※今回の3機種と共通のデザインコンセプトを採用したTVチューナー内蔵タイプの液晶テレビ「KVX-5T-S(シルバー)/L(ブルー)」もオプションとして同時に発売。画面には5.6インチのTFT液晶を搭載している
ケンウッド「アヴィーノ」シリーズとは ケンウッドは、システムオーディオの分野でさまざまなヒット商品を生み出してきた。30代以上の方ならきっと懐かしいであろうミニコンポ「ロキシー」、ハイテクミニコンの代名詞といってもいい「アローラ」、ピュアオーディオの実力とシステムオーディオの実用性を併せもつハイコンポ「K's(ケーズ)」、そして、コンパクトさと高いデザイン性で女性の人気をも勝ち得た大ヒットコンポ「アヴィーノ」。オーディオ好きな方なら、これらの名前を必ず一度は目にしたことがあるはずだ。 常にオーディオ界をリードしてきた「アヴィーノ」 「アヴィーノ」の初代モデルは1996年に登場した。カセットからMDへと流行が大きく移り変わった頃のことだ。「アヴィーノ」は、この時代の流れに沿ったコンパクトなMDにふさわしいサイズを実現させ、日本の住宅事情では現実的な“小さな”音でもいい音質、といった特徴をもっていた。 1996年型アヴィーノは、こういった特徴と、これまでのオーディオにないシンプルで個性的なツートーンカラーによるデザインなどによって大ヒットとなった。他メーカーからも同様の商品が続々と登場し、アヴィーノが実現したコンパクトサイズはシステムオーディオの主流となっていったのだ。続いて1998年に登場した新モデルも初代モデルのコンセプトを踏襲し、アヴィーノはシステムオーディオの中の王道を築いていった。 1999年、アヴィーノの新型モデルは、縦に置いても使用可能なスタイルを実現させた上級モデル、アンプとCD、MDプレーヤーを一体化させた普及モデルなど、さまざまなスタイルをつくりあげていった。普及モデルは、ブルーやイエローなどこれまでのオーディオの常識を破る個性的なカラーを数タイプ用意、ヒット商品となっていった。その後のアヴィーノは一体型が主流となり、現在に至る。 革命的新提案、2001年型「デジタルアヴィーノ」 初代アヴィーノがMD時代の新しいオーディオスタイルを実現させたように、この2001年型「デジタルアヴィーノ」は、DVD時代のオーディオスタイルを確立するかもしれない。DVD、サラウンド、ホームシアター、と新しいホームエンターテインメントがさまざまに取りざたされている昨今であるが、2001年型「デジタルアヴィーノ」は、「DVDの楽しさは映画だけではない」と主張する。 今、日本で主流の音楽はJ-POP。CDのみならず、各アーティストがプロモーション映像やライブ映像をDVDで続々と発表しており、これがヒットしている。音に映像がついて、CDとあまりかわらない値段で手に入るDVDミュージックビデオ。これを、チープな音を出すテレビだけでなく、しっかりとしたステレオシステムで楽しもう、というのが2001年型「デジタルアヴィーノ」のコンセプトというわけだ。 360°どこでもサラウンド音場が楽しめるタイプも
時代の流れを見据えつつ、常にシステムオーディオをリードしてきたケンウッドのアヴィーノ。DVDで音楽を楽しむ、さまざまなデジタルフォーマットで音楽を楽しむ、そんな2001年型「デジタルアヴィーノ」の新提案、ぜひあなたも体験してみてほしい。(Phile-web編集部)
「デジタルアヴィーノ」はDVD/MD搭載のマイクロシステム。リアスピーカーなしのフロントオンリーだが、なかでもVA--6DVDはユニークな『ユニラウンド・スピーカー』を搭載して、一際目を引く。お洒落なワンボックのサテライトに、その低域を補強するパッシブ・サブウーファーが1本。これで2chに広がるステレオ再生とバーチャルサラウンド効果で、ライブコンサートの臨場感を得ようというのだ。 バーチャルはバーチャルでも、米ケンテック社の特許による相当高度なテクノロジーのようだ。ボックス部には5cm径のフルレンジスピーカーを3本内蔵。正面に1本と左右の側面のそれぞれ1本すづだが、左右のユニットを45度の方向に傾けてあるのがミソだ。 原理的にはスピーカーマトリックスの応用と思えばいい。正面のユニットからL+Rの音を出し、左側は(L-R)、右サイドのユニットには(R-L)の差信号を受け持たせ、空間合成でもとのLとR信号を離れた位置に定位させるのである。実際には位相を変化させるICチップがノウハウで、PSA(ポイント・ソース・オーディオ)と呼ぶパテント技術となっている。駆動アンプについては、それぞれに独立した5W定格のものを3基搭載。小なりと言えど音質を吟味したものだ。またサブウーファーだが、これは正面に大きなダクトを持ち、13cmのコーンユニットが下向きにビルトインされている。駆動アンプは余裕の65Wだ。
誇張の無い音には好印象
さあ、どこにセットしようか。サテライトは付属のスタンドに乗せるのだが、そのままテレビの上や本体と一緒にラックの中などでも良さそうだ。ここでは音元出版の視聴室を使用。スクリーン映像とのカップリングで、本モデルのサウンドを聴いてみた。 ちょっと不思議な空間だ。まず映像なしでCDの「エンヤ」をかけてみたのだが、PSAボタンをONにすると、ボーカルの音場が左右にすうっと広がる。いや左右だけでなく、もっと奥方向にちょうど仮想のステレオスピーカーでも並べたように、あの多重コーラスが包囲するのである。音質は思いのほかナチュラルでシャカシャカせず大人のバランス。良質のスピーカーを音量を絞った感じで聴いているようだ。 耳にやさしくすっきりと馴染み、これは長時間でもまず聴き疲れることはないだろう。ただし、アンプが5Wということもあって少々パワー不足な印象。低域に適度なリッチさがあり、これでもう少しボリュームが上げられたら言うことはない。とは言え、このセット。もともと寝室、書斎などのプライベートルームに置くことを考えたら、手ごろともいえそうだ。 ボーカルで好印象を持ったその勢いで、今度はミュージックDVDである。いきなりモーニング娘。の「ライブレボリューション21春」。大阪城ホールの最終日で、これはサウンドと映像がハジけそうな若々しさが快感だ。 DVD部の画質は良好。特に肌が瑞々しさなどに、色のキレやナチュラルな鮮やかさが感じられる。それに加えてこのスピード感のあるサウンドである。ステージの裏側までキレのいいリズムが周り込み、150インチのスクリーン全体がまるで大阪城ホールになったようだ。普通この手のセットは、高域がキツいかうるさいのだが、それが全くないのにボーカルのヌケが良い。ノリノリの手拍子に歓声、若さ爆発だ。気持ちのいいステージ感であり、これならポップミュージックでもロックでも文句なく楽しめるだろう。 では映画ソフトはどんな効果になるのか。バーチャルサラウンドモードで鑑賞しよう。これはさらに奥行が深く、サウンドもリッチな厚み、気持ちよいホール感を伴ってくる。流石にリアまで音が飛ぶようなシャープな移動感は無理としても、映像とシンクロする視覚効果も手伝って、思いのほか映画のサラウンド感が出ていると思った。 「グラディエーター」は、数千本の矢が飛びかうゲルマニアの戦闘が圧倒的な臨場感だ。小音量なから、音の分離やS/Nが良いののだろう。ここで「サウンド」ボタンON。これはサブウーファー効果を切り替える機能だが、NB1、NB2の順で低音が厚くなる。ラウドネスのサジ加減を微妙に変えることで、「ジャンヌ・ダルク」の戴冠式のシーンの天井の高さ感など、より劇場の雰囲気を盛り上げようというわけだ。無論、音楽ソフトでも使える。 DVDシアターセットは、映画の迫力を訴求するのが定石だったが、これからは音楽DVDにも目を向ける時だ。ケンウッドの提案に期待する。(林正儀)
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