それでは部屋で実際に聴いてみよう。最初に2枚を左右スピーカーの間、リスニングポイントの正面に置いた。2枚はぴったりくっつけている。
音楽全体が落ち着き、なんともいえない安定感が出た。安定感といっても分かりづらいが、音のにじみのようなものが取れて、定位すべきところに定位するようになった。特に低音方向が著しい。別にベースがもこもこしているなんて思っていなかったが、すっきりした。ただし、センターに音像が集まるような傾向がある。50年代のジャズを聴くなら間違いなくいいが、汎用的とはいえない。
そこでパネルの間隔を1mほど離してみた。センターに空きができたせいなのか、落ち着きはそのままで、音に奥行きがでた。こちらのほうが好ましい。
今度はセンターを外し、部屋の左右側面に1枚ずつ立ててみた。一次反射の成分をここで粉砕するというもくろみだ。これはもうひとつのようで、いままでの効果には及ばない。というより正面パネルの存在が大きすぎた。
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「SYLVAN」を部屋の左右側面に1枚ずつ立ててみた |
ここから枚数が増える。側面はそのままで、さらに2枚を正面に追加。これは飛躍的に効果があがった。2+2が6以上の成果だ。
たとえばライヴ盤を聴いても、拍手の抜けがいい。よく立ってる。変な話、あたかもお客さん全員が、きれいに手を洗ってきたようなのだ。つまり音色が微妙に変化している。低域がすっきりして、中高域に波及しているのだろう。
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最後に「SYLVAN」を試聴者の背後、耳のすぐ後ろに設置 |
今度は、正面はそのままで、側面2枚を背面に移動させてみた。背面といっても部屋にゆとりがないので耳のすぐ後ろにパネルが立った。このケースが最高だった。楽器の位置関係もよく見える。像の前後感が素晴らしい。山下さんは「耳のすぐ後ろは、試したことなかったのですが想定以上でした」と言っていた。
部屋が狭くてパネルなんてとても置けないという人もいるだろうが、狭いからこそ、こうしたパネルで音を整える必要があるように思った。また形状が円柱なので反射角度などセッティングがシビアではない。ポンと置くだけでいいのは利点だ。
ちなみに「シルヴァン」は、オーディオファンだけでなく、スタジオやオーディオメーカー、演奏家からも引き合いがあるということだ。 |