<山本敦のAV進化論 第213回>
Alexaの視線操作を体験。Amazon「Fire Max 11」で広がるタブレットの可能性
Amazonが今年発売したタブレットのフラグシップモデル「Fire Max 11」に、ユーザーが目の動きでAlexaを操作できる新機能をソフトウェアアップデートにより追加した。「Alexaを視線で操作」がどんな機能なのか、アマゾンジャパン合同会社でFireタブレットシリーズを担当する丸山 舞氏にインタビューした。
「Alexaを視線で操作」は、Amazonが9月下旬に米国本社で開催した新製品発表会で、アップデートによる機能追加が予告されていたものだ。原語の名称は「Eye Gaze on Alexa」。すべてのFire Max 11のために、タブレットが搭載する様々な機能・サービスへのアクセシビリティを向上することを目的としている。
対応する機種はフラグシップのFire Max 11。2023年11月16日以降に、順次すべての同機種端末にソフトウェアアップデートをロールアウトする。
「Alexaを視線で操作」の機能を選ぶと、タブレットの画面に視線操作専用のユーザーインターフェースが立ち上がる。ニュースや天気の読み上げ、音楽再生などFireタブレットの基本的なサービスが視線による操作に対応している。
Alexaを視線で操作する機能の構想は「かなり以前から立てていたもの」であると、アマゾンジャパンの丸山氏が説明する。
「多様な背景をお持ちの方にFireタブレットを気持ちよく使っていただくために、アマゾンでは様々なユーザー補助機能を強化してきました。音声で会話をしなくても、画面のタイルに触れることでAlexaと対話できる『タップでAlexa』も昨年に導入したユーザー補助機能です。米国ではデジタルデバイスやサービスのアクセシビリティを高めるための取り組みが各方面で活発化しています。日本でも同様にアクセシビリティに対する関心が高まるなか、今回は『Alexaを視線で操作』する機能が、アメリカ・イギリス・ドイツと同じタイミングでいち早く日本でも使えるようになりました」
丸山氏が言及するFireタブレットシリーズが搭載する「ユーザー補助機能」には例えば次のものがある。
「VoiceView」ではユーザーが画面でタッチしたアイテムを音声でフィードバックする。目の不自由な方や弱視の方にもタブレットの操作を身近にする機能だ。タブレットの画面を指でトリプルタップすると「拡大鏡」の機能が立ち上がり、画面の情報が拡大されて読みやすくなる。Kindleの電子書籍をタブレットのKindleアプリで読む際には、テキストを音声で読みあげる機能も使える。
筆者が知る限りでは、外部アクセサリーを使わずに「視線による操作」ができるコンシューマ向けタブレットは本機のほかにない。Fire Max 11はディスプレイ側に内蔵する8メガピクセルのフロントカメラだけで視線操作を実現したことも興味深い。その使い勝手をアマゾンジャパンのオフィスと、別途自宅でもFire Max 11を借りて試した。
設定はまずFire Max 11の設定から「Alexa」に入り、「Alexaを視線で操作」を有効にする。Alexaのメニューに「視線で操作」が並んでいなければ、その前に「タップでAlexa」が有効になっているか確認しよう。
機能を使い始める前に、タブレットに表示されるガイダンスに従って視線追跡機能が正しく動作するようにキャリブレーションを行う。タブレットを目もとの高さで、手もとから50〜60cmの間隔を置いた位置に固定する。キャリブレーションは明るい部屋で、ふだんメガネをかけている方は一時メガネを外してから調整する。
画面に表示されるオレンジ色のドットに視線を向けながら追いかけて、1分前後でキャリブレーションが完了する。
「Alexaを視線で操作」の専用ユーザーインターフェースは、選択すべき「タイル」と名付けられたアイコンが大きく表示されるので、画面のどこを見つめれば良いのか迷うことはなかった。
アマゾンジャパンのオフィスで体験した際には、ニュースや天気、メニューのページ送りなどのタイルを見つめるだけでスムーズに操作ができた。必要以上に目を見開く必要もない。タイルを選択するためにかかる「滞留時間」は2/4/6/8秒の4つのパターンから選べる。
タイルを選択した先のページから復帰する操作は、画面の右下隅に小窓で表示される「視線操作のトップ画面」をじっと見つめる。「戻る」操作がユーザーの意思であること確認するため、ここは滞留時間が6秒に固定されている。
専用画面に並べるタイルもユーザーがカスマイズできる。画面右上に配置された3つの点が並ぶ「設定」アイコンをタップして「タイルを編集」を選択すると、現在並んでいるタイルの削除や配置変更ができる。
新しいタイルの追加も可能だ。「Alexaのアクション」を選択すると、Alexaにお願いする任意のフレーズが登録できる。リビングルームのテレビやエアコン、照明をオンにしたり、よく使うスキルやスマートホームデバイスを動かすためのコマンド、定型アクションなどをセットしておけば視線による複雑な操作も可能だ。
ほかにも「音声アクション」のメニューからよく使う言葉やフレーズを登録しておけば、視線で音声アクションを選ぶとFire Max 11の内蔵スピーカーが音声で言葉を発してくれる。
このふたつの機能については家族や友人、同僚、介護士などFireタブレットを所有するユーザーの周囲にいる人のサポートを得て、環境を整えることができればかなり便利に使えそうだ。
自宅でも視線による操作を試した。操作を正確に認識させるためにはFire Max 11タブレットをしっかりと固定する必要がある。タブレットを手で持った状態で操作すると、視線を認識する数秒の間にタイルの選択が外れてしまったり、意図していないタイルが選ばれたりすることがあった。タブレットをスタンド等に乗せると視線の認識が安定した。
アマゾンジャパンの丸山氏は「視線」という、新しいAlexaの操作方法が加わったことにより「Fireタブレットの可能性をより多くのユーザーに実感していただけることが何よりの喜び」だと語る。
様々な事情により、タブレットやデジタルデバイスの操作がスムーズにできない場合がある。Amazonが3万円台から販売するFire Max 11で、視線による操作を実現したことが大きなインパクトとして、ほかのFireタブレットシリーズや他社製品にも波及することを期待したい。またAmazonには多彩なアクセシビリティ機能を揃えるFireタブレットシリーズを、病院や介護施設などと連係しながら必要とするユーザーに届けることにも尽力してほしいと思う。
■すべてのユーザーに操作しやすいFireタブレットへ、補助機能を強化
「Alexaを視線で操作」は、Amazonが9月下旬に米国本社で開催した新製品発表会で、アップデートによる機能追加が予告されていたものだ。原語の名称は「Eye Gaze on Alexa」。すべてのFire Max 11のために、タブレットが搭載する様々な機能・サービスへのアクセシビリティを向上することを目的としている。
対応する機種はフラグシップのFire Max 11。2023年11月16日以降に、順次すべての同機種端末にソフトウェアアップデートをロールアウトする。
「Alexaを視線で操作」の機能を選ぶと、タブレットの画面に視線操作専用のユーザーインターフェースが立ち上がる。ニュースや天気の読み上げ、音楽再生などFireタブレットの基本的なサービスが視線による操作に対応している。
Alexaを視線で操作する機能の構想は「かなり以前から立てていたもの」であると、アマゾンジャパンの丸山氏が説明する。
「多様な背景をお持ちの方にFireタブレットを気持ちよく使っていただくために、アマゾンでは様々なユーザー補助機能を強化してきました。音声で会話をしなくても、画面のタイルに触れることでAlexaと対話できる『タップでAlexa』も昨年に導入したユーザー補助機能です。米国ではデジタルデバイスやサービスのアクセシビリティを高めるための取り組みが各方面で活発化しています。日本でも同様にアクセシビリティに対する関心が高まるなか、今回は『Alexaを視線で操作』する機能が、アメリカ・イギリス・ドイツと同じタイミングでいち早く日本でも使えるようになりました」
丸山氏が言及するFireタブレットシリーズが搭載する「ユーザー補助機能」には例えば次のものがある。
「VoiceView」ではユーザーが画面でタッチしたアイテムを音声でフィードバックする。目の不自由な方や弱視の方にもタブレットの操作を身近にする機能だ。タブレットの画面を指でトリプルタップすると「拡大鏡」の機能が立ち上がり、画面の情報が拡大されて読みやすくなる。Kindleの電子書籍をタブレットのKindleアプリで読む際には、テキストを音声で読みあげる機能も使える。
筆者が知る限りでは、外部アクセサリーを使わずに「視線による操作」ができるコンシューマ向けタブレットは本機のほかにない。Fire Max 11はディスプレイ側に内蔵する8メガピクセルのフロントカメラだけで視線操作を実現したことも興味深い。その使い勝手をアマゾンジャパンのオフィスと、別途自宅でもFire Max 11を借りて試した。
■Alexaを視線で操作してみた
設定はまずFire Max 11の設定から「Alexa」に入り、「Alexaを視線で操作」を有効にする。Alexaのメニューに「視線で操作」が並んでいなければ、その前に「タップでAlexa」が有効になっているか確認しよう。
機能を使い始める前に、タブレットに表示されるガイダンスに従って視線追跡機能が正しく動作するようにキャリブレーションを行う。タブレットを目もとの高さで、手もとから50〜60cmの間隔を置いた位置に固定する。キャリブレーションは明るい部屋で、ふだんメガネをかけている方は一時メガネを外してから調整する。
画面に表示されるオレンジ色のドットに視線を向けながら追いかけて、1分前後でキャリブレーションが完了する。
「Alexaを視線で操作」の専用ユーザーインターフェースは、選択すべき「タイル」と名付けられたアイコンが大きく表示されるので、画面のどこを見つめれば良いのか迷うことはなかった。
アマゾンジャパンのオフィスで体験した際には、ニュースや天気、メニューのページ送りなどのタイルを見つめるだけでスムーズに操作ができた。必要以上に目を見開く必要もない。タイルを選択するためにかかる「滞留時間」は2/4/6/8秒の4つのパターンから選べる。
タイルを選択した先のページから復帰する操作は、画面の右下隅に小窓で表示される「視線操作のトップ画面」をじっと見つめる。「戻る」操作がユーザーの意思であること確認するため、ここは滞留時間が6秒に固定されている。
■視線による操作のカスタマイズにも対応
専用画面に並べるタイルもユーザーがカスマイズできる。画面右上に配置された3つの点が並ぶ「設定」アイコンをタップして「タイルを編集」を選択すると、現在並んでいるタイルの削除や配置変更ができる。
新しいタイルの追加も可能だ。「Alexaのアクション」を選択すると、Alexaにお願いする任意のフレーズが登録できる。リビングルームのテレビやエアコン、照明をオンにしたり、よく使うスキルやスマートホームデバイスを動かすためのコマンド、定型アクションなどをセットしておけば視線による複雑な操作も可能だ。
ほかにも「音声アクション」のメニューからよく使う言葉やフレーズを登録しておけば、視線で音声アクションを選ぶとFire Max 11の内蔵スピーカーが音声で言葉を発してくれる。
このふたつの機能については家族や友人、同僚、介護士などFireタブレットを所有するユーザーの周囲にいる人のサポートを得て、環境を整えることができればかなり便利に使えそうだ。
自宅でも視線による操作を試した。操作を正確に認識させるためにはFire Max 11タブレットをしっかりと固定する必要がある。タブレットを手で持った状態で操作すると、視線を認識する数秒の間にタイルの選択が外れてしまったり、意図していないタイルが選ばれたりすることがあった。タブレットをスタンド等に乗せると視線の認識が安定した。
アマゾンジャパンの丸山氏は「視線」という、新しいAlexaの操作方法が加わったことにより「Fireタブレットの可能性をより多くのユーザーに実感していただけることが何よりの喜び」だと語る。
様々な事情により、タブレットやデジタルデバイスの操作がスムーズにできない場合がある。Amazonが3万円台から販売するFire Max 11で、視線による操作を実現したことが大きなインパクトとして、ほかのFireタブレットシリーズや他社製品にも波及することを期待したい。またAmazonには多彩なアクセシビリティ機能を揃えるFireタブレットシリーズを、病院や介護施設などと連係しながら必要とするユーザーに届けることにも尽力してほしいと思う。