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進化を続けるフラグシップ、ニコン「Z 9」特別レビュー
■第一級のAF性能。電子シャッター専用機という大英断
AF性能も優秀だ。秒間120回もの高速演算処理によるオートフォーカスは第一級のもの。苦手なシーンが皆無というわけではないが、正確で追従性もよい。また、なにより便利なのがディープラーニング技術を用いた被写体検出だ。
9種類の被写体を自動認識でき、人物はもちろん、カメラを鳥に向けても自動認識して目にピントを合わせてくれる。電車に向ければ先頭車両を検出。しかも最適な測距点をきちんとトラッキングし、追尾しながらピントを合わせ続けてくれるので、被写体の動きを追いながら自由なフレーミングを可能にしてくれる。
一方、メカニカルシャッターを搭載していないのも本機の大きな特徴だ。イメージセンサーからの読み出し速度を高速化することで、電子シャッターの欠点を克服しているわけだ。当たり前だが、電子シャッター専用機のため、撮影時にメカニカルシャッターによる振動がない。そのため、シャッター駆動による微細なブレを防ぐことができる。シャッター音は電子音だが、スピーカーがEVFの真下に配されており、従来のメカニカルシャッターと同じような場所から音がするため違和感も少ない。もちろん無音での撮影も可能だ。
また、メカニカルシャッターがないということは、プロ機で常に課題となるシャッター耐久回数への心配もないということ。連写性能が向上した今、1日数千回とシャッターを切るのはプロの世界では日常的なこと。いくら耐久回数が数十万回といっても、日に日にメカは痛んでくるが、その心配もないわけだ。
もちろん電子シャッター特有のローリング歪みはわずかに残っている。だが、今回の実写でも実用上ほぼ問題にならないレベルに抑えられていることが確認できた。夜景や屋内のような人工光源下では、フリッカーによる縞模様が出る懸念は残るものの、それもフリッカー軽減機能をONにしておけば、大半のシーンで問題になることはなかった。
長年一眼レフを作り続け、メカニカルシャッターを知り尽くしたニコンが、フラグシップモデルを電子シャッター専用機にしたという大英断は、まさに次世代のカメラを作ろうとした最大の証だと思う。