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Phile-web >> 製品批評 >> KIKUCHI「スタイリッシュスクリーン」

 


視聴・文/編集部

◆光をすべての方向へ均等に拡散させるマットスクリーン

マットスクリーンの反射概念図。グレイマットアドバンスもマット系なので、これらの特徴があてはま(写真はクリックで拡大)

前項でご紹介した「スタイリッシュスクリーン」には、「ホワイトマット」と「グレイマットアドバンス」の2種類の生地が用意されている。両者は、いずれも「マットスクリーン」と呼ばれるタイプである。では、マットスクリーンの特徴とはどのようなものなのだろう。

マットタイプのスクリーンはプロジェクターからの入射光を全ての方向へ均等に拡散するため、どの角度からも均一の映像を見ることができる。また、表面層の光沢のないマット処理により、しっとりとしたなめらかな映像を得ることができるのも特徴である。

ただし、通常のホワイトマットだと、外光や迷光のある環境下での視聴では、外光・迷光も同じく拡散し、反射してしまい、映像光と重なり合って画質の低下につながる。このため、ホワイトマットは外光や迷光を遮断した専用シアタールームでその性能を最大限に発揮するスクリーンであると言うことができる。

 

◆リビングルームでも光の影響を最小限に抑えられる

グレイマットの光学特性図(写真はクリックで拡大)
これに対しグレイマットアドバンスは、外光や迷光下でも高画質を発揮できるように開発された。“深みのある黒”と“ナチュラルな肌色を基調とした自然な色”を同時に再現することを目標にして作られ、専用のシアタールームはもとより、迷光の影響を受けやすいリビングルームでもその影響を最小限に抑え、プロジェクターの映像光を有効に再現することができる。


◆特殊コーティングの効用で、間接照明の下でもナチュラルな映像が得られる

その秘密は、シアターグレイアドバンスの開発技術を基礎にして、グレイベースの特殊コーティングを用いたことにある。このコーティングにより、従来難しいとされた「リビングシアターにおけるマットスクリーンの使用」を可能とし、ほのかな間接照明の下でも黒浮きの少ないナチュラルな映像が得られる。なお、グレイマットアドバンスのスクリーンゲインは0.8で、700ANSIルーメン以上の明るさを持つプロジェクターとの組み合わせに適している


◆黒浮きだけでなく、色再現性とコントラスト向上にも寄与する

ホワイトマットとグレイマットアドバンスの、投影映像中の黒部(暗部)における反射輝度の違い。単位はnt(写真はクリックで拡大)

では、実際に「黒の締まり」を比較してみよう。左の図では、間接照明が無い場合、グレイマットアドバンスの暗部輝度値が0.8ntに対してホワイトマットが0.9を示すように、グレイマットアドバンスの黒の締まりが良くなっている。また、間接照明下において、ホワイトマットは明らかに暗部の輝度値が上がるが、グレイマットアドバンスは輝度値が変化していない(実際には変化しているが極小)。数字の上からも、グレイマットアドバンスが間接照明の影響を受けにくいことがおわかり頂けるだろう。従って、ホワイトマットに映し出される画像の色に対して、グレイマットアドバンスでは間接照明の影響を受けない分だけ鮮やかな色として映し出される。色に対する心理的効果として、鮮やかな色は明るく知覚されるので、ホワイトマットとグレイマットアドバンスを比較すると、グレイマットアドバンスの方が鮮やかな色とコントラスト感を得ることができるのだ。

キクチでは、グレイスクリーンの上でも肌色の再現性をテレビ上の肌色に近づけた(写真はクリックで拡大)