高音は音楽の幅広いジャンルで大切なニュアンスの情報として重要であるが、高域、超高域へ伸びる信号への再現性を高めるには、トゥイーターユニットに高度な性能が必要である。強調、濁り、くもりのない特性であることだが、現在の優秀機では高純度でトランジェントに優れ高解像度、広帯域が得られる製品が多くなり、中でもSignature
Diamondは圧倒的に優れた特性を聴くことができる。Signature Diamondは、解像度を重視し写実性を基調にしたオーソドックスなバランスの中に、高純度に研ぎ澄まされた音を表現する、洗練された表現力を備えたスピーカーである。
中低域、低域についてもコンスタントな特性でバランスされた厚みがあり、透明度が高く、引き締まるダンピングを備え、低音楽器の陰影を明確に表現してリアルな分解力が得られる。38cmの大口径ウーファーに比べれば、エネルギー密度、重厚さは及ばない印象も当然あるが、優れたトランジェントで、中間帯域、高域特性にバランスした性能の高い低域であり、このサイズの口径としては文句のない特性が備わっている。各種のプログラムを試聴して「何の制約も受けずに理想のスピーカーを追求する」という目標が、音楽再生の技術を追求するB&Wの姿勢を実感させ素晴らしい完成度をみせる。
Signature Diamondの音質は、高純度で鋭敏、明晰で、瞬発力に優れたワイドレンジという印象を受けた。そして精度の高い表現によるシンプルなスピーカーであり、ピュアなステレオ再生の魅力を高度に引き出すスピーカーである。
福田雅光 Masamitsu
Fukuda
東京三鷹生まれ。大学では電子工学系を専攻した後、報道関係の技術部門に携わる。サラリーマン生活中の1970年から「電波科学」にてオーディオアンプの製作などを執筆。1976年「季刊・オーディオアクセサリー」の創刊に参加。アクセサリーを重視したオーディオシステムの構築、という本誌のコンセプトの確立に大きな影響を与えた。また、オーディオケーブルの重要性に早い段階から注目。検証をベースにした厳しい視点が、読者との信頼関係を結ぶ絆になるというのがポリシー。 |
|