新製品批評
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オーディオ専用ルームを持っていないとか、あるいは既に本格的なスピーカーシステムを所有しているなどの理由でECLIPSE TDをリビングに置きたい、という需要は大きいはずだ。そこで、512を筆者宅のリビングルームにセッティングしてみた。

編集部の試聴室で見たときの印象とは違って、存在感が強く、それでいてかわいい。ピアノフィニッシュのブラックボディに黄色いコーンというコントラストはデザイン的にも魅力がある。

 
港区の某所にある筆者宅。インテリアはカラフルでポップなものが多い

構造上、背面を壁に付けてしまうと鳴りが悪くなるので 、写真のように壁からの距離に少し余裕を持たせてセッティングした。今回使用した専用スタンド「D1」は、鋳鉄が使用されており、多少の振動にはビクともしない重量級。音質は文句のつけようがない。インテリアとのデザイン的調和を重視する方には、512用の「D2」、508用の「D3」が近日中に発売される予定。こちらも有力な選択肢になるはずだ。


「凄い、こんなに近づいても定位してる!」と興奮する筆者

 

ECLIPSE TDは指向性をきちんと整えることで最大の実力を発揮するので、耳の高さにセットするか、あるいは耳の方向を向くように傾きを調整するなどの工夫が必要。今回は椅子の高さに比べてスタンドが少し低かったので、ゴム製の薄型インシュレーターを前面側のみに使用し、やや上向きにすることで耳に対しての方向を調節した(←左の写真)

スピーカーの向きがしっかりと定まると、それまではやや曖昧な印象であった音の定位が、信じられないほど明確に決まった。また、面白いことに、スピーカーに思い切り近づいて同列上でリスニングしてみても、定位感が変わらず音像がまったく崩れない。おそらく帯域による時間的なズレがないためにリスニングの前後位置によって音場定位が左右されないのだろう。ECLIPSE TDの実力を窺い知ることのできる現象である。