TEXT/山之内 正 |
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日本のオーディオメーカーのなかでコンピューターの可能性に最も早く注目したのがオンキヨーだ。サウンドボードやUSBオーディオを皮切りに10年以上の経験を積んでおり、その蓄積をオーディオグレードのパソコンなどユニークな製品に展開した。 ハードウェアだけではなく、ソフトにおいても同社の立ち上がりは早かった。高品質音楽配信サイトe-onkyo musicは2005年にサービスを開始し、ラインナップの充実はいまやとどまるところを知らない。
そうした蓄積を活用すれば、ハードとソフトを噛み合わせて発展させることができる。両者を有機的に結び付けるのが、まさに「ネットオーディオ」のコンセプト。オンキヨーが得意とする領域だ。
AVアンプへのネットワーク機能搭載にいち早く対応 具体的な動きはAVアンプから始まった。家庭内ネットワークにつないでパソコン内の音楽を再生する機能は、いまやAVアンプの必須機能になりつつある。オンキヨーは幅広い製品群にDLNAベースのネットワーク対応を浸透させるとともに、対応フォーマットの豊富さでつねに他社を一歩リードしてきた。その背景には、ネットワークオーディオにいち早く取り組むことで獲得してきたノウハウの蓄積があることはいうまでもない。最近では約8万円以下となるエントリーモデル「TX-NA609」「TX-NA579」にもネットワーク機能を充実させていることにも注目したい。
USBオーディオでもヒットモデルを次々と送り出す
ピュア向けプリメインにネット機能を搭載 そして、オンキヨーのネットワークオーディオ技術はこの春さらに新しいステージへと歩みを進める。今回のチャレンジは、ピュアオーディオ仕様のプリメインアンプにネットオーディオ機能を内蔵するという画期的なアプローチだ。LANを介してNASから音楽データを読み出す機能を積むことによって、プリメインアンプに新たな価値を加え、用途を広げる意味がある。 ネットオーディオ機能を積む第一号機の「TX-8050」は、LANオーディオに加え、radiko.jpを含むインターネットラジオの受信を標準でサポートする。iPod/iPhoneはデジタル接続で高音質を引き出す用途以外に、Wi-Fiを利用する専用アプリ「OnkyoRemote」で本機の様々な機能をコントロールする機能にも活用できる。 iPodなどのポータブルオーディオはもちろん、ネットオーディオやインターネットラジオは現代の音楽ファンに欠かせない音楽ソースに成長した。その重要な音源を、パソコンを使わずにピュアオーディオ機器だけで簡単に楽しめることには大きな意味がある。音楽ファン待望の機能が、いよいよ身近な存在になったのである。
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