薄型テレビの人気ジャンルとして定着した「録画テレビ」。日立の発売するプラズマ・液晶テレビ“Wooo”は、何と32V型以上の主要モデル全機種(H03シリーズを除く)がHDDを内蔵している。テレビ放送をリアルタイムに視聴するスタイルから一歩踏み出し、リモコン一つですぐに録画を行える、快適な「録る」機能を前面に打ち出したシリーズである。

Wooo 2009年主要モデルのラインアップ
表示デバイス シリーズ名 内蔵HDD 「iVDR-S」スロット ラインアップ
プラズマテレビ 03シリーズ 500GB
P50-XP035 / P46-XP035 / P42-XP035
250GB P50-XP03 / P46-XP03 / P42-XP03 / P42-HP03
液晶テレビ 03シリーズ 500GB
L42-XP035 / L37-XP035
250GB L42-XP03 / L37-XP03 / L32-WP03
液晶テレビ UT800シリーズ 250GB
UT47-XP800(B/W) / UT42-XP800(B/W) / UT37-XP800(B/W) / UT32-XP800(B/W)

一体型モデルは側面に「iVDR-S」スロット「iVポケット」を装備している

Woooの録画機能の最大の特長は、ライトユーザーとヘビーな録画ファンのどちらの期待にも応える懐の深さ。それを実現しているのが別売りのカセットHDD「iVDR-S」への対応だ。

「iVDR-S」はHDDを内蔵したカートリッジメディア。著作権保護技術「SAFIA」に対応しており、ハイビジョン番組の録画が行えるのはもちろん、録画したコンテンツを内蔵HDDと「iVDR-S」の間でダビングすることも容易に行える。

また、ブルーレイディスクと比べて圧倒的に長時間の録画が可能な点も特長で、最大500GBの「iVDR-S」の記録容量を用いれば、カートリッジ1つにハイビジョン画質で約400時間(TSX8モード記録時)の録画が可能。例えば、連続ドラマやアニメなどをワンクールまとめてダビングしたり、家族で自分専用の「iVDR-S」を用意してアーカイブをまとめたりと、光ディスクレコーダーとはひと味違った録画スタイルが実現する。

日立マクセルのiVレコーダー。「iVDR-S」が国際標準規格に認められたことで、今後も対応機器が続々と登場することが予想される

「iVDR-S」を採用したことによるアドバンテージは、テレビを買い換えた際の再生互換性にある。USB端子などで一般的なHDDを増設する録画対応テレビでは、いくらHDDに番組を録りためても、そこからの書き出しはできない。それどころか同型の別のテレビで再生すらできない事もあまり知られていない。

さらに「iVDR-S」は今年、国際標準規格「ISO/IEC 29171」として承認された。Woooシリーズ間の互換性はもちろん、日立マクセル、三洋電機から発売された「iVDR-S」レコーダーとの組み合わせも可能であり、国際標準規格として認められたことから、今後さらに周辺機器が増えることが予想される。大切な録画ライブラリーを、将来にわたって確実に楽しめるという点からも、「iVDR-S」は信頼できるメディアなのだ。

 

Woooの「録る」機能の魅力として、洗練された操作性も強調しておきたい。テレビのリモコンは直感的に操作が行え、視聴中の番組をすぐに録画する際にも慌てずに扱える。また単体レコーダーでお馴染みの番組表による録画予約についても、HDDを内蔵しているWoooであれば、新番組の予告を見たら、テレビのEPGで探して、その場ですぐに予約操作が行える。なお、WoooのEPGは表示が俊敏であるだけでなく、視聴中の番組を右上の小窓で見ることができるので、”ながら操作”派の筆者は非常に気に入っている。

   
EPG(電子番組表)は右上の小画面で視聴中の番組を確認することができる   録画モードはMPEG2のまま録画するTS/TSEモードのほか、MPEG4 AVC/H.264で圧縮するTSX4/8モードも選べる   Woooのリモコン。録画した番組を見る際は「見る」ボタンを押すなど、わかりやすいボタン配置を採用

さて、単体レコーダーでお馴染みの、MPEG4 AVC/H.264を用いた長時間録画モードが利用できるのも、実は録画テレビとしては貴重な存在だ。

Woooシリーズが採用する「XCodeHD」は、MPEG2で録画時間を約2倍に延ばす「TSE」モード、さらにMPEG4 AVC/H.264では「TSX4」「TSX8」と様々なモードが用意されている。MPEG4 AVC/H.264と聞くと難しく思うかもしれないが、ビデオ感覚で4倍、8倍…などと考えれば良い。HDD内蔵のテレビはリモコン一つで録画が手軽に行えるため、うっかり内蔵HDDの容量をオーバーしてしてしまうことも考えられる。HD画質で長時間録画が行えるTSX4/TSX8モードは、筆者自身も切望していたものだ。

実際に使用するモードは画面サイズとのバランスやコンテンツの重要性を勘案して選択したいが、37V型程度のサイズならば、TSX8モードでもなかなかの高精細ぶりを見せてくれた。

 

録画した番組を見る際の利便性も重要なポイントだが、Woooはここでも気の利いた機能を用意している。フォルダ分類への対応だ。録画予約の際に「フォルダ指定」を選び「この番組名」を選択する事で、番組名そのままのフォルダ名で分類できるようになった。フォルダ機能は録画時に自分で手動設定する事も可能だが、自動で行っておけば、連続ドラマやアニメといったシリーズものの番組を一まとめに収められ、あとから探しやすい。

 
録画予約時にあらかじめフォルダ分類を設定しておくことが可能。大量の録画コンテンツがある場合もすっきり整理できる   「いいとこジャンプ」機能を使用しているときには、画面下に番組内の現在の位置が表示される

音楽番組やスポーツ番組については、「みどころシーンサーチ」といった機能を使いこなすと、盛り上がっているシーンだけを選んで視聴できるので非常に便利だ。また、再生中にスキップボタンを押すだけで本編のみを再生できる「いいとこジャンプ」も快適の一言。録画した番組に表示される「オートC」のアイコンは、番組本編の開始と終了を自動検出してチャプターを設定済みという意味だ。なお再生スタート時には「オートチャプター」と表示が出るので覚えておきたい。

録画したコンテンツを一覧で見られるリスト画面。ここで「オートC」というアイコンが表示されていれば「いいとこジャンプ」や「みどころシーンサーチ」が利用できる

録画テレビが従来苦手としてきた、番組のアーカイブ。ここでも、交換可能なカセットHDD、「iVDR-S」を追加できるWoooの特長が活きてくる。

BDレコーダーで大量の録画済み番組をダビングする際には、ディスクを何枚も入れ替えたりすることが必要で、一苦労だ。一方「iVDR-S」では、12月10日にマクセルからこれまでで最大容量となる、500GBの「iVDR-S」が発売される。内蔵HDDが500GBと大きい035シリーズでも、内蔵HDDに録りためたコンテンツを、「iVDR-S」へ一度に高速ダビングできることになる。これは本当に便利だ。

内蔵HDDから「iVDR-S」のダビングは「ダビング10」に対応しているほか、ダビングした先でも「コピーワンス」番組になるためBDでは不可能な、「iVDR-S」から内蔵HDDへの書き戻し(ムーブ)もできるため、後から整理する事も可能だ。さらに、ダビング時には余分な部分をカットし、本編のみの録画にも対応し、もちろん録画モードを変換して容量を抑えたりすることもできるなど、テレビ内蔵の録画機能とは思えないほどの高機能ぶりだ。ちなみに、ダビング作業すら手間と感じるのなら、「iVDR-S」への直接録画ももちろん可能だ。家族で一台のWoooを使うのであれば、それぞれマイ「iVDR-S」を用意しておく事をオススメしたい。

 
録画した番組やダウンロードしたコンテンツは複数を選択して一度に「iVDR-S」へダビング/ムーブすることが可能   写真のように家族それぞれの“マイ「iVDR-S」”を用意しておけば、録画した番組の管理もラクに行える

Woooの録画機能を使い込むほどに、BDレコーダーとは異なる考え方のもとに作り込まれたものであることを実感させられる。その長所は、リモコン一つで誰でもかんたんに録画が行えるように熟考された操作性と、「XCodeHD」対応による長時間録画だけにとどまらない。

繰り返しになるが、「iVDR-S」に対応していることでHDD容量をいくらでも増やせるほか、ダビングも自在に行えるのは非常に便利だ。さらに「iVDR-S」にダビングしておけば将来に渡る再生互換性を確保できる。Woooを録画機として捉えてみても、ある側面では単体のBDレコーダーを越えるほどの機能を備えている。内蔵HDDだけを使用するのはもったいない。「iVDR-S」を導入することで、さらに便利な録画ライフを手に入れてほしい。