シアターを知り尽くした「905」クオリティを検証する

熱い息吹を感じさせるビクター新モデルを知る

数ある液晶テレビメーカーの中で、いまビクターは確かな存在感を獲得している。パネルを厳しく選別することから始まり、画像処理エンジンの開発では常時他社に先んじ、描き出される映像に妥協を許さない。液晶テレビの再編と生産統合が進み、セットメーカーにとってパネルが「デバイス」となった今、ビクターのテレビ作りの叡智が時代を先導するものとして輝きを増し始めたのである。

ビクターは昨年9月に3つの世界初技術を搭載した「次世代高画質エンジン」技術を発表した。これは定評ある統合型映像処理LSI「GENESSA」の信号処理性能を飛躍的に高めたバージョンだが、新製品効果の真っ只中に次世代機の基礎になる技術を公開するというのは普通なら考えられないことだ。筆者はそこに、液晶テレビの画質を決定するものは高画質エンジンなのだという信念、自社で完成させたエンジンがどれだけ他社に先んじているかの自信を見た。技術発表から約3カ月を経て登場した次世代高画質エンジン「GENESSAプレミアム」を搭載した本機LT-42LH905の仕上がりを見ると、ビクターの煮え立つような開発力を実感させられる。

GENESSAプレミアム画像 GENESSAプレミアム
約687億色もの表現能力を誇る「Real36bit画像処理」を実現した

本機に搭載されたエンジンは他社より「一つ先の世代」にあると考えていい。構成する機能の中核は、リアル36ビット画像処理エンジン、「リアルビットドライバー」、「i-ClearMotion NR」等である。これらの技術目標は処理回路のビット精度を一挙に向上させ、コンテンツを「見たことのない高画質で」描きだすことにある。10ビットパネルが主流の現在も、デジタル放送やパッケージソフトなど映像コンテンツはRGB/YCbCr(YPbPr)各8ビットである。GENESSAプレミアムのリアルビットドライバーでは、入力信号を12ビット化しその後にインテリジェントガンマ等の高画質処理を行う。これにより、ビット数不足で階調部に発生していた擬似輪郭が消え自然な推移を生み出した。本機で高画質ソースを観ると、人肌の陰影や衣服の調子の変化が自然できめ細かく写真のようになめらかである。薄型テレビに期待していた「その先の映像」を、本機はいとも容易に手繰り寄せてしまったのである。

本質的な性能を推し進めた創造力溢れる新シリーズ

ホールド効果で発生する液晶の動画ボヤケを低減する「倍速120Hz駆動」を世界で初めて実用化したのも、10ビットパネルとの併せ業もビクターが最初である。今回の新製品でも動画解像度問題に鋭い踏み込みをみせる。i-ClearMotionNRは、従来であれば適用を停止した動きのある映像にも、高精度な動き予測で3次元ノイズリダクション処理をかける回路である。動きの多い場面でノイズを抑制しつつ動画ボヤケが少ない。これはデジタル放送を観れば容易に確認可能だ。「動きの美」と「リアリティ」という、液晶に付きまとっていたもう一つの命題にも一歩先んじたのである。

テレビで完結する高音質技術 テレビで完結する高音質技術画像
こう紹介していくと、本機が技術オリエンテッドなプロ受けのするストイックなモニターのように思われるかもしれない。しかし、筆者が本機を視聴して感銘を受けた最大のポイントは「血の通った温かい画質」である。ビクターのテレビ開発陣ほど映画に代表される具体映像、実写を数多く見て日夜研究しているチームはない。私たちがテレビで映画を観ている時は画質の重箱の隅を突いているような見方でなく、俳優という肉体の演技を通じてドラマを見ている。ビクターは人間を映画がそうあってほしいように描くことを最重視して、細やかな階調を基本に画質を作っている。そして、本機の描き出す自然の風景は実に瑞々しい。もう一つの世界初技術の「Real Color Creation」は、事物の色彩について重み付けを行う補正技術で、過去の液晶テレビの乾いたような色彩バランスから抜け出している。また、「MaxxAudio」を採用した本機の場合は音声が聞き取りやすく、映画ではさりげないサラウンド効果で驚かせる。テレビがミニマムなホームシアターであることを知っているビクターならではのこだわりである。

本機は、「超薄型」「狭額化」といった人目をひきつける外形の派手さや機能はないが、テレビの本質的な性能で一歩先にいる製品である。創造力煮え立つ現代のビクター、そして明日のテレビの画質をいま鮮やかに映し出していると言えよう。

ツインオブリコーンスピーカー画像右
ツインオブリコーンスピーカー画像左
ツインオブリコーンスピーカー
Hi-Fiオーディオで採用の高音質を誇るオブリコーンスピーカー(写真右:オブリコーンスピーカー 写真中:通常のコーン 写真左:本機に搭載されたスピーカーユニット)

【SPECIFICATION】


●画素数:1920×1080 ●内蔵チューナー:地上アナログ、CATV、地上・BS・110度CSデジタル ●主な入力端子:i.LINK×2、HDMI×3、コンポーネント×1、D4×1、S×2、コンポジット×3 ●消費電力:232W(待機時0.2W) ●外形寸法・質量(スタンド含む):1007W×708H×130Dmm・26.8kg 

【問い合わせ先】
日本ビクター(株)お客様ご相談センター
TEL/0120-2828-17