【特別企画】オーディオ銘機賞2022 銀賞受賞
滑らかで豊潤な響きが高評価。オール三極管で構成される「JUNONE 845S」の見事な再現力
トライオードのプレミアムブランドであるJUNONE(ジュノン)から登場したプリメインアンプ「JUNONE 845S」。その実力は本年度の「オーディオ銘機賞2022」でも高い評価を獲得、見事“銀賞”の栄冠に輝いた。ここでは、審査委員として最高評価を届けた角田郁雄氏がその魅力を語る。
■オール三極管で構成された純A級増幅のプリメイン
トライオードは創立25周年を記念してKT-150を搭載した「MUSASHI」や、300Bを搭載した「TRZ-300W」を発売し、その勢いは増すばかりである。そんな同社のハイエンド・ブランドであるJUNONEから直熱三極管845を搭載するプリメインアンプ「JUNONE 845S」が登場した。
本機のブラックのスタイリッシュなデザインは一見しただけで魅了されてしまう。トップパネルの左右には、モデル名でもある直熱三極管845を配置。これをドライブするのがその内側に配されたPSVANEのWE300Bである。さらにいちばん手前にはプリアンプ用の12AX7とパワーアンプ部の初段となる12AT7が各2本並ぶ。そしてその後部には、これらの真空管を引き立てるかのように、重厚なケースに収容された出力トランス2基と電源トランスが見える。
本機の魅力は、このようにオール三極管で構成され、純A級増幅で22W出力する点だ。実際に電源を投入するとこれら真空管の輝きが美しく、照明を消して音楽をひたすら堪能したくなるほどだ。
フロントパネルに注目する。バイアス調整用メーター(ハムバランサーも調整可能)セレクター、ボリュームが配置され、シンプルながらなんともスタイリッシュなイメージを演出しているではないか。まさに所有の喜びを感じさせる姿である。
魅力はそのデザインにとどまらない。ライン入力からの信号は、後部に配置されたデュアル・モノラル・コンストラクションの増幅回路に接続される。信号の流れとしては、最初に音量調整器を通り、次に双三極管12AT7による初段とバッファーに接続される。これがプリアンプ部だ。その信号はさらにパワーアンプ部の初段12AT7(SEPP)に伝送され増幅される仕組みだ。
さらにその信号は、忠実に研究、復刻された「WE300B」に送られる。そして主役の出力段である直熱三極管845により最終増幅されトランス出力される仕組みだ。真空管アンプに詳しい方なら、WE300Bが845をドライブすることに、強いインパクトを受けることであろう。
なお、増幅回路にはドイツ・ムンドルフ製高音質コンデンサーなどの高音質パーツを使用。845を確実にホールドするテーパー形状の金メッキピンを使用した高品質セラミック製ソケットも独自開発した。
また、極めて直線性の高い独自のワイドレンジ出力トランスにも注目。増幅回路の後部には2枚のシールド板を介して、約1kVという高電圧を電源供給できる強力かつ安定した電源回路も採用している。なお本機はプリアンプ部をバイパスさせパワーアンプとしても使用できる。
■豊潤な響きと透明度を見事に両立させた音質
音質は滑らかで豊潤な中高域の響きが大きな魅力だ。特に高域が瑞々しくリニアに伸びている印象を受ける。中域は倍音が濃厚で、音の透明度は極めつけだ。例えばヴォーカル、ヴァイオリン、アコースティックギター、ピアノなどのソロ曲を再生すると一音一音に厚みがあり、その余韻の透明度が高く空間に描写される。
また楽器数が少ないヴォーカル曲、例えばジョニ・ミッチェルの『ミンガス』のLPを再生すると右のギター・ソロが浮き上がり、中央にヴォーカルが定位。その演奏と歌唱はこの濃厚な倍音と音の透明度ゆえに、あたかも目の前で演奏されるかのような臨場感が体験できる。低域も魅力的で弾力感のある力強い低音が体験できる。
このような音の透明度と豊潤な倍音は、まさにオール三極管による純A級増幅による大きな効果といえる。トライオードのCDプレーヤー「TRV-CD6SE」で再生するとこのアンプの音質に支配され、CDとは思えない、アナログ再生に迫る音質が体験できる。
デリケートな表現と力感溢れた再現力を両方とも体験させてくれるのは、WE300Bと845のコンビネーションと言えるであろう。私は絶賛したい。
(提供:トライオード)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.183』からの転載です。
■オール三極管で構成された純A級増幅のプリメイン
トライオードは創立25周年を記念してKT-150を搭載した「MUSASHI」や、300Bを搭載した「TRZ-300W」を発売し、その勢いは増すばかりである。そんな同社のハイエンド・ブランドであるJUNONEから直熱三極管845を搭載するプリメインアンプ「JUNONE 845S」が登場した。
本機のブラックのスタイリッシュなデザインは一見しただけで魅了されてしまう。トップパネルの左右には、モデル名でもある直熱三極管845を配置。これをドライブするのがその内側に配されたPSVANEのWE300Bである。さらにいちばん手前にはプリアンプ用の12AX7とパワーアンプ部の初段となる12AT7が各2本並ぶ。そしてその後部には、これらの真空管を引き立てるかのように、重厚なケースに収容された出力トランス2基と電源トランスが見える。
本機の魅力は、このようにオール三極管で構成され、純A級増幅で22W出力する点だ。実際に電源を投入するとこれら真空管の輝きが美しく、照明を消して音楽をひたすら堪能したくなるほどだ。
フロントパネルに注目する。バイアス調整用メーター(ハムバランサーも調整可能)セレクター、ボリュームが配置され、シンプルながらなんともスタイリッシュなイメージを演出しているではないか。まさに所有の喜びを感じさせる姿である。
魅力はそのデザインにとどまらない。ライン入力からの信号は、後部に配置されたデュアル・モノラル・コンストラクションの増幅回路に接続される。信号の流れとしては、最初に音量調整器を通り、次に双三極管12AT7による初段とバッファーに接続される。これがプリアンプ部だ。その信号はさらにパワーアンプ部の初段12AT7(SEPP)に伝送され増幅される仕組みだ。
さらにその信号は、忠実に研究、復刻された「WE300B」に送られる。そして主役の出力段である直熱三極管845により最終増幅されトランス出力される仕組みだ。真空管アンプに詳しい方なら、WE300Bが845をドライブすることに、強いインパクトを受けることであろう。
なお、増幅回路にはドイツ・ムンドルフ製高音質コンデンサーなどの高音質パーツを使用。845を確実にホールドするテーパー形状の金メッキピンを使用した高品質セラミック製ソケットも独自開発した。
また、極めて直線性の高い独自のワイドレンジ出力トランスにも注目。増幅回路の後部には2枚のシールド板を介して、約1kVという高電圧を電源供給できる強力かつ安定した電源回路も採用している。なお本機はプリアンプ部をバイパスさせパワーアンプとしても使用できる。
■豊潤な響きと透明度を見事に両立させた音質
音質は滑らかで豊潤な中高域の響きが大きな魅力だ。特に高域が瑞々しくリニアに伸びている印象を受ける。中域は倍音が濃厚で、音の透明度は極めつけだ。例えばヴォーカル、ヴァイオリン、アコースティックギター、ピアノなどのソロ曲を再生すると一音一音に厚みがあり、その余韻の透明度が高く空間に描写される。
また楽器数が少ないヴォーカル曲、例えばジョニ・ミッチェルの『ミンガス』のLPを再生すると右のギター・ソロが浮き上がり、中央にヴォーカルが定位。その演奏と歌唱はこの濃厚な倍音と音の透明度ゆえに、あたかも目の前で演奏されるかのような臨場感が体験できる。低域も魅力的で弾力感のある力強い低音が体験できる。
このような音の透明度と豊潤な倍音は、まさにオール三極管による純A級増幅による大きな効果といえる。トライオードのCDプレーヤー「TRV-CD6SE」で再生するとこのアンプの音質に支配され、CDとは思えない、アナログ再生に迫る音質が体験できる。
デリケートな表現と力感溢れた再現力を両方とも体験させてくれるのは、WE300Bと845のコンビネーションと言えるであろう。私は絶賛したい。
(提供:トライオード)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.183』からの転載です。