PR4種導体のハイブリッドで音質を練り上げる
「身近な傑作」がさらに進化。ゾノトーンの中核インターコネクトケーブル「Granster AC-3000」を聴く
独自のハイブリッド導体の活用に定評ある国産アクセサリーブランド、ZONOTONE(ゾノトーン)。ロングセラーとなった中核グレードのインターコネクトケーブル「6NAC-Granster 3000α」が9年ぶりにリニューアルを果たした。空間再現力をさらに高めたというそのサウンドの実力を、RCA/XLRケーブルそれぞれで検証する。
ゾノトーンの “Gransterシリーズ” はフラグシップの “Shupreme” とエントリーの “Meister” の間、つまり同社の中核に位置するシリーズであり、その高い価格対性能比から「身近な傑作」として認知されている。このたびそのGransterシリーズに最新鋭のインターコネクトケーブル「Granster AC-3000」(RCA/XLR)が誕生した。「6NAC-Granster 3000α」の後継機である。
前モデルと異なるのは主に(1)導体構成(2)構造そして(3)グラウンド線だ。
まず(1)導体構成。前モデル同様に「Granster AC-3000」も導体はゾノトーン得意の異種導体ハイブリッドとしているが、全4種の導体中1種が前モデルと異なる。前モデルで採用していた高機能純銅線「HiFC」に代わって、「Granster AC-3000」は高純度無酸素銅「C1011」を採用したのだ。
「C1011」は別名「電子管用無酸素銅」=EOFC(Oxygen-Free Copper for Electron tubes)と言われる、純度99.99%以上のきわめて純度の高い銅材料。いわゆる無酸素銅(OFC)の中でも最高規格に規定されているらしい。しかし実は生産するメーカーによって音の特長が異なるという。ゾノトーンの代表 前園 力氏は数社の「C1011」を取り寄せて比較試聴したところ、クオリティが非常に高く、特に空間表現力がずば抜けて優れていた古河電工製を採用したという。
そして「Granster AC-3000」はこの「C1011」と他の3つの導体、すなわち超高純度6NCu、高純度無酸素銅線PCUHD、そして高純度無酸素銅OFCとをゾノトーン独自の黄金比でハイブリッドにしている。
次に(2)構造。前モデルは4芯だったが「Granster AC-3000」は異種独立2層2芯導体とした。2層×2芯で4芯相当ということである。この構造は、非常に解像度が高い上位モデルである「7NAC-Granster 5000α」に倣ったらしい。上位機の技術を下位機におろす例はおしなべてコスパに優れるものだ。この構造変更は相当に効くだろう。
そして何より注目なのが(3)グラウンド線である。前モデルではグラウンド線がなくシールドをグラウンドと共有していた。しかし「Granster AC-3000」はバランス伝送対応用に、独立したグラウンド線1芯を配備しており、またシールドは片側結線でソース側に落とす構造となっている。
これにより、特にXLRケーブルではシールドが吸収する高周波等のノイズがグラウンドに混入しなくなるので、バランス伝送本来の正確な伝送性能を確保できるようになった。
その他、絶縁体は高純度ポリエチレンを採用。シールドはアルミラップと高密度錫メッキ銅編組の2重。介在は高密度ポリエチレン。プラグはRCAが精密加工によるオリジナル、XLRは接触部分に金メッキを施したノイトリック社製プロ用端子である。
今回試聴システムはスピーカーにBowers&Wilkinsの「802 D4」、SACDプレーヤーはアキュフェーズ「DP-770」、プリアンプ「C-3900」、パワーアンプ「P-7500」とし、「Granster AC-3000」はSACDプレーヤー・プリアンプ間に繋いで試聴した。
まずRCAから。最初に再生したミケーレ・ラッビア『Lost River』の「Nimbus」は無音で始まる冒頭のノイズフロアが断然低い。音像のひとつひとつにピントがビシッと合う。解像度の低いケーブルだと膨らみがちなバスドラムの音像は引き締まり、他の音像との分離が明瞭で実に気持ちがいい。
そして同「Lost River」では音場中央だけではなく、左右の各スピーカーの外側にも奥行きが出ることが分かる。金属が転がる音が鮮明。各音像の上下幅が見事に伝わる。
アブラス指揮フランダース歌劇場交響楽団『マルコプーロス:オルフェウスの典礼』はナレーションとバリトンの質感が滑らかかつ密度が高い。フルートも柔らかく滑らか。
やや古い録音のハイ・ファイ・セットはノイズフロアの低さから逆に浮き立つテープヒスノイズがウェット。ベースは太く沈み込みが深い。ハイハットは耳に刺さらず優しい。「星のストレンジャー」冒頭の喧騒は耳障りでないのでボリュームを下げる気が起こらない。「月にてらされて」のハーモニカも同様で耳にツーンとくる子音成分が目立たずやはり滑らかな質感である。
ではXLRはどうか。上記した通り今回のプリアンプはフルバランスのC-3900であるから、XLRで繋げばバランス伝送の真価を発揮できる筈である。
「Nimbus」は背景の電子音がRCAのときより明瞭。音場にうごめく風の量が増えて分厚い。バスドラムの音像はRCAのときよりタイトで明瞭なうえ、ゴリっとくる重量感があり沈み込みが非常に深い。
「Lost River」はエコーやリヴァーブがきわめて克明。ノイズフロアの圧倒的な低さが効いている。遠近もよく出る。
マルコプーロスでも各楽音の残響がきめ細か。ナレーションの背景が静か。フルートはRCA同様柔らかいが音像に立体感が加わる。バリトンとコーラスの間に距離が出た。
圧巻はハイ・ファイ・セットで、S/Nがさらに向上して、ヴォーカル音像は立体的に浮かび上がり、音場は前後だけでなく左右幅も拡大。「星のストレンジャー」冒頭はサックスとそれ以外の音像間の分離が鮮やか。「ジュ マンニュイ」でも波とベース、ギターとの分離が素晴らしい。「月にてらされて」のハーモニカは子音成分が解像度を上げる形でほぐされ、RCA同様滑らかな質感ながら抑制感皆無で、強く生き生きと伸びている。
新導体「C1011」を得て新たに導かれた黄金比と上級機直伝の導体構造、そして独立グラウンド線の導入により、「Granster AC-3000」はRCA/XLRともに価格がまったく信じられないレベルの高音質を手に入れたようだ。特に、ただでさえこの価格帯にバランスケーブルは少ないなか、グラウンド線をシールドと独立して設けた「Granster AC-3000 XLR」のパフォーマンスの高さは驚くべきほどである。
(提供:前園サウンドラボ)
空間再現力に優れる高純度無酸素銅「C1011」を中核ラインに投入
ゾノトーンの “Gransterシリーズ” はフラグシップの “Shupreme” とエントリーの “Meister” の間、つまり同社の中核に位置するシリーズであり、その高い価格対性能比から「身近な傑作」として認知されている。このたびそのGransterシリーズに最新鋭のインターコネクトケーブル「Granster AC-3000」(RCA/XLR)が誕生した。「6NAC-Granster 3000α」の後継機である。
前モデルと異なるのは主に(1)導体構成(2)構造そして(3)グラウンド線だ。
まず(1)導体構成。前モデル同様に「Granster AC-3000」も導体はゾノトーン得意の異種導体ハイブリッドとしているが、全4種の導体中1種が前モデルと異なる。前モデルで採用していた高機能純銅線「HiFC」に代わって、「Granster AC-3000」は高純度無酸素銅「C1011」を採用したのだ。
「C1011」は別名「電子管用無酸素銅」=EOFC(Oxygen-Free Copper for Electron tubes)と言われる、純度99.99%以上のきわめて純度の高い銅材料。いわゆる無酸素銅(OFC)の中でも最高規格に規定されているらしい。しかし実は生産するメーカーによって音の特長が異なるという。ゾノトーンの代表 前園 力氏は数社の「C1011」を取り寄せて比較試聴したところ、クオリティが非常に高く、特に空間表現力がずば抜けて優れていた古河電工製を採用したという。
そして「Granster AC-3000」はこの「C1011」と他の3つの導体、すなわち超高純度6NCu、高純度無酸素銅線PCUHD、そして高純度無酸素銅OFCとをゾノトーン独自の黄金比でハイブリッドにしている。
次に(2)構造。前モデルは4芯だったが「Granster AC-3000」は異種独立2層2芯導体とした。2層×2芯で4芯相当ということである。この構造は、非常に解像度が高い上位モデルである「7NAC-Granster 5000α」に倣ったらしい。上位機の技術を下位機におろす例はおしなべてコスパに優れるものだ。この構造変更は相当に効くだろう。
そして何より注目なのが(3)グラウンド線である。前モデルではグラウンド線がなくシールドをグラウンドと共有していた。しかし「Granster AC-3000」はバランス伝送対応用に、独立したグラウンド線1芯を配備しており、またシールドは片側結線でソース側に落とす構造となっている。
これにより、特にXLRケーブルではシールドが吸収する高周波等のノイズがグラウンドに混入しなくなるので、バランス伝送本来の正確な伝送性能を確保できるようになった。
その他、絶縁体は高純度ポリエチレンを採用。シールドはアルミラップと高密度錫メッキ銅編組の2重。介在は高密度ポリエチレン。プラグはRCAが精密加工によるオリジナル、XLRは接触部分に金メッキを施したノイトリック社製プロ用端子である。
RCAケーブル -音像のピントがビシッと決まり、上下方向の再現も見事-
今回試聴システムはスピーカーにBowers&Wilkinsの「802 D4」、SACDプレーヤーはアキュフェーズ「DP-770」、プリアンプ「C-3900」、パワーアンプ「P-7500」とし、「Granster AC-3000」はSACDプレーヤー・プリアンプ間に繋いで試聴した。
まずRCAから。最初に再生したミケーレ・ラッビア『Lost River』の「Nimbus」は無音で始まる冒頭のノイズフロアが断然低い。音像のひとつひとつにピントがビシッと合う。解像度の低いケーブルだと膨らみがちなバスドラムの音像は引き締まり、他の音像との分離が明瞭で実に気持ちがいい。
そして同「Lost River」では音場中央だけではなく、左右の各スピーカーの外側にも奥行きが出ることが分かる。金属が転がる音が鮮明。各音像の上下幅が見事に伝わる。
アブラス指揮フランダース歌劇場交響楽団『マルコプーロス:オルフェウスの典礼』はナレーションとバリトンの質感が滑らかかつ密度が高い。フルートも柔らかく滑らか。
やや古い録音のハイ・ファイ・セットはノイズフロアの低さから逆に浮き立つテープヒスノイズがウェット。ベースは太く沈み込みが深い。ハイハットは耳に刺さらず優しい。「星のストレンジャー」冒頭の喧騒は耳障りでないのでボリュームを下げる気が起こらない。「月にてらされて」のハーモニカも同様で耳にツーンとくる子音成分が目立たずやはり滑らかな質感である。
XLRケーブル -ノイズフロアも低くバランス伝送の良さが生きる-
ではXLRはどうか。上記した通り今回のプリアンプはフルバランスのC-3900であるから、XLRで繋げばバランス伝送の真価を発揮できる筈である。
「Nimbus」は背景の電子音がRCAのときより明瞭。音場にうごめく風の量が増えて分厚い。バスドラムの音像はRCAのときよりタイトで明瞭なうえ、ゴリっとくる重量感があり沈み込みが非常に深い。
「Lost River」はエコーやリヴァーブがきわめて克明。ノイズフロアの圧倒的な低さが効いている。遠近もよく出る。
マルコプーロスでも各楽音の残響がきめ細か。ナレーションの背景が静か。フルートはRCA同様柔らかいが音像に立体感が加わる。バリトンとコーラスの間に距離が出た。
圧巻はハイ・ファイ・セットで、S/Nがさらに向上して、ヴォーカル音像は立体的に浮かび上がり、音場は前後だけでなく左右幅も拡大。「星のストレンジャー」冒頭はサックスとそれ以外の音像間の分離が鮮やか。「ジュ マンニュイ」でも波とベース、ギターとの分離が素晴らしい。「月にてらされて」のハーモニカは子音成分が解像度を上げる形でほぐされ、RCA同様滑らかな質感ながら抑制感皆無で、強く生き生きと伸びている。
新導体「C1011」を得て新たに導かれた黄金比と上級機直伝の導体構造、そして独立グラウンド線の導入により、「Granster AC-3000」はRCA/XLRともに価格がまったく信じられないレベルの高音質を手に入れたようだ。特に、ただでさえこの価格帯にバランスケーブルは少ないなか、グラウンド線をシールドと独立して設けた「Granster AC-3000 XLR」のパフォーマンスの高さは驚くべきほどである。
(提供:前園サウンドラボ)