詳細情報
・参加申し込みメールフォーム
スフォルツァートの新ネットワークプレーヤー「DSP-Vela」および「DSP-Dorado」を体験可能。
なお両イベントとも2日間開催されるが、どちらの日も基本的な内容は同一。都合のよい日時を選んで参加できるように配慮している。参加はもちろん無料だが事前申し込みが必要で、上記の参加申し込みメールフォームか下記問い合わせ先から申し込みや各種問い合わせを受け付けている。
【問い合わせ先】
アコースティックラボ
TEL/03-5829-6035
MAIL/kusakai@acoustic-designsys.com
担当:草階(くさかい)氏
(特別企画 協力:アコースティックラボ)