今回、多くのオーディオ・ファイルの要望に応え、永年培われたテクノロジーとノウハウをベースに“Blackシリーズ”の第1弾となるD/Aコンバーター「DA10」を開発。国内では(株)スタート・ラボから紹介されることになった。スタート・ラボ社は、That'sブランドのCDやDVDメディアでお馴染みのソニーと太陽誘電の合弁会社で、デジタル・メディアのみならずSACD制作などのDSD録音・編集に活躍するSONOMAシステム、Lavryブランドの機器など、業務用機器も扱っている。コンシュマー用のD/Aコンバーター「DA10」の登場により、我国のオーディオ・ファイルにも身近な存在となった。 |
アコースティック・ギターは歯切れよく腰があり、ピアノは艶やかで明解なタッチ、ベースは明瞭なフォーカスで躍動感に溢れ、ドラムスは粒立ちよく音像が空間に浮かび上がる立体感も良好だ。ボーカルは生々しく肉声的でリアルな爽快感に特徴を見せ、全体にマスター音源を彷彿とさせる忠実度の高さがポイントと言えるだろう。オリジナル楽器でのヴァイオリン協奏曲では、艶やかな高弦と量感に満ちた低域の響きを対比させた瑞々しいオーケストラ・イメージ、その前方に伸びやかな独奏ヴァイオリンがスッキリと浮かび上がり収録されたホール・アコースティックが見事に映しだされる。交響曲では、雄大なオーケストラ・イメージが鮮やかに眼前に構築され、パート感の分離よく細部も緻密に描写。 本機の魅力であるヘッドホン端子での再生音は、ディスクリート専用回路構成ならではのバランスと高品位な音色・音質で、何よりもスピーカー・システムでの試聴バランスに沿っている点が高く評価できる。全てのソースは独自の“CrystalLockTM”モードでの試聴だが、ジッター低減効果による聴感的なS/Nのよさが印象的である。 |
Lavry Engineering D/Aコンバーター DA10 (※写真はクリックで拡大) |
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■(株)スタート・ラボ
http://startlab.co.jp/
■(株)スタート・ラボ 「DA10」詳細ページ
http://startlab.co.jp/products/business/lblack_da10.html
■ Lavry Engineering
http://www.lavryengineering.com/
筆者プロフィール | |
斎藤宏嗣 Hirotsugu
Saito 武蔵工業大学電気通信科卒。電機メーカーのエンジニアとして高周波回路とVTRの開発を担当ののち、オーディオ専門誌に執筆を開始する。エンジニアとしての経験を生かした管球アンプの製作で注目を集める。『季刊・オーディオアクセサリー』誌では、テープオーディオの録再テストをはじめとする各種組み合わせ試聴(スクランブルテスト)の綿密なレポートで活躍。デジタルオーディオには実験段階から深く関わり、現在でも「デジタルオーディオの第一人者」の呼び声が高い。ソフトの録音評でも高い評価を得ており、実際に録音のアドバイザーとして関係した作品はアナログ録音時代から現在に至るまで数多い。スキー、柔道、フライフィッシング、料理、ラジコン、アマチュア無線、フラウトトラベルソやリコーダーの演奏など多くの趣味を持ち、そのどれもが趣味の範疇を超えた腕前を持っているという評判である。 |