時代を先取りした形でLED化を推し進める東芝REGZA。発表された新シリーズ「Z1」「RE1」「HE1」の全26製品にLEDバックライトを採用。高画質機として評価の高い新シリーズのうち、最上位のZ1を視聴し、そのインプレッションを語り合った! ※5月17日に東芝プレゼンルームで視聴。視聴BD:貝山知弘氏→『天国の日々』『17歳の肖像』山之内正氏→『ガンジー』『ヴァルキューレ』 |
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山之内 「レグザ第二章」製品の高クオリティは、ブラウン管時代から脈々と続く画作りにおける一貫した設計思想がベースにあるからこそ実現しているのです。今回の製品でも、ディスプレイ作りの幹となる「光の使い方」に徹底的にこだわっていることが視聴機からうかがえました。
ー 思想の一貫性とは、例えばどのようなことでしょうか? 山之内 余計なものは付け加えない、見たいものを素直に見せる、という強い意志です。 貝山 今回東芝は、非常に「ドラマチック」な製品を仕上げてきましたね。その一言に尽きます。ポリシーも全くぶれていないですね。「大人の映像」をずっと作り続けてきた東芝ならではの良さが実際の画質に現れています。一例を挙げてみましょう。東芝が作成したデモ映像には、逆光の中に映し出される太陽が映るシーンがあります。そこで感じられるのは、光の強さとその周辺との調和をディスプレイ上で巧みに取っているということです。 山之内 昨年のチャレンジが新しいZ1にも活かされていますね。例えばエリア制御の巧みさです。コストを今回の製品以上にかけたCELL REGZAよりも分割エリア数が少ないにもかかわらず、エリア数を少なくしたデメリットを見つけることはできませんでした。 貝山 正直に言って、私は昨年のモデルよりも、今回のZ1が映し出す画の方が好みです。私が望む自然さが見事に出ています。
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マジックアワーだけでなく、いわゆるピーカン下における風景映像も全く違和感なく観ることができました。マリックそしてアルメンドロスの意向がZ1上で素直に表現できていたことを嬉しく思います。 また、私が昨年モデルよりも今日観たZ1の方が好きだと発言したのは、色表現が進化したことにもその理由があります。ある意味で値段が遙かに高いCELL REGZAを越えたと言ってもいいかもしれません。
ー つまり、コストパフォーマンスがさらに高くなった、と。 貝山 違います。実質のパフォーマンスが上がっているのです。C/Pという概念で括るのではなく、そういった枠を飛び越えた表現上の幅が大きく広がっていると申し上げたいのです。 山之内 Z1が表現する巧妙な光の明暗差は映画での展開を確実に視聴者へ提供しますし、ステージ映像でも現場でしか味わえないリアルさを感じ取ることができるのです。 ー はい。 山之内 『ガンジー』の視聴では、CGに頼らずに大勢のエキストラをわざわざ使って撮った意味があるのかどうかをZ1で確認してみました。結果的に、その意味がはっきりあることが分かりました。ただ単に映像が綺麗である、ということだけでなく意図と背景がきちんと伝わるのです。斜光線とシャドーを活かした綺麗な階調を出せるかどうかにも着目してみましたが、それをZ1は見事に表現しきっています。 |
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ー 貝山先生。今日ご覧いただいた『17歳の肖像』※2 の印象を教えてください。 貝山 カメラマンが狙いとするボケ味がディスプレイ上で非常に巧みに表現できていると感じました。ボケ味をきちんと表現するためには、ディスプレイがそれを活かせるような性能を持つ必要があります。Z1は被写界深度の浅い撮影での微妙なフォーカスと、緻密なコントラストの両方を表出できます。その結果として、私の背筋に「ジーン」と来るほどのボケ味瞬間を味わうことができるのです。映像の華を表現できるディスプレイだと言っていいはずです。 ー はい。 貝山 かつてレファレンスとして活躍したプラズマテレビと比較しても、ホワイトピーク部の階調が遙かに豊富になっています。例えば、強い光が斜めに射し込む木洩れ日の表現。現実でもほとんど見られない見事な光の表現を目の当たりにすると、LED液晶モデルならではの優位性が感じられます。 山之内 プラズマでは再現不可能なコントラスト感が出せていますね。絵画の例で言うと、私にはコントラストの強い画を描くスイスの画家ジョバンニ・セガンティーニ※3 のことが思い出されます。背景の雪山と手前の芝生の見事な対比、サングラスをかけないとまぶしいぐらいの画をディスプレイ上で描けるのがZ1だと思いますね。 貝山 そうですね。 山之内 LEDバックライトを用いた液晶だからこそ、そういった映像がリアルに再現できるのです。その一方で、暗部階調もよく追い込まれています。『天国の日々』のように暗部階調が出せないと意図が伝わりづらい作品もしっかり表現できていましたから。 貝山 その通りですね。
ー ステージ映像の暗部表現力はいかがでしたか? 山之内 今日確認したのはBD『ヴァルキューレ』※4 です。『ヴァルキューレ』は人間の暗部をテーマにした作品だけに、黒をいかに表現できるかが大事なテーマとなります。Z1が持つコントラスト感は私が究極の理想とする黒の領域に近いものが出ていると感じました。 ー サウンドの話題に移りましょう。CELL REGZAで磨き込まれたサウンドのエッセンスは、今回のZ1でどのように活かされていると感じられましたか? 山之内 最近のテレビにありがちなこもりがなく、明瞭度が確保できていると思います。 貝山 ある意味で感心したのは、部屋の音響特性も含めて400もの測定ポイントを設けて調整をしたという技術者のこだわりです。薄型テレビとして求められる要素をふまえてきちんと仕上げているという印象を持ちました。 |
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ー 意匠面での感想はいかがですか? 貝山 光沢をやめたのは正解ですね。 山之内 光沢だと電源オフのときに存在感が目立ちすぎますからね。視聴中は画面に集中できますし、それ以外のときも過剰に存在が主張されないのが個人的に嬉しいですね。
ー 最後に、Z1を含むLED REGZA全体の総括と、未来の東芝製品に対するエールをいただいて対談を締めることにしましょうか。 山之内 私が長年液晶テレビに対して改善を求めてきたのは視野角の問題でした。視聴角度の違いによるコントラスト低下が非常に少なく、実用上全く問題ない範囲で仕上げていると思います。特に大型サイズであればあるほど、実用性が非常に高いように感じました。読者の方にもしっかりとお薦めしたいですね。 貝山 レグザ開発陣には設計思想に関するぶれが全くありません。だからこそこれだけの高性能の製品を生み出すことができたはずですし、未来への期待もどんどん膨らみます。間違いのないポリシーがまずあって、そこに高い技術力が加われば今後必要とされるファクターを難なく取り込めると確信しています。今以上に高い次元の明るさや色表現が求められたとしても、東芝技術陣のあくなき探求心があればその要求を満たせるはずです。 山之内 これまで私たちが求めてきた高画質の、さらにその先にある世界を高品位に見せてくれるようなディスプレイをぜひ作って欲しいですね。Z1視聴を通じて感じられた現製品の完成度の高さを鑑みれば、未来への期待がどんどん膨らみます。 |
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