文 / 山之内 正

質感が高く手軽さが嬉しいRZ-1 - DC8 Tは余裕の広帯域再生が魅力

RZ-1は、エソテリックならではの品質にこだわりつつ、スピーカーを追加するだけでシステムが完成する手軽さを身に付けたスマートなソース&アンプ一体型モデルで、アルミ削り出し材を投入したフロントパネルなど、質感の高い仕上げは上級機譲りだ。

RZ-1
RZ-1

コンパクトな筐体に似合わず豊富な入力を備え、96kHz/24bit対応のUSB端子やフォノ入力(MM型)まで装備する多機能ぶり。CDとSACDに対応する動作のスムーズなスロットローディングメカを搭載する点が目を引く。

RZ-1の背面端子部
RZ-1の背面端子部。スピーカー端子は1系統。アナログ入力は2系統で、1系統はPHONO(MM)端子だが、切り換えにより通常のLINEとしても使用可能。デジタル入力は光/同軸各1系統の他、USB端子も搭載され、PCなどからの音楽データにも対応している。SACD、CDはもちろんレコードからPCオーディオまで対応しているのは嬉しい限りだ

今回RZ-1で鳴らすスピーカーはタンノイから昨年登場したディフィニションシリーズのフロア型モデルDC8 Tだ。20cm口径のデュアルコンセントリックドライバーと、同一口径のサブウーファーを組み合わせた2・5ウェイ構成を採用。同軸型ならではの優れた音像定位と、基音帯域まで伸びたスケール感豊かな低音再生を両立させていることが特徴だ。

DC8 T   DC8 Tの端子部
DC8 T
  DC8 Tの端子部。バイワイヤリング接続可能なドイツWBT製のスピーカー端子を採用し、独自のアース端子も装備している。接続しやすいように考えられた端子配列も新しい工夫である

このスピーカーで実現している余裕のある広帯域再生は近年のタンノイが力を入れている領域で、本機においても帯域とレスポンスの改善が大きな成果を上げている。

 
文 / 山之内 正
必ずしもコンパクトとは呼べないフロア型スピーカーのDC8 Tを、RZ-1がどこまで鳴らし切ることができるか、それが今回の試聴のポイントの一つである。RZ-1のコンパクトな筐体は一見すると頼りない印象を受けるかもしれないが、近年のクラスDアンプの実力を侮ることはできないので、こればかりは実際に組み合わせて確かめてみるしかない。
山之内氏の本システムの試聴風景
山之内氏の本システムの試聴風景。PCからの96kHz/24bitの高音質ソフトも試聴した

今回の試聴のために、ダイナミックレンジの大きさとアンプの瞬時供給電力の余裕を確認する恰好のソースとしてクライバーの<<こうもり>>を用意した。第2幕の最後に挿入されているポルカ<<雷鳴と電光>>の凄まじい演奏を聴けば、再生システムの表現力が瞬時に判断できるのだ。このディスクはエソテリックが手がけるSACD復刻シリーズの最新盤で、音の良さには定評がある。その瑞々しい響きをどこまで引き出すことができるか、大いに楽しみだ。

 
文 / 岩井 喬
オーディオに興味があってもアンプにプレーヤー、スピーカーと、用意するものが多岐に渡り、さらにそれぞれの機器の間に相性も存在するという複雑な要素が煩わしいと感じているユーザー層も少なくはないと思う。

特に音楽ソフトに重きを置いている方であれば、そうした想いはことのほか強いであろう。とはいえ、いくらシンプルにまとめられるものであっても、重厚な製品としての質感が損なわれてしまうのはいただけない。

今回提案するエソテリックRZ-1とタンノイDC8 Tはモノとしての上質さ、そして伝統息づく深みのあるサウンドと、最新メディアにも対応した幅広い機能性の高さが楽しめるシステムだ。

特に歴史あるタンノイ社80周年の技術と、現代的デザインによりインテリアへの調和を目指したDC8 Tの存在感、SACDやPC、レコードに対応した簡潔な操作性とスタイリッシュなRZ-1とのマッチングは一つの理想郷ともいえる。

 
 
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