HSE技術を投入した最新モデル
アクセサリー銘機賞で特別大賞受賞。ティグロン「HSEシリーズ」ケーブルの実力を6人の評論家が分析
角田郁雄
音の解像度と透明度が高まり
俊敏かつ中低域の量感も増大
これらが今回、同社と海外の技術集団で開発した、超飽和電流型ケーブル活性装置「HSE」を使用する仕様となって発売された。このHSEにより導体の結晶粒界の酸化皮膜を除去し、多結晶の銅を単結晶銅にする効果を得たとのこと。導体も適度に発熱し、導体周囲の絶縁物やマグネシウムシールド層が膨張し、柔らかく移動しやすくなり、機械的なストレスも減少するそうである。
私は、まず電源ケーブル「MGL-DFA10-HSE」を試した。大きく変化したことは音の透明度が高まり、解像度が高まったことだ。さらに音の立ち上がりが俊敏になり、中低域の量感も増した。高解像度、ハイスピード・レスポンスで、より鮮度の高いニュートラルなトーンを身につけたところに、大きな魅力を感じた。現在は、徐々に、本電源ケーブルに変更しているところだ。次はスピーカーケーブルにチャレンジしようと思っている。私のように静寂感、解像度、空間描写性、レスポンスを求める方には、ぜひ、HSE仕様のケーブルを一度試して欲しい。
福田雅光
にじみが減り、ピュアな音質に
コントラストや解像力も際立つ
この処理に使う装置・方法がHSEと呼ばれる。導入した装置は導体経路に特殊な電流を断続的に周期を持って流す動作になっているようだ。効果の度合いは処理時間で調整される。それは5分でもメリットが現れ、上限1時間の処理を基準に考えられている。オリジナルのティグロンのケーブルは帯域表現力に優れた性能が魅力である。
今回1時間処理の製品をテストすると、雰囲気が豊かにニュアンスを柔らかく表現、音の純度も高い。音場の広がりと、中低音の骨組みをしっかり構成しながら、硬質感のない傾向に改善されているのがわかる。このテストではRCAケーブルMS-DF12Rを使った。さらに電源ケーブルMGL-DFA10を未処理の状態と5分処理した状態を比較すると、音質は低歪で純度を高め、混濁やにじみが減少、よりピュアな音質に変化することを、これは実験として試したものだが、コントラストや分解力を確保する効果は副作用も少ないと考えられる。HSE処理による新しい音が今後展開することになる。
本記事は「季刊オーディオアクセサリー」171号所収記事を転載したものです。雑誌の購入はこちらから。