■乱立する映像フォーマットのすべてに対応するのは難しい
一言で言うと、様々な放送フォーマットをシームレスに、しかも高精細にディスプレイに表示する技術である。デジタル技術の発展があってこそ可能になったもので、テレビの究極の姿を具体化して見せたものと言えよう。
地上波テレビ放送、BSデジタルハイビジョン放送、DVDソフト、さらにはインターネットと、テレビに映し出す映像ソースの数は年々増えている。しかもこれらのソースごとに走査周波数が異なっていたりするので、話はますます厄介になる。様々な走査周波数に対応し、なおかつその一つ一つを高画質で表示するのは非常に難しく、しかも構造が複雑になってしまうのだ。地上波テレビは525i、DVDソフトは525iと525p、BSデジタルハイビジョンは1125iと750p、さらにここにPCの規格も含めると、走査周波数は膨大な数になる。まともにこれらに付き合うのがいかに難しいかお分かりだろう。
■様々な走査線数をすべて「1500i」にアップコンバートして表示する
ビクターは、新開発のデジタル技術、DET(デジタルエモーショナルテクノロジー)をもって、この難問の解決を試みた。それはまさにコロンブスの卵的な発想で、ブラウン管における走査線数を1500本(「1500i」と呼ぶ)に統一し、すべての映像を1500iにアップコンバートして表示するというものだ。異なる走査線数を表示する必要がなくなるおかげで、部品や機器の開発がとてもシンプルになる。また、内部で起きやすいノイズ干渉も少なくなり、総合的な性能アップも可能になる。
|
|
これから始まる110度CSデジタル放送や地上波デジタル放送も含め、DETではすべての映像ソースを1500本の走査線に変換して表示する(上)。別項で詳しく説明するが、DETの走査線数を1とすると、1125iがその3/4、750pが1/2、525i/pが1/3と、綺麗な整数倍となっていることがわかる(左) |
|