ここまで挙げた要件をクリアできる製品はさほど多くない。リーズナブルな製品で探したら、数えるほどの選択肢しかないはずだ。その数少ない候補の最右翼として、今回我々が推薦したいのが、ECLIPSE
TDシリーズだ。同シリーズには様々な製品がラインナップされているが、今回は特に、「オーディオ銘機賞2008」で銅賞を受賞した「TD508PAII」、そして「ビジュアルグランプリ2008」でホームシアター大賞と銅賞を受賞した「TD307THII」の2機種にフォーカスをあててご紹介したい。
ECLIPSE TDシリーズは、「タイムドメイン理論」を採用したスピーカーとして有名である。タイムドメイン理論に関する詳細はこちらの開発者インタビューをお読み頂きたいが、スピーカーの性能として一般的に使われる周波数特性だけでなく、時間情報を非常に重視しているのが特徴だ。このため、パルス幅の時間が無限小で出力が無限大という、インパルス信号の応答波形を重視。これを正確に再現することができれば、どのような波形にでも対応でき、元の信号を正確に再現することができるという理論だ。
オーディオ銘機賞で銅賞を受賞した「TD508PAII」は、スピーカー「TD508II」2本と専用アンプ「TDA501II」のセットモデル。スピーカー単体でも1本44,100円で購入できる。サラウンドで使用する場合、サブウーファーを除けば22万円弱で5chシステムを組むことができる。ユニットの振動をエンクロージャーに伝え、共振が起きてしまうことを防ぐ“ディフュージョン・ステー”や、ユニットが動くための足場として機能する“グランド・アンカー”という構造物など、タイムドメイン理論を製品に落とし込むための独自の技術が数多く盛り込まれている。
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TD508PAIIはスピーカー「TD508II」2本と専用アンプ「TDA501II」のセットモデル。カラーは写真のように3色が用意される |
その音は、色づけを排除し、ソースの情報をそのまま再現する「正確な音」を特徴としている。ソフトのサウンドプロダクションデザイナーや、演奏者が意図した通りに再現するECLIPSE
TDシリーズの音作りは、世界のトップアーティスト達からも高い支持を得ている。
サラウンド音声を再生する際に最も注力しなければならないポイントに音場再現力があるが、ECLIPSE
TDシリーズはその能力に長けている。なぜならば、ECLIPSE
TDシリーズのスピーカーは1つのユニットで全帯域をまかなう、“シングルウェイ方式”を採用しているからだ。複数ユニットを使うタイプのスピーカーに比べて“位相のズレ”が原理上発生しにくく、前述の不要振動の排除との合わせ技により、サウンドプロダクションデザイナーが意図して収録した、高さ方向の音情報や試聴者を取り巻くような効果音などを元の音源通りに再現する。この結果、まるで音の球体に囲まれたような豊かな音場再現が可能になる。これがECLIPSE
TDシリーズが訴求している「正確な音」であり、世界のトップアーティスト達から高い支持を得ている理由である。「正確な音」の再生にかけては、ECLIPSE
TDシリーズが最高レベルにいると言っても過言ではない。
さらに言えば、HDオーディオを再現する際の条件として重要な、スピードの速さに関しても、ECLIPSE
TDシリーズは非常に高い能力を持つ。もともと、インパルス信号の再現を目標としているだけあり、音の時間方向の再現では他の追随を許さない。
なお、TD510やTD508IIでサラウンドを組むのは、スペースや予算の都合で難しそうという方には、弟分にあたる「TD307II」5本とサブウーファー「316SW」1本をセットにした「TD307THII」をおすすめしたい。弊社が主催する「ビジュアルグランプリ」においても、今夏発表した「ビジュアルグランプリ2007SUMMER」、今冬発表した「ビジュアルグランプリ2008」で、“銅賞”“ホームシアター大賞”をともにダブル受賞するという快挙を成し遂げた。ビジュアルグランプリは、全国の有力販売店の投票と、AV評論家の審査により決定するものであり、AV機器の販売のプロ、評論のプロが、ともに高い評価を与えたということからも、本機の持つ能力がお分かり頂けるだろう。もちろん本機の設計思想もTD510やTD508IIと共通であり、HDオーディオを再生するスピーカーとして不足はないはずだ。
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TD307THIIは「TD307II」5本とサブウーファー「316SW」1本をセットにしたモデル。コンパクトながら、タイムドメイン理論による正確無比なサウンドが体験できる。スピーカーは、シルバー、ブラック、ホワイトの3色がある |
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