新製品批評
Phile-web >> 製品批評 >>ESOTERIC MEXCELの高品位ケーブル


今までにない高水準を達成した期待の純国産・高級ブランド

ティアックから独立したティアック エソテリックは、英国の名門タンノイの輸入元としても知られ、最近は海外の高級オーディオを積極的に導入して話題が多い。しかしエソテリックの原動力は、国内中堅の技術企業が作る、自社開発の製品である。かつて、タフな動力と精密な動作を要求されたテープメカニズムで技術力を培った。これが現代オーディオで独自の無共振精密CDドライブメカ、VRDSを完成して、世界に誇るメイドインジャパンのひとつになっている。

そのエソテリックがメイドインジャパンの最高級にもうひとつ、オーディオケーブルで挑んだ。それは100万円のスピーカーケーブルを頂点とするラインナップで、12モデルを揃えてデビューした。

世界に挑戦して最高グレードを目指すMEXCELシリーズの音質は、高純度、超広帯域を特徴とし、オーディオケーブルの限界を超える新しい技術が導入されている。

MEXCELは音質面の特徴だけでなく、デザインでも魅せてくれたのがうれしい。世界の高級ケーブルでも、機器の裏方用の域を超えることが少なかったからだ。今回、ケーブル特性に合わせて開発されたRCAプラグの高級感が素晴らしい。材質はリン青銅にロジウムメッキを厚く加え、表面にカーボンが装着されている。ピンは高周波特性を改善するため中空構造になっている。プラグと一体になったMEXCELは宝石のように豪華で、持っているだけでも楽しい。高級ケーブルは、こうしたデザイン的な要素にも価値をみせてほしいものである。


こだわりの導体構造を進化、驚異的な高音質を実現した

MEXCELとは、平角導体にエポキシ変性アクリル樹脂で薄膜絶縁したエナメル線で、一般的には芯線一本一本に絶縁したリッツ構造と呼ばれる形態を指すが、丸線に比べて、角に樹脂が均質に乗らないため絶縁が困難であった。これを、航空宇宙用ケーブルの技術を持つ三菱電線工業が、メッキに近い電着絶縁方法を開発して理想的な絶縁を可能にした。

MEXCELシリーズのケーブルは、導体に高純度7N銅の平角線を採用しているのが特徴で、一部には丸導体も使われているが、ストレスフリー高純度平角線を絶縁した導体構造は、ギガヘルツ伝送を獲得している。7N-DA6000/6100においては、18GHzまでフラットという驚異的な超広帯域性能をもたらしている。

平角構造のメリットは導体表面積が大きく、高密度に巻くことができる点にある。導体を流れる信号は、周波数が高くなるほど表面を流れるという現象があるため、表面積が大きいことは高域伝送特性に有利に作用する。また、エナメル線構造は導体を完全に空気から遮断し、表面の酸化も防ぐことができる。

7N-A2500の構造図 7N-DA6000/7N-DA6100の構造図 7N-S10000/7N-S20000の構造図