まず試聴室のレファレンススピーカーであるモニターオーディオ「GS60」をつないで聴いてみることとした。
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この項では編集部のレファレンススピーカー、モニターオーディオGS60(¥682,500・ペア)を組み合わせて基本的なパフォーマンスを検証した |
SACDから聴く。クラシックはコンサートホールのS席で聴くような、堂々のオケ表現が眼前に現れた。冒頭のソロTpはやや枯れた音色だが、これは奏者がそう意図して吹いているのだ、ということがはっきりと伝わってくる。
弦はサラリとした質感だが、大編成の厚みを克明に表現し、トゥッティの強奏時にもバイオリンやチェロ1本ずつの胴鳴りの温かみが伝わってくるような響きが実に好ましい。シンバルはごく自然な輝かしさを伴って最高域まで伸び切り、グランカッサは風の吹き抜けるような質感で部屋全体の空気を揺さぶる。
ジャズはことさらにレンジが伸びているという感じもないのに、ピアノのさりげないが深く艶やかな質感、余韻の消えゆく様の美しさはどうだ。ギターも特にホットなプレイというわけではないのに、奏者の思いがそのまま伝わってくるような鳴り方だ。
ウッドベースもまさに今ここで弾いているような質感である。何かの質感に似ていると思ったら、オープンリールの再生音だ。ティアック/エソテリックの伝統がなせる技か、それともオリジナル・マスターテープの音を忠実に引き出しているのか。
ポップスは、録音エンジニアがボーカリストに惚れ込み、歌声を大切に大切に収録した、ということがありありと伝わってくる。伴奏のピアノやストリングスが声と同じくらいのボリュームで入っているのだが、明らかに声がくっきりと立って聴こえるのだ。ここまでの再現を聴くことができるシステムにはそうそう出会えることがない。まさに「鏡のような再現性」といってよいだろう。
そして、CDも一通り聴いたが、驚くべきことにSACDとほとんど音質傾向の違いがない。滑らかさや余韻の美しさは明らかにSACDへ軍配があがるが、CDでも「鏡のような」再現性はまったく減ずることがない。まったく素晴らしいシステムである。 |