【特別企画】最高峰RCA/XLRインターコネクトの音の進化を探る
一段と繊細で生々しい臨場感に。新旧比較からフルテック「Lineflux NCF」を検証
フルテックが一貫して導入するNCFは、電源周りのプラグや端子、ケーブルインシュレーターなど国内外で次々とヒット作を生む。その成果を信号系RCA/XLRプラグに初投入し、「Lineflux NCF」シリーズが新登場した。ここでは自宅試聴室でも “NCF効果” を積極的に採り入れる小原氏が、新旧ケーブルをつぶさに比較し、表現力の進化を探った。
各社各様のケーブルがある中で、首尾一貫したポリシーやコンセプトで完成されたモデルを私は信用し、積極的に使っていきたいと思っている。その中のひとつがフルテックで、同社が近年強力に推し進めている技術手法が「NCF(ナノ・クリスタル・フォーミュラ)」だ。
その最新の成果が、信号ライン伝送用にNCFを初めて導入した最上位ケーブル「Lineflux NCF」に結集している。今回は同ケーブルのXLRモデルとRCAモデルを用意し、アナログ再生系で旧型(非NCFと表記)と比較しながらインプレッションをお届けしたい。
「Lineflux NCF」ケーブルは、オーディオ信号用ケーブルに初めてNCFを採用したもので、アンバランスタイプの「Lineflux NCF(RCA)」と、バランスタイプの「Lineflux NCF(XLR)」がある。これは従来からの制振効果に加え、静電気対策を図るべく、コネクターの樹脂部分に特殊素材「NCF」を調合、さらにチャッキング式のプラグ外側のカーボンハウジングにもNCFを配合し、新開発されているのが最大の特徴だ。
ケーブル導体は、同社ケーブルの定番であるαプロセス処理(超低温+特殊電磁界処理)を施したαOCCの単芯で、接点部はホット/コールドともにαOCCロジウムメッキ。さらにシールド編組にもαプロセス処理が施されている点がトップエンドモデルの証。また、シース内にナノセラミック/カーボンパウダーPVCを封入している点も見逃せない。絶縁体は高級ポリエチレン製である。
試聴は、自宅システムにて新旧比較という形で実施した。つまり、従来の「LineFlux」と同NCF仕様「Lineflux NCF」とを同じ条件で接続して比較試聴したわけだ。
アンバランス仕様をトーンアーム/フォノイコライザーアンプ間に接続し、フォノイコライザーアンプ/プリアンプ間を同バランスケーブルにて接続した。試聴カートリッジはミューテック「LM-H」、ターンテーブルはテクダス「Air Force One」、トーンアームはアコースティカルシステムズ「Axiom」、イコライザーアンプ/フェーズメーション「EA-1000」という布陣である。
一聴して感じるNCF版の良さは、静粛感と繊細さだ。また、声や楽器の質感再現がたいそうナチュラルで、非NCF版の方はそれに比べてわずかに乾いた音に感じられ、瑞々しさで劣る印象を受けた。
NCF版で聴くメル・トーメのヴォーカルは、音像定位が明瞭で輪郭の隈取りも克明。ライヴ盤特有の、臨場感とプレゼンス感もたっぷり醸し出されていた。音場の3次元的な広がりも申し分なく、非NCF版はその辺りがややこぢんまりとまとまり過ぎている。
この静寂感には、試聴時に併用した「NCF Booster-Signal-L」の効能もありそうだ。今回はフォノイコライザーアンプに接続したバランスケーブルの出力端子を支える形で設置したが、帯電防止と振動抑制の双方で奏効している印象だ。このアイテムは、ケーブルインシュレーターとしての効き目はもちろん、ラックの背面ではこうした使い方でもいい仕事をしてくれることを長年使ってきて分かっているつもりだ。
ジャズは、こちらも私のレファレンスであるショーティー・ロジャースのLPを試聴したが、楽器の質感描写が非常に細やかで、ディテールやニュアンスがとてもよく出る。非NCF版はその点で微かな何かがまとわり付いているようにも感じられる。
ブルッフのヴァイオリン協奏曲は、チョン・キョンファのDECCA盤を試聴した。独奏ヴァイオリンとオーケストラとの距離感やサイズ感をことのほか明確に提示してくれたのがNCF版で、非NCF版はそこがややアバウトに感じられなくもない。また、楽器の鮮度も少し落ちる印象を受けた。
総合的な印象では、「Lineflux NCF」はより繊細で細やかな描写を示しつつ、声や楽器の質感は一段と生々しく、ステレオイメージの3次元的な展開においても優れていると感じた。それは、私がこれまで抱いていたNCFの効能を正統に受け継ぐものであった。
【Lineflux NCF(XLR)】〔ケーブル部〕●導体:単芯α(アルファ)OCC導体1.3mm×1●シールド:2層●絶縁/誘電体:高級ポリエチレン●共振減衰材料:シース内のナノセラミック/カーボンパウダーコンパウンド●ケーブル径:約13.0mm〔XLRプラグ部〕●導体部:純銅素材のα(アルファ)-導体、非磁性ロジウムメッキのワンピース構造●ボディ部:特殊なNCF反共振減衰素材を耐熱性NCF液晶ポリマー樹脂と組み合わせ●ハウジング:マルチマテリアルハイブリッドNCFカーボン、内部は非磁性ステンレス●導体線結線方式:ネジ止めまたはハンダ●適応最大ケーブル径:10.0mm●適応導体ワイヤーサイズ(MAX):CF-601M NCF(R)→撚線14AWG(2.08sq.mm)、単芯12AWG(3.3sq.mm)、線径2.1mm、CF-602FNCF(R)→撚線13AWG(2.62sq.mm)、単芯12AWG(3.3sq.mm)、線径2.4mm●サイズ/質量:CF-601M NCF(R)→全長約18.6φ×64.6mm、約46.9g、CF-602F NCF(R)→全長約18.6φ×70.85mm、約58.2g
【Linefl ux NCF(RCA)】〔ケーブル部〕●XLRと共通〔RCAプラグ部〕●プラグ外径:全長約φ14.0mm×54.0mm
(協力:フルテック)
本記事は『アナログ79号』からの転載です。
NCFの効能を正統に受け継ぐ入念な作りのトップエンド
各社各様のケーブルがある中で、首尾一貫したポリシーやコンセプトで完成されたモデルを私は信用し、積極的に使っていきたいと思っている。その中のひとつがフルテックで、同社が近年強力に推し進めている技術手法が「NCF(ナノ・クリスタル・フォーミュラ)」だ。
その最新の成果が、信号ライン伝送用にNCFを初めて導入した最上位ケーブル「Lineflux NCF」に結集している。今回は同ケーブルのXLRモデルとRCAモデルを用意し、アナログ再生系で旧型(非NCFと表記)と比較しながらインプレッションをお届けしたい。
「Lineflux NCF」ケーブルは、オーディオ信号用ケーブルに初めてNCFを採用したもので、アンバランスタイプの「Lineflux NCF(RCA)」と、バランスタイプの「Lineflux NCF(XLR)」がある。これは従来からの制振効果に加え、静電気対策を図るべく、コネクターの樹脂部分に特殊素材「NCF」を調合、さらにチャッキング式のプラグ外側のカーボンハウジングにもNCFを配合し、新開発されているのが最大の特徴だ。
ケーブル導体は、同社ケーブルの定番であるαプロセス処理(超低温+特殊電磁界処理)を施したαOCCの単芯で、接点部はホット/コールドともにαOCCロジウムメッキ。さらにシールド編組にもαプロセス処理が施されている点がトップエンドモデルの証。また、シース内にナノセラミック/カーボンパウダーPVCを封入している点も見逃せない。絶縁体は高級ポリエチレン製である。
繊細なニュアンスをよく描写、一段と生々しい臨場感を展開
試聴は、自宅システムにて新旧比較という形で実施した。つまり、従来の「LineFlux」と同NCF仕様「Lineflux NCF」とを同じ条件で接続して比較試聴したわけだ。
アンバランス仕様をトーンアーム/フォノイコライザーアンプ間に接続し、フォノイコライザーアンプ/プリアンプ間を同バランスケーブルにて接続した。試聴カートリッジはミューテック「LM-H」、ターンテーブルはテクダス「Air Force One」、トーンアームはアコースティカルシステムズ「Axiom」、イコライザーアンプ/フェーズメーション「EA-1000」という布陣である。
一聴して感じるNCF版の良さは、静粛感と繊細さだ。また、声や楽器の質感再現がたいそうナチュラルで、非NCF版の方はそれに比べてわずかに乾いた音に感じられ、瑞々しさで劣る印象を受けた。
NCF版で聴くメル・トーメのヴォーカルは、音像定位が明瞭で輪郭の隈取りも克明。ライヴ盤特有の、臨場感とプレゼンス感もたっぷり醸し出されていた。音場の3次元的な広がりも申し分なく、非NCF版はその辺りがややこぢんまりとまとまり過ぎている。
この静寂感には、試聴時に併用した「NCF Booster-Signal-L」の効能もありそうだ。今回はフォノイコライザーアンプに接続したバランスケーブルの出力端子を支える形で設置したが、帯電防止と振動抑制の双方で奏効している印象だ。このアイテムは、ケーブルインシュレーターとしての効き目はもちろん、ラックの背面ではこうした使い方でもいい仕事をしてくれることを長年使ってきて分かっているつもりだ。
ジャズは、こちらも私のレファレンスであるショーティー・ロジャースのLPを試聴したが、楽器の質感描写が非常に細やかで、ディテールやニュアンスがとてもよく出る。非NCF版はその点で微かな何かがまとわり付いているようにも感じられる。
ブルッフのヴァイオリン協奏曲は、チョン・キョンファのDECCA盤を試聴した。独奏ヴァイオリンとオーケストラとの距離感やサイズ感をことのほか明確に提示してくれたのがNCF版で、非NCF版はそこがややアバウトに感じられなくもない。また、楽器の鮮度も少し落ちる印象を受けた。
総合的な印象では、「Lineflux NCF」はより繊細で細やかな描写を示しつつ、声や楽器の質感は一段と生々しく、ステレオイメージの3次元的な展開においても優れていると感じた。それは、私がこれまで抱いていたNCFの効能を正統に受け継ぐものであった。
【Lineflux NCF(XLR)】〔ケーブル部〕●導体:単芯α(アルファ)OCC導体1.3mm×1●シールド:2層●絶縁/誘電体:高級ポリエチレン●共振減衰材料:シース内のナノセラミック/カーボンパウダーコンパウンド●ケーブル径:約13.0mm〔XLRプラグ部〕●導体部:純銅素材のα(アルファ)-導体、非磁性ロジウムメッキのワンピース構造●ボディ部:特殊なNCF反共振減衰素材を耐熱性NCF液晶ポリマー樹脂と組み合わせ●ハウジング:マルチマテリアルハイブリッドNCFカーボン、内部は非磁性ステンレス●導体線結線方式:ネジ止めまたはハンダ●適応最大ケーブル径:10.0mm●適応導体ワイヤーサイズ(MAX):CF-601M NCF(R)→撚線14AWG(2.08sq.mm)、単芯12AWG(3.3sq.mm)、線径2.1mm、CF-602FNCF(R)→撚線13AWG(2.62sq.mm)、単芯12AWG(3.3sq.mm)、線径2.4mm●サイズ/質量:CF-601M NCF(R)→全長約18.6φ×64.6mm、約46.9g、CF-602F NCF(R)→全長約18.6φ×70.85mm、約58.2g
【Linefl ux NCF(RCA)】〔ケーブル部〕●XLRと共通〔RCAプラグ部〕●プラグ外径:全長約φ14.0mm×54.0mm
(協力:フルテック)
本記事は『アナログ79号』からの転載です。